日本の櫻は春いちど　見事に咲いて明日は散る

サイタ　サイタ　サクラ　ガ　サイタ






しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ　朝日にゝほふ山ざくら花






ねがはくは　花のもとにて　春死なむ　其のきさらぎの　望月のころ






さくら　さくら　野山も里も見渡す限り　霞みか雲か　朝日に匂ふ　さくら　さくら　花盛り






ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく花の散るらむ






世の中に 絶えて櫻の なかりせば 春の心は のどけからまし






匂へどもしる人もなき櫻花　ただひとり見て哀れとぞ思ふ






櫻花 今ぞ盛りと 人は言へど 我れは寂しも 君としあらねば






散ればこそ　いとど櫻はめでたけれ 憂き世になにか　久しかるべき






宿りして春の山邊に寢たる夜は　夢のうちにも花ぞ散りける






散る櫻 殘る櫻も 散る櫻






いにしへのならのみやこの八重櫻　 けふ九重ににほひぬるかな






貴樣と俺とは同期の櫻　同じ航空隊の庭に咲く
咲いた花なら散るのは覺悟　見事散りましよ國の爲






佛には　櫻の花を奉れ 我が後の世を　人とぶらはば






花に染む心のいかで殘りけん　 捨て果ててきと思ふわが身に






萬朶の櫻か襟の色　花は吉野に嵐吹く　大和男子と生まれなば　散兵線の花と散れ






散る花を　惜しむ心やとどまりて　また來ん春の　たねに成るべき






君と僕とは二輪の櫻　積んだ土嚢の陰に咲く
どうせ花なら散らなきやならぬ　見事散りましよ　皇國の爲










日本の櫻は春いちど　見事に咲いて明日(あす)は散る
ペ島の櫻は散り散りに　玉碎(ち)れども勳功（いさお）は永久(とこしへ)に