ダイハツ純正 , 代替新 11310-B2061 タイミングチェーンカバーほか
今回はいつになく、とてつもなく長文のパーツレビューとなります。
今回のメイン作業となるタイミングチェーンカバーです。品番変更され代替新となっていますが、何時にも触れてますように技術情報が無くて、どこが改良されたかまでは今回は分からず不明。
またアルミの鋳物? のせいか金属バリが各所にあり、触ると微細なトゲが手に刺さりそうなので(実際に1回やっちゃいました)、作業する前にヤスリ等で完全にバリを取り除き、パーツクリーナーで完璧に清掃。
特にカバー内部側の微弱なバリが剥がれてしまい、エンジンオイル内に漂い各部を巡回しだすといろいろとまずいのでバリ取りは徹底的にやりました。でもいつもこんなことをするから作業時間が大幅にかかって予定オーバーとなってしまうのですが、業者にやってもらえばこんな作業はまずしないだろうから、自ら作業するメリットといえるのでしょうね。
前項でも詳しく触れましたが、30年も前の製造となる当方のホンダの233ccバイクのCD250Uのクランクケースや左右のクランクケースカバーでは過去に何回も剥いだりしましたが、こんなバリなどは1ヵ所も無かったです。もちろん接合面の平面度も高くて液体ガスケットなどは全く必要も無く、ものすごく薄い紙みたいなガスケットで事足りますし、Rクランクカバーガスケットの新品交換は中古購入後にやって以来、それから5万km走行したもののもちろんオイル漏れはありません。
合体させている2つのクランクケースの中央部のガスケットはさすがに分解交換までは出来ずに30年前のままですが、こちらもオイル漏れはないです。
それに比べバリ満載のダイハツKFエンジンのタイミングチェーンカバー、コスト競争厳しい軽四用なので安く製造するためなのか、平面度も30年前のバイクのものより劣っているとしか言えません。二輪のものより大きさがかなり大きいから低コストで作るためだろうが、KFエンジン登場当初、オイル漏れ多発というのもうなずけますね。といいますかコンピュータ設計に頼り過ぎていて、長期耐久性のテスト不足だったのは否めない事実でしょう。
ともあれ、高熱を発するエンジンブロック側を接合面にしている時点で失敗作だと思うが、ここに液体ガスケットを塗布するせいで、エンジンの発する高熱と、オイル管理が悪いとエンジンオイルが酸化し液体ガスケットがやられてオイル漏れするのだと思います。
エンジンオイルが弱アルカリ性なのはあまり知られていませんが、酸性にならないよう中和剤とかの成分が添加剤として挿入されているはずですが、安物オイルはあまり入れられていないのかもしれません。
エンジンオイルの品質が低かったひと昔前なら、安物オイルを頻度で稼ぐやり方でも良かったのだろうが、現代のエンジンはエンジンオイルで潤滑を確保するタイミングチェーン全盛の時代、しかも液体ガスケットを多数の箇所で使用していることもあり、それなりの品質のエンジンオイルを、この日本では必ずシビアコンディション以内の基準! で交換していかないと、特に軽四ターボ車なら20万kmも持たないでしょうね。
当方の宣伝をするわけではありませんが、モチュールの100%PAO系の8100エクセスのオイルを3000km毎前後での交換なら、乗り方にもよりますが30万km近くを走ってもスラッジや、カムシャフトの涙目形の直打式カム山の傷や剥離などは一切なかったです。
ただ新車購入から最初の6万kmまでが、超安物のオイルを5000km毎での交換だったのが、今となっては大変悔やまれますが。
ということで、KFエンジンの泣き所のタイミングチェーンカバーの超面倒な液体ガスケットの塗り直しに合わせて、伸びはわずかだったタイミングチェーンをはじめ、3つのスプロケ、チェーンガイド、プランジャー、オイルポンプが付属しているタイミングチェーンカバーまで丸ごと交換して、もうこの作業は廃車まで今回1回だけで済むようにします。
シリンダーガスケットが劣化して圧縮漏れ、オイル漏れ、クーラント漏れさえ起こらなければ、もう廃車まで(40万km前後か) エンジンは分解しなくても済むようにしましたが、もしCVTが壊れればその時点で考えます。当たりはずれがありますが中古CVT使う選択又も考慮しますけれども。
本当はここまで分解したのなら、エンジンまで開けて30万km走行のエンジン内がどうなっているのか確認するとともに、シリンダガスケットもピストンリングも交換して万全を期したかったのですが、
代車もなく連休もなかなか取りづらく、コンクリートの床を持つ屋根付きのガレージもなく、砂利敷きの青空駐車での整備条件では、そこまでできる度量も余裕もなくて今回は欲張らずに見送り。エンジン自体の調子は今も良いのでオイル漏れさえ収まったのなら良しとすることにしました。
せっかく今回自ら作業をしたので、いろいろと写真も撮影しまして、ここではまず普段見ることのないエンジンの心臓ともいえる四輪のオイルポンプ辺りをご紹介することにしました。
車のエンジンはよく人体にたとえられますが、エンジンオイルは血液、オイルフィルターは腎臓、各部のオイルラインは血管、そして動脈硬化はスラッジということですが、30万km近く走ったオイルポンプの各部写真は下部にまとめて掲載いたしました。
インナー(ドライブポンプ) と、アウター(ドリブンポンプ) の歯車の山の違いから、エンジンが回りクランクシャフトが回転するとエンジンオイルが押し出されるのですが、ここへオイルを供給するオイルストレーナーの内部が詰まったり、ポンプが摩耗したりスラッジや異物が詰まったりすると、規定の圧力でオイルが排出されなくなり、きゅうすの形のオイルランプが灯るようになります。
我がコンテ号は圧縮部となるオイルポンプの山谷部分にキズはなかったのだが、側面のカバーと接する部分には摩耗による段差がございました。これは意外だったです。
オイルポンプってギヤーの材質は超硬いし、しかもエンジンオイルの中をぐるんぐるんと回っているから、クランクシャフトがプーリーから駆動されるベルトで引っ張られるのを考慮しても、あまり摩耗なんてしないものだと思っていましたが、爪で引っかかるほどの段差ができていました。
精密な測定器具があれば段差の厚みを測定するのですがそんなものは我が家にはないので、おおよそですがヤマカンでは段差は0.05mm前後のような気がします。
実はこのこすれたポンプからも駆動音がしていたのではないかとのご指摘も頂いていましたが、もともとこのタイミングチェーンカバーは税込み16610円もするので当然再利用するつもりだったのですが、2年前にヘッドカバーを留めるためのボルト穴1つを傷めてしまい、幸いここからのオイル漏れは現時点ではなかったものの、高熱もかかる部分なのでアルミと鉄の膨張率の差などもあり、リコイル等は断念して新品交換することに。当然東日のトルクレンチも今回導入いたしました。
ただ何故かカバー内部のオイルポンプの蓋の部品のみは単品で供給されてないということで、カバーASSYを買えばオイルポンプもすでに組み込まれた状態で供給されてきました。
オイルポンプのみの部品は供給されていますが、これを交換するには皿ネジ3本を取り外す必要があり、当ホンダバイクCD250Uでも触れましたが、この皿ネジは必ず固着して緩まずに、普通の+ドライバーで無理に外そうとしますとなめてしまうので、整備書にも書かれていますがアタックドライバー(ショックドライバー、又は打撃回転ドライバー : 下記の写真9番目) と重めの鉄頭のトンカチが必須です。
《 チェーンカバー取付けの要点 》
① 下10番目と12番目の写真に赤矢印で示していますが、タイミングチェーンカバーのオイルフィルター取付部の横の、ここの部分のみ貫通のネジ穴となっているため、必ず90041-26005の専用のシール剤が塗られているスタットボルトが必要です。スリーボンドの1207Fで流用できるかは分かりかねますが。
② 液体ガスケット塗布につきましては、今回の当方では万能ガスケットといえるスリーボンドの1207Fで済ませましたが、1207Fは硬化がとても早くて素早く作業を完結しないとシールの効果が発揮できない可能性が高く、私は今回1207Fで作業したものの、正直お勧めできないです。
整備書に記載通り、オイル付着部分には柔らかくて遅乾性でコーキングガンの使えるスリーボンド1280Eを、LLCクーラント部分には黒色の耐熱・耐LLC性のスリーボンド1282Bを塗布する方が確実で安全です。ただどちらの液体ガスケットもダイハツ純正部品扱いのようですが。
また1280Eや1282Bを使用した場合、カバー装着後4~5時間位の乾燥時間も必要なようです。
③ よく忘れるのがオイルポンプ出口にはめるOリングの交換で(90043-01325 再使用不可部品)、当方のこのOリングはすでに多走行により劣化でボロボロでカチカチでしたので、チェーンカバーを取り外す際に簡単に割れてしまいました。
この部分のOリングを交換し忘れたり、あるいははめるのを忘れていたり装着の際に脱落したりすると、吸い上げられたエンジンオイルがここから大量に漏れ出てしまい、オイル警告ランプが消灯しない事態に見舞われます。当然一からすべてやり直しです。
④ ボルトを締める順番表での第5番目のボルト、90041-05371の93mm長の長いボルトが差し込まれるボルト穴、ここのボルト穴周囲に液体ガスケットを塗り忘れると、同じくエンジンオイルがダダ漏れするようです。塗布時間が取れないなかで絶対に塗り忘れがないように注意します。
⑤ 特に当方のように車載状態でチェーンカバーを取り付けるとなると、オイルポンプのクランク軸との差し込み位置が合わずに苦労するので、液体ガスケット塗布前に必ず仮装着テストをして、オイルポンプ部分がスムーズに入るように位置を合わせてから、液体ガスケットを塗布し3分以内に素早く装着します。
当方、整備書の指示とは違い速乾性の1207Fを塗布したので、この点を最も重視しました。
⑥ 液体ガスケット塗布前に、当然オイルストレーナーを装着しボルトで固定しておくことはすでに触れましたが、こいつを先に装着する欠陥構造のために、車載状態でのカバー装着の場合は、なかなかチェーンカバーがエンジンブロックの真横に持ってこれずに大変苦労します。これも事前に装着テストをおこなっておくことをお勧めします。
⑦ チェーンカバーの装着後、素早く16個のボルト・ナットを装着しなければならないので、手の届く範囲に16個のボルト・ナットとトルクレンチ、12mmと14mmのソケット、私はさらにコーケンの12mmと14mmのナットドライバーも手元に用意しておきました。
もちろん下写真4番目のように整備書から大きく拡大コピーした締結順番表に、さらに使用品番と締め付けトルク値を書き込み見やすくしたものを、A3の透明下敷きに入れてこれを見ながら作業しました。
特に第1番目と2番目のボルトは再利用禁止のシールボルトなので、この作業をする時には必ず新品ボルトを取り寄せる必要が。またアースブラケット用のボルト穴とかもあるので、間違えて締結しないようも注意します。特に第1番目のボルト。
また年式により使用ボルト・ナットが多少違うので、絶対に品番確認が必須です。
これでようやく無事装着を終え、重整備となるタイミングチェーン関係のオーバーホールを終えましたが、一つ失念していたのはNA車ではオイルコントロールバルブが装着される場所に、バルタイが無いターボ車ではオイル通路があるOリング付きのめくら板があるのだが、これの交換を失念。90043-39141 タイトプラグ No.2を至急発注中です。
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代替新となった新品のタイミングチェーンカバー。エンジンに取り付ける前に右側の各種部品を取り付けます。
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まず赤矢印のクランクプーリーのオイルシール。車載状態での挿入は難儀したが、今回も蒲鉾板を使って挿入。
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次はすでにご紹介したオイルストレーナー。ここで取り付けないと、装着後では取り付けできない欠陥構造。
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2013年6月頃までのカバー装着時に使うボルトナット類の図表。締める順番に使うボルトの品番を明記。
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先の締付順番表に合わせて、新品のボルトナット類を用意。締め付け順に並べました。
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今回使用した耐熱・耐油・耐LLC性の万能液体ガスケット、スリーボンド1207F。念のため2本用意。
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1207Fを使用直前までコタツの中に入れて温めておき一挙に塗布。特にウォータポンプ付近は多めに塗布。
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カバー装着後に裏側から撮影した写真。オイル漏れは解消したが、赤矢印のめくら部品を発注し忘れ。
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せっかくなのでカバー装着前に新旧のオイルポンプを分解してみます。分解にはショックドライバーが必須。
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新品カバーのオイルポンプ周り。赤矢印のところが貫通になるので、ここのみシールされた専用ボルトを使用。
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29万kmも使ってきたチェーンカバーとオイルポンプ。当方のはスラッジが全くなくて残留オイルのみ。
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右のポンプカバーにはスレ跡が。またフィルター横の、赤印のボルトのシールが劣化すればオイル漏れします。
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丸点が打ち込まれたほうがシリンダブロック側になる2つのポンプ。キズは無いが結構スレがありますね。
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こちらはクランクプーリー側。インナーポンプにはわずかに段差が。爪で引っかかるので0.0何mm位か。
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インナーポンプの山の形をした歯車部分。オイル管理が良かったせいなのかキズやスレは全く無かったです。
定価 | 15,100 円 |
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入手ルート | ※(税抜き価格で、タイミングチェーンカバー単品のみの価格) |
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