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2025年11月15日 イイね!

DUCATI SSの整備【90】ジェットニードル&パイロットスクリュー煮詰め

DUCATI SSの整備【90】ジェットニードル&パイロットスクリュー煮詰め
【ジェットニードル機能を追記しました】
いじるたびに「今までで一番快調」「まるで別物」などと書いているので、信憑性に欠けると思われるかもしれませんが(笑)、
先日の吹け上がりの印象を基に、再度ジェットニードルの高さを調整してみたところ、
ほぼ狙った通りの変化、過去最高の調子が得られました。

タイトル写真は、随時調整を加えている各部の設定・仕様をメモして貼ってある様子です。
以前の750F1の時は、カウルブラケットにマジックで直接書いたりしていました(笑)

●クリップ位置、上から2段目→2段目と3段目の中間(2.5段目)に変更
現在のニードルを当初上から3段目で組んでいましたが、吹け上がりが重い気がして上から2段目に変更したところ、かなり吹け上がりが軽快になりましたが、
3000rpmあたりからの吹け上がりにトルク感が薄いような、加速の勢いが伸びないように感じていました。

そこで、クリップ位置は上から2段目のまま、樹脂製カラーとの間に0.4mm厚のワッシャーを入れて,
2段目と3段目の中間を狙ってみました。
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【ジェットニードルの機能】
ジェットニードルは、可変ベンチュリーキャブレターのスライドバルブと共に上昇する、
幅広い開度・回転域に影響する部品です。

写真右側、径が太い部分(ストレート径)とメインノズル穴のすき間が、低開度時のメインノズル吐出面積で、
テーパー形状のため、開度が大きくなるほどノズル穴とニードルのすき間が大きくなる、つまりメインノズル吐出面積はプログレッシブ(無段階連続的)に大きくなっていきます。

出力特性の狙いによっては、途中でテーパー角を変えて、高回転域の燃料増量を図ることもあり、
FCRなどはストレート径とテーパー角の組み合わせなど、ニードルの種類が膨大にあるらしく、
過渡特性に配慮してと思われますが、ニードル自体も非常に長いものになっています。

100㏄以下くらいならば、工夫次第でメインジェット(=高負荷全開=最高速近辺)の見極めができるかもしれませんが、
大排気量車の場合、一般道でのメインジェット最適値の煮詰めはまず無理(低いギヤでは負荷が不足してダメ)で、
スロットルのツキや速度の乗りが良く、高速道路で可能な高負荷高開度走行直後の点火プラグのくすぶり/焼け過ぎがなければメインジェットはOK(不問)として、
ジェットニードルの形状とクリップ位置で中~高開度域のトルク特性を煮詰めていくことになります。
************************************

前回クリップ位置を調整しようとジェットニードルを取り出す際、
サイドカウルとエアボックスのみならず、キャブレター本体もマニホールドから抜き出して作業したのですが、
その際ガソリンが流出してしまい、臭気でお隣にも迷惑を掛けてしまいました。。。

考えてみればエアボックスから切り離した電装品マウントユニット(バッテリーケース含む)だけを取り外せば(もしくはずらせば)キャブレターの負圧ピストン側にアクセスできます。
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作業工数・時間が明らかに少なく、マニホールド内にねじを落としたりする心配もありませんでした。
(負圧ピストン室ふたや固定ビスには静電気放電用にアルミテープや歯付きワッシャーを追加してあります)

キャブレター本体にアクセスする際はエアボックスだけ外せばいいので、エアボックスと電装品マウントの切り離しはお勧めです。

●試運転→パイロットスクリュー再調整
ニードル高さを変更して試運転。エンジン始動直後からツキがいいようだ。
走りだすと、スロットル開度に対するトルクの乗りも、吹け上がりも違いが判る。

走らせて不具合はないが、ジェットニードルを0.4mm高くした分、メインノズルの燃料吐出量は増えるので、パイロットスクリューはごく僅かでも絞る方向になるはず。
先日成功した手順で、一旦調子が崩れるポイントを探り、そこからベストポイントを探ります。

油温80度あたりを指したところで、広い交差点の空き地でパイロットスクリュー調整。
アジャストスクリューでアイドリングを下げ、パイロットスクリューを少しずつ締め、スロットルを開けるとストールするポイントを探す。
そこから1/16回転程度ずつ戻して、ツキのいい最低限の戻し回転数を狙い、マイナス溝1本分くらいマージンとして戻す。

●再度試運転
スロットルを開けずクラッチワークだけで走り出せそうなくらいに、極低速から安定したトルク感がある。
開けていくと、負荷がかかった状態での回転上昇、車速の伸びが明らかにさらに速くなっている。
ギヤチェンジは素早く決まる。乗っていて非常に気持ちがいい。
右左折発進時など、吹け上がりが想像以上に速く、速度がのり過ぎるので、クラッチを切り、リヤブレーキ多用。後輪側スプロケット歯数(現在39T)を増やしてもいいかも。
※4気筒車のような、極低速でスロットルを戻しての速度調整は禁物。
トルク変動の大きさによる荷重移動・姿勢/速度変化、場合によっては失速することにより転倒するリスクがあります。

何事も「再現性」が重要。
ミクニBDSTキャブレターのパイロット系調整は、手順や見極めの勘どころが掴めたようです。

●点火プラグギャップ拡大
一旦帰庫。点火プラグの焼けは良好で、低速域での失火の様子もなし。
中高回転域・負荷が掛かった状態での着火性や火花火炎伝播の改善=燃焼速度向上を狙い、
電極ギャップをこれまでの0.8mm→0.9mmに広くしてみる。

ギャップを広げると、火花を飛ばすための要求電圧が高くなります。
特に単気筒・二気筒の場合、中高回転では良くても、低速ターンなどの際に不意に失火・ストールする恐れがあるので、失火しないほどほどのところに留めておくのが得策。

V溝付き電極でギャップ1.1mmの点火プラグを使ってみたかったが、端子形状が違うので今回は見送り。

実走テスト、アイドリング~低速域での失火は感じられない。
開けていくと思惑以上に、中速域からの吹け上がりがさらに速くなっている。
以前とは吸排気音も変わり、切り欠いたエアボックスからは750F1のような吸気音が強調されて聞こえる。
スロットルを戻した際の音もF1に似てきたように思う。
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電極ギャップ0.9mmでの点火プラグの様子。
写真で見るよりも明るい色で、まずまずの焼け具合。
垂直シリンダー側の方がきれいに焼けているので、水平側もマイナス溝1本分ほどパイロットスクリューを戻しておく。
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運転者としても、DIY整備者としても、20年ほどのブランクがあり、
標準状態の本調子を出す整備から、運転者の理解できる範囲で、
一歩ずつ踏み出していくように「純正部品+α」の性能向上を探ってきました。

現状でもまだ伸び代はあるように思いますし、運転者の技量が上がれば、また違ったポイントに気が付き、解決策を探るようになるだろうと思います。

記事としてまとめにくいので、足回りの設定変更の試行錯誤は掲載していませんが、
エンジン側でほぼ本調子が得られたのと同様、車体側もほぼ不安なくペースを上げていけるようになりました。

できるだけ「傾向と対策」のようなかたちで車体側の記事もまとめられればと思っています。
Posted at 2025/11/16 14:31:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年11月13日 イイね!

DUCATI SSの整備【89】フットペグ/ペダルの3次元的変更(6) ブレーキペダル加工

偏芯式フットペグを調整したところ、相対的にブレーキペダルが低くなり過ぎてしまい、
調整範囲を超えているので、ペダルを加工して踏む部分を高くしてみました。

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●初代オリジナルモンスター(M900)標準車のペダル流用検討
見た目のデザイン形状は違えど、よく見ると取り付け方法や軸寸法、ブレーキシリンダー作動方法などはS2Rもオリジナルモンスターも違いはないので、流用できないかペダルを比べてみました。

上が(通常型)オリジナルモンスター純正品、下がS2R純正品です。
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次の写真、左が(通常型)オリジナルモンスター純正品(少々曲がりあり)、右がS2R純正品です。
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支点軸心と、プッシュロッドを押す作用軸を大まかに揃えて並べていますが、
左のオリジナルモンスター純正品のペダル先端(踏む部分)が浮き上がっています。
各部の違い(ストッパー位置や微妙なレバー比など)はさておき、
組み付けると確実にS2R純正品よりもペダル先端が高くなってしまうので、残念ながら不採用です。

筆者は過剰な「デザインのためのデザイン」は嫌いですが、
アルミ鋳物にもかかわらず、「厚板を折り曲げたような」安っぽい形状のS2Rよりも、
オリジナルモンスター純正品の方が好みです。
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●ペダル加工前
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●ペダル仮加工後
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側面からでは判りにくいと思いますので、サービスショット(笑)
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とりあえず適正位置を確定したいので、見た目は度外視!(笑)
(言われなければ誰も気づかないでしょうけれど)
手元にあった3mm厚くらいの金具をボルト留めし、
踏む部分のピンとなるボルトは緩まないよう裏表からナットで締め付けました。

下からすくい上げるためにつま先を出し入れするチェンジペダルと違い、
 ブレーキペダルは上から踏みつけるだけなので、長いボルトを使って「空振り」を防いでいます。

※チェンジペダル同様に、ゴムの部分は自由に回転するようにしてあります。
 (踏んだ際の操作感改善と、軸心のボルトに回転力が掛からないように)

流用元のS2R/S4R含め初代モンスターのブレーキペダル支点は、日本車のようにブラケットの裏側からボルトを差し込んで支点として取り付ける構造です。
わざわざ面倒な取り付け方法にしなくても、と思いますが、マスターシリンダーが足元に直接干渉しないよう、ブラケット裏側に配置したいことが理由なんでしょうね(その分幅が広がるんですが)。
ブラケットを車体から取り外さずに、ペダルの左右ガタを調整するシムを噛みこまないように取り付けるのはかなりやりにくいです(愚痴)。

【ペダルの高さ調整】
①ブレーキランプスイッチを押すねじでペダル高さ(角度)を調整した後、
②マスターシリンダを押すロッドの長さ(=無効ストローク)を調整します。

●ブレーキランプスイッチのリターンスプリングが案外強いので、無効ストロークを詰める見極めが難しいです。

今回、無効ストロークは以前よりもかなり詰めてみました。
リヤホイールを回して効き始めるペダル位置を確認しながら、マスターシリンダーの油圧が感じられる位置よりも少しだけ遊びを残した状態にしました。
万全を期すなら、スイッチを取り外して無効ストローク調整するか、「ばねばかり」でホイールを回す力の変化を測定するのが良いと思います。

仕様を変更しない限り、頻繁に調整する箇所ではありませんが、
流用部品の組み合わせで構成していることもあり、各部が単純明快なSSオリジナルに比べると整備性に劣るのが難点(これも愚痴)。

※作業後は必ずブレーキランプの点灯タイミングを確認し、必要ならスイッチ高さを再調整します。

後日、改めて試運転でペダル角度最終調整と、操作性・操縦性チェックを行います。


Posted at 2025/11/15 14:14:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年11月08日 イイね!

DUCATI SSの整備【88】フットペグ/ペダルの3次元的変更(5) フットペグ前進

DUCATI SSの整備【88】フットペグ/ペダルの3次元的変更(5) フットペグ前進
車高調整含め、前後サスペンション設定をいろいろと見直していますが、
どうしてもバイクの動きが自然には感じられない気がする。

特に気になるのが、コーナー入り口での挙動(舵角の付き方)に馴染めないことと、
コーナリングの間中、後輪の存在感が少ない気がすること。

全長の長いリヤショックで後ろの車高を上げて以来、何となく曲がってはくれるものの、
リヤタイヤの接地面の表情を見ても、「前輪に依存して曲がっているような不安感」が拭えない。

    ◆    ◆    ◆

前後サスペンションのプリロードや減衰力調整、フォーク突き出し量増減をいろいろと試してみたものの、
筆者の中にある「ドゥカティらしい走り」言い換えると、
「リーン開始時に絶妙のタイミングで舵角が入り、開けやすいエンジン特性を利して後輪主体のコーナリングに移行」するパターンに持ち込めない(あくまで自身のレベルにおいての話ですが)。

    ◆    ◆    ◆

思い当たるのは、少し前、ひざが痛かった時期に、フットペグを後方にセットしたこと。
ちょうどリヤショックを交換したのとほぼ同時期でした。

当時の記事を見返すと「コーナリングの違和感もない」と書いていますが、
恐らくは変更したことでの違和感はない、という意味のように思います。

クルージングでは不安感もなく楽ですが、後輪側に荷重しづらいように思えるので、
偏芯式ペグを前に出してみることにします。
************************************

【フットペグ位置比較】
●メーカーオリジナルブラケット+モンスター用ペグ(SSオリジナルよりは低い)
 (かなり後ろ寄りでスイングアームピボットと同じ高さ。何より外に張り出していたのが不満)
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●S2Rブラケット&偏芯式ペグ後ろ寄り
 (比べるとSSオリジナルより1本分程度前寄り、且つかなり下寄り(くるぶし内幅は狭い))
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●今回の変更後(S2Rブラケット&偏芯式ペグ前寄り・若干上寄り)
 ※写真の傾きを上となるべく揃えてみました。
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撮影アングルが違うので分かりづらいかもしれませんが、ペグ1.5~2本分前進。
ペグとペダル支点、あるいはスイングアーム支点の位置関係を見ると一目瞭然です。

跨ってみると、特に燃料タンクとのフィット感は良好
但し太ももが水平に近づき、ひざの曲がりが結構きつくなります。
今はひざの痛みはないのでとりあえず試乗してみます。
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【試運転の印象】
ハンドリングに関する試運転は、視界良好な昼間に行うのが望ましいので、
交通量も少なくなるお昼時(12時台)に繰り出しました。

ペグの高さは以前より5mm程度上がっていると思いますが、
走りだすと明確な腰高感があり、いかにも「ドゥカティらしい」と感じます。
(ベベルMHR/旧SSを思い起こすような)

ペグの位置とチェンジペダル微調整以外には変更していないのですが、
面白いことにリーン開始時の舵角の付き方が速くなり、この点も「ドゥカティらしい」乗り味。

    ◆    ◆    ◆

今まではペグへの荷重を基に、シートの上でお尻と上半身も使ってコントロールしている感覚で、
前輪が切れるタイミングが判りにくいような、どこかちぐはぐな印象がありました。

変更後は下半身全体に自然に力が入り、
足の裏~くるぶし~ひざ・太もも内側の”連続面で”荷重コントロールするような、
腰で舵を切るような感覚です。
僅かな変更でツーリングバイク然とした印象から、レースバイク的な緊張感漂う印象に激変です。

先行車とは一定の距離を置いてペースをコントロールしながら、いつものテストコースをショートカットして短時間で戻ってきただけですが、
以前よりもコーナー入り口での「本当に曲がれるか?」というような不安感が減ったように感じました。
もしかすると日中で視界が良好ゆえ、不安が少ないだけなのかもしれませんが…

速度が上がった時、リーンアングルを深くしていった時にどう感じるか、
あるいは夜間の走行への適応は未知数ですが、しばらくこの仕様を基に走らせてみたいと思います。
************************************

【ペグ位置変更による課題】
ペグと同軸作動ではないペダルの先端(踏む部分)との距離がかなり近くなります。
それゆえ高低差が同じでも下垂角がきつくなり、ペダル先端を持ち上げる必要があります

チェンジペダルはロッド長での調整が十分に可能(先の写真はペダル調整前)ですが、
筆者の足サイズ(27㎝)の場合、もう少し先端~フットペグ間の距離がある方が、
ペダルの踏みかえ(アップ⇔ダウン)を素早くできる気がします。

ブレーキペダルは既に目いっぱい上向きにセットしてあり、無効ストロークをぎりぎりまで詰めても低すぎです。これではとても乗れません。
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●ペダル先端部を偏芯式にして調整できないか、考えてみたいと思います。

●今回の乗車姿勢変更とは別に、以前から気になっている「ボロ隠し」的な痕跡があり、
折を見て大物部品交換をして変化を確認したいと思っています。
もしかするとハンドリングに影響しているかもしれないので。。。

●4000rpmあたりの中開度で、息つきではないがトルク感が思ったより弱いように感じる。
メインジェット領域入り口あたりだろうか。ジェットニードルと合わせてさらに伸び代を探りたい。

煮詰めていくと、どんどんと課題が絞られて浮かび上がってくるようです。
まだしばらく整備・改善作業は続きそうです。

Posted at 2025/11/10 16:51:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月06日 イイね!

DUCATI SSの整備【87】更なるキャブレター調整(煮詰め)

DUCATI SSの整備【87】更なるキャブレター調整(煮詰め)試運転でのフィーリング、点火プラグの焼け、吸排気音を基準に、
「まだ伸び代があるのでは?」と、気付いたアイデアをいろいろと試しています。

というか、変化の面白さに 『試さずにはいられない』 のが真相なのです。

************************************

【ヒーターグリップ再装着】
この春に取り付け記事を書いた覚えですが、夜間の試運転では手が冷えて辛いので、早目にヒーターグリップを装着。

右グリップはスロットルスリーブごと交換。
ついでにケーブルに注油し、ホルダー内やハンドルバー摺動部に「マイクロロンペースト」をごく薄く塗布。作動は良好。
左グリップはハンドルバーにアルミテープ(マフラー補修用耐熱仕様)を貼って嵌め合い調整。
なお、配線は以前に整理しておいたので、接続はラクラク♪
最弱でもほんのり暖かく、辛さがないのが嬉しい♡ 安全にも寄与していること間違いなし。

【ジェットニードルクリップ位置変更】
パイロットスクリュー調整を、リーン側から攻める先日の調整で、
中低速すなわち一般ツーリング領域のツキや吹け上がりが大きく改善され、
燃料消費も20㎞/ℓに近いところまで大幅に伸びました(多少誤差の可能性あり)。

とはいえ、点火プラグの焼け色を見ると、碍子部分がまだ茶色掛かって、
外側電極の外面は煤が付いています。
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これは「まだ伸び代があるのでは?」と考え、もう少し手を入れてみました。

以前記したように、ジェットニードルは純正品の”丸太のような”太くテーパー角の浅いものから、
明確なテーパーの付いた、ヤマハTRX/TDM用社外リペアキットに入っていた細身のものに交換しています。

まだ燃料吐出量を絞ることができると踏んで、クリップ位置を一段上げて、上から2段目に変更。
(=ニードルが下がるので、テーパー部分のニードルジェット(穴)とのすき間(=ノズル開口面積)が小さくなり、燃料吐出量が減る)
それでもメーカーオリジナルよりノズル開口面積はかなり大きいはず。

チョークを使えばエンジンの掛かりは悪くなく、とりあえずアイドリング~暖機しながらの市街地走行は問題なし。
若干発進時の力感が弱くなっているので、若干回転を上げ気味にして発進。
************************************

【試運転】
いつものテストコースから、国道のバイパス道路へ向かいます。
高速道路の場合、何かあっても次のPA/SAか料金所まで停車(再調整)できないのと、
全長数キロとはいえ、高架の片側二車線なので、対向右折車のリスクがないのが理由。

※但し途中に一箇所、高速道路的な高架の自動車専用道路からは想像できないほどの大きな段差(陸橋の継ぎ目?)がある。
今回も多分に漏れず、確認しづらい夜間に思い切り踏みつけてしまい、車線キープで走っていてもかなり怖い思いをした。
うっかり車線変更しながら踏みつけると転倒リスク大と思えるほどで、事故が起こらないのが不思議。

周囲の安全を確認の上、4~6速の高いギヤで、3000rpmあたりから大きく開けて(=高負荷を掛ける)、
ニードルジェット~メインジェットの繋がり領域の吹け上がり・失速を確認し、
また、大開度から急に閉じた場合の反応(例えばアフターファイヤーの有無)を調べるのが目的。

→とりあえずは問題はなし。
欲を言えば4000rpmあたりから上で、回転に比例してもう少しトルクの立ち上がり感があれば、というところ。
   ◆    ◆    ◆

その後、例のごとく人家から離れた、街灯のある交差点隅で停車し、点火プラグの焼けチェック。
暗がりで見る限り悪くはなさそう。
4000rpm以上のトルク感は、シムを使ってクリップ位置を上から2段目と3段目の中間あたりにすると良い気がするが、逆にいちばん上というのもありかも。試してみたい。

とりあえず発進時領域補正のため、パイロットスクリューをほんの少しだけ(マイナス溝一本分くらい)戻してみると、再始動時の掛かりが良く、発進時のトルク感や開け始めのツキが改善。
開閉時の「ドンツキ」もなく、扱いやすさも問題なし。
   ◆    ◆    ◆

改めて点火プラグの焼けを、撮影のため蛍光灯の下で見てみると…
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外側電極は白っぽくなっているが、碍子部分はさほど変わらないような気もする。
(写真で見るよりは焼けているのですが)
もうしばらく、いろいろと試してみたいと思う。

人車とも「まだ伸び代がありそう」と思えるのが、明日への活力の源なのである(笑)
************************************

何度も書いているように、筆者の観点では、
「トルク感を伴った、2ストローク的なシャープでストレスのない吹け上がり」こそが、
ドゥカティVツインデスモならではの、他に類を見ない最大の美点。

手を入れていくと、よくも悪くも変化が明確に体感(味覚以外の4感で(笑))でき、
これほど面白い”素材”はなかろうと改めて思う今日この頃。

ベベルSS/MHRやF1、851や916らの系統の車両群から自然に漂う
「レース車両の生き写し」的オーラに欠けるのは認めざるを得ないところですが、
SSにせよ、モンスターにせよ、台数が多い分、入手にもすそ野が広く、
サーキットで華麗な活躍を見せる”手本”たる存在がない分、
固定概念に縛られず、いじり方や使い方の自由度が高いのがメリット。

旧世代のドゥカティに強烈に憧れ、親しんだ身としては、
「やせ我慢」の度合いが限りなく少なく自然体で接することができるのが嬉しく感じられるのは、歳をとったせいなのかな?(笑)

「釣った魚にエサはやりたくない」あるいは「余計な刺激は欲しくない」向きにはお勧めしかねますが、
掃除やメインテナンス、チューンアップといった手入れや工夫を楽しみとして捉える愛好家には、
ぜひ一度接してみられることをお勧めします。

当方車両にご試乗いただくこともやぶさかではないので、ご希望があればお声掛けください。

Posted at 2025/11/07 21:29:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月02日 イイね!

DUCATI SSの整備【86】運転手リハビリを兼ねた小ツーリング

DUCATI SSの整備【86】運転手リハビリを兼ねた小ツーリングパイロットスクリュー調整で調子が上がった(というか、本調子が出た)のを機に、
休日朝、おなじみの里山コースへ出かけてみた。
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朝方はWeb天気予報によれば気温摂氏12度前後。
先日のパイロット調整(空燃費リーン化)のためか、チョークを引けば始動に問題はないが、
レバーを早目に戻すとすぐにストールしてしまう。
チョークをいっぱいに引いた状態では3000rpm+まで吹け上がってしまう。
パイロット系をもう少しリッチに寄せた方が良いと思われる。

掛け損なうとスタータークラッチが滑ることがあり、冬場はオイル粘度を下げた方が良いかもしれない。
*************************************

道中に燃料補給。パイロット調整の燃料消費への影響を調べるにもタイミングはいい。

このところ土日は雨が多かったせいか、いつも車両チェックのため立ち寄る「道の駅」は、
チラリと見やると行楽のクルマ・バイクでいっぱい。
ある程度見越していたので素通りし、折り返し地点まで一気に走ることにする。
*************************************

今回チェックしたかったのは、運転手の調子確認と、足回りの状態確認。

このところは新しく発見した、山麓の田舎道(自宅から周回約50㎞)ばかり走らせていて、
夜の8時過ぎともなると交通量は少なく、エンジンの調子を見るには好都合なのだが、
先の見通せないカーブが多いことに加え、街灯が少なく、たまにやってくる対向車のLEDヘッドランプは姿勢変化でしばし目を直撃し視界を奪われることもあり、
とにかく先を読んでのメリハリのあるスロットルワークや、走行ラインを想定した荷重アクションがしにくい。

本気で飛ばすとアベレージ速度はかなり上がりそうだが、その分安全マージンは必須。
ところどころ路面が荒れている上に、夜間でも時折大型トラックが通行するため、
つい腰の引けた半端な走りになっていて、ハンドリングの評価どころか操縦自体がかなり怪しくなっているのが真相。

これ以上足回りをいじる前に運転者の調子を戻す必要あり、ということで、
久々に明るい時間帯に馴染みのコースに出かけてみた次第。
*************************************

このところ感じるのは、コーナーアプローチでの速度感が掴めないというか、
半端な走りに馴染んでしまったため、コーナー入り口で「曲がれるか?」確信が持てないこと。

とにかく入り口で無理をせず、理解できる速度で、早めに開けていけることを第一義として、
往路はひたすら運転手のリハビリに専念。

エンジンは至って快調。登り勾配の急開でもツキ・吹け上がり・速度の乗りは良好。
筆者は一番重要と考える、閉じた後、開け直す際のツキは「ドンツキ」なく良好で、
開けやすさだけでもバイクに対する信頼感が増していく。
************************************

目標の折り返し地点のコンビニで小休止。ここもいつになく賑わっている。
筆者は不思議と一般観光客や地元住民(しかも年配者)から声を掛けられるが、一般の二輪運転者は近寄ってこない(笑)

点火プラグ焼けとオイル漏れ、各部の緩みをチェック。
(先日試運転の際は取り付けボルト/ナット/ブッシュを落としてしまい、危うく右側マフラーを脱落させるところだったこともあり・・・)
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点火プラグは両気筒同じように、まずまず焼けていて一安心。
ニードルクリップ位置を一段上にしてもいいかもしれない。
今回程度の走りでは、メインジェットの番手などはほとんど意味がなく、判別できない。
スロットルのツキや吹け上がり、トルク感や振動の出方も不満はなし。

足回りは、停止直前のふらつきやすさが少し残っているので、
リヤショックの伸び側減衰調整ねじを半回転ほど締めこんでみる。
(伸び速度が緩和され、動的にリヤが下がり気味となる)
************************************

不思議なもので小休止を入れると、往路よりも身体がよく動く。様子を見ながらペースアップ。
大きな違和感はなく、欲張らずに往路と同様「開けていく」ことに留意しながら走らせて、
運転手・車両とも、とりあえず現状を確認することはできた。

橋や舗装の継ぎ目などギャップを踏む瞬間は、以前は無意識に身構えていたが、
今回のペースでは下半身でホールドし開けていけば、身体に突き上げやショックを感じることもなく通過でき、感心する。
以前のリヤショック交換(専門店チューンのSSie純正品)と先刻の調整のおかげだろうか。

燃焼室内のカーボンが焼け飛んだのか、復路はさらに調子が上がり、吹け上がりはますます良好。
左折発進などは意識以上に吹け上がりが速く要注意で、半クラッチが必要なほど。
停止直前のふらつきは、以前に比べればかなり改善されていて、モヤモヤ感は減少。

帰路は渋滞に遭遇するも、抜け道で回避。快調さに気分を良くして無事帰宅。道程100㎞強。

各部チェックを兼ね、久しぶりに構造部品をすみずみまで掃除(灯油拭き)。
外装(塗装)部品は水はねで汚れたフェンダー以外、特に気にもならず面倒なのでそのまま(笑)
************************************

ということで、次回に向けての課題は

●冷間時の始動性改善。

●旋回パターンに入れば気持ちよく大きな不安はなく、曲がっていけるが、
 曲がれる確証を得るためにも、リーン開始時、もう少し早めに舵角がついてほしい。
 (安心感との兼ね合いがあるが)

●そろそろ朝夕はヒーターグリップが欲しい。

といったところ。

現車入手から約1年。不具合に対処しながら、
「CAGIVA傘下のDUCATIの進化の理解」(といっても30年前の話だが…)
「DUCATI純正コンポーネントを用いた機能向上」
をテーマとした今回のSSプロジェクト。

まだまだ試してみたいことはいろいろとあるが、かなり完成度は高まったので、
本業の”宿題”が片付いた後、そろそろ次のプロジェクトに着手したいと考えるこの頃。

Posted at 2025/11/03 13:00:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

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第三期、またまたユーノス(笑) (新車当時、周囲では誰もロードスターとは呼びませんでした ...

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