2月となり、それは突然やってきた。
寒波だ。
降雪に対してインフラも一般ピープルの心構えも整っていない関東南部において、
実に大打撃であったのは記憶に新しい。
それは我が身にも例外なく、降りかかってきた。
2月8日(土)、朝からそれなりに降っていた。
以前の記事の通り、東北入りのためスタッドレスを装備し、
かつ雪道走行経験があったのでいつも通り愛車で出勤した。
交通機関の乱れや不慣れなドライバーたちによる事故も考慮することにし、
多少早く出た。
道中は問題もなく、無事到着した。
↓職場到着時(なかなかな降りでございます)
業務を多少早く終え(職員の帰りの足がなくなる前に帰す配慮)、
横浜にある職場を出るときにはかなり降りが強くなってきた。
積雪も路上で10~15cm程度に達していた。
そこで、通常の通勤路(=内陸部:起伏多数)を避け、
高度変化の少ない中心市街地経由で迂回帰宅することとした。
↓桜木町(人影・交通量ともまばら)
↓神奈川県庁(キング)は雪でも絵になる
幹線道路においても除雪されない(車両がない?)横浜周辺において、
この帰宅方法は正解であった。
時間はかかったものの市境を超え、自宅付近まで無事到着できた。
しかしながらここからが最後の難関である。
結果から言ってしまえば、今回はこの難関を超えることができなかった。
最寄駅から自宅までの1.3kmで、標高約50mをのぼらねばならない。
1.0km地点に以前住んでいたアパートがあり、そこは30m。
そこから300mで20mものぼる、つまり急こう配が始まるのだ。
アパートまでは多少テールスライドさせながら難なくのぼってきた。
しかしその先はサマータイヤで挑むチャレンジャーもなく、ほぼ新雪の状態。
またなぜか今回は横浜より南部で温暖と思われる我が横須賀の方が積雪が激しかった。
20cm程度の新雪路、しかも急こう配に、スタッドレス装備とは言え
ロードクリアランス130mmの参号機で挑んだところで結果は見えていた。
オールストレートであれば話は別だが、2回曲がらなければならず、
新雪・勾配、そして失速によって勝因はもろくもそがれていき、
BMW得意(?)のDSC(ダイナミックスタビリティコントロール)の作動ランプが
ほぼ付きっぱなしの状態でのコントロールとなった。
その先の苦戦は想定していながらもまだ楽観視していた私は、
もがきながらもなんとか自宅前までたどり着いた。
↓とりあえずはここまで
さてここからが一苦労。
切り返して入庫せねばならない。
しかも車庫は新雪30cmと言ったところだ。
まずは入庫位置の除雪を始める。
道具はチリトリだ(福島時代からこれが一番使いやすい)。
10分程度で終えたあと、上昇→転回を試みる。
しかし愛機の咆哮虚しく、1570kgのボディは全く言うことを聞かない。
路線バスさえ運行停止となった閑静な住宅街によく響くバイエルンのエンジンサウンドは、
自治意識高く上品で気高いシチズンを吸い寄せるには十分だった。
ほとんどが初対面である。
最も新参者(2年)の私もそうだが、5~30年来の隣人もお互いをほとんど知らないながらも、
吹雪の中カメと化した蒼い亡霊☆参号機のために4家族9名が集結したのである。
無理やりスタックしておきながら他人事のような言い方になるが、
住環境が「良さそう」とは思っていたが、ここまで優しく協力的な隣人に囲まれて
生活できていることを改めて嬉しく思った。
そこから約1時間、掘ったり押したり引いたりを繰り返して入庫には至らなかったが、
なす術もない状況で実に心強かった。
感謝の言葉もない。
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翌朝は雪もやみ、晴天となった。
参号機はやむなく自宅前に路上駐車したまま一晩過ごさせた。
オーナーとして面目ない。
↓野宿させてごめん
↓このちょっとを入れられなかった
↓陸屋根で雪が落ちない我が家、とかわいそうな参号機
朝から除雪を始める。
↓まずは車庫から
結局車体下をすべて除雪しなければ満足に動かすことはできなかった。
加えて切り返し部分もクリアにする必要があり、3時間かかってようやく入庫することができた。
↓お帰り(T_T)
一安心していると、前日の家族たちが声をかけてくれた。
実に温かかった。
そして彼らを含む近隣住民たちの自治意識は素晴らしかった。
各自自宅前を除雪して、午後にはサマータイヤでも通行可能なほどになった
(もちろん私の自宅前も)。
雪国なら当然かもしれないが、雪がめったに降らない横須賀で、
高齢者が大半を占め、組織化もされていない人々が自発的に取り組んだのだ。
我が家のそばと比べて積雪が大したことなかった駅周辺の方が、
午後には相対的な路面状況が悪かったくらいだ。
困難な状況な時ほど実力が試される。
それはタイヤグリップやブレーキ性能などに限らず、
住民の意識レベルや行動力にも言えるようである。
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さて、固い話となったが、こうして週末は乗り切った。
が、翌週末にも寒波が再来し、ほぼ同じ状況に巻き込まれそうになった。
違っていたのは、14日(金)に降雪したので翌日(15日)は出勤せねばならず、
朝に3時間も除雪立往生していられないということだ。
前週の経験があったので、一旦は自宅までの帰還を試みたが同様に立ち往生した。
自宅手前300mのアパート脇に怪しい立て看板があったが、吹雪かれて読めない状況であった
(あとで歩いて通った時に「この先通行止め」であることを確認)。
そこで発想を変え、「外泊」させることにした。
自宅付近から最寄駅まではダウンヒルであるので、なんとか降下させて駅付近に移動し、
駅前の屋根付き駐車場にお世話になることにした。
この作戦は成功し、翌日愛車での出勤が可能となった(電車は全てストップしていた)。
定時前に職場に着くと、構内全域が積雪30cmで進入出来ず、
参号機を路上に放置したまま除雪にとりかかった。
ようやく出社した部下が重機で除雪を行い、放置を解消することができた。
仕事は開店休業状態であったが、公共交通機関がズタズタの中、
部下の75%が出勤したことは管理職として誇らしかった。
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今回の2回の週末で近所を悠々と走っていたのは、
自宅前交差点の除雪を手伝ってくれたご近所さんのパジェロイオと、
神奈川県警のレガシィB4パンダパトカーだけだった。
ご近所のインプレッサWRX STi(GD、おそらくサマータイヤ)もハマっていた。
アウディTTも不動だった(クワトロさんが歯が立たないなんて・・・)。
嫌がおうにもSUVを意識してしまい、アウトバックやXC70が気になってしまったが、
ここまでの積雪が続く地方ではない。
増して、参号機のFRのハンドリングと咆哮を捨ててまでする決断ではない。
今回は偶然動かねばならない理由があったが、できることであるなら
負けが分かり切った戦いは今後避けてあげたい、と愛機のために思う出来事であった。