身の震えるシーズンとなって参りました。車にとっては、冷たい風の影響により、空気の質量も増え、益々パワーアップにゴキゲンな走りを見せる時期であります。
先日、‘B-Bodyの匠...Secret Factory Meister Mr.“B”’さんの所にて、フロント廻りのグレードアップ手術を施して頂きました。
早速、そのインプレッションを書き込まさせて頂きます。
Impala SSと共用のフレームを有する、「キャデラック・フリードウッド・ブロアム」と「ビュイック・ロードマスター」にはそれぞれ、センターリンクからフレームにかけて“ダンパー”が装着されていることを御存知でしたでしょうか。
このダンパーは、キャデラックには正面向かって右側、ビュイックは左側のフレームにコの字型ステーが溶接されており、このステーとセンターリンクが怪しげな“ダンパー”で接続されております。
これは、純正のImpala SSには無いパーツであり、一抹の疑問を感じておりました。
「このパーツこそ、Impala SSに最も最適な部品だろうに・・・。」
“Mister-B”さんに相談を持ちかけた所、快く取り付けを快諾して下さいました。
下廻りのディメンションから“ビュイック・ロードマスターの取り付け方が最適”であるとのプロの目線に従い、解体車よりコの字ステーを切断、キャデラックブロアム用のセンターリンク及びダンパーを新品にて入手、当方のIMPALA SSTTの正面向かって左側にステーを溶接し接続、タイロッドスリーブ及びタイロッドエンドをMOOGのパフォーマンスパーツに変更と相成りました。
当初、スピード・テックのフロントコントロールアーム・アッパー&ロアーも同時に組み込む予定でおりましたが、ロードノイズやギャップのキックバックが懸念される上、7月オーダー、11月現在も入荷しておらず、取り急ぎ、純正のコントロールアームを活かしての取り付けとなりました。
テストコースとして、首都高環状線C1から大師料金所を通過、東神奈川迄料金所下車、友人の経営する蕎麦屋にて蕎麦を堪能した後、折り返すというルートで、もう一台の440マグナムR/Tチャージャーと共にV8サウンドを奏でて参りました。
先ず最初に驚いたのは、“ステアリングの遊びが少なくなった事”です。
センターリンクダンパー無しの状態の時は、直進状態にてのステアリングの修正角は、およそ左右に約5cm程ありましたが、これが約2,5cmに留まった事により安心感に繋がりました。これは、大型トラックが走った跡等のアスファルトの轍(わだち)では、手に取るように良く分かります。
次に、“ステアリングの剛性感が格段に増した事”が挙げられます。左右に切り込む時の手応えは若干重くなったものの、これは良く言えば“欧州車テイスト”の様な感覚であり、コーナリング中のつなぎ目をクリアーする場合等、ほとんどステアリングに対する“横揺れのビビリ感”が無くなった点です。
さらに言えば、フロントの強化にも関わらず、“リアの動き”がより“リニアに伝わってくる車”となりました。
元々、コーナーに於いては“車幅の広さ”がImpala SSの“強み”であり、限界値のアドバンテージはこの基本構造に寄与していると感じておりました。
リアセクションがリジット構造である点を、この“車幅がリカバー”し、リアサスペンションストロークの動きを限界までBMRのスタビとコントロールアームがサポートし続け、その先のリカバーに、45扁平のタイヤが上手くよじれてグリップ方向へと車を向けるという様な動きをするのです。
この一連の動きを、早め早めにコーナー出口へと向かわせる働きをフロントセクションが執り行っており、この総合的な一瞬の動作が速まった事も特筆出来る点であると言えます。
スタビブッシュをウレタンに変更している点や、タイロッドエンド、並びに、タイロッドスリーブの恩恵もあると考えられますが、副作用として、それ相当の速度でコーナーに侵入した時、及び、ロードギャップがかなり激しい凸凹が有る場合等の室内やドア枠へのキックバックのきしみ音等は多少出てきます。
これは、本来、Impala SSには設定が無く、ポリスパッケージの9C1等には挿入されているボディーマウントブッシュを、同じ箇所に入れた事による影響も考えられますが、決してそれは不快の度合いを超えるものではありません。
しかしながら、フロントコントロールアームのアッパー&ロワーを純正のボックス型から一本物へと変更した場合、あるいは、アイバッハやビルシュタインサスペンション等、バネレートが高いサスペンションを組み込んで居る場合等を想定すると、ステアリングインフォメーションはもっと鮮明になることは明らかではありますが、さらに、室内へのノイズは増える事が予想されるので、装着には難しい判断が迫れる事と成るでしょう。
“強化する箇所が増えれば、必ず何処かにそのしわ寄せが来る”という事です。
フルノーマルの状態は、これがかなりの“高いバランス”の上に成り立っており、これを一度崩して、また上の段階でバランスさせることは非常に困難であるが故に、楽しみでもあり、醍醐味でもあります。
どの車やバイクでも言える事だと思いますが、いかに“逃げを作るか”が大切なポイントとなってくるような気がしてなりません。
首都高のつなぎ目は鉄板で出来ており、バンピーな上、とてもスリッピーです。この様な道が連続するカーブ、複合コーナー、ストレートのコンビネーションは、サーキットでは全くと言って“あり得無い”、ある種“ストリート特有の路面状況”であり、世界の道を見渡してみても、日本の国土特有の道路であることに間違いはありません。
故に、“猫足”のようなしなやかさと、“横方向への剛性を如何にバランスさせるか”が1つのテーマとなり得ると感じ、深い操舵角、ないし、ドリフトアングルが付いた状況でも、より安心してコントロールできる車がFRスーパースポーツ(SS)の真髄であると、改めて痛感した次第です。
今後の目標として、“デファレンシャルのイニシャルUP”により、もう少し、アクセルコントロールの踏みしろを少なくして、少しのアクションで車体の向きを素速く変える事が出来る様にし、それに伴うフロント廻りの動きを、よりシャープに反応させる様なマシーンに仕上げる事を1つのテーマとして、よりパフォーマンスUPを図りたいと思っております。
「モアパワー・モアスピード」
“誰よりも速く、安全に、快適に、そしてワイルドに。”
(A地点からB地点迄の“時間”を狩{駆}る)
このコンセプトを掲げて、世界に1台のスペシャルなストリート・マシーンを仕上げ、
{アメ車は直線だけだ。}
と、“揶揄”する者達に“1つの答え”を提示してゆきたいと思います。(笑)
最後に、“マイスターアーム Mr,B”に感謝とリスペクト(尊敬)の意を表します。
3rdF-Bodyからアメ車に乗り続けて早14年。
こんなに素晴らしい仕事をされる方と出会ったのは初めてです。
途中、アメ車屋さん達の人間関係、作業やアバウトさに疲れた事もありましたが、最高の腕を持ったメカニックの方と知り合えた事に対し、心より感謝申し上げます。
そして、皆様との御縁もより大切にしてゆきたいと思いますので、今後とも一つ、宜しくお願い致します。
長文にも関わらず最後迄の御拝読も含め、誠に、有り難う御座居ました!
ブラック・スポイラー 拝。