先日、十数年ぶりに二人の友人にあった。
落ち合う場所も十数年ぶりだったので
早めに着いて、ちょっと辺りをぶらり。
やっぱりだいぶ変わっちゃったなあ。
こんなに画にならない所だったかなあ。
でも、街の構造みたいなものは、ふとしたところに残っていて
そこから微かに懐かしさが漂う。
枝葉は変わっても、幹は残ってる。
その幹から、麝香みたいに記憶の香りがたつ。
友人たちは、それこそ枝葉は枯れはじめてたけど
幹は変わってないので、すぐに昔話しの続きができた。
近況報告と、昔話の続きと、少しの自慢を
順番に交互に繰り返す。
ただ、あれですね、モノの名前がすぐに出てこなくなった。
「あれ、ほら、あれって、何だ。あのー…、例のやつ」
とか言って、誰かがフォローしてくれるのを待つ。
いまは誰かがフォローしてくれるけど、そのうち全員が
フォローできない場に臨むんだろう。
みんなで「ほら、あれ、あの…」って言ってる場。ちょっと不安。
居酒屋のメニュー表を見る時も、ふと気を許すと
みんな、遠ざけてみてる。
老人力だなあ。
こうして細かな老人力が付いてきたのを実感するたびに
すこし恐ろしくなることがある。
この、目の当たりにしている現実は、ほんとうに現実なんでしょうか。
実はとっくにもっと巨大な老人力が付いちゃってて
脳内の出来事を、現実だと思い込んでるだけで
実体は、ベッドの上にいたりするんじゃないのかな。
実はもうとっくに90才とか100才になっていて
若いころの気分でいたりしないでしょうか。
時折見る悪夢が実は現実で、惰性で暮らしているこの日々は
みんな痴呆の夢のなかだったりして。
「いや、きちんと日々は連続してるから」とか
「つじつまが合ってるから」とか反論したくなるけれど
そんなのは、そう思い込んでいるだけかも知れない。
なんて、ちょっと老けた友人たちと別れた帰り道、そんなことを想った。
まあ、でも、だからといってどうしようもないんだけど。
よしんばこの現実が痴呆の夢だったとしても
少なくとも悪夢ではないので、しばらくは目覚めなくてもいいです。
もし、現実の世界で、寝たきりの私を介護している人がいるのなら
お詫びを申し上げるほかございません。
ご迷惑をお掛けしております。
でも、臥床のわたしを介護しているその現実は
あなたの痴呆の夢かもしれません。
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友を待つ The Rolling Stones
Posted at 2015/01/25 08:22:50 | |
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