RV1プレオ用ローラーロッカーアーム流用 その1
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
![](/images/icon_difficult_on.svg) ![](/images/icon_difficult_on.svg) 中級 |
作業時間 |
6時間以内 |
1
EN07エンジンは20年以上に渡り搭載されているものですが、その歴史の中で幾度かの大改良を施されています。ひとつが96年頃に実施された点火系のDLI(ダイレクトイグニッション)化で、この時にサンバーもディストリビューターが廃止されています。
もう一つが98年の初代プレオ登場と同時に施行された、LFピストンと呼ばれる特殊な形状のピストンと、ローラーロッカーアームの採用です。サンバーでは2000年頃のAT/SC車から順次移行が始まり、01年以降は全てこの部品が使われているようです。
この中でも比較的DIYでも実施しやすいのが、ローラーロッカーアームの移植かと思われます。
ピストンの移植はエンジンを降ろさなければなりませんし、デスビレス化はSC車の場合、点火進角にECUの制御が入ってしまっているので、下手をするとECUごとの交換が必要になる恐れがありますが、アームの場合はヘッドカバーを取るだけで作業が可能だからです。
2
作業に当たっては、解体屋さんからプレオA(LE-RV1)のロッカーアーム周りAssyの他に、カムシャフトも念のため入手しておきました。
プレオとサンバーではエンジンの出力特性がかなり違うので、余り気軽に交換したくはない部品なのですが、もしもアームの長さが違っていた場合には、カムシャフトも一緒に交換しなければなりませんので。
ちなみにプレオはDLI化されているので、本来デスビが嵌る部分には画像左側のメクラ蓋が嵌め込まれているようです。
3
まず始めに、プラグコードやアース線などのヘッドカバー周りの邪魔な部品を外してから、ヘッドカバーを開けます。この時、プラグも4本全て外しておきましょう。
ヘッドカバーを開けたら、ロッカーアームのタペットを8箇所全て一杯まで緩めます。
カムシャフトも同時交換する場合には、ベルトカバーも外してタイミングベルトとカムスプロケットにマーカーペンで数カ所マーキングも行っておきます。
4
タペットを全て緩めたら、ロッカーアームシャフトを取り外します。
アームの横幅が明らかに異なる事が事前の写真比較である程度分かっていましたので、カムキャップの加工若しくは交換は避けられない事は承知していました。
あとは、アームのてこの長さがどの程度違うかが最大の問題となります。
余りにも違う場合にはカムシャフトも同時交換になりますが、SCエンジンはクランクプーリー周りがベルト配置も含めてカオスな状況になっている(つまりタイミングベルトが目視できるところまで簡単にはばらせない)ので、タイミングベルトは出来れば緩めたくはありません…。
5
しかし、その問題は杞憂に終わりました。
ロッカーシャフトから双方のアームを取り外して並べてみたところ、ローラーアームもスリッパーアームもてこの長さ自体は殆ど変わらない事が分かったからです。
この写真はIN側アームを並べて、ほぼ真横から撮影。
6
次いで、EX側も同じように比較します。これならカムシャフトは交換せず(=タイミングベルトを緩めず)に作業が出来そうです。
正確に測定した訳ではないのですが、スリッパーアームはアーム全体がそれなりに肉抜きされているのに対して、ローラーアームは全体がかなり厚ぼったいので、重さの差はそれなりにあるように思います。
ローラーアーム移植はホンダ・ビートでもライフ用アームを流用するテクがあるそうですが、やはりアームの重さがレブの限界のネックになるようで、カリカリチューン車では1000rpmほどレブが下がってしまうようです。
実用車のサンバーでは余り関係ない話ですが、ローラーアームも万能ではないという一例ですね。
7
ただ、この状況はプレオ用のカムシャフトを見た時にある程度は予想していました。
何故なら、DLI化されたプレオのEN07には全く必要ないはずのディストリビューターを嵌めるためのキー溝が、プレオ用カムシャフトにもちゃんと彫られていたからです。
これは、このカムシャフトが万が一の場合に、古いディストリビューター仕様のEN07にも流用できる前提で設計されている事を示しています。ディストリビューター時代のEN07はほぼ例外なくスリッパーアームです。となると、アーム自体のサイズも原則としてはローラーもスリッパーもほぼ同じでなければカムシャフトの互換性が保てないという事にもなります。
こういう処に互換性を持たせる為だけに、工数を増やすような設計は普通あまりやらないものですが(省略した方が確実にコストダウンできるので)、そこが技術屋のスバルの良い処であり、悪い処でもあるのでしょうね。
8
ローラーアームやスリッパーアームなど、複数種類のロッカーアームが同時にエンジンの生産現場で組み立てられる場合、互いが間違えて組み付けられないように、必ず何らかの対策が施されています。
普通はロッカーアームのてこの長さ自体を変えているので、アームとカムシャフトの組み合わせを間違えて組んだ場合、バルブリフト量が極端に減るか、極端に増えてピストンにバルブが当たるか、どちらかの異常が起こるようになっているのですが、EN07の場合にはカムシャフト自体に互換性を持たせるために、てこの長さ自体は双方とも同じサイズになっています。
その為、EN07ではアームの横幅を大幅に変える事で、ローラーアームがスリッパーアームのヘッドにはそのままでは付かないように対策されています。
次回はスリッパーアームのヘッドにローラーアームを付けるための加工について説明します。
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