イベント・レポ、国産車編3回目にしてようやく(?)最終回です。
紹介できていない車もたくさんいますが、とりあえず今回はココまでと致します。
まずは個人的に好きなクルマであるホンダ1300クーペ7・カスタムです。
ホンダ1300は空冷を信条とする親父(本田宗一郎)が水冷が主流であったリッタークラスに
ホンダF1・RAシリーズの技術をフィードバックして市場に送り込んだ自信作でした。
しかしながら、シンプルであることがメリットである空冷で水冷並の静粛性を得るために
複雑怪奇なDDAC(一体構造二重壁空冷方式)を採用するなど技術者としてのアイディア
ばかりが先行し、市販車としては大きな問題を抱えることになってしまいました。
まだ未成熟であったFF方式も、重いエンジンゆえのフロントヘビーと相まって操縦性を悪化
させ、これらの問題は度重なるマイナーチェンジでも根本的な解決は叶わずシビックの
水冷エンジンに換装したコンベンショナルなホンダ145への変更を余儀なくされます。
こう書くと問題ばかりのように思われますが、アクの強さは破天荒な頃のホンダらしさであり
欠点すら魅力的に感じるものです。
アバタもえくぼ、惚れてしまえばどうということはないのです。
前輪ストラットがボンネットを突き破るという悪癖はさすがに所有の際に問題になりますが・・・
顔付きがポンティアックなのも良いですね。
こちらは同じく空冷エンジンのホンダN360(N-Ⅱ)です。
宇都宮ナンバーを掲げていたので、内地からの遠征組でしょうか。
Nはモーターサイクルで得た経験を生かして開発された31馬力の高出力を誇る
空冷2気筒OHCを搭載するFF2BOXというレイアウトの新しい世代の軽自動車でした。
スバル360と乗り比べても、室内空間の差はもちろん加速などを通じて10年の
日進月歩の変化がダイレクトに伝わってきます。
その一方で騒音や操縦安定性に問題があったのも確かです。
というか、初期のホンダはピーキーでクセがあるクルマばかりですが!
この個体は純正のウィールキャップが装着されていたのが珍しかったです。
ホンダ・バモス・・・ではなく「バモス・ホンダ」です。
1973年式なので、わずか3年の生産期間の中でも末期のモデルです。
といっても、基本的にマイナーチェンジなどは行われなかったので年式ごとの差異はありません。
ホンダの軽トラック、TN360のシャシーの上にフルオープンのバギー的なボディを乗せた
レジャー・カーで2人乗り、4人乗り、フルホロの3車種がありました。
スペアタイヤをフロントにレイアウトしたファニー・フェイス(衝撃吸収の役目も期待されています)
はのちにダイハツ・ミゼットⅡに影響を与えました。
カタログでは農作業、配達、キャンピング、引っ越しまでなんでもござれと謳っていますが
実際にはコレといった用途が見つからないという、とにかく自由なクルマです。
こちらはホンダ・ライフ・ピックアップです。
よく「ステップバン・ピックアップ」と言われますがステップ「バン」なのでご注意を。
上のバモスのベースとなったキャブオーバーのTN360に対して軽乗用車のライフがベースの
いわばセダン・ピックアップ的なクルマですが、ボンネットタイプゆえの積載性の低さなどが
理由で市場に受け入れられずわずか1年間で生産終了となりました。
ダッシュボードはデスクとして使えるフラットなもので、ボールペン立てや伝票整理に役立つ
上開きのグローブボックスなどアイディアが満載のユニークな車です。
コスモスポーツに続くマツダのロータリーエンジン搭載車「ファミリア・ロータリークーペ」です。
ロータリー専用車であったコスモ・スポーツに対して主力量産車であるファミリアをベースと
することによってコストを下げ「ロータリゼーション」の尖兵としての重責を担った車です。
余談ですが父親の初めてのマイカーが親戚から譲ってもらったプレスト・バンだったそうです。
スタイリッシュなT型ダッシュボードや躍動感あふれるエンブレム、専用の丸型テールレンズ
などがロータリーエンジン搭載車であることを主張しています。
数少ない地元車だった1964年式ダットサン・フェアレディ1500(SP310)です。
フェアレディだと後半に登場した2000cc車(SR311)が多数派で、1500cc車は希少です。
以前地元で走行しているのを遠方から目撃したのですが、その時は古そうだなと思ったものの
車種の判定が不能でロードスターだろうと結論を出しましたがどうもこの個体だったようです。
HTを装着しているのですが、丸形のオペラウィンドウが備わっていたのが特徴的でした。
今回のイベントで多かったのが117クーペでした。
エントリー、ギャラリーとも多数が参加しており、ハンドメイド・量産丸目・角目が揃いました。
こちらはハンドメイドで、ターンシグナルがバンパー上にあるのがもっとも簡単な識別点です。
117は通っていた高校の近くに放置されていた角目があり、他にも現役の角目もいたことから
早い時点で興味を持ったクルマでした。
若き日のジウジアーロがデザインした優雅なスタイルは魅力的で、瀟洒な内装も好みです。
個人的に後席のヘッドクリアランスをきちんと確保した2ドア・クーペが好きなのですが
その原点はこの117にあります。
こちらは赤平の常連でもあった1971年式の117クーペです。
深いワインレッドが美しく、ボンネットに映る人影からも如何に素晴らしい艶を湛えているかが
伝わると思います。
フルカバーキャップではなくセンターキャップを採用し、あえてスティールウィールを
露出させ軽量化のための孔までもデザインの一部に昇華させる技量は
さすがデザインの本場といったところです。
続いてはバイク、こちらはHONDA CBX1000です。
1978年にホンダのフラッグシップとしてデビュー、空冷並列6気筒DOHC24バルブという
凄まじいエンジンを搭載、1047ccの排気量から105馬力を叩き出すモンスターマシンです。
CBXは1960年代のロードレース選手権で圧倒的な速さを発揮した、250ccという排気量にも
関わらず6気筒DOHCという時計の如き精密さを誇るエンジンを搭載するRC16#シリーズ
のワークス・イメージを投影した市販車です。
センセーショナルなデビューだったものの、乾燥重量250㎏というスポーツ・モデルにしては
重すぎることや幅の広いエンジンに対して剛性面が不足していたダイヤモンド・フレーム
そして更に高性能な4気筒のCB900FやCB1100Rの登場によって4年程で姿を消しました。
ちなみにモデル後半は大型カウリングやボックスを備えたツアラーに転身しました。
重すぎて1度センタースタンドを立てると乗る気がなくなると聞きますが、いつかは所有して
みたいバイクです。
このCBX、ツートーンに張り替えたシートやリヤ・キャリア、小型のナビ、高年式車の流用
と思われる孔空きブレーキディスク、KYBショックなどかなりカスタムが施されていましたが・・・
なんといってもステンレスで造られた6本出しのマフラーが衝撃的でした!
純正は6in to 2のマフラーなのですが、この個体にはRC16#そのものの6本マフラーが
装着されていました。
これはカッコよかったなぁ~
こちらはカワサキKH400、「ジャジャ馬」という渾名を奉られたマッハ(SS)シリーズの後継です。
後継とは言いながらも、実際には排気ガス規制や安全対策などに対応しつつ、カミナリ族や
暴走族のイメージの強い「マッハ」や「SS」の名を改めたモデルです。
ピーキーなエンジン特性と曲がらない、止まらないと言われた初期のマッハから比べれば
かなり扱い易く、排気音も抑えられていますが、現代のバイクでは相手にならない強烈な
個性を備えています。
ケッチは以前乗ったことがありますが、空冷2ストローク3気筒のエンジンは振動も騒音も
心地良く軽快な乗り味に酔いしれた記憶があります。
あの「ギャーン」という独特の排気音はクセになります。
H1かH2が欲しいですが・・・高いですね。
こちらも空冷2ストローク3気筒のスズキGT380です。
GTサンパチは去年、程度の良いモノが地元のバイク買い取り店に入庫しており見せてもらいました。
GT380はどうしても冷却が行き届かない中央のシリンダーに走行風を送り込む
「ラムエア・システム」が特徴で、外観から弁当箱と呼ばれたりもしました。
GT380は最大出力38馬力、最大トルク3.8kgm、軸間距離1380mm、定価38万円という
語呂合わせなスペックもユニークな部分です。
空冷2スト3気筒はスズキの軽乗用車「フロンテ」で先例があり、本格的スポーツカーを標榜した
フロンテ・クーペとも技術的に重なるポイントが多数あります。
さて、これでイベント・レポは終了となります。
なかなか休みが取れないので次はいつになるかわかりませんが、可能ならばイベントに
参加したいと思っています。