今年度の自動車業界での話題の一つに燃料電池車が挙げられると思う。
これには、いろいろな意見、感想、思惑等を持っている人がいると思う。というわけで、私の思うところをつらつらとだらだらと書いてみる。
●トヨタ ミライ
ちょっと珍しい(?)ラリー仕様。
このデザインに”未来”感じますか?私は全く感じません。。。
なんか
ボテッとしてかっこよくない。最初に見たとき、思い浮かんだのは上半分は180SX。20年も”過去”のクルマをイメージさせる、それは未来を感じさせるものとは程遠いかと。
そして、なんにしてもダサい!っていうか、ディテールは20年前の”未来のクルマ”という感じ?
しかしまぁ、プリウスといいミライといい、”ボテッとした形”が未来的だとトヨタ自動車が考えているのだとすれば、「ブレずにまっすぐ」なデザインでよいと評価することもできるかもしれませんww
「ブレない」って聞くと本田翼ちゃんを思い浮かべるのは私だけでしょうか?
私の個人的感想です。あくまで。
●「究極のエコカー」?
燃料電池車は、走行中には水しか出さない「究極のエコカー」と言われています。
EVは水すら出さないと思うがww
それより、そもそもざっくりいえばEVに燃料電池+水素タンクをくっつけてバッテリーを少なくすれば燃料電池車となります。バッテリーを少なくできる分だけEVよりエコってことになるんでしょうか。燃料電池という装置、水素タンク、その配管、それらはみなエコなんでしょうか?よくわかりませんが。。。
ちなみに製造には大量の貴金属を使用するため、けっしてエコノミーではありません。
●燃料電池車の導入
私はなぜトヨタがミライをこのタイミングで出したのかわからない。本気で燃料電池車を普及させたいならそれは間違いと思えるし、むしろ潰したいのか!?とすら思える横暴な策に見える。
本気で普及させたいなら、バス、タクシー、トラック(大手もしくは役場系)から始めるのが王道だろう。特に、バスは発進停止が多くモーター駆動のメリットを享受できるし、タクシーならEVでは1日の走行距離にたらなくてもFCVなら心配がいらない、など向いている。そして、バスの待機場やタクシーの営業所など限られた場所にスタンドを建てればとりあえず運用できる。さらに言えば、それらの車両の燃料消費はある程度計算できるので余剰をあまり必要とせず、その分生産も減らせる。導入期のインフラの負担・心配が少なくて済む。素人でもちょっと考えればすぐわかる。
ちなみに2005年の愛知万博では燃料電池バスがお客さんを乗せて一般公道を走行しており(もちろんナンバーつき)、バスでやるのが困難というものではないだろう。
それを今浸透させにくい一般向け乗用車でわざわざ展開し、インフラ整備にはほとんど国が贈与するような補助、メンテナンスはほとんど国営かと思うような補助、車両には普通の車が1台買える補助。そして、燃料価格には建設コストやメンテナンスコストが上乗せされるどころか、現在の水素価格の3分の2程度の採算度外視の戦略価格。尋常でない。少なくとも、平等な競争などというものが成立しないやり方だ。そんな導入の仕方、絶対に間違っていると思う。
もし、バスやタクシーでは目立たない、乗用車のほうがインパクトがあるなどというエゴ丸出しなくだらない理由だとしたら、そんなエゴのためにキチガイじみた額の税金を投入するなんて気が狂っている。
●メディアやジャーナリストによる記事/報道
まぁ2・3割は状況を冷静に伝えていると思うが、やはり残りの多くはおべんちゃら記事である。そしておべんちゃら記事の著者は燃料電池車がどういうものなのかわかっていないとしか思えないアホなことを書いている。例えば、その走り味について徹底的に褒め称えていますが、その内容はよく見るとほぼすべてEVにも当てはまるものだったり。そりゃ、モーター走行なのは同じですからね。酷いのになると、そのうえでEVをディスってFCVを持ち上げてたり。
そして、まぁ比較ってわかりやすいベクトルなんで皆さん比較されるわけですが・・・
(ガソリン)エンジンとの比較、EVとの比較、HVとの比較
の記事は見かけます。でもPHEVとの比較は見かけた覚えがないですね。まぁそこはいいのですが、、なぜか、レンジエクステンダータイプのEVとの比較を見かけません。それはなぜでしょうか?不思議です。
簡単に燃料電池車をみると、水素と酸素から電気を作り出す「燃料電池」とモーターを使って走る車です。ざっくり言えば、「燃料電池」を「エンジン」に置き換えれば、レンジエクステンダーとなります。こんなに構造的に酷似しているものなのに、比較対象にならないなんてどう考えても変。
ま、”どういうものなのかわかってない”人にはできないでしょうけどww わかっててやらない人たちには作為的なものを感じてしまいます。
●水素について
水素。燃料電池車の肝の一つですね。
水素は掘れば出てくるものではないので、作らなくてはなりません。皆さんご存知の通り水から作れます。他にも石油からとかいろいろなものから作れます。
しかし、これらの方法で作り出すには、エネルギーが必要です。エネルギーの効率の良さなどを考える場合は、このエネルギーを引き算しないと辻褄が合いません。また、二酸化炭素を含め有害物質を排出する可能性もあります。それらも考える必要があります。
また、製鉄所などの工場で発生したガスで水素を含んでいるものから不純物を取り除いて利用するといったやり方もあるようです。コストやエネルギー効率面からはこれが有力として検討中のようです。
作ったものは輸送しないと使えませんね。
ガソリンや軽油の場合は、タンクローリーにどっさり入れて運べます。常温で液体ですので扱いも難しくありません。それに対し、水素は気体で運ぶことになります。液体にするには・・・-260℃にしなきゃなりませんのでエネルギーが必要過ぎてNG。たくさん運ぶには高圧で運ばなくてはなりません。またタンクに出し入れするのも液体のように簡単には行かず、コストがかかるらしい。
ちなみに高圧で運ぶ必要がある→タンク車は頑丈にする必要がある→重くなる→タンク車自体の燃費が悪くなる→輸送コストが高くなる、という楽しい公式も待っています。
そしてスタンド。
設備費、メンテナンス費はいっぱい報道されていますね。
しかし、スタンドのタンクから車のタンクに充填するだけで、キロあたりいくらというコストが実際にはかかるという。ソースを失念してしまったがとある試算では、充填にかかるコスト(もちろん水素代は含まず)はガソリン換算するとリッターあたり100円程度ではないかという。輸送タンクからスタンドのタンク、スタンドのタンクから車両のタンク、合わせるとガソリン換算リッター200円程度ということ。
そしてそれらの大半は税金で!
インフラ整備云々という話はされていますが、インフラが整うだけではまだまだ成立しない課題が山積してます。補助金無しで自然な市場競争原理で成り立つのは原子力以上に無理難題と感じます。ぶっちゃけ。
所詮は、選択肢の一つが増えたに過ぎず、その選択肢にしたところでメリットもデメリットもあり、(というより後発ゆえに環境的にビハインドだらけ)これからだと。しかも、メリットを増やしたり伸ばしたりできなかったりデメリットを潰し込めなければ成立しないで淘汰されるレベルにある。
しかし、今、これを自然淘汰に任せず、民間企業から政治への介入という形で(←否定するでしょうけど)デメリット潰し・環境整備をおこなおうとしている。散々散財した挙句失敗に終わりましたという将来が目に見える。。。
一国民として怒りを通り越して諦めている。。。
そんなお金が大量にあって自動車業界の未来のために使おうというのなら、ぜひ全国のコンビニとショッピングセンターにEV充電スタンドを!
まぁホントにそんなお金があるなら東北に集中投下するのが情けを持った人間の行いかと思いますけどね。
そして、FCVにしてもEVにしてもそうなのだが、なぜ「適材適所」という発想は出てこないのだろう?
EVは『航続距離がーー』っていうなら、航続距離をデメリットとして捉え、そのデメリットを無視でき、メリットを活かせるシチュエーションでのみ利用すればいいじゃない。むしろ、航続距離は不要な人にとって過剰な航続距離のために無駄な大きさに不満だったとか無駄なエネルギー代に不満だった人にいい選択肢が生まれますよね。
また、コンビニに1つくらいの規模で充電スタンドが普及し、車両も継ぎ足し充電に強くなれば、適度に走って充電休憩しながら長距離もこなせるようになるかもしれません。
で、FCVの適材適所って・・・なんか全てレンジエクステンダーでいいじゃんっていう結論に行き着く気がしてならない。水素に対する安全不安、供給不安、経済性(高コスト)・・・
で、こんだけディスっておいて一度乗ってみたかったりします(笑)
水素タンク爆発したらどうしよう?ワクワク ←気が狂った