自分が見たのはオートカー ジャパンサイト の記事で でしたが
" フォルクスワーゲンは全世界で合計30,000人の従業員を向こう3年で解雇していくことで労働組合と合意した "
と出ていました 。
北米での排ガス不正問題に端を発しその規模の大きさや内容から 不正に対する制裁金 や ユーザーへの損害賠償等に 巨額の費用が必要とされ経営への大きな影響も予想される中で 一時は 「 ベントレー や ランボルギーニ ブランド の売却も有るかも 」 なんて記事も目にすることが有りました 。
その後の関連記事では 米当局側との和解金 は 総額147億ドル( 約1.5兆円 今後の民事賠償分は別途 、 以前の トヨタ に対する制裁時は 12 億ドル )とされ 、 そうした影響も有ってか フォーミュラ E 等への新規参戦も発表されながら アウディチーム の WEC からの撤退
更に 2017 モデル の開発が進んでいながら VWチーム の WRC 撤退も発表される等 VW グループ 内でのモータースポーツ部門にまず変化が出る中で 本業にはどういった影響が有るのだろうか と思える部分が有りました 。
記事によれば 今回の 30、000 人 というのは 全世界で610,000人が働く ( うち1/5にあたる120,000人がドイツ国内 ) フォルクスワーゲンの全従業員の
5% にあたり 、 2020年を目安にドイツでは23,000人が削減されるがこれがドイツの広範囲にわたるものか ウォルフスブルグのヘッドクォーターのみなのかは明確になっていない 。
又 残りの7,000人の削減については対象先が明らかになっていないそうですが 北米および南米でのカットが想定されている とのこと 。
他に BBC では フォルクスワーゲンがこのリストラについて強制的なものではないとしている とも伝えているようです 。
この人員カットはディーゼルゲート・エミッション・スキャンダルの結果によるものですが ロイターの報道によれば それと同時に自動運転およびEVの開発に人員をシフトしていくことにもある そうで 、 マティアス・ミューラー CEO は今回の削減について 「 フォルクスワーゲン・グループの中心となるブランドの歴史の中でも 最大の現代化プログラムだ 」 と語っている となっています 。
ただ これだけの巨大な組織の会社ですから不正に対し全く関係が無い立場の方が今回のリストラ策で会社を去ることになった とすれば やはり納得がいかないところも出てくるのではないか ・・・
とも思えるんですが 。
ちなみに Lotus Cars が以前発表した リストラでは 約 300 人でしたが ・・・
こちらは 約 25 % 程 になる筈です 。
この人員削減の目的は
営業利益率を2%から4%に上げることにあり リストラによって
年間 €37億 (4 344億円 ) が浮くことになる となっています 。
今回の記事で
自分が一番気になったのは この VWの現在の営業利益率が 2 % というところでした 。
( 自分の場合営業時代に会社から指示されていた 目標の利益率は 12,5 % でしたね )
VW グループ の業績構成
以前 排ガス不正問題が発覚した後 2015 年11月頃に ある経済情報サイト で見かけたものですが VW グループ 内での業績 に対し 主力となる VW 本体 ・ アウディ ・ ポルシェ の 3 社について 2012 年から 2014 年でまとめると以下のようになるそうです 。
確かに営業利益率は VW 単体で見ると 3% 前後程度 になっています 。
自分が興味深く感じられたのが グループ での総販売台数 に対する 3 ブランド の台数構成比 と 利益額 ・ 利益率 の割合についてでした 。
ポルシェ の実績は 2012 年 8 月から連結決算に反映されるようになったそうなので 2012 年と 2013 年で実績が大きく変わっているのはそうした途中からという関係も有るんでしょうね 。
ポルシェ 買収以前 の 2011 年はこのようになっていたそうですが 、 もし ポルシェ をVW が買収せず その後 VW本体の 利益額 ・ 率 の低下が上表同様に起こっていた場合 勿論経営危機まではいかないにしても不正事件前までのような 1000 万台 を標榜するまでの メーカー にはなれなかったかもしれませんね 。
当時先に買収をしかけたのは ポルシェ側でしたから そうでなければ今でも ポルシェ は VW グループ には入っていなかったのか ・・・
しかし 利益率自体は低くても ポルシェ の利益金額とほぼ同等額の持つ意味は有りますし 、 VW ブランド車の生産台数の多さは例えば今後ポルシェ で VWグループ 向けの V8 エンジン をまとめて生産するような際のスケールメリット にもなるんでしょうね 。
2015 年の 4 ~ 6 月だけでの各メーカー 利益比較になりますがこんなデータ も有りました 。
こちらでおもしろい と感じたのは VW のほうが トヨタ より若干台数が多いながら純利益額では 半分強 と大差がついているところでした 。
GM も 250 万台近くを販売しながら純利益額では トヨタ ・ VW 2 社に遠く及ばず 169 万台の フォード よりも更に少なくなってしまっています 。
又 金額の大きさでは トヨタ がダントツ ながら 1 台あたりの利益率の高さなのか ダイムラー は 71 万台で トヨタ の約半分 、 BMW は 57 万台で 約 1/3 となっているのも興味深く感じるところでした 。
Lotus Cars の 決算書は どんな 内容になっているのか 是非 一度見てみたいものですね ・・・
ただ その際には内容が酷過ぎて多分 ノリ弁 状態かも ?
プロトン と Lotus Cars の場合は
これまで 毎年の Lotus Cars の赤字を補填してきた親会社 のプロトン は昨年決算においてどうも巨額の赤字を出したようで 春先には マレーシア 政府から サプライヤーへの支払い支援も含め数百億円規模の融資策が決定されており これが 先日オートカージャパンサイトでも紹介されていた プロトン株の 売却 話 と海外メーカー との提携につながっていく形になっています 。
Lotus Cars が VW グループ における ポルシェ のような存在になれれば良いのでしょうけれども全く逆の形で 、 来年春 2016 年度決算で黒字が出せたとしてもおそらくその金額はまだ親会社の支援を必要としなくなるレベル には程遠い 。
又 プロトン 側の赤字が 1 年だけとは限らず 続いた場合は自身も政府からの支援を受けている以上 今後は Lotus Cars の 赤字補填は無理 。
スズキ の名前もあがっていた海外メーカー との提携話 が纏まるか については プロトン だけならまだしも Lotus Cars をこれまで同様傘下に含むのかどうか がキーポイント になるのは 今後の Lotus Cars の経営見通しや 建設が始まる筈だった中国工場への投資負担も絡んでくるので 避けられないところでしょう 。 提携を纏める為に Lotus Cars を放出するのは十分考えられる 、 むしろ 不可避 と考えたほうが順当でしょうね 。
これが自分が予想する シナリオ ですが Tipo 12 月号 で 今 Lotus Cars の現状を語るならば 一番問題となる筈の この部分を是非 とりあげるべきでしたね 。