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2011年05月13日 イイね!

満艦飾のグランド・グロリア

いつの時代に於いても、メーカーの威信を懸けた旗艦モデルは人の心を惹きつけて止みません。
最上級モデルにさらに贅沢の極みとして「フルオプション」という付加価値を与えられた車輌は
大変希少で、多くの方がそれを探し求めています。

今回御紹介するグランド・グロリアは有名なS4コレクターの方の所有する個体です。

前期型である1型の中でもかなり早期に生産れた車輌で、それだけでも希少なのに
ほぼフル装備というこれ以上望めない価値ある車輌です。

当時の国産車の中で最高価格(138万5千円)であり、実に家一軒に匹敵する値段でした。

ただでさえ3ナンバーで税金が高いうえ、贅沢品として税金が上乗せされる
エアー・コンディショナーは極めて高額なオプションであり、装備されていない個体も
珍しくはありません。
この個体はエアー・コンディショナーやオートライト、マスターバックなどの主要オプションを
すべて与えられた素晴らしい車輌です。

「権威の象徴」にふさわしい、凸型の小さな飾りが整然と並ぶ荘重なフロント・グリル。
自分はこのグリルを史上もっとも日本的な繊細さを湛えるデザインと信じて疑いません

本来バンパースリットには「 P R I N C E 」とエンブレムが入りますが、盗難防止のため
取り外されています。



「荘重なシルエットを浮き彫りにしました」

専用グリルやサイドシル・スカートパネル、2ピース・ウィールキャップなどの豪華な艤装によって
差別化を図っていますが、車体寸法そのものは5ナンバーモデルと変わりありません。

しかしながら1962年9月のデビュー時点で既に玉成の域に達していたグロリアのデザインは
専用ボディを持つクラウン・エイトやセドリック・スペシャルになんら見劣りしません。



車両番号が500台よりも前と、とても若いのに驚きます。
銘鈑は豪奢な雰囲気を醸し出す美しい金色です。

G11型エンジンはOHC機構、2500cc、4バレルキャブレターの組み合わせによって
国産最高出力の130馬力を叩き出し、4速オーバードライブ・ミッションと高速走行に
備えて設計されたシャシーを通じて170㎞/hの最高速を実現しています。



メーター右側に縦に2つ並ぶスイッチはオートライトの操作ノブです。
ダッシュボード中央のセンサーがオートライトの受光部で、対向車のヘッドライトや街灯、太陽光
を捉えて状況にもっとも適した灯火を自動に選択、ドライバーの負担を軽減します。

イグニッション・キー部分にはS44P専用品のアルミパネルが奢られています。

1型と2型ではメーターが大きく違い、キーをOFFにした際、燃料計と水温計の針が逆の位置で
停止します。

オーバースピード・ワーニングの表示方法も違い、1型ではメーター中央に数字で表示されますが
2型では指針によって指し示す方式に変更されています。

また、速度表示も1型の最初期では160まで刻まれていますが、それ以降は180まで
数字が刻まれています。



国産初となる本格的なエアー・ミックス式エアー・コンディショナーを装備しています。
吹き出し口は中央部と足元、デフロスター部となっています。

パワーウィンドウが標準装備となり、ウィンドウクランクハンドルのスペースには
大きな開閉式ドアポケットが与えられています。
また、シートバックにもメルセデス流儀の大きなツインポケットが備えられ、地図や手回り品の
収容に重宝します。

落ち着いた風格を感じさせるマホガニー化粧板と、品のあるベージュの内装が美しいです。

ダッシュボード中央のラジオ用スピーカーは縫込み式で、2型やスタンダード・グレードでは
貼り付け式の簡素なスピーカーとなっています。
すぐ横にはオートライトの受光部が突き出ています。

ラジオは自動選局装置を備えた高級タイプが採用されています。
スイッチ類はアルミ削りだしの重厚かつ美しく、手に馴染む形状となっています。



高級車たるもの、その贅沢さは多岐に亘ります。
グローブボックスの蓋には故障時の連絡先が記載されています。
昼間時はプリンス自動車販売のサービス部門が、夜間にはJAFが駆けつけます。

こういったアフターサービスの充実も高額な代金に見合うものです。
またプリンスは夏季のみ軽井沢に臨時の営業所を展開するなど、その客層にマッチした
サービスを提供していました。

試しに電話してみましたが「番号をお確かめください」と言われました。
グローブボックスの蓋にはグラスを置くための窪みがあり、軽食などに便利なテーブルとしても
使えます。



長い鼻先には直列6気筒・オーバーヘッドカムシャフト・2500ccのG11型エンジンが鎮座しています。
130馬力の驚異的な出力を可能とした先進性の塊です。

日本気化器製オートチョーク付き4バレル・ダウンドラフト・キャブレターはS41(スーパー6)系の
2バレル・キャブレターよりもかなり大きく、エアクリーナーの蝶ネジも2つになります。

手前右側の大きな円筒状のユニットはエアー・コンディショナーのブロアーです。
エアコン付き車は助手席側カウルベンチレーターが吸気口となります。
エアコンユニットは極めてコンパクトにまとめられ、室内空間をまったく犠牲にしていません。

インテーク・マニホールドとエキゾースト・マニホールドは100を超える試作を経て決定された
複雑な形状で「スーパーチャージド・ラムインダクション」と呼ばれる吸排気の脈動効果を
効率的に生かしハイパワーに繋げています。



素晴らしい加速力を持つ車は、それに見合った制動力を有していなければなりません。
S4系グロリアは純正で強力な4輪デュオ・サーボブレーキを備えています。

この車輌ではさらに万全を期して170㎞/hの高速巡航性能に対応するべくオプションの
タンデムマスターシリンダーを備えるマスターバック(パワーブレーキ)を選択しています。

S44Pはサイド・ブレーキを操作することによって自動的に後輪ブレーキ・シューの間隔を
調整する装置も与えられ、メンテナンス・フリーの一助としています。

2型(後期型)からはスカイラインGT(S54)と共通のフロント・ディスクブレーキが標準装備。
スーパー6でもオプショナルとして設定されます。(住友ダンロップMk-3ディスクブレーキ)



ウィールキャップはS44P専用となる2ピース構造で、梨地加工を施した非常に凝ったものです。
中央のアイボリー部分は透明な樹脂にプリンスの象徴たる十字が刻まれており、塗装と
クロームによって繊細で瀟洒なフィニッシュとなっています。

個人的には国産車史上、最も美しいデザインと信じて疑いません。
1枚だけですが保有しております。



リヤビューはトランクフードの「2500」エンブレム以外に5ナンバーモデルと違いはありません。
サイドには十字をあしらった「+GRAND GLORIA」の金色のエンブレムが輝いています。

波打ったリヤガーニッシュはボディの分割線を隠すようにレイアウトされ、機能と美観の
双方を満たしています。

テールライト・ベゼルは内側に沿ったクローム仕上げで、尾灯の点灯時に光を反射して
視認性を向上させる機能を兼ね備えています。

プリンス車はよく「メッキが多い」と言われますが、このように単なる装飾ではなく機能や
安全性を熟慮してデザインされていることを知っていただきたいです。



「高級車」の定義とは何かと問われても、それは時代と共に変化する性質のものであって
明確な答えはないと思います。

高級車は決して「高額車」ではないと信じています。

技術者や開発者が心血を注いで、最高の車を造ろうと努力し、それを達成したとき
はじめて「高級車」が誕生するのではないでしょうか。
そしてプリンス・グランドグロリアはすべての条件を満たした車であると考えます。

グランド・グロリアは皇室に献上され、時の皇太子殿下(現在の今上陛下)が自ら
ステアリングをお握りになってドライブを愉しまれました。

自動車に対する優れた審美眼をお持ちである皇太子殿下が愛されたグランド・グロリアは
まさに世界の高級車に勝るとも劣らない存在であります。
Posted at 2011/05/13 21:51:37 | コメント(2) | トラックバック(0) | S4系グロリア(2代目) | クルマ

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