突然ですが、ニュースでやっていた気になる話題。
2016年1月15日、長野県北佐久郡軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで、定員45人の大型観光バスがガードレールをなぎ倒して道路脇に転落した交通事故。
この事故により、乗員・乗客41人(運転手2人、乗客39人)中15人が死亡(うち乗員は2人とも死亡)、生存者も全員が負傷する事態となりました。
その初公判が、昨日(2021年10月21日)行われました。
事故現場にはタイヤ痕、ブレーキ痕というよりはスリップ痕。
総重量15tもあるバスには、ガードレールも無意味です。
このバス、私の会社の近所になる羽村市のバス会社でした。
営業区域外を発着地に大型バスで運行したり、法律的にアウトな会社だったようです。
また、運転手も入社1週間。
健康診断も適性診断も無しのままでの運行でした。
この事故が起きた時期は、格安バスツアーとか格安高速バスというのが流行っていました。
安く!もっと安く!!
これを繰り返した結果、、、乗務員をツーマン運行からワンマン運行にしてみたり。
こういった新人さんでも、すぐに乗車勤務させる。
死者15人の中に、運転手も含まれています。
交代運転手も乗車していましたが、そちらの方も死亡してしまいました。
一瞬で15人の命が奪われました。
この事故、、、忘れもしません。
これが、引き上げられた後の車両の姿。
これでは、、、助かった人がいたってだけで奇跡にも思えます。
このバスですが、碓氷バイパスの入山峠を下っておりました。
この時、カメラに映る車両は落ち着いているように見えました。
しかし、44.4kp。
先程の入山峠辺りから1km程しか離れていない時点で、テールランプの残像しか残らないくらいの猛スピードでカメラに映ります。
そして、オーバースピードによるセンターラインのはみ出しも確認できました。
このままのスピードで次の右カーブを曲がり、すぐに左カーブ、、、
挙動も限界の様子ですし、まず無謀です。
いろんな可能性が考えられます。
運転手の調子が悪くなった&居眠り?
バタ足ブレーキでエアが無くなり、ブレーキが効かなくなった?
転覆した先には土砂と木があり、フロントには土砂、屋根部分に木が接触。
車体が大きく歪み潰れました。
衝突時のスピードは90km/h以上と推測されています。
私もバス運転手なので、峠道の走り方も心得ております。
バスを含む大型車は、ほぼ全車にエアブレーキを使用しています。
エア圧でブレーキをかけるのですが、それらの為にエアタンクが存在します。
そんな構造でバタ足(ブレーキを掛けたり抜いたりを繰り返す)すると、エアが空になってブレーキが効かなくなります。
私のバスももちろんエアブレーキ。
エア圧計が、フロントとリアで装備されています。
車両が古いので、若干のエア漏れもあったかも。
(エア漏れしてる車両、結構います)
技量不足であった事も否めません。
、、、そんな事故からすぐ。
事故現場には、慰霊碑が建設されました。
慰霊碑には被害者の方々の名前や年齢。
注目すべきは年齢、皆様20歳前後。
あ、ちなみに。
碓氷バイパスとは、碓氷峠のバイパスとして建設された道路です。
碓氷峠といえば、、、なんとかDのシルエイティが有名だったり、、、
眼鏡橋があったり、割と有名な場所ですね。
この初公判で、会社側は無罪を主張。
『事故を予測できなかった』
、、、予測しようとしなかった、の間違いでしょ。
バスやタクシーの規制緩和により、こういった会社の新規参入が相次ぎ。
悪い会社がたくさんいましたね、この時期は。
バスは中古車を買い集めて、大型二種免許さえあれば即採用&即乗車なんて話も良く聞きました。
このままでは、亡くなった方や遺族の方々はいつまでも浮かばれません。
、、、
、、、
バス事故でいえば、こちらも強く記憶に残っています。
2012年4月29日に群馬県にある関越自動車道の藤岡JCT起きた、高速バスの事故です。
見ての通り、バスは原型を留めていません。
原因は、、、運転手の居眠りでした。
この事故で、7人の方が亡くなってしまいました。
この事故の形としては、、、
運転手が居眠りをしながらJCTを通過しようとするも、、、
ガードレールと防護壁の境目に衝突。
そのまま、バスを真っ二つに切断するように。
側壁がバスに食い込みました。
高速道路の外から見た写真です。
バスの側面だけが、道路の外に出てしまっているという不思議な光景。
この防護壁はバスに10.5m食い込んだそうで、スピードは90km/h以上と推測されています。
(大型バスの長さは12mです)
上から見た写真です。
バスってこんなんなっちゃうもんなんだな、、、と、ア然とした記憶があります。
このバスは、石川県と富山県を出発して新宿駅と東京駅を経由した後、東京ディズニーランドに向かう予定でした。
ディズニーランドという、夢の国へ行くバスが、、、一瞬にして地獄絵図です。
ニュースの中には、殺人ツアーバスなんて報じたところもありました。
肩から上を血に染めた女性や、顔面を強打し歯を折った若者。
長女とディズニーランドに向かう途中で事故に遭い、大破したバスから長女を脱出させると息絶えた父。
看護師になりたかった17歳、、、家で待つご両親は『ウエディングドレス姿も看護服姿も見る事は叶わなかった』と、涙を流したそうです。
ただの居眠り、と片付けてはいけません。
居眠りの原因は、間違いなく過労です。
杜撰な管理をする会社だけが悪いのか?
1番の悪者は、これを管理していた会社にあるのは間違いありません。
しかしながら、それを許した運転手や利用者にも、、、
少なからず原因があると思います。
このバスは、東京ディズニーランドまでの料金をJRバスの半額近くで運行していました。
普通に考えれば、まともに運行できるわけが無いのです。。。
今は規制が厳しくなり、ツーマン運行や時間管理が徹底されていますが。。。
もっと早く、そうなっていれば。
救えた命があったかもしれません。
、、、
、、、
と、私が12m乗りなので観光や高速バスの話になりましたが、、、
別の形で皆さんに身近なバス、路線バス。
その中でも記憶に新しいのは、私の地元付近を走る会社の事故。
2020年11月5日の事故になります。
バス停で降りたご老人が、直後にバス前を横断。
バスは気付かず、そのご老人を轢くように発進。
ご老人はバスの下敷きになり、お亡くなりになられました。
路線バスは時間に追われており、すぐにでも発進したい気持ちが強いです。
公共の乗り物という事もあり、時間にシビア。
この事を理解した上で、我々利用者も気をつける必要があります。
しかし、何を言っても安全確認を怠ってしまった運転手の責任なのは間違いなく。。。
、、、
、、、
私は特定バス、観光バスのドライバーです。
私のメインは特定バスといえど、時間にはまぁまぁシビアな部分があります。
渋滞にはまったり、普段つかまらない信号につかまったりすると、後ろの客席から舌打ちをされる事も(笑)
それでも、私はバスの運転手である前に。
一家の主、嫁の旦那であり、帰る場所があります。
無事に生きて帰れるように、誰かを泣かさないように。
そう考えて、今日も安全運転で運行しております。
最近、帰りが遅かったり疲れたりで漫然運転になりそうな時は、、、
こんな写真を飾ったりしています。
嫁さんの小さい頃の写真(笑)
この手法は、長距離トラックをやっていた時に会社が推進していた方法。
家族の写真を運転席に飾る、です。
家族の為に、この気持ちを前に出す事で安全運転ができる。
安い給料で働くバス運転手。
それでも、安全運転をしなくて良い理由にはなりませんから。
運転手レベルで防げるものは、できるだけ行っていく。
これが大切だと思っています。
、、、
さてさて、長くなりました。
最初の話題になりますが、注目のスキーツアーバスの事故。
その後の動きに目が離せません。
同じバスの話題となれば、尚更ですね。
今回は、スキーツアーバス事故の初公判にちなんで。
自己啓発として書いてみました。