RV1プレオ用ローラーロッカーアーム流用 その2
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
6時間以内 |
1
プレオ用ローラーアームとKVサンバー用スリッパーアームは、てこの長さ自体はほぼ同じですが、横幅が大きく異なるため、そのままではKVサンバー用ヘッドにローラーアームを組む事は出来ません。
ロッカーアームシャフトが取り付けられているカムホルダー(カムキャップ)も、右のプレオ用と左のKVサンバー用では少し形状が異なっています。
今回の改造の切っ掛けになった「低出力高回転主義」さんのヴィヴィオでは、写真のカムホルダー(カムキャップ)を全てプレオ用に交換する事で対処を行っているようでした。
しかし、これは手法として決して間違いではないのですが、内燃機屋さんではカムホルダーの位置を入れ替えたり、他のエンジンのものに取り替える事はある意味では「御法度」とされています。
手法としては「取り替え」の方が確実に楽ではあるのですが、カムを焼き付かせるかも知れない博打は打ちたくなかったので、現物を見比べた上で、慎重に元のカムホルダーを加工して対処する事にしました。
2
加工といっても、幸いにしてそれほど難しい作業は行わずに済みます。
KVサンバー用のカムホルダーは、左側に大きなデッパリが張り出しているので、プレオ用のカムホルダーと見比べながら、慎重に平ヤスリで削り落とします。
3
カムホルダー左側のデッパリをだいたいこの位まで削り落とせばOKです。
プレオ用カムホルダーにはロッカーアーム側面に合わせて円周状のザグリ加工が左右両面にされていますが、ここまで正確に加工をする必要はありません。
4
加工が必要なカムホルダーは全部で5個あるうち、1,2,3,4の4つです。
1個加工を終えたら必ずローラーアームをスラストスプリングも含めて正規のとおり組み付けてみて、ある程度横方向のクリアランスが残るかどうかを確かめてみます。
余りにも隙間がキツキツで横方向に余裕がない場合には、再度カムホルダーを外して削り加工を行う事を慎重に繰り返します。
5
2,3,4番のカムホルダーは余り問題がありませんが、最後の1番カムホルダーだけはちょっと厄介です。
というのも、1番カムホルダーにはカムシャフトシールが取り付けられるようになっており、正規の手順ではカムシャフトシール取付の際には、先に1番カムホルダーを規定トルクで組み付けた後に、カムスプロケット側からシールを打ち込む必要があるからです。
つまり、正規の組み付け手順を行う場合には、本来ならカムスプロケットを外さなければなりません。イコール、タイミングベルトを緩める必要が出て来ます。
タイミングチェーンならここまで「緩める」という行為自体を避ける必要は全くないのですが、ゴム製のベルトの場合にはちょっとしたテンションの緩みでクランク側のベルト山がずれてしまう恐れがあるので、クランク側のカバーまで全部ばらせない現状では、出来ればベルトを緩めたくはありません。
結局、カムシールはそのままで1番カムホルダーのカムシール当たり面にバスコークを塗って組み付けました。
漏れる心配はあるけれど、タイミングベルトを下手にずらしてバルブとピストンが当たるよりはマシだろうと割り切った上で。
6
4カ所全てのカムホルダー加工を終えたら、ロッカーアームをシャフトごとカムホルダーに組み付け、タペット調整を行って終了です。
文章で書くと簡単に流してますが、カムホルダーの組み付けは整備書にしたがった順序でボルトを締め、締め付けには必ずトルクレンチを使用します。カムホルダーやロッカーアームのローラー、カム山にはそれぞれMos2入りのハンマーオイルをたっぷり塗っています。
カムホルダーの規定トルク導入が済んだら、一度プラグを外した状態でクランクを回してみて、規定トルク導入前に比べて異常な回転の重さが無い事を確かめます。これはロッカーアーム組み付け後も必ず実施。余りにも重くなった場合にはロッカーアームのスラスト方向のクリアランスが狭すぎるのかもしれませんので。
全体の作業内容自体は割といい加減ですが、組み付けだけは本当にきちんと基本通りやってるんですよ。
7
最後に、必要な部品について。
今回は各部品の比較のために、プレオの部品取りエンジンからローラーアームをロッカーアームシャフトとカムキャップごと入手し、カムシャフトも用意しましたが、実際にはローラーロッカーアームとスラストスプリング以外の部品は使用しませんでした。
そのスラストスプリングもほぼ同じ様なものがスリッパーアームでも複数用いられているので、必要最低限の新品部品のみで流用作業を行う場合には、プレオ用のIN/EXロッカーアーム計8本のみを入手すれば十分でしょうね。
8
ついでに補足をもうひとつ。
スリッパーアームの場合には、左右のカムホルダーの間の部品構成は左から順番に、
ワッシャーx1→スラストスプリングx2→INアーム→EXアーム
となっています。(写真は他のエンジンの分かり易い写り方のものを借用しました)
そしてローラーアームの場合には、左右のカムホルダーの間の部品構成は左から順番に、
INアーム→スラストスプリングx1→EXアーム
という順番になっています。
ローラーアームのみを単品発注して作業される方は、各部品の組み付け順序を間違えないようにご注意を。
(10/10/11追記)
ロッカーアームシャフトはKV、プレオとも殆ど形状は同じ感じでしたが、厳密には部品番号が違うので、念のため組み付けの際にはプレオ用に交換して組んだ事を訂正しておきます。
しっかり確認はしてませんが、シャフト内のオイル穴の流量に違いがあるかも知れないので、念のためシャフトもローラーのものに交換するのが無難かと思います。
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