旧車販売に強い販売店様から振動問題が発生しているというソアラGZ20型のプロペラシャフトについてご相談をいただきました。
ソアラはえらく格好いい車ですね。バブル時代を体現したハイソカーという扱いだそうですが、今自動車メーカーが販売したらものすごく売れそうな気がします。
私は特にリヤから見たデザインがとてもいいと感じます。
ソアラ E-GZ20 2.0ツインターボL(GAZOO記事)
今回ご相談あった車両は、たぶんツインターボのグレードではないだろうと思われますが、お客様が購入された車両を一緒に試乗した時に50km/h前後で振動を感じたのでセンターベアリング交換を行ったところ、振動が70km/hくらいにシフトしてしまい、プロペラシャフトを根本的に治療しないとだめだという店長判断になって私にご相談をくださったそうです。
送られてきたシャフトを観察します。
特に第一軸にサビが強く出ており、第一軸と第二軸のデフ側のジョイントは軽い首振りでしたが、中央部はクリック感が強く出ていて内部は劣化したオイル状になっているんだろうなと想像がつきました。
センターベアリングは交換済みとのことでとてもスムーズに回転していました。かなり複雑な形状で、補強の役目を持たせているのかなと思いました。
非分解方式のユニバーサルジョイントでしたが、十字スパイダーにもサビが強く出ていて今まで頑張ってきた歴史をねぎらいたくなる雰囲気でしたので、三か所すべての交換を提案し、了承をいただいてからバラしていきます。後ほど回転バランスも取り直しをしますので、純正でつけられていたウエイトもすべて取り除いていきます。
スパイダーのキャップ部がもろくなっていて割れてしまったり固着でなかなか動かず抜きずらかったりなど、取り外しは簡単ではありませんでしたが、様々な抜き治具を駆使して抜き取りました。
内部の状態は予想した通りで粘りは完全になくなり、茶色のオイルになっていました。でも潤滑があったので摩滅などによる破損がなかったのはとても喜ばしいことです。
スパイダーは幸いにも在庫品が使えたので新品に交換し、驚きの軽い首振りとまったく引っかかりのないスムーズな動きであることを確認して自己満足をしたあと、回転中心を0.01mmほどまでじっくりと詰めてから固定し、測定限界近くまで回転バランスを追い込んで完成としました。
第一軸に大きめの振動が出ていたので、振動は第一軸が原因だったかもしれません。今回超低振動軸となったので、実車に装着してもらってからどのような結果になるかを緊張感をもって見守りたいと思います。
日本の自動車黄金期を支えた車がプロペラシャフトを通して生き返っていくのを感じるのは強く深い感慨を感じます。
Posted at 2024/04/13 00:19:59 | |
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