年が明けた三日、一年振りに彼女に会ってきた。
あれから十年、俺自身覚悟の年と感じていた。
会えるのは年に一度の一時間、何を話せば良いのかも既に分からない。
これから幸せな道を歩んで行くであろうオマエを、俺は独り老いながら眺める。
それをオマエに見せたくはないし、オマエも見たくはないと思います。
もう、オマエに俺は必要ないと思うんだ。
可愛がるだけじゃ~ない、会えば叱ってもやる。
頑張るオマエが好きだった、それがオマエの為でもあると信じてた。
だけど俺が空回りしているだけだった、オマエには届いていなかったと思います。
もう、オマエに俺がしてやれる事は無いと思うんだ。
普段何の連絡もしてこないのに、自分の都合で現れ、そして自分の都合で消えてゆく。
この十年、何度約束しても変わらなかった。
追いかけると離れて行く、離れようとすると現れる。
時に「頼れる人」と言われ、時に「先輩」、時に「赤の他人」と言われる、オマエの都合で俺の立ち位置も変わる。
疲れてしまった。
自分の不甲斐無さが歯痒くなったのかも知れない。
夢を語るだけのオマエに失望したのかも知れない。
自分勝手なオマエに疲れたのかも知れない。
カッコつけてウソばかりついている自分に疲れたのかも知れない。
少し疲れてしまったのかも知れません。
独り黙って去ってゆく事もできたけど、それだけは嫌だった。
「だってミジメじゃ~ないか!」
「だってクヤシイじゃ~ないか!」
正直、そんな気持ちもある。
俺も十年苦しんだ、病気にまでなって苦しんだんだ。
過ぎ去った時間は戻らない、幾らお金を積まれても取り戻す事はできない。
少し時間は掛ったけど、昔にオマエが望んだ結末になるだけの事なのです。
「こうすればオマエは俺の事を嫌いになってくれるだろう」
「こうすれば俺もオマエの事を嫌いになれるかも知れない」
大好きなオマエから俺の大好きな笑顔を俺の方から奪ってしまった。
俺が一番去りたくなかった形で俺の方から去ってゆく、やっぱり俺は最低の男です。
オマエと出会って十四年だろうか、初詣やお参り行く度に
「俺の命ある限りオマエの側に居させて下さい」
と神様にお願いしていた。
でも、覚悟していたからか今年はしなかった。
神様はオマエの資格試験合格祈願も全然聞いてはくれない、だから今年は
「神様なんてクソ喰らえっ!」
と言ってやった。
祈り続けた事を叶えてはくれないのに、たった一度の「クソ喰らえ」を叶えてくれたのは笑い話しだ。
一年振りに会うオマエは相変わらず世界で一番可愛かった、それに最近はキレイにもなってきた。
『深田恭子』より可愛くて
『吉高由里子』より小悪魔で
『綾瀬はるか』より魅力的
そんなムテキなオマエがタレ目と大きな口でケラケラ笑う、ムテキなオマエの笑顔は世界で一番ステキです。
「また遊びに行きたい」
と言ってくれたのは嬉しかった、
「これからも」
と言ってくれたのは本当に嬉しかった、
「今生の別れじゃ~あるまいし」
とオマエは言ってくれた、だけど俺は今がその時だと感じています。
少なくとも、今は、ね…
リングのネックレスは五年位前だったろうか?
オマエが他県で働いていた時に橋の上でプロポーズした時のもの。
一度はオマエも俺の手を握り返してくれた、オマエの小さな手が今でも忘れられない。
オマエを奪って連れ帰ってやりたかった。
シトリンのネックレスは去年の誕生日。
最近のオマエは頑張れてなさそうだったので、も一度頑張って欲しくて原石のネックレスを選んだ。
夢を語るオマエが好きだけど、「わがまま」と「頑固」は違うのです。
オマエに夢を目指して頑張って欲しかった。
指輪はオマエが資格試験を受けると決めた時に買っておいた。
オマエが合格したらもう一度プロポーズしようと考えてた。
サプライズした指輪は自分で薬指に付けてくれたので、不思議と変な自信も持っていた。
オマエの左手に俺が付けてあげたかった。
もしオマエが早くに合格していたのなら、また違った道が開けていたのだろうか?
どれも俺と同じで役に立たなかったけど、どうか大切にしてやって欲しい。
すまない、本当にすまない。
こんな形でオマエの側から去ってゆく、本当にすまない。
カッコつけてウソばかりついていた俺。
わがままで、自分勝手で生意気なオマエ。
でも、そんなオマエを想う気持にだけはウソはなかった。
今までも、そしてこれからも
変らぬ永遠の愛をこめて
to megumi
from hiroaki
Posted at 2014/01/12 22:41:10 | |
世界で一番大切なヒト | 日記