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どうしても歩きに行きたくなって、母とふたりで、檜枝岐経由で秋の終わりの尾瀬へと向かった。
「最近足腰がつらいから、とても沼山峠を超えて沼までなんていけないわ」と拒んでいた母も、御池についたら「ここまで来たら歩かきゃ！」と元気よく方針転換してくれたので、尾瀬沼まで往復してきた。

この日は2019年最後の日で、翌日から登山ルートは閉鎖される。
御池から沼山峠まで低公害バスに乗ると、左手に広大なブナ林を見下ろす格好になる。
例年ならばこの時期のブナは裸になっているということだが、落葉しきっておらず、一面茶色で、美しかった。

黄金色のカラマツを見るには時期的に遅すぎるので諦めていたけれど、尾瀬沼周辺には少し残っていた。
ビジターセンターは冬支度真っ最中。
それぞれの山小屋は窓という窓を板張りして、雪に備えていた。

上野広小路の一風堂で夕飯を済ませた。
数日前に、五反田の一風堂の目の前を通ったから、その味がふと気になったの。
五反田店は、閉店して跡形もなくなっていた。

社会人なりたての頃。
新卒入社したベンチャー企業の上司たちと、その五反田店によく通っていたのです。

いつも、飲んだ後の3店目だった。
一緒に通った、直属のサブリーダー・その上のリーダー・その上の部長は、みんな30代の超美人な女性。

1〜2店目の話題は、ワクワクするようなビジネスの話ばかりだった。新しい技術のこと。マネジメント論。世の中にないものを、打ち出そうとか。会社を大きくするには何が足りないか、とか。
上司も部下もなく、フラットだった。今の会社とは全然違う。

一風堂に着く頃には、上司たちはすっかり酔って、プライベートの話題に移っていた。
たいていは恋の話。しかも内容グダグダ。修羅場とか。ビール片手に、まるでオヤジのように。

今なら、こんなところで話すことかしら、と思うんだけど(笑)