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灸太郎くんのブログ一覧

2025年12月12日 イイね!

DUCATI SSの整備【92】アイシング再対策(1)症状と対策の考察

この冬は、昨年同様に結構寒いですね。

先日の休日早朝、ハンドリング評価をしようと革ツナギを着込んで出走するも、
山に至る手前でエンジン不調、まともに走れないので早々に帰宅。

症状から想像した通り、日中改めて始動してみると特に問題はなく、朝は畑に霜が降りていた。
アイシング再発である。

【症状】
スロットル開度が浅い状態で巡航すると、速度を落とすため右手を戻した際にストール。
そのうちに巡航状態でもストールしないまでも不調に陥る。
スロットル開度を大きくすれば特に問題なく吹けあがる。

すぐに始動はできるが、信号待ちでもアイドリングできず。
イグニッションはオフにして青信号直前に始動すると、
エンジンの温かみで氷結が融けたらしくアイドリング復活するが、走りだすとやはり不調再発。

スロットルを戻すとストール=車両失速してしまい、止まる直前もわずかな開度を維持するようにしないとまともに走れない状態。

ちなみに筆者は、900MHR=デロルトPHM40、750F1=PHF36、ケーヒンFCR39を使用してきたが、
アイシングと思われる低温期のみの不調発生は経験したことがなかった。
TX650のミクニBS38においても同様であった。

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【考察】
キャブレター アイシング とWeb検索してみても、これは、という症例や対処法は出てこなかった。

アイシング=燃料ノズル氷結、という連想から、
パイロット系から燃料が送られなくなって不調になる、ガス欠のような状態を想像するが、
4000rpmあたりからスロットルを戻した際にも燃料不足時のアフターファイヤは起こらない。

点火プラグをチェックしてみると、黒くくすぶって濡れている。
辛うじて電極間の金属部が見える程度。スパークはしている状態(動いている以上当たり前)。

想像するに、ガソリンが凍るわけではなく、あくまでも気化熱で空気中の水分、
即ちパイロットエアジェット、あるいはその先の通路が氷結し塞がってしまい、
空気と混じり合わない状態で燃料がポートから吐出されてしまうのではないだろうか?


霧化できずダマ(しずく)のような状態で吸気ポートに送られて、
燃焼室内で点火プラグに付着してしまい、着火・燃焼できないと想像できる。


●四輪(日産L型6気筒メカチューン車両)においても、大口径ウェバーやソレックス装着車両において、
スロットル開度が浅い高速道路巡航の際など、冬場はアイシングによる不調が発生すると聞く。
キャブレター真下にエキゾーストマニホールドが熱を発しているにも関わらず、である。

ドゥカティにしても、L3.0ℓ(3.1ℓ)にしても、気筒当たり450~500cc程度で、
吸気バルブ径も大きめ(40mm+α)、それなりに吸入効率は高いと思われ、
スロットル(バタフライ)バルブ低開度の状態はメインボアの流路は狭い分、
吸入流速は速く、圧力は低い(負圧絶対値が大きい)はずなので、
エアジェット経由の空気が燃料と混じり合わず、大気圧で押されもしない状態でも、
霧化しづらい状態の燃料だけが過剰にノズルから吸い出されてしまうのではないか?

燃料吐出はパイロット系が中心で、エア経路含め穴径は小さく、氷結の影響を受けやすいのだろう。

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【対策を考える】

●メーカー純正、オイルラインによるキャブレターヒーティングシステムの使用。
寒い欧州では日本以上に切実な問題なのではないだろうか?
ちなみにキャブレター加熱が不要な時期は、途中にある切り替えタップでキャブレター側にはオイルを流さないようにできる仕組みらしい。

→実際に触ったことがないので、あくまで先入観によるが、整備性悪化の懸念。
ジェット変更等の際、キャブレター脱着、あるいはフロートチャンバー脱着の際にオイルラインを接続したまま作業できるのだろうか?

オイルラインを取り外すとなると、都度漏れ出るオイルの始末も必要で、バンジョーボルト部分のクラッシュワッシャーも都度必要になる。


●春先に試したような防風板では効果は薄いので、フロートチャンバーを包み込むような保温カバーを作製・装着。

→断熱性の高い材料で、簡単に着脱できる形状・構造が望ましい。
キャブレターから型取りしてFRP製カバー作製が理想的だが、フロートチャンバーには直接密着させずに何らかの断熱層を挟み込んで取り付けたい。
またパイロットスクリューを調整できるようなサービスホールが必要。

オイルライン以外で、グリップ用巻き付け型電熱ヒーターや、使い切り懐炉(かいろ)のような、必要に応じて加熱できる手段を考える。
仮に十分な効果があるとした場合、

電熱ヒーターを、運転者用グリップヒーターと併用した場合の電力消費に問題がないか?

→使い切り懐炉の場合、狭い空間でも当てがいやすいことと、落下防止も課題で、ベルクロやOリングなどで容易かつ確実に留める方策が必要。


オイルクーラーを通って温められた空気をキャブレターに当てるよう、クーラーコアを上方に移設し、簡易ダクトあるいは導風板を設置する。

→現在使用中のM900純正オイルクーラー/オイルラインでは、特殊な形状のフィッティング形状のホースの長さが不足するのと、フィッティング部分が干渉して十分に移設が難しい。
コアを逆さに、フィッティングが下側になるよう装着すれば希望の位置に移設可能だが、エンジン停止時にオイルクーラーコア含めた配管内のオイルが全てクランクケースに下がってしまい、再始動時はコア/配管内をオイルが満たした後でないとオイルが供給されないので避けたい。

→以前装着されていた、アールズ製(?)コアはやや小型なので、フィッティングをフレームのすき間がある上方に逃がせば、エアボックス底面と隙間がない高さに設置も可能と思われる。
ホースとフィッティングを購入して配管を新製すれば移設は可能。AN6あるいはAN8の規格の筈で、以前ユーノス用にホース作製した経験からも作業に特に障害はないと思われる。

→今回のアイシング発生時の気温(5度以下)の場合、油温も上がりにくく、
帰宅直前あたりになってようやく75度程度でようやく暖機完了といったところ。
冷えすぎ対策でオイルクーラーをカバーする必要がありそうで、そうなると温められた空気も通らないため、効果は限定的か


●パイロットエアジェットの拡大
ジェットの穴径が小さくて、空気通路が詰まりやすいのだとすれば、たとえ僅かでも拡大することで、必要な空気の導通が得られるのではないだろうか?

→以前エアボックスを加工、フィルターエレメントを交換し、パイロットジェットの番手変更を試していた際、
標準パイロットエアジェットの穴径をドリル軸を順に差して調べ、ワンサイズ上(記憶では0.05~0.1mm程度拡大)のドリルを通してオーバーサイズエアジェットを作製して試したことがあったが、
まともに走れないほど点火プラグがくすぶってしまい使い物にならなかったことがあった。
始動時の無負荷レスポンスは素晴らしかったことから察するに、エアジェットは燃料に空気を混ぜた状態で吐出させ、霧化しやすくしつつ、大気圧で押し出す役割も果たしているのかもしれない。

エアジェットという言葉からすると、拡大すれば空燃比はリーン(希薄)な方に推移すると思われたが、逆に僅かな拡大量から想像できないほどリッチに振っていたようだった。
何らかの組み付けを間違えているのではないか?と思えるほどのくすぶり方で、それ以後試していないので因果関係は明確ではないが、
もしかするとエアジェットを拡大して、パイロットジェットの番手を小さくする方向性のキャブレターセッティングもあり得るのかもしれない。

●エンジンの熱をキャブレター側に伝えるもの、例えば被覆付き銅単芯線(家庭用電灯線など)を、例えばインマニ取り付けボルトとフロートチャンバーを繋ぐなど、できるだけ最短距離で結びつける。

→効果は判らないが、熱伝導率の高い材質を保温性被覆で覆っていればどうだろうか?

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寒い中、わざわざ乗らなければよいだけの話ではあるのだが…

近年の防寒具は効果が高く、気温摂氏5度程度でも「辛くてもう乗り続けたくない」というほどに冷えを感じないほど高性能になっているようだ。

筆者自身、若いころよりも運動量が増え、筋肉量も増えているせいか代謝も高くなっているらしく、以前のようにひどい霜焼けになったりはしなくなっていて、
グリップヒーターという強い味方もあるので、早朝・夜間の長時間でなければ乗りたくなるのも事実。

画像なしの長文、愛想なしで、キャブレターなどに興味のない向きには退屈至極と思いますが、
ひとまずどの手を打つか、考えを整理するためにまとめてみました。

Posted at 2025/12/12 23:14:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年12月06日 イイね!

面白い買い物

面白い買い物世の中にはいろいろな人がいて、”閃きで勝負”とばかり、行動に打って出る御仁がいる。

本人曰く
「 『” ピン!”と来たら110番』ではないが、逃す手はないだろ?」とのことで、
あらゆる持ち駒や手立てを組み合わせて、実現できないか策を練る段階から楽しんで、
F1チームよろしく、予測できる事態に備え、プランB、プランCまで考えているようだ

「できない理由をいかに潰すか」
衝動的ポジティブ思考とでもいうのだろうか(笑)
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今回は、中古部品屋から変わった出物を引き取ってきたのだという。
なんでも、殆どフレーム(書類付き)+エンジン+フォークブラケットのみの、
足回りがついていない車両だったそうで、
どうやって持ち帰ってきたのか、写真で時系列にお見せしたい。
(物件を載せている台車は店の備品)

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一件落着。
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当人曰く、
「タイヤがついていないと一人ではクルマから降ろせないので、現地で組み立てて積んできた」

「車体を吊り上げられないので、組み立て手順を現地に着くまでずっと考え続けていた」

「自立させる際、台車の引き抜きだけ先方に手伝ってもらった」

「特に滞りなく、正味の作業時間は積み込みまで含めて2時間強くらいだったかな」

「多少遠方でも時間の都合さえつけば、旅行がてらと思えば特に苦にならない」

「バイクや道具類を積み込むと、車中で仮眠をとるのは少し苦労するね」

とのこと。

写真から欠品を判断し、手持ちの部品を必要な道具と共に持参したそうで、
この後、持参の道具・予備部品類をすき間に詰め込んだそうな。

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「思いたったら、やらずにいられない」
衝動の対象が、たまたまクルマ・バイクのような個人的事案なのか、
あるいは事業拡大なのか、政治力行使なのか、はたまた他国に攻め入っての領土・権益拡大なのか。。。

張本人には自業自得だが、巻き込まれる側の方々には、ご苦労が尽きないことだと思う。

Posted at 2025/12/06 17:02:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマのいる風景 | 日記
2025年12月03日 イイね!

DUCATI SSの整備【91】ハンドリング煮詰めの目標

DUCATI SSの整備【91】ハンドリング煮詰めの目標
【前回と同じタイトル写真、見やすいところに各部調整の仕様・設定をメモして貼ってあります】

車体設計上の配慮(実用性考慮の寸法拡大・強度(剛性)アップ・倒立フォーク採用)ばかりでなく、
普及期に入った17インチ径ラジアルタイヤの急速な進化があり、
以前親しんだ750F1と比べ、倒立フォーク採用の900SSは遥かにとっつきやすいというか、
適当な設定でもとりあえずバイクなりに走れてしまう「間口が広い」キャラクターと思います。

そうはいっても、マニア向けブランド最右翼たるドゥカティ、
運転者が工夫して「操縦」することがパフォーマンスを引き出すための前提で、
少々面倒ではありますが、操縦技術レベルに関わらず愛好者には面白いところでもあります。

余程の不調や不具合がなければ、どんなバイクでも丸一日走らせていれば、
それなりに勘どころが掴めて、何となく違和感少なく楽しめるようにはなるものですが、
筆者としてはより積極的に、乗れている状態に「再現性」を持たせたいので、
意図せずとも自然に気持ちよく走れてしまう操縦性を確立したいと思い、
そのための鍵となる「開けていける」出力特性調整と並行して、車体の煮詰めも進めてきました。

今回は筆者が留意してきたポイントを挙げてみます。
いくつかは既に記事にまとめたものもありますが、
次回以降、実践のプロセスを記していきたいと思います。

***********************************

要点は
運転者がバイクの持つ旋回力を邪魔せず引き出せる」状態を作ること。
特性の違いはあれど、ドゥカティばかりでなく、どんなバイクでも同じことだと思います。

A)コーナリングのきっかけを掴み易くして、進入時の「本当に曲がれるか?」という不安を払拭する。
 ギャップや路面の継ぎ目などでのひどい突き上げや跳ねは、チャレンジする意欲を削ぎますし、
 狙ったポイント・タイミングで曲がり始められる確信がないと、コーナリングは楽しめません。

B)リーン開始時、舵角(セルフステア)の入り方と、車体が傾いていく速さとが、
 運転者の感覚とシンクロし、不安なくコーナリング(旋回状態)に移行できる
 これもいわばバイクとの信頼関係の構築。

C)基本的にスロットルを開け、正方向の駆動力を掛けて後輪主体のコーナリングが実感でき、
 膨らまずできるだけ小さい半径で旋回できるように
 ばね・減衰力調整による動的な姿勢変化を含めた前後の車高調整

D)状況によってフロントから回り込ませるなど、ライン選びやライン変更などの自由度の高い、
 加減速・駆動力操作で前後輪間の自然な荷重移動をできるサスペンション設定

E)スポーツバイクの運転操作が瞬時に自在にでき、不自然な疲労や体の痛みが少ない前提で、
 前後左右上下各方向への荷重が自在にできる乗車姿勢・インターフェイス
 (車両と運転者の接する部分を安心して接したり操作したりできる状態にする)

F)バイクの動きを妨げないハンドルグリップやフットペグの車体中心線からの距離

G)ストレスなく切り替え・連続動作できるペダルやレバーの位置、角度、操作性。

H)タイヤサイズやプロファイルを含めた、リーンアングル(バンク角)操作の自然な過渡特性
 (途中から速く倒れこもうとしたり、抵抗が増して寝かせにくくなったりして違和感を抱かない状態)

というようなことが中心になると思います。
***********************************

あえて文字にすると結構欲張っているようにも思えますが、
それぞれの項目は関連・連動することも多いので、
「操作しにくい状態を排除」「乗っていて怖くない」ということから着手していくことになります。

もちろん運転者の側も、
I)間違いや思い込みによる障害を取り除いていく
 今までの調整方法や乗り方に固執せず、柔軟・謙虚な発想でチャレンジしてみる。

ことも必要で、先達や友人、知人の実例からヒントを得たり、
書物やWeb記事などを手掛かりとして、拙速に結論を出さず、
技術的意味合いなど自分なりに考察しつつ「なぜそうする(したい)のか」を常に考え、
人車ともに実践を重ね、時に失敗しながらも一歩ずつ進化していく過程自体が、
あれこれと悩みながらも大いなる楽しみであるように思います。

とくにコーナリングのきっかけ・初期の挙動は、舵角の入り方やタイミングなど、好みが分かれると思います。
実用調整範囲でも結構変化があるので、高性能部品への交換は調整を試してからの方が違いを把握できます。

ショップに整備やセットアップを一任されている方でも、最後の味付けはご自身での調整をお勧めします
調整機能があれば、ばねプリロードや減衰力ダイヤルはご自身でも調整可能ですし、
希望の方向性を見つけるための前後車高調整なども、ショップと相談して試してみることは可能です。

変更を加えるのは基本的に一ヶ所ずつで、実際に走らせて変化の有無、度合いを確認できてから、目指す方向性に沿って次をいじります。

「軽くリーンさせたい」「強く曲がりたい」「フロント周りの動きが気になる」など、意見や希望を基にショップに協力を仰ぐことで悩み解決の糸口になるかもしれません。
Posted at 2025/12/03 20:04:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月15日 イイね!

DUCATI SSの整備【90】ジェットニードル&パイロットスクリュー煮詰め

DUCATI SSの整備【90】ジェットニードル&パイロットスクリュー煮詰め
【ジェットニードル機能を追記しました】
いじるたびに「今までで一番快調」「まるで別物」などと書いているので、信憑性に欠けると思われるかもしれませんが(笑)、
先日の吹け上がりの印象を基に、再度ジェットニードルの高さを調整してみたところ、
ほぼ狙った通りの変化、過去最高の調子が得られました。

タイトル写真は、随時調整を加えている各部の設定・仕様をメモして貼ってある様子です。
以前の750F1の時は、カウルブラケットにマジックで直接書いたりしていました(笑)

●クリップ位置、上から2段目→2段目と3段目の中間(2.5段目)に変更
現在のニードルを当初上から3段目で組んでいましたが、吹け上がりが重い気がして上から2段目に変更したところ、かなり吹け上がりが軽快になりましたが、
3000rpmあたりからの吹け上がりにトルク感が薄いような、加速の勢いが伸びないように感じていました。

そこで、クリップ位置は上から2段目のまま、樹脂製カラーとの間に0.4mm厚のワッシャーを入れて,
2段目と3段目の中間を狙ってみました。
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【ジェットニードルの機能】
ジェットニードルは、可変ベンチュリーキャブレターのスライドバルブと共に上昇する、
幅広い開度・回転域に影響する部品です。

写真右側、径が太い部分(ストレート径)とメインノズル穴のすき間が、低開度時のメインノズル吐出面積で、
テーパー形状のため、開度が大きくなるほどノズル穴とニードルのすき間が大きくなる、つまりメインノズル吐出面積はプログレッシブ(無段階連続的)に大きくなっていきます。

出力特性の狙いによっては、途中でテーパー角を変えて、高回転域の燃料増量を図ることもあり、
FCRなどはストレート径とテーパー角の組み合わせなど、ニードルの種類が膨大にあるらしく、
過渡特性に配慮してと思われますが、ニードル自体も非常に長いものになっています。

100㏄以下くらいならば、工夫次第でメインジェット(=高負荷全開=最高速近辺)の見極めができるかもしれませんが、
大排気量車の場合、一般道でのメインジェット最適値の煮詰めはまず無理(低いギヤでは負荷が不足してダメ)で、
スロットルのツキや速度の乗りが良く、高速道路で可能な高負荷高開度走行直後の点火プラグのくすぶり/焼け過ぎがなければメインジェットはOK(不問)として、
ジェットニードルの形状とクリップ位置で中~高開度域のトルク特性を煮詰めていくことになります。
************************************

前回クリップ位置を調整しようとジェットニードルを取り出す際、
サイドカウルとエアボックスのみならず、キャブレター本体もマニホールドから抜き出して作業したのですが、
その際ガソリンが流出してしまい、臭気でお隣にも迷惑を掛けてしまいました。。。

考えてみればエアボックスから切り離した電装品マウントユニット(バッテリーケース含む)だけを取り外せば(もしくはずらせば)キャブレターの負圧ピストン側にアクセスできます。
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作業工数・時間が明らかに少なく、マニホールド内にねじを落としたりする心配もありませんでした。
(負圧ピストン室ふたや固定ビスには静電気放電用にアルミテープや歯付きワッシャーを追加してあります)

キャブレター本体にアクセスする際はエアボックスだけ外せばいいので、エアボックスと電装品マウントの切り離しはお勧めです。

●試運転→パイロットスクリュー再調整
ニードル高さを変更して試運転。エンジン始動直後からツキがいいようだ。
走りだすと、スロットル開度に対するトルクの乗りも、吹け上がりも違いが判る。

走らせて不具合はないが、ジェットニードルを0.4mm高くした分、メインノズルの燃料吐出量は増えるので、パイロットスクリューはごく僅かでも絞る方向になるはず。
先日成功した手順で、一旦調子が崩れるポイントを探り、そこからベストポイントを探ります。

油温80度あたりを指したところで、広い交差点の空き地でパイロットスクリュー調整。
アジャストスクリューでアイドリングを下げ、パイロットスクリューを少しずつ締め、スロットルを開けるとストールするポイントを探す。
そこから1/16回転程度ずつ戻して、ツキのいい最低限の戻し回転数を狙い、マイナス溝1本分くらいマージンとして戻す。

●再度試運転
スロットルを開けずクラッチワークだけで走り出せそうなくらいに、極低速から安定したトルク感がある。
開けていくと、負荷がかかった状態での回転上昇、車速の伸びが明らかにさらに速くなっている。
ギヤチェンジは素早く決まる。乗っていて非常に気持ちがいい。
右左折発進時など、吹け上がりが想像以上に速く、速度がのり過ぎるので、クラッチを切り、リヤブレーキ多用。後輪側スプロケット歯数(現在39T)を増やしてもいいかも。
※4気筒車のような、極低速でスロットルを戻しての速度調整は禁物。
トルク変動の大きさによる荷重移動・姿勢/速度変化、場合によっては失速することにより転倒するリスクがあります。

何事も「再現性」が重要。
ミクニBDSTキャブレターのパイロット系調整は、手順や見極めの勘どころが掴めたようです。

●点火プラグギャップ拡大
一旦帰庫。点火プラグの焼けは良好で、低速域での失火の様子もなし。
中高回転域・負荷が掛かった状態での着火性や火花火炎伝播の改善=燃焼速度向上を狙い、
電極ギャップをこれまでの0.8mm→0.9mmに広くしてみる。

ギャップを広げると、火花を飛ばすための要求電圧が高くなります。
特に単気筒・二気筒の場合、中高回転では良くても、低速ターンなどの際に不意に失火・ストールする恐れがあるので、失火しないほどほどのところに留めておくのが得策。

V溝付き電極でギャップ1.1mmの点火プラグを使ってみたかったが、端子形状が違うので今回は見送り。

実走テスト、アイドリング~低速域での失火は感じられない。
開けていくと思惑以上に、中速域からの吹け上がりがさらに速くなっている。
以前とは吸排気音も変わり、切り欠いたエアボックスからは750F1のような吸気音が強調されて聞こえる。
スロットルを戻した際の音もF1に似てきたように思う。
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電極ギャップ0.9mmでの点火プラグの様子。
写真で見るよりも明るい色で、まずまずの焼け具合。
垂直シリンダー側の方がきれいに焼けているので、水平側もマイナス溝1本分ほどパイロットスクリューを戻しておく。
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運転者としても、DIY整備者としても、20年ほどのブランクがあり、
標準状態の本調子を出す整備から、運転者の理解できる範囲で、
一歩ずつ踏み出していくように「純正部品+α」の性能向上を探ってきました。

現状でもまだ伸び代はあるように思いますし、運転者の技量が上がれば、また違ったポイントに気が付き、解決策を探るようになるだろうと思います。

記事としてまとめにくいので、足回りの設定変更の試行錯誤は掲載していませんが、
エンジン側でほぼ本調子が得られたのと同様、車体側もほぼ不安なくペースを上げていけるようになりました。

できるだけ「傾向と対策」のようなかたちで車体側の記事もまとめられればと思っています。
Posted at 2025/11/16 14:31:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年11月13日 イイね!

DUCATI SSの整備【89】フットペグ/ペダルの3次元的変更(6) ブレーキペダル加工

偏芯式フットペグを調整したところ、相対的にブレーキペダルが低くなり過ぎてしまい、
調整範囲を超えているので、ペダルを加工して踏む部分を高くしてみました。

************************************

●初代オリジナルモンスター(M900)標準車のペダル流用検討
見た目のデザイン形状は違えど、よく見ると取り付け方法や軸寸法、ブレーキシリンダー作動方法などはS2Rもオリジナルモンスターも違いはないので、流用できないかペダルを比べてみました。

上が(通常型)オリジナルモンスター純正品、下がS2R純正品です。
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次の写真、左が(通常型)オリジナルモンスター純正品(少々曲がりあり)、右がS2R純正品です。
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支点軸心と、プッシュロッドを押す作用軸を大まかに揃えて並べていますが、
左のオリジナルモンスター純正品のペダル先端(踏む部分)が浮き上がっています。
各部の違い(ストッパー位置や微妙なレバー比など)はさておき、
組み付けると確実にS2R純正品よりもペダル先端が高くなってしまうので、残念ながら不採用です。

筆者は過剰な「デザインのためのデザイン」は嫌いですが、
アルミ鋳物にもかかわらず、「厚板を折り曲げたような」安っぽい形状のS2Rよりも、
オリジナルモンスター純正品の方が好みです。
************************************

●ペダル加工前
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●ペダル仮加工後
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側面からでは判りにくいと思いますので、サービスショット(笑)
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とりあえず適正位置を確定したいので、見た目は度外視!(笑)
(言われなければ誰も気づかないでしょうけれど)
手元にあった3mm厚くらいの金具をボルト留めし、
踏む部分のピンとなるボルトは緩まないよう裏表からナットで締め付けました。

下からすくい上げるためにつま先を出し入れするチェンジペダルと違い、
 ブレーキペダルは上から踏みつけるだけなので、長いボルトを使って「空振り」を防いでいます。

※チェンジペダル同様に、ゴムの部分は自由に回転するようにしてあります。
 (踏んだ際の操作感改善と、軸心のボルトに回転力が掛からないように)

流用元のS2R/S4R含め初代モンスターのブレーキペダル支点は、日本車のようにブラケットの裏側からボルトを差し込んで支点として取り付ける構造です。
わざわざ面倒な取り付け方法にしなくても、と思いますが、マスターシリンダーが足元に直接干渉しないよう、ブラケット裏側に配置したいことが理由なんでしょうね(その分幅が広がるんですが)。
ブラケットを車体から取り外さずに、ペダルの左右ガタを調整するシムを噛みこまないように取り付けるのはかなりやりにくいです(愚痴)。

【ペダルの高さ調整】
①ブレーキランプスイッチを押すねじでペダル高さ(角度)を調整した後、
②マスターシリンダを押すロッドの長さ(=無効ストローク)を調整します。

●ブレーキランプスイッチのリターンスプリングが案外強いので、無効ストロークを詰める見極めが難しいです。

今回、無効ストロークは以前よりもかなり詰めてみました。
リヤホイールを回して効き始めるペダル位置を確認しながら、マスターシリンダーの油圧が感じられる位置よりも少しだけ遊びを残した状態にしました。
万全を期すなら、スイッチを取り外して無効ストローク調整するか、「ばねばかり」でホイールを回す力の変化を測定するのが良いと思います。

仕様を変更しない限り、頻繁に調整する箇所ではありませんが、
流用部品の組み合わせで構成していることもあり、各部が単純明快なSSオリジナルに比べると整備性に劣るのが難点(これも愚痴)。

※作業後は必ずブレーキランプの点灯タイミングを確認し、必要ならスイッチ高さを再調整します。

後日、改めて試運転でペダル角度最終調整と、操作性・操縦性チェックを行います。


Posted at 2025/11/15 14:14:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

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