おひさしぶりです。この間、色々なことがありました。
訳あってロードスターは降りることになりました。また、大阪市内のアパートを引き払って吹田の実家へ撤収。ここはJRの最寄り駅まで大人の足で20分以上かかります。近くにバスの停留所はありますが、朝夕の通勤ラッシュ時に1時間あたり1〜2本。昼間と土日は走っていません。もともと私は「待たねばならない」「待っていてくれない」のが嫌で、公共交通機関を利用することはあまりありませんでした。今回も自前の足を調達しようと、今の免許で運転できる50のバイクを購入することに決定。
50には学生時代乗っていたのですが、30km/h制限や3車線交差点での2段階右折など、公道を一人前に走れない歯がゆさと危なさは身にしみています。これを機に自動二輪免許(小型)の取得を決意。
まずはF-X選定。
学生時代に乗っていたのは初代SPACY。当時は珍しかった4stエンジンのスクーター(他にはタクト・シリーズに設定があっただけ)です。周りのスクーターが2stエンジンの「びぃぃ〜〜ん」という排気音を響かせる中、「しゅとととと…」という音が特徴的でした(今では周りもこの音だらけです(^^;)。燃費もよかったんではなかったかな。具体的な数字はもう覚えていません(^^;。
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※4st(ストローク)エンジン:2回転に1回爆発する仕組みで、構造が複雑で重く、パワーが出しにくい代わりに排ガスをきれいにしやすい。現在の国内向け2輪・4輪のエンジンはほぼ全てがこれ。
※2st(ストローク)エンジン:1回転に1回爆発する仕組みで、構造は簡単で軽く、パワーは出しやすい代わりに排ガスをきれいにするのが難しい。これが理由で現在の国内向け2輪・4輪ではほぼ絶滅状態。
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ちょうど60km/h(自主?)規制直後の話で、70km/hまで出せる規制前のモデルが残っていました。駆動系はその頃から現在までスクーターでは主流の無段変速ではなく、2段変速。馬力の数字は(おそらくトルクも)低めで、駆動系の違いもあるのでしょう、信号スタートでは2stスクーターに置いていかれました。
耐久性には定評のあるスーパーカブゆずりのエンジンを積んでいるだけあって、5年間で4万km超走ってくれました。当時主流だった2stスクーターは「1万kmもたない」と言われ、実際にそのころよく見かけたヤマハJOGの走行距離計は千の位までしかなかったものです。SPACYの距離計には万の位がありました。
ひと回り大きな車体のおかげか、周りが80km/hで巡航する幹線道路を目一杯で走っている時、白バイに抜かれたことも1度ではありませんでした(今考えるとナンバープレートの色で簡単に区別できるはずですが…白・黄・ピンクのナンバー区分はいつからなのでしょう)。
そんな頃、先輩の乗っていたスズキRG50Eを運転させてもらい、MTバイクの面白さも知りました。
さて、話は2015年に Back to the Future(余談ですが今年は映画BTFで描かれた「未来」に相当するそうです。感無量)、F-X選定。
無段変速のスクーターには乗る気がしない。ここは折り紙付きの耐久性、広大な荷台、手動(正しくは足動)変速機、これらを兼ね備えたスーパーカブ50しかないでしょう!
しかし近年、バイクは生産拠点の海外移転が進み、スーパーカブもその例に漏れません。現行型から中国での生産となり、その製造品質や耐久性には疑問符が盛んにつけられる状態だそうです。もはや「スーパーカブの伝説」は過去のものなのだろうか…。
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スーパーカブにまつわる耐久性伝説
走行可能な距離について、何十万km走れるものか「想像がつかない」とホンダがコメント(もちろん適切な整備が前提でしょう)。
エンジンオイルの代わりにてんぷら油や灯油を入れても走る、という噂について「公式に実験や確認は行っていないが、おそらく事実である」とホンダがコメント
ディスカバリーチャンネルの番組で検証を行った際、エンジンオイルの代わりにハンバーガーショップで使用済の料理油を入れ、スイカやピザを山ほど積んだがトラブルなく街中(まちなか)を走った(ごく短時間限定のことでしょう)。
その際、ビルの屋上から投げ落とした後でもエンジンがかかった(何階から落としたのか、走行可能だったかは不明)
いずれもWikipedia「スーパーカブ・耐久性」の項より
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どこかのバイク屋となじみがあるわけでもないので、安心を求めてホンダ・ドリーム系列の店舗へ。敢えて新車ではなく、走行実績のある中古車をしっかり点検・整備してもらうことにします。新車より安いし(^^;。
ドリーム店は系列展開している店舗同士で在庫の融通も利くので、程度のいい中古車もすぐ見つかりました。やって来たのは現行スーパーカブ50、ベージュ。走行約7,100km。
カブ(cub)はライオン・クマなどの幼獣のこと。メジャーリーグ球団の Chicago Cubs は子熊をマスコットにしている(確か、福留選手が入団する時ぬいぐるみを抱いていたような)ので、新しい相棒は「超・子熊」と命名。
納車は2015年7月6日。これで自由に動き回れます。もちろん、自動車学校へも(^^)。
超・子熊
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※卒業すれば運転免許試験場での実技試験が免除されるところを「自動車学校」、免除されずに実技試験を受けなければならないところを「自動車教習所」と呼んで区別するようです。
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自動車学校へ申し込む前に色々調べたのですが、昔とは免許制度が変わっているのですねえ。昔は「自動二輪免許」に「小型(125cc未満)」「中型(400cc未満)」という限定がついていました。400cc以上のバイクに乗るにはその限定を外す「限定解除」を行う必要がありました。
私が二輪から離れている間に二輪免許にも「AT限定」が加わりました。免許自体も「普通自動二輪免許(400cc未満)」と「大型自動二輪免許(400cc以上)」に分かれていました。
つまり、400cc未満しか乗れない免許で400cc以上のバイクを運転すると、昔なら「限定違反」です。しかし今では「無免許運転」になってしまうのです。当然、無免許の方が罰則は重くなります(「400」という表示で販売されているバイクのエンジン排気量は、たいてい400cc未満です)。
そういえばこの免許制度になった時、ニュースでは「ナナハン免許」と言っていました。当時は国内2輪メーカーの国内向けモデルは基本的に750が上限だったので、こういうよばれ方だったのです。しかし私は話を中途半端に聞いていたため、
「『大型二輪免許』では750までしか運転できない、もっと大きなバイクを運転するためには『大型という限定』を解除しなければならない」
と思い込んでいました(^^;。
さて、私はいまのところ、そんな大きなバイクに用はありません。250cc以上になると車検が必要だし、新車価格も125クラス→250クラス→400クラスでほぼ2倍ずつに上がっていきます。自分の行動範囲を勘案すれば、125cc未満の自動二輪免許(小型限定)で十分。高速に乗れない(125cc以上が高速に乗れる)のはちょっと不便だけれど、50への縛りが解けるだけでよしとします。125クラスで高速使わずに1,000km超のツーリングしてる人だっているんだし。
もうひとつは経済性。単純にエンジンが小さければ燃費がいい。つまり、燃費だけを考えると(50>)125クラス>250クラス>400クラスとなる可能性が高いのです。
経済性で忘れるわけにはいかないのが保険料。ここまでお読みいただいて、なぜ私が「原付(原動機付自転車)」と言う言葉を使わずに50と繰り返すのか、疑問に思われた方もいるでしょう(実際に何度か、「原付」とつい書いてしまっては50に訂正しました)。これには免許のカテゴリとはまた違った、任意保険での区分が絡んでいます。
任意保険では50cc未満を原付一種、125cc未満を原付二種とひとつにまとめて、125cc以上の自動二輪と区別します。つまり50cc未満用に契約した任意保険を125cc未満用に変更することはできますが、125cc以上になると別の保険として新規に契約しなければなりません。また、これは今の私には関係ありませんが、四輪を持っていて保険を契約していた場合、125cc未満(つまり50cc未満も含む)であれば、新たにバイク用に保険を契約しなくても四輪用の保険に「ファミリーバイク特約」を追加すればカバーできます。この方がトータルの保険料は安く上がります。
免許と保険で区分に違いがあるのは、別々の法律でこれを定めているからです。原動機付自転車(50cc未満)・小型自動二輪(50cc以上125cc未満)という区分は道路交通法。第一種原動機付自転車(50cc未満)・第二種原動機付自転車(50cc以上125cc未満)という区分は道路運送車両法によるのだそうです。つまり「原付」というと場合によって125cc未満も含むことになるのです。
しかし、運転免許試験場へ行って「原付二種の免許」というと、係の人は「えっ?原付で二種免許(タクシーなど営業運転用の免許)?」と面食らった様子でした。運転免許試験場では「小型二輪」あるいは「自動二輪(小型限定)」と言いましょう(^^;。
私たちのような素人はともかく、プロでも混乱するような法律用語はさっさと整理してもらいたいものです。
さて、ここ最近はバイクの経済性・簡便性に心惹かれてもいたので、職場のバイク乗りに免許について教えてもらったりもしていました。
「四輪の免許持ってたら学科はほぼ免除やし、3日も通えば取れるで」とか「奥さんを日曜日1日行かせて、小型二輪の免許取らせたって聞いたで」なんて話を聞いて、かなり気楽な気分で電話をかけました。ま、確かに免許を何も持たずに取りに行くよりは楽なんですが、そこまで甘い話でもなかった(^^;。
「普通免許(四輪の免許)をお持ちの方が小型二輪免許(AT限定)をお取りになる場合、学科2時間・実技8時間を受けていただいて、その後卒業検定を受けていただきます。運転免許試験場での学科試験は免除されるので、適性検査だけ受ければ新しい免許証が発行されます」
「実技は1日あたり最大2時間までです」
…どう考えても4日以上かかるやんorz
しかも、小型二輪に関してはAT限定しか教習を実施していない自動車学校があるのです。
「教習に使える小型MTバイクが販売されていなかったため、教習車の補充ができないので募集を停止していました」
「最近、1車種だけ発売されたので、それを購入して再開する自動車学校もあるでしょうが、受講希望者自体も減っていますから当校ではその予定はありません」
なんでも、販売されているバイクから、小型・中型・大型のAT/MTに対してそれぞれひとつだけを、都道府県の公安委員会が指定するのだそうです。「各メーカーひとつずつ」ではなく「1車種だけ」。理由は自動車学校での実技教習に使う車両と運転免許試験場での実技試験で使う車両を、同じにするためだとか。
何だか「大人の事情」が透けて見えそうな話です(^^;。
大人の事情はさておき、カブに乗りたい私はどうすりゃいいんだorz やっぱり、普通自動二輪免許(小型限定もAT限定もなし)を取らなきゃならんのか(^^;。
「ご安心ください。カブはAT限定で運転できます」
「えっ」
4輪ではトランスミッション(MT/AT の "T")がマニュアル(MT の "M")に準ずるものであっても、クラッチペダルがなければ(ペダルがアクセル・ブレーキの2つであれば)AT限定免許で運転できます。それと同様にバイクでは、変速操作が必要であっても、左手のクラッチレバーがなければAT限定免許で運転できるのだそうです。
ほとんどのスクーター(ATバイク)は変速の操作が必要なく、自転車のように前ブレーキは右手レバーで、後ブレーキは左手レバーで操作します。MTバイクは大抵、左足でペダルを操作して変速します。後ブレーキは右足ペダルです。右手レバーが前ブレーキはスクーターと同じですが、左手レバーはクラッチの操作です。
カブの場合、足はMTバイクと同じ。しかしクラッチは自動で切れたり繋がったりする(つまり基本的にエンストは無い)ので、左手側にはレバーがついていません(右手レバーで前ブレーキを操作するのは全てのバイクで同じ)。
一説には「そば屋の配達が岡持を左手で持って走れるように、右手と両足で運転できるように作ってある。だからウィンカーのスイッチも最近までは右手側についていた(現行型は左手ウィンカー)」とか。
ATなのかATじゃないのか。この区分もありがたいんだかややこしいんだかよくわからん話だ(^^;。
というわけでいちばん値段が安くて期間が短い、「自動二輪(小型・AT限定)」コースを受講することに決定。
入所は8/15(土)、お盆の真っ最中。自動車学校自体は日曜でもやっています。仕事しながら通う人も多いのでしょう。ご苦労様です。
暑い盛りに屋外で太陽に照らされながらの実技教習は、1時間でも結構キツイものです。おまけに長袖・軍手必須。その上にヘルメットはもちろん、胴体・肩・ひじ・ひざをカバーするプロテクターをつけます。車内でエアコンの効く4輪とは訳が違う。「1日2時間+卒業検定、5日で卒業」のもくろみは早くも崩れ去りますorz
それでもどうにか9/1に卒業検定合格(延長・不合格はなし)、9/8に試験場へ行って免許取得。
狙いはホンダのスーパーカブ110。
そう、カブの「原付二種」に相当する車種は、排気量表示が125ではありません。他の多くの原付二種は125表示(実際は124ccとか)なのですが、カブとそのエンジンを流用しているバイクは違うのです。54ccから現行の109ccまで、時代を追って拡大してきています。しかしまだ125表示ではありません。
ある意味、これも「伝説の耐久性」に寄与してきた一面なのかもしれません。排気量が大きくなれば爆発で発生する力も大きくなります。それは性能向上に直結しますが、基本設計が同じなら長い目で見た時の壊れやすさにも繋がりますから。
中国製ということで信頼性に疑いの目を向けられている現行のスーパーカブですが、私の「超・子熊」は約2ヶ月でほぼ1,000kmをトラブルなしで走ってくれました。調子のバロメーターである燃費も、5回の給油でおおむね70km/L前後(1回約¥500!)と安定しています。私は決して経済走行に徹していたわけではありませんから、納得の数値です。カタログデータは110km/Lですが、これは30km/hで平地をまっすぐ走った場合を想定した理論値。実燃費とは大きな開きがあります。
すでに手放しがたい愛着が沸き始めている「超・子熊」ですが、マンションの共用駐輪場に2台置けるスペースはありません。
駐輪場はあって駐輪登録を受け付けているものの、実情は紳士的な早い者勝ちです。個別にスペースを割り当てられるわけではありません。お盆には帰省者か外来者と思われるバイクが私が停めている屋根付きスペースに入り込み、超・子熊は野ざらしのスペースで一夜を過ごしたこともあるくらい。腸(はらわた)が煮えくり返って、盗難防止用に使っているワイヤーロックで固定してやろうかと思いました(実際にはやってません(^^;)。
あ、私が停める前、そこは1ヶ月以上空きスペースでしたよ(^^;。
カブ50購入時に点検・整備で信頼できることがわかっているドリーム店に再度注文。50の下取り価格にも他店より色をつけてくれました。
今度は新車です。自分の中華カブ50に不調がなかったこと。そしてドリームの看板を信頼して。あるメカニックから、「タイ製カブも中華カブも信頼性に差はない」と聞いたこと。
現行スーパーカブはすでに述べた通り中国で生産されています。しかしカブはタイやベトナムでも生産の実績があり、ベトナムでは「ホンダ」という言葉がバイクの意味で使われる(例えば「ヤマハ製のホンダ」とか)ほど普及しています。先代スーパーカブも組立は日本の熊本でしたが、部品は主にタイ製のものを使用していました。
また、タイ・ベトナム仕様のカブも並行輸入で入ってきています。特に日本向けモデル中国生産が始まってからの信頼性に関する噂を背景に、タイ製のカブは評価が高まっていました。124.5ccのモデルがラインナップされていることもあり、魅力を感じて検討していたのです。
しかし「タイ製なら何でもいい」かというとそういうわけではないようです。ホンダの他のモデルでタイ生産が始まって間がないものは、品質面でよくない噂を聞きます。それを考えると、中国生産品の品質も時間が経てば落ち着くのかなとは思っていました。
そんなおりのタイ製・中華カブ両方を知るメカニックからの情報。このところの円安傾向でタイ製の値段が上がっていること。部品の供給体制に不安があること(日本のホンダはタイ製カブに関して保証・サポートをしません)。そんなことから日本国内向けモデルを選びました。
「超・子熊2号機」、納車は9/17。(つづく)