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2014年07月07日 イイね!

「北海道クラシックカーミーティングinふらの2014」に参加しました!


去る6月29日(日曜日)、富良野市で行われた
「北海道クラシックカーミーティングinふらの」に参加して来ました!

2011年、2013年に続き今回で3度目の参加となります。

前の2回はグロリアでのエントリーでしたが、今回は自分がCB750four、
昨年も御一緒したS先輩のトライアンフ・ボンネヴィルT120、
そしてカワサキKZ1000PのO巡査と、バイク仲間3台で行って来ました。


其れでは、往復500粁の旅の顛末を御送り致します。


---


朝3時起床、直ぐに準備に取り掛かる。

新品プラグを奢ったCBは一發始動。
往復500km程度の”散歩”を前にして、微塵の不安も無い。

然し乍、今にも泣きだしそうな空模様だけが気懸りである。


防寒服を着込み、朝霧の中に2人の到着を待つ。


時計の針が合流予定時刻の0400を廻る。

時を置かずして、乳白色のヴェールの向こう側からの空冷エンジンの鼓動が響いてきた。

音は聴こえど、濃霧に覆われ其の姿は見出すことは出来ない。


エキゾースト・ノートは次第に大きくなり、間隔を空けて並ぶ2つの前照灯が
霧のヴェールを引き裂いて、2台のモーター・サイクルが其の姿を現した。


眼前に停車した2台に対し無言のまま頷き、直ぐ様右足でキックを蹴り降ろす。

3台の鐵馬は高らかに呼応し、霧を祓いていざ富良野へと240kmの往路を走り出す。







風防の表面は霧に濡れ乱反射し、内部は吐息で白く曇る。
視界を制限された状態で、キスカの如き濃霧の中を手探りで走る。

纏わり附く様な霧に全身を包まれ、忽ちの内に爪先まで濡れたが案外寒くはない。

頻繁にミラーを覗き、後続の2台の前照灯を確認する。


息の合った3台は、追越の際も一糸乱れぬ編隊を保ち乍走る。


出發から約1時間の地点では、霧に続き雨にまで降られた。
タンクの上では水玉が踊っている。

例年よりも酷い悪天候に意気消沈となるも、愛馬の力強い歩武を頼りに先を目指す。

篠突く雨に打ち拉がれる3台


霧に呪われ雨に叩かれ、足の先までずぶ濡れと云う有様だが、
バイクにリバース・ギアは存在しない。

断じて征くのみ、前進の他に選び得る途はない。

天佑神助を堅く信じ、天候すら祈祷に依りて好転せしめ、断じて目標へと到達せずんばやまず。







祈りは天に通じたか、峠を越えると厚い雲の切れ間から漸く青空が顔を覘かせ始めた


天候の恢復に安堵しながら、南富良野の道の駅で小休止とする。

S先輩は休憩もそこそこに、雨で汚れたトラを磨き始めた。
走ったら磨く、これが常に最高のコンディションを保つ秘訣である。

向こう側には、イベント参加車と思しき赤いベレット1800GTが停まっている。


次第に雲量が減り、青空の面積が増えてゆく。

天候の恢復と共に、バイクと擦れ違う回数も増え始めた。
スライドする度に、手を挙げて挨拶を交わす。

富良野へ近づくと、前を行く車列の中に先に見たベレットや2台連なった
ヨタハチの姿等が見え始め、愈々イベント会場に近付いてきたことが感じられた。

山部の7-11に立ち寄った後、会場入りする。


---


峠を越えるまでは断続的に雨に降られたこともあり、天候が懸念されたが
果たして、富良野の空は晴れ渡っていた。


空は晴れ、陽射しは強いものの吹き抜ける風が涼しさを運んでくる。
時折、雲が太陽を隠したが適度に日陰が作られ却って快適に過ごせた。

エントリーを済ませ、バイクを並べる。
さぁ、1年に1度の愉しみの始まりだ。


---


今回もm13pさんやさとる君さんをはじめとしたみん友さんや、
今までのイベントを通じて知り合った旧車仲間の方々とお会い出来ました。

1年振りの再会という方や、ここでしかお会い出来ない方も多いです。
矢張り、仲間との交流こそがイベントの醍醐味でしょう。

当日参加された皆様、会場でお会いした皆様、暑い中お疲れ様でした。
来年も是非お会いしたいものです。







ここからは会場で気になったクルマとバイクを御紹介致します。

【会場で気になったクルマ】


今回は外國車、中でもスーパーカーを呼ばれるクルマが多かったです。

まさにモンスターと云った雰囲気のフェラーリ・テスタロッサ


フェラーリと並ぶスーパーカーの代名詞、ランボルギーニ・カウンタック


銀色に輝くタイムマシンの出現だ!BTTFでおなじみ、デローリアン・DMC-12

ガルウィング・ドアはギャラリー受けがとても良い!

スーパーカー少年の憧れ、フェラーリ308GTB


前衛的かつ”過ぎ去った未来”を感じさせるスタイリングのアルピーヌ・ルノーV6ターボ


1968年型 シボレー・コーヴェット・コンヴァーチブル


内外装共に非常に綺麗なC3ヴェット。
見事な鏡面仕上げの漆黒のボディに、白い雲と蒼い空を映していました。

エントリーしていたアメリカ車は上掲のC3の1台だけとやや寂しいカンジでしたが、ギャラリーで
63インパラ・コンヴァーチブルや57ベルエア・2ドアHT、シェルビー・コブラなどが来場していました。

落ち着いた外観に驚嘆すべき高性能を秘めた1972年型ポルシェ911S


前期の”フィアット”X1/9と後期の”ベルトーネ”X1/9が並ぶ。


トラディショナルなブリティッシュ・ライトウェイト、トライアンフTR4A


淡いペパーミント・グリーンが涼しげな、オーバル・ウィンドウのヴィンテージ・ビートル


リアル・ウッドの温もりが魅力的な、モーリス・ミニ-マイナー カントリーマン


1964年型ホンダS600

希少な「 旭 5 」のライセンス・プレートが目を引くエスロク。

格子状のグリルや丸型テール・ランプは繊細な美しさを湛えている。
世界的に見ても、極めて魅力的なライトウェイト・スポーツカーの1台だと断言出来る。

1964年型いすゞヒルマン・ミンクス スーパー・デラックス

控え目なテール・フィンが可愛らしい最終型のハイ・スタイルです。
ツートーン・カラー、ホワイトウォール・タイヤ、白いレースのカーテンが良く似合っています。

丸型3連のセンター・メーターや、オルガンの鍵盤の様な
選局スイッチを有するラジオなど、内装も上品で美しいクルマです。

1967年型トヨペット・クラウン・スーパーデラックス

ホワイトリボン・バイアスを履かせたボディ同色純正スティールに
トリム・リングを組合わせた足元がキマっていたクラウン。

地元の旧車仲間であるYさんの330は純正のフューエル・インジェクションから
SUツイン・キャブレターに進化(退化??)していました。


エンジン・フードの裏側に丁寧に貼られた断熱材もYさんの御手製だ








【会場で気になったバイク】


O巡査のカワサキKZ1000P(1993年式)

会場には同型車がエントリーしていたので、2台を背中合わせに並べました。

同じく、カワサキKZ1000P(1998年式)

2台とも1990年代の製造ですが、デビューは1982年と立派な旧車です。
O巡査ともう1台の白バイのオーナーはポリス・マニア同志、濃いトークで盛り上がっていました。

白バイは”働くクルマ”だけあって、一般ギャラリーからの受けが非常に良かったです。
O巡査がアメリカの警察官の制服(ホンモノ)を着ていたのもポイント高いです。

こういう車種は変に恥ずかしがらずに、徹底的にやるべきでしょう!


我が騎兵聯隊の忠勇なる鐵馬、陸の王者を名乗るに相応しい陸王RQ750

國産ヴィンテージ・モーターサイクルの代表格と云えば、矢張りこの陸王でしょう。

威風堂々たる佇まい・・・鐵馬の名に恥じないメグロ・ジュニアS8

英國車に倣った別体式ミッションやソラマメ型のクランク・ケース、
クラシカルなサドル・シートがメグロの魅力です。

スズキの特徴である馬蹄型ヘッドライトが可愛らしいスズキ・コレダST5

キャッチ・コピーはそのままずばり「オートバイはコレだ!」

「あると便利なアルト」とか「アルトもあるけど、ワゴンもアール」とか・・・
スズキは昔から駄洒落の好きな会社なのである。

エンジンやタンクのエンブレムに刻まれている「S-JK」とは、
1954年6月以降の社名である鈴木自動車工業株式會社を意味しています。


バイクはエントリー自体は少なかったですが、例年通りギャラリーとして多数が来場しました。
圧倒的な台数を誇ったのはカワサキ勢で、中でもW系が多数来場していました。

タンクの色褪せが素晴らしい味わいを魅せるW1S


ブルーの濃淡ツートーンは爽やかな650RSW3(後方はスズキT500)

フロント・フォークに装着した工具袋がイイ感じ、これはちょっと真似したい。

W1Sが3台、W3が3台の計6台が並び、大排気量空冷ヴァーチカル・ツインの
”オートバイらしいオートバイ”たるWシリーズの根強い人気を感じました。

この他に、CHiPs宜しく2台が並んだ上掲のKZ1000P、メタリック・グリーンが眩いKH、
高年式車からの流用で足廻りを中心にアップ・グレードされていたZ750等がいました。

Wが多かった一方、定番車種のZ1/Z2系は少数派でした。


カワサキ勢に続いたのはホンダ勢です。

4into1マフラーを備えた純正カフェ・レーサー、CB750FOUR-Ⅱ


CB750F(FB)

念願のDOHCエンジンが与えられた第二世代の大型4發機、CB750F。
手前に映っているミラーはフェアリング装備のCB750Fボルドール2のもの。

後方に並んでいるのは、アンダー・カウルを備えたCBX400とカワサキ750RS(Z2)。

カスタムでもLCでも無い珍しい”素”のCB650

免許制度や車検制度、そしてかつて存在した國内上限750cc規制により
正当な評価を得難かった中間排気量車は、今では希少な存在です。

CB650の前身に相当するCB550FOUR-Kも来場していました。

CB750fourは3台あり、内1台は自分のCBと同じキャンディガーネット・ブラウンの塗色でした。

ホンダ・ドリームCB750four(K1)

キャンディガーネット・ブラウンの車輛は自分の以外では初めて見ました。

自分のCBはK1の後期型だと思っていたのですが、この車輛を見るとどうも
中期型、若しくは後期の前期が存在するのでは??と云う疑問が湧いて来ました。

速度計は両車共にフルスケール220km/h表示(前期は240km/h表示)ながら、
80km/h以上の目盛が赤になっていました(自分のは白)。

他にも、ハイビーム・インディケーターが青(同、赤)、
文字入りのブレーキオイル・カップキャップ(同、文字無し)等に異なる点が見出せました。


それにしても綺麗だ!同じ色とは思えない。

自分のはタンクの退色が凄く、上面と側面で全然色合いが違うのだ。


・・・ま、ヤレも味なんですよ?
傷だらけのシングル・ナンバーは伊達じゃない!


スズキ勢はオリジナル・ペイントが味わい深いT500、集合チャンバー装備の”水牛”GT750や
”カタナ”と聞いてすぐに思い浮かぶ方のGSX750S(サイド・カー付)と、
直ぐには思い浮かばない方のGS125E等が来ていました。

車体と同色のツートーンで揃えたGSX750Sカタナ


ヤマハ勢が最も少なく、FJ1200とヤマハ・スポーツ250 DS-6(多分)
の2台しか見当たりませんでした。

ヤマハの誇るスーパースポーツ・ツアラー、FJ1200

FJはヤマハが世界最速を目指して開発した大型ツアラーです。
最高出力130PSは國産空冷エンジン中最強を誇りました(輸出仕様のみ、國内仕様は97PS)。

余り目立たない存在ながら、デビュー時にはゼロヨン世界最速を記録しています。
FJはデザイン的に”デカいフェーザー”なカンジで好きなんですよね。


---


1時半過ぎには、仕事上がりから休まずに直行してきたY30さんも到着。
更に話に花が咲きます。

1等は高級工具セットと云う豪華な籤引きも、このイベントの楽しみのひとつです。
昨年はふらのソースでしたが、今年はメグロがプリントされたオリジナルTシャツを戴きました。

イベントの締め括りに各部門の優秀賞が發表されます。

そこで、二輪車部門優秀賞としてS先輩とトラの名前が呼ばれました!
ステージで表彰され、記念品の盾とメッキ研磨剤が贈られました。

盾を飾り記念撮影


3時半を以てイベントは終了。
1台、また1台と会場を後にし、埋まっていた駐車場は少しずつ広がり始める。
駐車場の余白に、祭りの後の寂しさを感じる。

殆どの参加車が帰路に就いた後も話は尽きない。
広くなった駐車場には、ギャラリーの子供を乗せたハフリンガーが走り廻っている。




午後4時、名残惜しくも会場を後にして帰路に就く。


市街地にあるホクレンのスタンドに立ち寄り給油していると、
轟音と共に1台のヴィンテージ・ハーレーがやってきた。

カッコいいなぁ~と思いつつスタンドを出ると、
すぐ先に沢山のヴィンテージ・ハーレーが集まって休憩している。

もしかして??と思い目を凝らすと、黒い46ULを駆るハップストアのホリさんが居ました。

ホリさんの1946年型ハーレー・ダヴィッドソンUL


信号待ちで止まった時に手を振って挨拶すると、直ぐに気付いて手を振り返してくれました。

そこに並んでいたのは1937ULH、1942U、1946UL、1946WLG、1949FL、1951FL、1957FL。
1930年代から1950年代にかけての7台のヴィンテージ・ハーレーでした。

ここまで古く存在感のあるモーター・サイクルとなると、
若輩者では乗り手がバイクに負けてしまい余り絵になりません。

酸いも甘いも噛み分けた大人になって漸く似合うのが、
ストック・スタイルのヴィンテージ・ハーレーだと思います。







雨と濃霧に泣かされた往路とは打って変わり、好転に恵まれた復路。

美しい鴇色に染まる雲


東大演習林駐車帯、狩勝峠帯広側、屈足、音更と長めの休憩を挟みつつ家路を歩む。
往路と違い、特段急ぐ理由もないので休憩の度に腰を据えて話し込んでしまう。











太陽は遥か西の地平に沈み、月が宙に浮かぶ。

日曜日とあって、あちらこちらでパトカーや白バイと擦れ違う。
ネズミ取りも盛業中とあって、普段にも増して警戒を密にして進む。

夜の帳が降り、辺り一面が漆黒に包まれてからは、
後写鏡に小さく映る前照灯の光だけを頼りに編隊を崩さぬよう走り続けなければならない。


残す所あと1時間の地点で、最後の小休止とする


16時間前の早朝5時に此処で休止した際には雨に濡れ、低く垂れ込めた厚い雲に
気が滅入っていたが、今は寒くもなく暑くもなく心地良い空気が流れる。







出發から約6時間、漸く家に辿り着いた。

別れ際の翳した手信号に、ホーンで応え走り去る2台を見送る。

ハンドルに括り付けた時計の針は既に22時を廻っていた。

往復500km超の道程を3台共に無事故・無違反・ノントラブルで走破せしめた
後に残るは達成感と心地良い疲労感であった。


Posted at 2014/07/07 15:51:21 | コメント(4) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2014年06月18日 イイね!

「北海道クラシックカーミーティングinふらの」に参加します!


みん友の皆様、大変ご無沙汰しておりました。

昨年に引き続き 「北海道クラシックカーミーティングinふらの」に参加します。

告知ページ


--以下 引用--


今年も、H.C.C.M主催にて「北海道クラシックカーミーティング」が開催されます。

日時:平成26年6月29日(日) AM9:00~PM3:00(雨天決行)
会場:富良野市清水山・ふらのワインハウス「ブドウが丘公園」

お問い合わせ H.C.C.M実行委員会事務局 0167-23-4369


--引用終わり--

今回は自分の1971年式ホンダ・ドリームCB750fourと


昨年も一緒に参加した1961年式トライアンフ・ボンネヴィルT120RのS先輩と


1993年式カワサキKZ1000P(P12)California highway patrolのO巡査 

※年式は1993年ですが、デビューは1982年なのでイベントへの参加資格を有しています。

以上の3台でのエントリーする予定です。

ただしバイクなので雨が降った場合にはグロリアを引っ張り出すことになると思います。

北海道は6月に入ってからずっと長雨が続いており、天候が不安ですが
今週末からは天気も回復するとの予報なので、当日はどうか晴れることを祈って・・・!


それでは皆様、会場でお会いしましょう♪
Posted at 2014/06/18 19:51:19 | コメント(0) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2014年04月06日 イイね!

ホイールの新調


4月に入り、北海道にもようやく春がやってきました。

なので、今日はタイヤ交換をしました。


・・・と言っても、自分のクルマのハナシではありません。

今回は兄のコルベットのハナシです。




コルベットは内地から引っ張ってきたので、ホイールは1セットしかありません。

タイヤ交換の都度、夏タイヤと冬タイヤの組換えを行なえば1セットでも
なんとかなりますが、手間と費用を考えればやはり2セットが望ましいでしょう。

そこで、夏タイヤ用にC6純正のホイールを新調しました。





C5純正ホイールはフロントが17インチ、リヤが18インチですが
C6用はF18、R19と1インチ大きなサイズとなっています。

フロント


リヤ


冬場は大して乗っていないのでローターが茶色に・・・。

フロントの太さはC5が245/45/17なのに対しC6は245/40/18、
リヤは275/40/18に対し285/35/19と更にワイドかつ低扁平となっています。


特に285に達するリヤの太さは圧巻で、まるでタイヤ式ロード・ローラーみたいです。

後軸をトラック用のダブル・タイヤに改造して、細いタイヤ4本にした方が
安上がりじゃないのかなと思うくらいに。

兄はワイドで低扁平なタイヤが好きだそうですが、細くて肉厚なバイアス・タイヤが好みで、
ホワイト・リボン(乃至ウォール)なら言う事無しな自分とは全く趣味が噛み合いません。
そもそも車種的に30年の時間差がありますし。

タイヤの銘柄はフロントがグッドイヤーのEAGLE REVSPEC・RS02、
リヤが同グッドイヤーのEAGLE F1です。

ホイールはリムにガリ傷があるとの理由で相場よりは安く買えたそうです。

型式が違うとはいえ、コルベット純正ホイールなので違和感はありません。





さてさて、自分のクルマもそろそろ夏仕様にしましょうかね!
Posted at 2014/04/06 23:08:08 | コメント(5) | トラックバック(0) | シェビー | クルマ
2014年03月19日 イイね!

エブロ スバル360(1963年型・1/12スケール)


本日、父親の誕生日プレゼント用に購入したミニカーが届きました。

エブロのスバル360(1963年型・1/12スケール)です。

注文から僅か2日で到着・・・流石はAmazon、便利な世の中です。


この価格帯(2万越え!)のビッグスケール・モデルを新品で購入したのは初めての経験です。

こんな高いモノ、自分用としてはとても買えないので、
中古の欠品・傷有をリサイクル店やヤフオクで安く買うのが関の山です。

今回は誕生日祝いに託けて贅沢な買い物をしましたが、
贈る相手が共通の趣味を持っていると何かと捗ります(笑)。

それでは、簡易ですがレビューをお送り致します。
寫眞も雑で申し訳ないです・・・。


1963年(昭和38年)型、所謂”中期の前期”のスバル360です。


9本スリットのフロント・フード、小判テール、扇型メーターとフル・ダッシュボード、
別体式角型バック・ランプ、縦方向に切られたエンジン・フードの放熱スリット等の
ディティールが判別の手掛りとなります。

カラーは本車のアイボリーと、ライト・ブルーの2色が設定されていますが、
スバル360の個人的なイメージ・カラーは淡いアイボリーなのでこちらを選びました。

実車に忠実なフォルムと、ダイキャストならではのズッシリとした重み。


居住性と車体剛性を両立した、曲線と直線が調和する美しいモノコック・ボディ。
佐々木達三氏のセンスが光る、インダストリアル・デザインの傑作です。

特に、フロント・フェンダーからリヤ・フェンダーへと流れるラインや、
リヤ・サイドのエア・インテーク、ストーン・ガードの造型は見事と云う他ありません。

360cc規格の軽自動車ながら、1/12スケールと云う大サイズならではの迫力と精緻さ、
そしてダイキャスト製ならではの重厚な手触りを有しています。

タイヤとフェンダーの隙間が狭いのと、リヤ・タイヤの逆ハの字(ポジティブ・キャンバー)が
浅い点が少し気になりましたが、概ねバランスの良いプロポーションです。

ビッグ・スケールだけあって、開閉ギミックも多数搭載しています。


ギミックはフロント・フード開閉、スペア・タイヤ脱着、カウル・ベンチレーター開閉、ドア開閉、
フューエル・リッド開閉、エンジン・フード開閉、フード・ステー可動、タイヤ回転、
ステアリング・ウィール聯動フロント・サスペンション、前後サスペンション上下となっています。

スバル360の特徴である大きく開くリヤ・ヒンジのドアは、
ラバー・バンドのストッパーまでもが再現されています。

羽根を開いた甲虫の様な姿。


エンブレムやテール・レンズ等のディティールも素晴らしい再現度です。

ラジオ用アンテナを外周に埋め込んだ軽量なFRP製のルーフ・パネルは
ホワイトで、アイボリーのボディと良くマッチしています。

9本スリットのフロント・フードを開くと、実車同様にスペア・タイヤとバッテリーが収まっています。


スペア・タイヤは脱着可能で、取外すと扛重機(ジャッキ)やバー、
ブレーキマスター・シリンダーが見える様になります。

ジャッキの色が実車と違うのが少し残念なポイント。

室内


左右分割式の背凭れを持つシートはリクライニング機構付。

ドア内張りやシートは、エンジとアイボリーの品の良いツートーン・カラーで統一されています。

半月型のホーン・リングが備わるステアリング・ウィールはトーションバー式の
フロント・サスペンションと聯動し、タイヤの向きが変わる機構を有しています。

副変速機(サブ・ミッション)付のオーバー・トップ仕様(後期型とは別の機構)なので、
フロア・トンネルから生えるシフト・レバーは2本あり、その手前側に
C(チョーク)H(ヒーター)F(フューエル)の3本のレバーが並んでいます。

クローム仕上げのサイド・ブレーキや大きなパーセル・シェルフもきちんと備わっています。

クロームのウィール・キャップが備わるホワイトリボン・タイヤは
勿論バイアスで、独特の”ギザギザ”のトレッド・パターンが好い感じです。

エンジン


リヤ・フードを開くと、強制空冷2気筒2サイクル356ccのEK31型エンジンが鎮座しています。

筒型のエア・クリーナー、フィンの刻まれたシリンダー、独特の色合いのシュラウド、
強制空冷ファン、コーション・ラベルの貼られたダイナモ、
スバルマチックの分離給油式オイル・タンク、プラグ・コードとキャップ等が再現されています。

一番驚いたのはエンジン・フードのステーが実車同様の機構を有していること!
針金で作られたステーでここまでやるとは・・・凄い!

ギミックで困ったのがカウル・ベンチレーターとフューエル・リッドの硬さで、この個体特有の
症状なのかも知れませんが非常に動きが渋く、画鋲の針で抉らなければ開きませんでした。

とは云え、実車に忠実に再現された開閉ギミックは矢張り愉しいものです。

下廻りの造型も抜かりありません。


実車ではリフト・アップした時にしか拝めない下廻りのディティールも良くわかります。
モノコック・ボディのフロア・パンには、無数の補強リブが刻まれています。

・・・しかし、アンダー・コートの吹かれていない綺麗な下廻りを見ると
錆が不安になってくるのは一種の病気でしょうか?

トーションバー・サスペンション。


フロントのトーションバー・サスペンションはステアリング・ウィールと聯動して
タイヤの向きを変えることが出来ます。

スペース効率とクッション性に優れるトーション・バー(捩り棒)サスペンションですが、
試作段階では当時の悪路に耐えられず破断するトラブルが続発しました。

強度不足の問題は、ショット・ピーニング加工により解決され、
”スバル・クッション”と形容された優れた乗心地が生み出されました。

エンジンのアンダー・カバー。


リヤ側にはエンジンを保護するアンダー・カバーが備わっており、
放熱スリットやメンテナンス用の開口部もきちんと再現されています。

排気管の長さが採れないリヤ・エンジン車では、充分な消音効果を確保する為に
タイコが大きめとなり、形状も独特のものとなります。

実車同様の機構を備え可動するギミックは、
その構造を文章や寫眞、図解よりも直感的に理解することが可能です。

機構を眺める度、動きを確かめる度、高校3年の時に読破した
「スバルを生んだ技術者たち」の内容が思い出されます。

スバル360の本質は、可愛らしいスタイリングや昭和ノスタルジーではなく、
翼を失った航空技術者達の創意工夫と独創、技術への挑戰にこそあります。

剛性を確保しつつ行われた1グラム単位での徹底した軽量化、
悪路に耐え得る強靭さとソフトな乗心地の両立と云う二律背反の要求が求められた懸架装置、
計画的陳腐化に抗うチェンジレス・チェンジの良心、
資源に乏しく、未だ貧しいかったが故に避けては通れなかった燃費性能と高い経済性、
飽きが来ずユニークでシンプルな優れたデザイン・・・。

これらは、360cc規格と云う厳しい制約があればこそ生まれたものでした。

大型車の安易なスケール・ダウンでは無い、信頼性、実用性を犠牲にせず、
高度な總合性能を有する小型車こそが日本車の真骨頂ではないでしょうか。

精緻なモデル・カーを通じて、スバル360が日本の名車であることを再確認した次第であります。

---


プレゼント用として思い切った買い物をしましたが、その価格に見合った充実した内容でした。

本当ならばミニカーやカタログ蒐集もやりたいですし、当時モノのタイプ・ライターやラジオ、
蓄音機なども欲しいですが、アレもコレもと手を出していたらキリが無いしお金も無いので・・・。

プレゼントする相手の趣味が自分の守備範囲では無いジャンルだと、浅い知識でチョイスした
アイテムが相手にとって然したる価値の無いモノだったりして困ることがありますが、
共通の趣味ならば相手に喜んで貰える、自分も楽しめると一石二鳥です。

スバル360は人気が高い車種なので沢山のミニカーがリリースされており、
我が家にも多数ありますが、前には実車もプレゼントしたことがあります。



2005年7月15日にプレゼントした実車のスバル360。
個人売買で35万円(現金一括)なり。



う~ん・・・ミニカーの方が程度良いなぁ、新車だし(笑)

Posted at 2014/03/19 14:04:14 | コメント(5) | トラックバック(0) | スバル | クルマ
2014年02月20日 イイね!

新鋭高速輸送艦 ホンダ ライフ・ステップバン(VA型)








本項では皇紀2673年6月14日に就役、新たに麾下艦隊の戰列に加わりし
新鋭高速輸送艦「ホンダ ライフ・ステップバン」の詳細を示す。


---【諸元】---

車名:ホンダ ライフ・ステップバン
型式:VA型
分類:小判6ナンバー軽貨物車

グレード:スーパーデラックス
初度登録年月:昭和48年(西暦1973年)

車体寸法
全長×全巾×全高:2995粍×1295粍×1620粍
軸距:2080粍
輪距:前 1130粍/後 1110粍

荷室内側寸法
全長×全巾×全高:1270粍(2名乗車時)/640粍(4名乗車時)×1100粍×1135粍

最低地上高:165粍
床面地上高:490粍

定員:4名
最大積載量:300瓩(2名乗車時)/200瓩(4名乗車時)

車輛重量:605瓩
車輛總重量:1015瓩(2名乗車300瓩積時)/1025瓩(4名乗車200瓩積時)

登坂能力:0.25(tanθ)
最小回転半径:4.4m

最大安定傾斜角度:左舷/右舷共41度

發動機:EA型 水冷4サイクル直列2気筒2バルブOHC
總排気量:356cc
内径×行程:67.0mm×50.6mm

最高出力:30PS/8000rpm
最大トルク:2.9kgm/6000rpm

圧縮比:8.8
圧縮圧力:11.8kg/㎠/400rpm

弁隙間:0.16mm(冷間時/吸・排共)

潤滑方式:圧送式
潤滑油容量:3ℓ

指定点火栓:日本特殊陶業(NGK)B6ES/日本電装W-20ES

燃料:レギュラー・ガソリン(低鉛対応エンジン)
燃料槽容量:26ℓ

ラジエーター冷却方式:サーモ・スタット温度感応式電動ファン送風
ラジエーター冷却水容量:3ℓ

燃料消費率:公式試験値 24粁/1ℓ(舗装平坦路60粁巡航時)
実用燃料消費率:18~22粁/1ℓ(高速道80粁巡航時18粁/昼間市街地21粁/夜間郊外22粁)

変速機:前進4段/後退1段 フル・シンクロメッシュ
変速機操作方式:フロア・チェンジ式

変速比
1速:4.700
2速:2.846
3速:1.833
4速:1.272
後退:4.847
最終減速比:5.923

クラッチ:乾式単板ダイヤフラム
トランス・ミッション潤滑油容量:2ℓ

蓄電池容量:26AH/35AH(オプショナル)
蓄電池電解液比重:1.25-1.27

ブレーキ形式:前/後 油圧リーディング・トレーリング
制動停止距離:13.5m(初速50粁時)

操舵装置歯車方式:ラック&ピニオン式

懸架装置:前 マクファーソン・ストラット+コイル/後 リジッド・アクスル+半楕円リーフ

タイヤ:5.00-10-4PR ULT
指定空気圧:前1.6Kg/cm2  後2.1Kg/cm2 (積載時)/前後共 1.6Kg/cm2 (無積載時)

發売当時価格:40万3千円(SDX)/37万6千円(STD)・・・東京地区店頭渡し現金正価


---【外観】---

フロント




ステップバン最大の特徴は、効率的で先進的なパッケージングにある。

FF方式を採用したライフのドライブ・トレーン上に、ショート・ノーズとトール・キャビンを
組合わせたスペース効率に優れる5ドア・ライトバンのボディを架装している。

1.5BOXのセミキャブオーバー・スタイルは今でこそ常識として定着しているが、
ステップバンが発売されたは1972年当時としては非常に新鮮なものであった。

日本に於いてこの種のスタイリングが普及するのは1993年に發賣された
スズキ・ワゴンRの大ヒット以降のことであり、時代に先駆けた先見の明には驚かされる。

しかしながら此の先進的なパッケージングはホンダの独創ではなく、アメリカに於いて
マルチストップ・トラックやウォークイン・デリバリーと呼ばれた車種が基礎となっている。

1920年代から存在したこれらの車種は、牛乳瓶の配達やホットドッグの移動販売と云った
運転手が頻繁に乗降したり、クルマの中で立って作業することに適したスタイルであった。

Chevrolet Step-Van


これらの代表格がシボレー・ステップバンであり、ホンダも肖って同じ車名を付与している。

シボレーのステップバンは、長身のアメリカ人が余裕を持って立って歩ける程に大きなボディで
あったが、ホンダのステップバンは遥かに小さな360cc軽自動車規格でこのパッケージングを
再現したことに特色があり、決して安直なコピーに留まらないクルマとなっている。

独創的なメカニズムの一方、全体のスタイリングは勿論のこと、
ヘッド・ライトの上に眉毛の様に配置されたターン・シグナルなどにも、
”本家”たるシボレー・ステップバンの影響が色濃く反映されている。

”眉毛”ターン・シグナル


格子状のパターンが与えられた長方形のフロント・グリルはTN360(1967年~1970年型)と共通で、
眉毛のように配置されたターンシグナル・レンズはN360(N0~N2)と共通となっている。

この他にもステップバンは多くの部品を他車種からの流用で賄いコスト削減を図っているが、
巧みなデザインを施すことにより一見しただけでは共通部品と思わせない外観を実現している。

上掲した通りTN360用を流用しているフロント・グリルだが、両脇のヘッド・ライト及び
ブラック・アウトされたハウジングとの連続性を有するデザインにより大きく印象が変わっている。

1967年型ホンダTN360(ホンダ・コレクションホール収蔵車/2006年7月30日撮影)


ただし、本車ではブラック・アウト部分が塗り分けされていない為に印象が異なる点に留意。

他車種からの部品流用は多岐に渡り、車種も当時生産されていたものから
既に生産が終了し減価償却の完了したものまで巾広く、徹底したコスト削減が図られている。

グリルとバンパーの本来の塗色はライト・グレーであるが、
本車はシルバーにリペイントされている。

本車は以前の所有者によりボッシュ製のバッテリー直結型ライト・リレーが装着されており、
曲面とレンズ・カットの美しい純正シールドビーム・ヘッドライトの外観を維持しつつ、
光量の増加による夜間航行能力の向上が図られていた。

しかしながら、既に多数のカスタムが施されている本車に関しては
純正シールド・ビームの維持に執着する理由は見当たらず、
ストックの外観と高度な実用性の両立を重視するグロリアに移設した。

本車には新たに、以前所有していたフォルクス・ワーゲンTYPE-1から取外しておいた
ヘラー社製H4バルブ式ハロゲン・ヘッドライトへの換装を実施した。

西ドイツHELLA社製ハロゲン・ヘッドライト


同じ2灯式ライトであるが、VW用は純正よりも一回り程大きく
ベースの形状も異なる為、加工の上で取り付けている。

径が異なることから純正のライト・リムも省略し、外観も少し”デメキン”気味となった。

H4バルブを用いるハロゲン・ヘッドライトは、球切れの際にはユニット交換となる
シールド・ビームと違い経済的で、新品バルブの入手も容易なことから維持に有利である。

夜間に於ける照射状況


ハロゲン・ライトはHID等の新規格前照灯が普及した現代でも充分な光量が確保されており、
深夜から早朝まで7時間に渡って走り続けるような条件下でも一切の支障は感じられなかった。

最近の流行である、対向車や先行車の運転に支障を来すまでに明る過ぎる前照灯や
ファッション目的で光軸調整も碌に行っていない補助燈火は混合交通を乱す原因となっている。

”ライトは明るければ明るい程安全で、運転もラクになる”という
安易な考え方は混合交通の場では余りにも独善的で、
無闇に大きな光量を求めることは眩惑の誘發等を招き却って危険である。

サイド


現代では主流であるが、1972年当時は異端であったショート・ノーズ/トール・キャビンの
特徴的なスタイリングが明快に理解出来るサイドからの眺め。

当時、セミ・キャブオーバー車はトラック等に見られたスタイルであったが其の多くは
ボンネット型からフル・キャブオーバー型へと進化する途上の過渡期の車輛であった。

一方、ステップバンは駆動系をフロントに纏めたFF方式の採用により
実現した低床プラット・フォーム上に、ショート・ノーズ/トール・キャビンの
効率的なボディを架装するという先進的な設計から誕生したスタイリングであり、
従来のセミ・キャブオーバー車とは根底から異なっていた。

限られた寸法の中で最大の空間を確保しつつ、短いノーズを設けることにより
乗用車的な雰囲気と運転ポジションを与え、見方によっては効率一辺倒にも映る
フルキャブオーバー・スタイルとの差別化を図った絶妙のパッケージングとなっている。

前後のオーバー・ハングは、室内空間を最大限に確保すると共に
長いウィール・ベースにより走行安定性を向上すべく切り詰められている。

特にリヤのリーフはバンパー直下まで突き出しており、ゆったりとした乗り心地を誇る
”板バネ”のアメリカ車への憧憬を強く抱いていた本田宗一郎氏のこだわりが感じられる。

現車はフロントがロー・ダウンされている為、ノーマルよりも前傾姿勢となっている。

元々、車高に関しては純正志向であることに加えフロントのみをロー・ダウンしているが
故に見た目もアンバランスで乗心地も損なうことから、純正指定の高さに戻したいと思っている。

ロー・ダウンのせいで、すぐにマッド・フラップを擦ることも気になる点である。

フロント・バンパーから斜めに走るプレス・ラインはAピラーへと続き、
リヤ・エンドまで伸びるレイン・ガーターへと繋がっている。
このデザイン処理には、BMCミニの影響が感じられる。

ドア・ウィンドウには三角窓やディヴィジョン・バーが無い為、
大きな開放感と広い視野が得られる。

三角窓を廃したことにより、スマートな外観と大きなドア・ウィンドウ開口部を実現する一方、
強力なフェイスレベル・ベンチレーターを2基設置することで、
夏季でも充分なベンチレーション能力が確保されている。

見切りの良いスクエアなボックス・スタイルに加え、リヤクォーター・ウィンドウを備える
6ライト・スタイルを採用している為、車内はルーミーで後方/後側方の確認も容易である。



ドアの天地巾はウィンドウの天地巾よりも大きく取られており、ディヴィジョン・バーが無く
面積の広いリヤドアのウィンドウも完全に降ろし切り収納する事が可能となっている。

ドア・パネルのプレス型は右前/左後と左前/右後が共通となっている。
これは後にダイハツ・ネイキッドが踏襲した合理的な設計である。

広い面積のドア・パネルには、剛性確保と云う機能的要求と
間延びした印象を避ける為のアクセントを兼ねた2本のプレス・ラインが入っている。

手動で延伸するラジオ・アンテナはライフと共通で、Aピラーに収納されている。

フラットで大きな面積を有するボディは、様々なサインや屋号を書き込むには打って付けであり、
ペイントを施すだけでステップバン自体が店の看板となり、走る広告塔となった。

此の”走る広告”としての性格を鑑みて、ボディ・カラーは
プレーンなホワイト(SDX)とブルー・グレー(STD)のみであった。

本車のパステル・ブルーのボディ・カラーはリペイントされたものである。

ステップバンの活躍の場は業務用途に留まらず、レジャー車として用いた若者達にとって
そのボディは自己表現の為のキャンバスであり、彼らは思い思いのペイントやカスタムを施した。

ヒッピー・ムーヴメントの中で、フォルクス・ワーゲンTYPE-2(ワーゲン・バス)が
アートの表現として、様々なメッセージをアピールすべく選ばれたのと似ている。

エンジン・フードのヒンジはアウター・ヒンジ式で、
パーツ自体はライフのトランク・リッドのヒンジと共通である。

デザイン上、敢えて露出させたエンジン・フードのヒンジ


クローム仕上げの2孔式ウォッシャー・ノズルもライフと共通となっている。

低速/高速の2段式ワイパーは、ゴムを新品に交換したもののモーターの力が弱い為か、
経年劣化の為か不明であるが、払拭能力が低く雨滴の筋が残りがちである。



サイド・マーカーはライフと共通となっている。

当時としては大変珍しいドア・ミラーはTN-Ⅴ(1972年~1975年)の
後期型(三角窓が廃されたモデル)及び、後継のTN-7(1975年~1977年)と共通となっている。

個人的には國産旧車であれば断然フェンダー・ミラー派であるが、ステップバンは
ノーズが短くフェンダー・ミラーの持つメリットが活かされない為、合理的な選択と云えよう。

ドア・ミラーはフェンダー・ミラーと違い車から降りずとも調整出来る点が有難い。

カスタム・ベースとして人気の高かったステップバンのこと、
取締りが厳しかった時代には純正装備にも関わらず違法改造と決め付けられ、
切符を切られた車輌も多かったのではないだろうか。

本車はスーパーデラックスなので、ウィンドウ・ガラスには青色着色ガラスが奢られている。



給油口は右リヤ・フェンダーに設置され、鍵付のフラップが備わっている。
26ℓの容量を持つ燃料タンクは床下、後車軸の前側に吊下げられている。

この搭載位置は重量バランスに優れることに加え、追突時にも炎上し辛く、
更に車体後端下部に吊架されたスペア・タイヤにも衝撃吸収効果が期待されていた。

同時期、ホンダはバモスに於いてもスペア・タイヤによる衝撃吸収を図っている。

リヤ


リヤ・ゲートは上下開きの二分割式となっている。

上側2/3程度を占めるアッパー・ゲート(上扉)はダンパー式ステーの採用により
軽快に開き、任意の位置での保持も可能となっている。

アッパー・ゲートに備わるリヤ・ウィンドウには曲面ガラスが奢られている。

開閉は至って簡単で、解錠した状態で鍵孔の設けられた中央のプッシュ・ボタンを
押せばロックが解除され、アウター・ハンドルに指を掛けて手前に引くだけで軽く開く。

上述の通り、アッパー・ゲートを開くのに力は要しないが、
閉める際には結構な勢いを与えないと半ドアになるのは少し困りものだ。
(ステップバン固有の問題か、この個体特有の症状かは不明)

ロワー・ゲート(下扉)の操作は、アッパー・ゲートを開いた上で行う。

ロワー・ゲート中央上部のレバーを上に引き上げればロックが解除され、
手前に倒せば水平の位置で止まる機構となっている。

ロワー・ゲートはLN360(上下開き仕様車)のそれと共通となっている。

リヤ・エンドに吊架されたスペア・タイヤの脱着操作はロワー・ゲートを開かなければ行えず、
防犯装置の一種として考えられた設計となっている。

アッパー・ゲートの右下端は、グレードを示すSUPER DELUXEのエンブレムで飾られている。

反対の左下端には本来、車名を示すLidfe StepVanのエンブレムが貼られているが、
現車は欠品であった為、我が家の前のファースト・カーであった
レガシィ・グランドワゴンの「WAGON」のエンブレムを洒落で張り付けている。

縦長のテール・ランプをボディの両端に配置することにより、
開口部を最大限に確保する機能的なレイアウトを採っている。

テール・ランプは上からターン・シグナル(アンバー)、テール&ストップ(レッド)、
リフレクターの順で3段構えとなっている。

バンパーの下側からは右にバックアップ・ランプ、左にマフラーが覗いている。

---【荷室】---

總てのドア開放した状態






リヤ・シートを折り畳み、荷室空間を最大限にした状態。

なお、通常の畳み方では前席をリクライニングした際に干渉する為、
後席の位置を少しだけずらしている。

FF方式の恩恵により、床面は完全にフラットとなっている。
ウィール・ハウスの張り出しも、小径な10インチ・タイヤにより最小限に抑えられている。

荷室の寸法は全巾1100粍、全高1135粍、全長1270粍(後席折畳時)となっている。

軽量・コンパクトであれと云う本分を忘れ、宛ら肥満症の如く膨れ上がった
現代の軽自動車と比較すれば非常に窮屈な数字に映るが、
360cc規格の外観からは想像出来ない程の空間が広がっている。

身長170糎の自分であれば足を一杯に伸ばして寝ることが出来る上に、
フロント・シートを前側に倒せば、枕にするのに角度も丁度良く快適に眠ることが可能である。

荷室に敷いているのはダスキンの業務用フロア・マットで、厚いラバーを奢った丈夫な造りで
汚れにも強く、表皮には起毛処理も施されており防音性や快適性の向上に威力を發揮する。

アッパー・ゲートの支持には、当時としては贅沢なダンパー式ステーが2本も奢られており、
任意の位置で開いたまま保持することが可能となっている。

上開き式のアッパー・ゲートは雨天時には傘としても機能し、
横開き式に対する優位点を有している。

当時は同クラスの軽貨物車はおろか、上級クラスでもヒンジ式や片持ち式が
珍しくなかったことを考えると中々に思い切った仕様であり、流用部品の多用による
徹底したコスト・ダウンが、重要な箇所にコストを掛ける余裕を与えたのだと感じられる。

ロワー・ゲートはベンチとしても使うことが可能で、
アメリカ製ステーション・ワゴン的なレジャー用途でも活躍する。

天気の良い日には、ロワー・ゲートをベンチ代わりにして
休憩や食事をするのだが、これがなかなかに快適である。

---【室内】---

乗降性に優れる前後のドア


ドア・ヒンジは大きく開くよう設計されており、特にフロント・ドアはほゞ垂直に開く。

FF方式の採用によるフラットで低いフロアに加え、トール・キャビンかつ
大型のドア・パネルを持つことから、ベースとなったライフをはじめとした当時の
一般的な軽乗用車とは比較にならない程に優れた乗降性を有している。

当時の軽乗用車の中でも、特に低く構えたプロポーションのスバル・レックスでは
運転席に滑り込むような姿勢で乗りこまなければならないのとは好対照である。

シート・ベースの脚も高いので、屈まずにラクに座ることが出来る。

フラットで低い床面や大きなドア開口部は荷物の積み降ろしに於いても有利であり、
長尺物や背の高い家具などの積載も非常に容易に行える。

フロント・ドアのフチに付いているゴムは、傷付防止のドア・エッジモール。
元々装着されていたが、ボディ・カラーにマッチしていないので
透明のモールに交換しようかと思案中。



ほぼ垂直に開くドアと大きな開口部により、特筆すべき高い乗降性を有している。

インサイド・ドアハンドルは小さなレバー型で、
指先の軽い力だけでで簡単にロックを解除することが出来る。

ウィンドウ・ガラスは大きいが、クランク・ハンドルによる昇降は大変軽くスムースである。
ドアのインナー・グリップは小さく使い辛く上に、樹脂製で割れやすいことが欠点。

運転席からの眺望


運転席からの視界は概ねこのようなものとなる。

シート自体はライフと共通であるが、背の高いキャビンによって得られた上下方向への
空間的余裕を生かすべく、シートには食卓椅子の様な長い脚が備わっている。

この組み合わせにより、着座点が高く見晴しの良いアイ・ポイントが得られている。
シート位置を高めながらも、ヘッド・クリアランスにはなお余裕がある。

フロアからダイレクトで伸びるチェンジ・レバーは、着座点の上昇に合わせ
ライフよりも長いものとされている。
木目のシフト・ノブは以前の所有者が施したカスタムである。

ライフではフロアにマウントされているパーキングブレーキ・レバーは
座面の上昇に合わせ、前席中央の隙間に移設された。

巾に関しては変わらないが、セミ・キャブオーバー式を採用した為、
足元の前後方向の余裕はライフよりも減少している。

しかし、座席の位置関係から足の角度が立ち気味となるので然程窮屈ではない。

ただし、タイヤ・ハウスの張り出しによりアクセル・ペダルが
内側にオフセットされている為、右足は少し窮屈なポジションとなる。

尤も、これはフル・キャブオーバー型を除く360軽全般の共通事項である。

ブレーキ・ペダルとクラッチ・ペダルは吊り下げ式、アクセル・ペダルはフロアから生える
オルガン式で、ペダル面積は極めて小さく可動範囲も小さい。

ドライビング・ポジションの変更に伴い、ライフでは寝かし気味にセットされていた
ストレートなステアリング・シャフトは複数のジョイントを介して
フル・キャブオーバー車に近い高仰角に改められている。

ステアリングはノン・アシストであるが、極めて軽い操舵力で容易に操ることが出来る。
停車時の据え切りも軽快で、片手でもなんら支障なく操舵できる。

水平に近いポジションにセットされたステアリングと軽い操舵力の組合わせにより、
リムを掌で滑らすようなハンドル廻しが可能で、リラックスした姿勢でも運転出来る。

ナルディのウッド・ステアリングは購入後新たに取り付けたもの。

サン・バイザーは両側に備わるが、ライフと共通の為に面積はやや不足気味である。
インサイド・バックビューミラーに防眩装置は備わらない。

ルーム・ランプは本来、助手席側のBピラー天井部に備わるが
本車は天井の中央に移設され、ランプ自体もプレオ用と思しき現行品に変更されていた。

ダッシュ・ボードの下段右端には、コイン・ポケットとハザード・スイッチが備わる。



右上がコイン・ポケットで右下の赤いノブがハザード・スイッチ、左上の黒い箱が
ヒューズ・ボックスで、左下の灰色のレバーがエンジンフード・リリースとなっている。

ハザード・スイッチはパーキング・ランプのスイッチも兼ねており、一段引けばハザードが点滅、
引かずに右に廻せばパーキングが点燈する仕組みとなっている。

ステアリング・シャフトと隣接するボンネットリリース・レバーは、
右手で操作し易い位置に設置されており、サイズも大きめで形状的にも握り易い。

運転席の前に並ぶスイッチ類は、向かって右からライト・コントロール、イグニッション、
ステアリング・シャフトを挟みチョーク・ノブ、ワイパー・スイッチ、ラジオを挟んで
シガー・ライターの順で整然と並べられ、いずれも使い易いリーチの範囲内に収まっている。

ライト・スイッチは1段引いてスモールが点燈、2段引いてロー・ビームが点燈し、
ディマー操作(ハイ・ロー切換)はターンシグナル・レバーを手前に引いて行う。

ハイ・ビームに切換えると、計器盤内の【BEAM】と記されたインディケーターが青く点燈する。

ダッシュ・パネルに直接挿し込むイグニッションは中立の位置がOFF、
右に捻るとSTART、左に廻すとアクセサリー・ポジションとなる。

ホーン・ボタンはステアリング中央、ターンシグナル・レバーは
ステアリング・コラム右手側に設置されている。

スーパーデラックスには低音と高音のデュアル・ホーンが標準で備わり、
なかなかに心地良い音色を奏でる。

フルO/H済エンジンの始動性は非常に良好で、アイドリングの安定も早く、
チョークは始動時の数秒間のみ作動させるだけで済んでいる。

ワイパー・スイッチは右に一段廻して低速、もう一段廻して高速でワイパーが作動し、
ノブを押し込むとウォッシャーが噴出する。

純正のウォッシャーは空気圧式であった為に反応が鈍く水勢も弱かったが、
本車は新たに電動式に換装したのでレスポンスが良く、水勢も安定している。

自分は煙草を吸わないので、シガー・ソケットは
携帯電話やカメラの電池を充電する為の電源として利用している。

ダッシュ・ボード


ダッシュ・ボードはユニークな3段構成となっており、上段にデフロスター吹出口、
中段の垂直に切り立った壁面に計器盤とフェイス・ベンチレーター(通風口)、
下段にグローブ・ボックスと各種スイッチ類が配置されている。

デフロスターの備わる上段が黒く塗られているのは、太陽光の反射による眩しさを
防止する為で、航空機の機首に施されている防眩塗装と同じ効果を有している。

防眩塗装のダッシュ・ボード上段


デフロスターの吹出口には、メッシュのフィルターが設けられている。

ドア内張りのファーやグローブ・ボックスの天板、ベンチレーターに貼られた
木目シールは以前の所有者が施したカスタムである。

当初はダッシュ・ボード上段の全面にも両面テープでファーが貼り付けられており、
これを綺麗に剥がすのには骨が折れた。

暫くの間は、デフロスター内に落下した両面テープの破片が送風と共に不意に吹き出してきた。

ダッシュ・ボード中段、垂直に切り立った壁面の中央には計器盤が備わり、
両端には走行風を導入するフェイスレベル・ベンチレーターが設置されている。

廃止された三角窓に代わり送風と冷房を担うベンチレーターは、運転席用/助手席用が
それぞれ独立しており、上下に回転させることで風量の調整が行えることに加え、
左右に可動する5枚羽根のフラップによる風向調整機能も有している。

ベンチレーターの位置自体も絶妙であり、調整機能にも微細に渡る心配りが感じられる。
贅沢な左右独立式の採用や、微調整の自由度はレックスのそれよりも優れている。

フラットな形状のダッシュ・ボード下段は、それ自体がデスクとなっており、
助手席側はグローブ・ボックス、運転席側は電装系のサービス・リッドとなっている。

運転席側の天板はワンタッチで取外し可能で、配線類が容易にチェック出来る。
ヒューズ・ボックスは、ダッシュ・ボード下段の運転席側裏側に設置されている。

個体特有の問題か、経年劣化によるものかは不明であるがヒューズ・ボックスの蓋が
矢鱈滅多らに硬く、マイナス・ドライバーで抉じ開けないとアクセス出来ない点には閉口した。

本来、ダッシュ・ボード下段中央(計器類の手前)には灰皿とラジオ用スピーカーが
配置されているが、以前の所有者によって取り外されていた上に
パネルには麻布(リンネル/リネン)が貼り付けられていた。

この中央のパネルは4本の螺旋で留められいるだけなので
取外しは極めて容易で、CDデッキの装着もスムーズに終えることが出来た。

左右対称にデザインされたダッシュ・ボードは、左ハンドル化による
輸出仕様の製造も考慮に入れられていたものと思われる。

左右対称のダッシュ・ボードは同時期のバモス・ホンダに於いても見られる。

コンパクトに纏められたインストゥルメント・パネル


センター・メーター方式は左ハンドル化による輸出仕様の製造が容易であると共に、
視線の移動が少ない点に於いても優れている。

ダッシュ・ボード壁面中央に埋め込まれた計器盤は2眼式で、
情報量を必要最低限に絞り、各表示を大きくすることで視認性を高めている。

向かって右側に積算走行距離計組込の速度計が配置され、
左側は上側に燃料計、下側に水温計を一体化したものが収まっている。

燃料計と水温計の間には、右端に青く点燈するハイビーム・インディケーターと、
左端に赤く点燈するチャージランプ・インディケーターが並んで配置されている。

メーター・ベゼルの上側には左右独立式のターンシグナル・インディケーター、
下側には駐車ブレーキ警告灯とオイル・レベル警告灯が並んで埋め込まれている。

長距離航行が主である為、トリップ・メーターが備わらない事は大きな不満である。

淡いターコイズ・グリーンの光が美しいメーター


速度計の下部にはホンダ・モーターを表す【Hm】マークが刻まれており、
夜間照明はCB750fourをはじめとした当時のホンダ製二輪車と共通の
淡いターコイズ・グリーンに光る透過照明を採用している。

当時、軽自動車は高速道に於ける速度制限が80km/hであった為、
速度計でも80km/h以上の速度域に破線を用いて注意喚起を行っている。

速度警告ブザーも80km/h以上で吹聴する仕組みだが、本車は配線に異常があり、
キーをONに途端に吹聴したり、80km/h以下でも不意に吹聴することがあった為取り外した。

なお、取り外したブザーは他の車輛のバック・ブザーに転用した。

水温計の針は夏季でも中央で安定し、高温域を指すことは殆どない。

グローブ・ボックス


ダッシュ・ボードの助手席側天板を開くとグローブ・ボックスが現れる。

B5サイズのサービス・マニュアルや車検証入れが余裕を持って収まる面積を持ちながら、
見た目以上に深さもある為、CDケースや財布などを入れて置くのにも重宝する。

天板には指を掛けて開く為のスリットが設けられており、閉じた状態でもこの
隙間から投函する要領で領収証をグローブ・ボックス内に収めることが出来る。

グローブ・ボックスの蓋やダッシュ・ボードの壁面は金属製となっており、
マグネットを用いて伝票やメモを貼り付けて置くことが出来る。

本来であればAピラー下部のパネルにペン・ホルダーが備わるが、本車では取り外されていた。

フラットなグローブ・ボックスの天板はデスクとして機能し、カタログでは大型の電卓や算盤、
タイプ・ライターを置いての作業や、伝票整理やメモ書きと云った各種業務に便利だと
アピールされており、ペン・ホルダーも”走るオフィス”としての機能のひとつであった。

フラットで使い勝手の巾が広いダッシュ・ボード


デスク形状のダッシュ・ボードはレジャー用途としても有用で、
食事の際には弁当、カップ麺、ペット・ボトルを並べてもなお余裕がある。

熱い珈琲や汁物の転倒する危険性が極めて低いので、神経を使わずに済むのは有難い。
一般的な形状のダッシュ・ボードには真似出来ない芸当である。

電装系のメンテナンスの為にワンタッチで取外し可能な運転席側の天板に、
クリップを介して汎用のカップ・ホルダーを挟み込み取り付けている。

カップ・ホルダーは挟み込むだけで固定はしていないので取付位置は任意で変更でき、
ベンチレーターの前に置いておけば走行風で飲物を冷やすことも可能である。

ラジオの直下にはヒーターコントロール・パネルがある。


操作レバーは縦方向に配列されており、ルーム⇔デフロスター、ホット⇔クール(温度調整)、
内気循環⇔外気導入の各種調整と、引いて操作する2段式のヒーター・ファンが並んでいる。

ヒーター・コントロール・パネルには、以前の所有者が装着した社外の3連ソケット電源が
取り付けられていたが、配線が切られていた上に使い辛い位置にあったので、
みん友のコリンズ君に頼み配線を新たに引き直して貰い、取付位置も変更した。

ヒーターコントロール・パネルは照明が備わっておらず、夜間の操作が遣り辛いので
ソケットに社外の照明灯を取り付け、必要に応じて点燈させている。

シート・ベルト


運転席と助手席には、タカタ製の2点式シート・ベルトが標準装備されている。
Hマーク入りのバックルは大きく、ズッシリとした重さがある。

ステップバンは外観が現行の軽自動車と然程変わらず、それでいてシート・ベルトが2点式で
外からは装着しているかどうかの判断が出来ない為、警察に止められることも多いと云う。

ただし、ステップバンが現行車であった1972年当時シート・ベルトの装着は
努力義務に留まっており、非着用であっても罰則は無かった。

運転席/助手席の両脇には、シート・ベルトのバックルが収納出来るポケットが設けられている。

グレーのシート・カバーは、純正のビニール・レザーが破れていた為に被せたもので、
以前所有していた1975年型フォルクス・ワーゲンTYPE-1用に購入したものを再利用している。

食卓椅子のように長いシートの脚


良好な乗降性の理由のひとつが、この長い脚である。

シートにはリクライニング機構が備わる一方、スライド機構は省略されているが、
ステアリングやペダルの位置関係が適正となっている為、特に不足を感じない。

人間工学に基づいた優れたポジションにより、自然と背筋を伸ばした運転姿勢になり、
長時間・長距離の走行でも疲労が溜まりにくい。

シートの脚の中央には發煙筒、運転席側には車載ジャッキがセットされている。

取り付けられた車名プレートからもわかる様に、フロア・マットは
以前我が家のファースト・カーであったレガシィ・グランドワゴン(BG9型)用を流用している。

お金を掛けずに快適性を向上すべく、本車はこのフロア・マットをはじめとし、ヘッド・ライト、
シート・カバー、CDデッキ、電動式ウォッシャーなど様々な「おさがり」を有効活用している。

座席の下の空間は荷物を置くのに丁度良く、工具箱や携行缶も難なく呑み込む。

後席のシート下にも同じく大きな空間があり、ここに曳航装置やバッテリー・ジャンプコードと
云った必需品を収めておけば、荷室を常にフリーにしておけるので車中泊に非常に便利である。

シート下のスピーカー・システム


この空間を有効活用し、スピーカーを取り付けて貰った。

本車は純正ラジオが取り外されていた為、社外のCDデッキを取り付けてある。


このCDデッキは元々グロリアに装着していたもので、先輩から格安で
USB対応型の高年式CDデッキを譲って貰ったことにより余剰となったものである。

スピーカーも主治医から譲って戴いたもので、取付や配線はみん友のコリンズ君に
御願いしたので、費用はコードの代金と無理に受け取って貰った手間賃しか掛かっていない。

フロント・ドアの下部には、以前の所有者が開口したスピーカー用の丸い孔があり、
これを利用しようかとも考えたが、ドアの内側に配線を通さねばならないことが面倒でもあり、
最終的に配線はサイド・シルのインナー・パネルの下を潜らせ、
スピーカー本体はシートの脚に取り付けることにした。

取り付ける、と云ってもスピーカーに内蔵された磁石の力で
貼り付けただけで、一切固定されていない。

このテのクルマに、無闇に孔を空けたりするのは望ましくない。

---【エンジン】---

EA型エンジン


ライフと共通のEA型エンジンは水冷4サイクル直列2気筒2バルブOHCで
總排気量356cc、クロス・フロー吸排気となっている。

最高出力は30馬力で、ホンダ車の例に漏れず高回転型であるが、
低速から高速までムラのない出力特性を持ち、極めて扱いやすいエンジンである。

N360の空冷式から一転、水冷式への大転換を果たしたことで
熱管理、暖房能力、公害対策、静粛性の大巾な改善を実現した。

チェーン式が主流であった当時、國産車として初めて
タイミング・ベルトを採用したことも特筆すべき点であろう。

バランサー・シャフトを組込むことにより、2気筒エンジンの宿命である振動の發生を
最小限に抑えると共に、高回転時に於ける負荷を低減し寿命の延長を図っている。

これらに代表される様々な新機軸の導入により、高度な静粛性と低振動を実現している。

エンジン本体はオール・アルミニウム製とされ、タイミングベルト・ハウジングに
樹脂パーツを用いること等により軽量化が図られている。

エンジン・オイルが規定量を下廻ると、オイル警告灯が点燈しフューエルカット・スイッチが作動、
燃料の供給を停止しストールさせることで、エンジン・ブローを未然に防ぐ機構も備えている。

現在搭載しているエンジンは2機目で、元々搭載されていたエンジンは
車検取得後3000粁を走破した後、遂に限界に達した。

以前の所有者の時点で走行距離は8万粁を越えており、
エンジンもピストン・リングが破断するなど重篤な損傷を受けていた。

大量の新品パーツでを奢り、新車以上のコンディションとなったエンジン


そこで、ライフの前オーナーが買い集めた新品パーツと補用エンジンを利用して
エンジンのフル・オーバーホールを敢行した。

ピストン、ピストン・リング、コンロッド、クランク・シャフト、タイミング・ベルト、
ガスケット類は新品を奢り、吸排気ポートは研磨し鏡面仕上げとした。

貴重な純正新品パーツと、新車当時に何台ものEA型搭載車を手掛けた熟練の
主治医の技術に依って、本車のエンジンはこれ以上は望めないと云う程に快調と成った。

気化器はシングル・カービュレイターで、
燃料ポンプは常に安定した供給量を保つことの可能な電磁式となっている。

リザーブ・タンクを備えるラジエーターは、サーモ・スタットにより温度管理され、
高温時にのみ電動クーリング・ファンが動作する構造となっている。

常時作動する直結式ファンと較べパワーや暖気時間のロスが少ない。
ファン自体も安全性の高い樹脂製となっている。

EA型エンジンの冷却能力は高く、夏季でも安定した水温を維持することが可能な反面、
気温が低い場合にはオーバー・クールの症状が發現し易い。

エンジン・ルーム


エンジン自体はライフと共通であるが、短いノーズに押し込んでいるので
エンジン・ルームには余裕が無い。

特にフロント側は手の入る隙間がなく、プラグ交換も一筋縄ではいかない。

フロント・グリルは4本の螺子で留まっているだけなので、プラグ交換の際には
グリルを取り外して作業すると手が入り易くなり、作業がスムースに進む。

ノーズは短いが、エンジン・フードはほぼ垂直に開くので上方向の空間には充分な余裕がある。

運転席側壁面に蓄電池と冷却水リザーブ・タンク、ブレーキ・マスターシリンダーが配置され、
ラジエーターが運転席側、エンジンが助手席側にそれぞれオフセットされマウントされている。

助手席側壁面には、それぞれ低音/高音を吹聴するデュアル・ホーンが並び、
隣接して袋タイプのウィンドウォッシャー・タンクが吊架されている。

純正のウォッシャーは空気圧式だが、本車はライフの上位グレード用の電動式に交換した。
外観は共通で、内部の動力源がエア・ポンプかモーターかの違いのみである。

電動式にアップ・グレードしたことにより、操作から噴射までのタイム・ラグが縮まると共に、
強い水勢と安定した水量が確保されるようになった。

ワイパーは低速/高速の2スピード式で、ワイパー・ブレードや
ウォッシャー・ノズルもライフと共通となっている。

全塗装の際、マスキングされずに塗り込められることも多い
各種コーション・ラベルがきちんと残存していることも嬉しい点である。

エンジンのコーション・ラベル


当時モノと思しき、ドア・ロックを推奨するシール


ドアの施錠/解錠はシールの真上に位置するノブで行う。
クロームと木目のコンビのノブは社外品。

---【タイヤ】---

アルミニウム・ウィール/ラジアル・タイヤ


本車には以前のオーナーが本物のホワイトウォール・バイアスタイヤである
BFグッドリッチのシルバータウンを奢っていたが、よりマッチするスバル360に移譲した。

夏タイヤはライフが装着していたアルミに履かせ、冬タイヤは純正スティールに履かせている。

夏タイヤ用のアルミは、センター・キャップに「AERO WHEEL SPYRO HERO CO LTD」と
銘柄が記されていたが、詳細は不明。
デザインや白い塗装から推測して、80年代の社外品だと思われる。

タービン状のリムで走行風を導入することにより、ブレーキを冷却を意図している模様。
この為ウィールには左右の指示が刻まれているが、どの程度の効果があるかは不明。

時代考証的には不適当だが、白いウィールと水色の車体のコントラストにより
醸し出される明るい雰囲気は個人的に気に入っている。

タイヤはヨコハマで、「TOMATO K480」なる一風変わった銘柄となっている。
このタイヤも流用で、部品取りとして譲って頂いたスバル360に装着されていたものである。

空気圧指示ラベル


タイヤ空気圧の指示ラベルには貨物車らしく積載時と無積載時の2種が表記されている。
一般道と高速道で空気圧を変更する必要は無い。







就役以来、半年間で7814粁を走破した時点での評価を記す。

---【操縦特性】---

最初こそFF特有の癖が感じられたものの、直ぐに慣熟し今や違和感は霧散せり。

FRのグロリア、RRのレックス/ビートル、MRのバモス、そしてFFのステップバンと
一通りの駆動形式を操縦したことがあるが、一般に言われるような
”FRはハンドリングが良い”、”FFはアンダーが強い”という定説は
飽く迄も全般的な傾向に過ぎず、其々の車輛ごとに特性は異なる。

其の車輛、更には其の個体特有の特性を深く理解し
ドライバーがクルマに合わせることで初めて性能を十二分に發揮せしめるものと確信している。

ドライブ・トレーンはライフと共通であり、重心は低いのものの、
背が高い為にコーナリングではどうしてもローリングが大きめに出る。

こればかりはプロポーション上、致し方ない点であろう。
地面を這うようなウェッジ・シェイプを誇るレックスと比較することは酷と云うものだ。

操縦特性自体は癖がなく、乗心地はソフトで静粛性も高い。

スクエアで大きなグラスエリアを持つトール・キャビンにより視界は広く、
着座位置が高く見晴しも良い上にノーズは短いので四周の確認は極めて容易である。

最小回転半径こそやや大きめであるが、車体寸法が小さいので抑々問題にならない。

---【動力性能】---

6ライトの5ドア・ライトバンとあって、車輛重量は605瓩に達する。

ベースとなったライフ(4ドアDX)は510瓩、レックス(2ドアCL)は530瓩となっており、
最高出力にはほゞ差が無い為、動力性能が劣ることは否めない。

しかしながら実用速度域では不足は感じられず、80km/h巡航も容易に熟す。
平坦路であれば100km/h+αも充分に發揮可能である。

ホンダ車はスバル車と比してギア・レシオが低めに設定されている為、1速は殆ど使用せず
常時2速發進で済むが其の反面、登坂ではややスムースさに欠けるきらいがある。

登坂にあたっては、平坦路で予め速度を上昇させておき、
其の勢いを利用すれば非常に力強く登ってゆく。

その一方、登坂中に一旦失速した場合の再加速は容易ならざるものがある。

ギア比の設定の不適正は峠の頂上付近で特に顕著で、3速では低すぎて
回転が上がり過ぎるが、4速では明らかに力不足を感じるという状態で歯痒い思いをさせられる。

---【燃費性能】---

燃費も重量面での不利から1ℓあたり18~22粁程度となっている。
内訳は高速80粁巡航18、市街地昼間20、夜間郊外22となっている。

無論、燃料消費率は走行状況をはじめ個体差や個人差が大きく影響する為、
ひとつの目安に過ぎないが、聯続高速走行や峠越えを熟しつつでこの数値であれば
1ℓ/24粁に達するレックスには及ばないものの、充分に及第点と云えるだろう。

---【軽(装)キャンパーとして】---

後席は常に折り畳んだ状態で運行しており、荷室はそのまま車中泊用のスペースに充てている。

どうしても無理な体勢に為らざるを得ないレックスやグロリアでの車中泊とは比較にならない
快適さこそがステップバンの真骨頂であり、バン型車の何よりの強みだろう。






フル・オーバーホールを完了し、併せて施工した吸排気ポートの研磨により新車以上の能力を
發揮するEA型エンジンの威力に依り、公道復帰当初の”鈍亀”の印象は今や完全に払拭された。

神洲丸の如き本車は、今季も五臓六腑の活躍を見せてくれるであろう。

將旗を掲げたる旗艦グロリア、高速駆逐艦たるレックス、流麗なる精鋭戰鬪機CB750four。

そして、満を持しての新鋭高速輸送艦ステップバンの就役に依り愈々戰列は充実。

各艦”得手に帆あげて”最大戰速を發揮、任務を完遂すべく勇躍邁進せんとす。






Posted at 2014/02/20 00:01:36 | コメント(3) | トラックバック(0) | ライフ ステップ・バン | クルマ

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