ひとまずキリの良いところまで書ききらないと日常ネタに戻れないので……。
最近急激に「日本の少子高齢化」について実感している。
クルマを走らせていると,周りのドライバーの高齢者率に衝撃を受けることがある。
たまに有給を取った日など事態は更に深刻だ。前も後ろも右も左も高齢者。
質が悪いのは,運転席を見ずとも動きだけで「これ高齢者だわ」と分かることだ。
ついでに言えば,その特徴的な動きは傍目に見ると往々にしておっかない。
抜けるならまだ気が楽なのだが,どうも日本の道路は追い越しに厳しい。
本来,運転適性を欠いたと判断された時点で免許が失効するのがあるべき姿と思う。
もっといえば,運転免許何級みたいな形になっているのが理想だとも思う。
現実は,残念ながらそうなっていない。
進歩ゼロでもゴールド免許は取れるし,ふらふら運転していても取り上げられない。
周りからは「お前もう運転できてないぞ」と思われていても,本人には自覚がない。
今のクルマは動かすだけなら簡単に動かせてしまうだけに,自覚症状がでない。
そして,行政も行政で注意や指導をする気があるのかないのか。
「当たるまで『もっとよく見て!』と視力検査をやり続けていた係員がいた……」
警察署で行われている免許更新を見た妻があんぐりして帰ってきたことがある。
そんな状況で自主返納を呼びかけたところで,誰が返すというのか。
クルマがなければ生活できない……実際どうかはともかく,みんなそう思っている。
錆と凹みだらけのカローラに乗っているような層は本当にそうなのだろう。
返納を勧められている免許でボロいクルマを走り回らせる程度の経済状況。
そんな人たちに「タクシーでも呼べばいいだろ」は酷だ。
バスはルートと時間が決まっているし,地方に多い後払い式のバスは妙に高い。
電車? 半分くらいの市区町村は通過すらしない。
さらに,こうした高齢化の波は旅客業にまで及んでいる。
タクシー乗り場をイメージしてもらえば分かるだろう。若手などいない。
バスはまだ若い人がいるイメージもあるが,都市部を離れればすぐ消える。
無論彼らが,返納勧告を受けるまで業務に携わることはない。定年がある。
が,若手がいないまま上が定年で抜けていくとどうなるかは言うまでもない。
そうして旅客業に穴が空いた結果,もっとも被害を被るのは誰か。
地方在住者である。それも吹けば飛ぶような旅客網しかないレベルの田舎の。
旅客業もビジネスだ。限られた戦力は都市部に投入した方が採算が取れる。
田舎のドライバーは,定年したらそれまで,補充はなかなかされない。
都市部の人員不足を補填するために地方から配置換えされることもある。
ついでに,一定より上の年齢の女性の免許取得率にも触れておこう。
分かる人は分かると思うが,取ったこともない人が思いの外いる。
実際に私の祖母は持っていないし,妻の母も祖母も取ったことがない。
運転なんてお転婆娘と思われていた時代だ。
そういった人たちが移動する時は,基本的に旦那の運転するクルマだ。
おわかりだろう。旦那に先立たれたら足が消滅する。
都市部だろうが自分の足を悪くしたらそれまで,地方なら何をかいわんやだ。
少し整理しよう。
高齢化が進む日本では,免許返納勧告レベルのドライバーが溢れ始めている。
しかし,免許を返納させたとして,今度は彼らの足の確保が問題になる。
タクシーを常用する程の金はないし,バスはルートも時間も固定で使い勝手が悪い。
そして,タクシーやバスを運転する人たちも少子高齢化で減少の一途だ。
「資金補助するから返納して」とも言えない状況が近づいている。
それに旦那が免許を返納したら,一蓮托生で足を失う人がいる。
さて,毎度ながら異常に長い前置きになったが,本題に入ろう。
私は,こういうところにこそ自動運転を投入し開発するべきだと思うのだ。
自分で運転できる連中に安楽を提供している場合ではない。
まずは自動運転バスから本格的に始めてみたらどうだろう。
一定ルートを周回するだけなら,自由に走り回るよりハードルは低い。
まして過疎化の進む市区町村なら,飛び出してくるのはタヌキくらいだ。
何かあったら人を呼べる車内電話も付けておけば不安も少ない。
そうした無人バスをそれなりの台数で走らせる。採算は地方においては無視でもよかろう。
自動運転バスに関するデータ取りのためと思えば投資でいいのではないだろうか。
物珍しさや興味で訪れる観光客も出るだろう。そうなれば地域活性化だ。
で,こうした無人公共交通の難点は何か(技術論はさておいて)。
皆さんは,ゆりかもめに乗ったことがあるだろうか。
ちなみに私はない(え)。ないが,動画などで見て「うわぁ」と思ったことがある。
無人なのだ。運転スペースすらないので,いかにも未来の乗り物といった雰囲気である。
が,これに抵抗がある人は少なくないのではないかと思う。
上手く言葉にできないがなんか不気味で嫌だ……公共交通でそれはまずい。
そこで,乗客とのコミュニケーションを賄うためのロボットを運転席に座らせておく。
それも,いかにも機械機械したのではなく,もっと柔らかい感じのを乗せておくのだ。
誰にでも受け入れられそうなキャラクターが運転席にいて,乗客への応答をする。
たまに乗客の方を向いたり,声をかけたりすれば,乗客も認識されていると感じて安心できる。
運転席である必要があるか?と思われるかもしれないが,雰囲気作りは大事だと思う。
ここまでやれば,しつこいようだが,観光客も呼べる。地方の生き残りに観光は大事だ。
こういった使い道があれば,最近とんと見なくなったゆるキャラの生きる道にもなるのではないか。
くまモンが運転席に座って運転しているバス。なんとなくファンシーだ。
……あ,あいつ喋れないんだっけ? じゃあ喋れるキャラ付けで新規に起こしてくれ。
ともかく。事業ともなればゆるキャラも真面目に考えて作られるだろう。
担当者の落書きから適当に生み出されて人知れず消えていくのではあまりに不憫だ。
自動運転と,コミュニケーションロボットと,ゆるキャラ。
これらを足せば,交通社会はもっと安全かつ豊かになると思うのだが。
最後に。
なんで唐突に「ぬいぐるみ乗せた自動運転バス」なんて言い出したかというと…。
まぁうっすら感づいている人もいるかもしれませんね。これです。
こんな感じで乗客の相手しながら運転してくれる自動運転インターフェイスとかいいなぁと。
かばんちゃんとサーバルちゃんが楽しく旅をできたのも,ラッキービーストが運転席にいてこそ。
困っている人たちを助けてこその科学なのです。