恵美須神社（呉市〔旧豊町〕）

恵美須神社は、江戸時代の記録によれば、「千砂子 (ちさご)」という磯に夜な夜な光るものがあり、漁師が引き上げると蛭子神像であったため、それを祀ったのが創建の由来とされています。また、別の伝承によれば、豊前国小倉から祭神を移したともいわれています。
宝永4（1707） 年に社殿が再建されているため、創建はそれ以前ということで、おそらく御手洗町が開かれた頃 寛文6（1666）年に祠として祀られ、町の発展とともに整備されていったものと思われます。
御手洗に立ち寄る船乗りたちは、ここで航海の安全と順風を祈願しました。また、御手洗の繁栄を願い、境内では毎年春・秋に芝居が興行され、大坂など各地から一座が巡業にやってきました。天明8（1788）年から高札場も設けられており、町一番の繁華な場所となっていたようです。
現在の本殿は享保8（1723）年に建立された一間社流造屋根檜皮葺の小社です。また、向唐破風の向拝付の拝殿は明和元（1764）年に再建されたものです。共に平成8（1996） 年に広島県の重要文化財に指定されています。また、道路をはさんで海際に立つ鳥居、その隣の雁木 (石段状の船着き場) などにより、往時の港の佇まいが偲ばれます。

Photo　Canon EOS 5D MarkⅣ
R6.9.15
住所: 広島県呉市豊町御手洗249-1