
【ジェットニードル機能を追記しました】
いじるたびに「今までで一番快調」「まるで別物」などと書いているので、信憑性に欠けると思われるかもしれませんが(笑)、
先日の吹け上がりの印象を基に、再度ジェットニードルの高さを調整してみたところ、
ほぼ狙った通りの変化、過去最高の調子が得られました。
タイトル写真は、随時調整を加えている各部の設定・仕様をメモして貼ってある様子です。
以前の750F1の時は、カウルブラケットにマジックで直接書いたりしていました(笑)
●クリップ位置、上から2段目→2段目と3段目の中間(2.5段目)に変更
現在のニードルを当初上から3段目で組んでいましたが、吹け上がりが重い気がして上から2段目に変更したところ、かなり吹け上がりが軽快になりましたが、
3000rpmあたりからの吹け上がりにトルク感が薄いような、加速の勢いが伸びないように感じていました。
そこで、クリップ位置は上から2段目のまま、樹脂製カラーとの間に0.4mm厚のワッシャーを入れて,
2段目と3段目の中間を狙ってみました。
【ジェットニードルの機能】
ジェットニードルは、可変ベンチュリーキャブレターのスライドバルブと共に上昇する、
幅広い開度・回転域に影響する部品です。
写真右側、径が太い部分(ストレート径)とメインノズル穴のすき間が、低開度時のメインノズル吐出面積で、
テーパー形状のため、開度が大きくなるほどノズル穴とニードルのすき間が大きくなる、つまりメインノズル吐出面積はプログレッシブ(無段階連続的)に大きくなっていきます。
出力特性の狙いによっては、途中でテーパー角を変えて、高回転域の燃料増量を図ることもあり、
FCRなどはストレート径とテーパー角の組み合わせなど、ニードルの種類が膨大にあるらしく、
過渡特性に配慮してと思われますが、ニードル自体も非常に長いものになっています。
100㏄以下くらいならば、工夫次第でメインジェット(=高負荷全開=最高速近辺)の見極めができるかもしれませんが、
大排気量車の場合、一般道でのメインジェット最適値の煮詰めはまず無理(低いギヤでは負荷が不足してダメ)で、
スロットルのツキや速度の乗りが良く、高速道路で可能な高負荷高開度走行直後の点火プラグのくすぶり/焼け過ぎがなければメインジェットはOK(不問)として、
ジェットニードルの形状とクリップ位置で中~高開度域のトルク特性を煮詰めていくことになります。
************************************
前回クリップ位置を調整しようとジェットニードルを取り出す際、
サイドカウルとエアボックスのみならず、キャブレター本体もマニホールドから抜き出して作業したのですが、
その際ガソリンが流出してしまい、臭気でお隣にも迷惑を掛けてしまいました。。。
考えてみればエアボックスから切り離した電装品マウントユニット(バッテリーケース含む)だけを取り外せば(もしくはずらせば)キャブレターの負圧ピストン側にアクセスできます。
作業工数・時間が明らかに少なく、マニホールド内にねじを落としたりする心配もありませんでした。(負圧ピストン室ふたや固定ビスには静電気放電用にアルミテープや歯付きワッシャーを追加してあります)
キャブレター本体にアクセスする際はエアボックスだけ外せばいいので、エアボックスと電装品マウントの切り離しはお勧めです。
●試運転→パイロットスクリュー再調整
ニードル高さを変更して試運転。エンジン始動直後からツキがいいようだ。
走りだすと、スロットル開度に対するトルクの乗りも、吹け上がりも違いが判る。
走らせて不具合はないが、ジェットニードルを0.4mm高くした分、メインノズルの燃料吐出量は増えるので、パイロットスクリューはごく僅かでも絞る方向になるはず。
先日成功した手順で、一旦調子が崩れるポイントを探り、そこからベストポイントを探ります。
油温80度あたりを指したところで、広い交差点の空き地でパイロットスクリュー調整。
アジャストスクリューでアイドリングを下げ、パイロットスクリューを少しずつ締め、スロットルを開けるとストールするポイントを探す。
そこから1/16回転程度ずつ戻して、ツキのいい最低限の戻し回転数を狙い、マイナス溝1本分くらいマージンとして戻す。
●再度試運転
スロットルを開けずクラッチワークだけで走り出せそうなくらいに、極低速から安定したトルク感がある。
開けていくと、負荷がかかった状態での回転上昇、車速の伸びが明らかにさらに速くなっている。
ギヤチェンジは素早く決まる。乗っていて非常に気持ちがいい。
右左折発進時など、吹け上がりが想像以上に速く、速度がのり過ぎるので、クラッチを切り、リヤブレーキ多用。後輪側スプロケット歯数(現在39T)を増やしてもいいかも。
※4気筒車のような、極低速でスロットルを戻しての速度調整は禁物。
トルク変動の大きさによる荷重移動・姿勢/速度変化、場合によっては失速することにより転倒するリスクがあります。
何事も「再現性」が重要。
ミクニBDSTキャブレターのパイロット系調整は、手順や見極めの勘どころが掴めたようです。
●点火プラグギャップ拡大
一旦帰庫。点火プラグの焼けは良好で、低速域での失火の様子もなし。
中高回転域・負荷が掛かった状態での着火性や火花火炎伝播の改善=燃焼速度向上を狙い、
電極ギャップをこれまでの0.8mm→0.9mmに広くしてみる。
ギャップを広げると、火花を飛ばすための要求電圧が高くなります。
特に単気筒・二気筒の場合、中高回転では良くても、低速ターンなどの際に不意に失火・ストールする恐れがあるので、失火しないほどほどのところに留めておくのが得策。
V溝付き電極でギャップ1.1mmの点火プラグを使ってみたかったが、端子形状が違うので今回は見送り。
実走テスト、アイドリング~低速域での失火は感じられない。
開けていくと思惑以上に、中速域からの吹け上がりがさらに速くなっている。
以前とは吸排気音も変わり、切り欠いたエアボックスからは750F1のような吸気音が強調されて聞こえる。
スロットルを戻した際の音もF1に似てきたように思う。

電極ギャップ0.9mmでの点火プラグの様子。写真で見るよりも明るい色で、まずまずの焼け具合。
垂直シリンダー側の方がきれいに焼けているので、水平側もマイナス溝1本分ほどパイロットスクリューを戻しておく。
*************************************
運転者としても、DIY整備者としても、20年ほどのブランクがあり、
標準状態の本調子を出す整備から、運転者の理解できる範囲で、
一歩ずつ踏み出していくように「純正部品+α」の性能向上を探ってきました。
現状でもまだ伸び代はあるように思いますし、運転者の技量が上がれば、また違ったポイントに気が付き、解決策を探るようになるだろうと思います。
記事としてまとめにくいので、足回りの設定変更の試行錯誤は掲載していませんが、
エンジン側でほぼ本調子が得られたのと同様、車体側もほぼ不安なくペースを上げていけるようになりました。
できるだけ「傾向と対策」のようなかたちで車体側の記事もまとめられればと思っています。