SJ30 電動コンプレッサー式エアコン取り付け【その7:大容量オルタネーターVベルト滑り対策】
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2024/06/16~07/27
SJ30に電動コンプレッサー式エアコンを素人が取り付けた記録です。
前回の投稿で、電動コンプレッサーの大電流(最大50A)とコンデンサの電動ファン(約12A)に対応すべく低抵抗・高出力130Aオルタネーターに換装したことを書きましたが、アイドリング時に大電流を発電するとオルタの回転抵抗が高まりVベルトが滑ってしまう不具合が発生しました。
これを改善するため、対策を施しましたのでご紹介します。
まず、ベルト滑りがどこで発生しているかを目視確認したところ、クランクプーリーのところで滑っていることがわかりました。
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これは元々のSJ30のプーリーレイアウトに少々無理があり、クランクプーリーにVベルトが接している距離が短かい(接触角度が90°くらいしかない)ことが原因だと考えました。
なお、純正オルタの場合は発電電流が少ないため回転抵抗が小さく、滑りは発生しなかったと思われます。
図はフロントから見たときのプーリーレイアウトをCADに入力したものです。
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対策をいろいろ考えて、ウォーターポンプとオルタを別々のベルトで回す案も考えたのですが、ベルトのテンション調整をオルタで行っている関係上それは難しいということになり、純正のベルトレイアウトはそのままとし、オルタプーリーとクランクプーリーをもうワンセット追加して2本のベルトでオルタを駆動することにしました。
つまり、1本のベルトは純正のままクランク-ウォーターポンプ-オルタを駆動し、追加の2本目のベルトはクランク-オルタを駆動するというものです。
ただし2本のベルトのテンション調整は共にオルタで行うため、2本のベルトがオルタの同じ角度位置で適切な張りになるようにする必要があります。
なお、2本のベルトは経路が異なるため長さも異なり、長さがインチ刻みの規格品のベルトを使いながらも張りが同じになるようにしなければなりません。つまり、1本目のベルトの長さと2本目のベルトの長さの違いがピッタリインチ違い(例えば1本目は33インチで2本目は28インチなど)にする必要がありました。
手計算では頭がおかしくなりそうになったので(笑)、CADを使ってベルトの周長を算出しながら設計しました。(クランクプーリーとウォーターポンププーリーは直径が決まっているので、オルタプーリーの直径を可変しながら検討しました)
いろいろ計算した結果、オルタプーリーの直径をφ79㎜にした時(ベルト高さ方向の中心円の直径でφ68mmの時)、1本目のベルトは33.5インチ、2本目は26.5インチになることがわかりました。
この図はそれを計算した時のCAD図です。ちなみに各プーリーの円はプーリーの直径ではなくVベルトの高さ方向の中心線の直径となっています。(Vベルトの長さ規格はベルト中心の周長とされているため)
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このレイアウトを元に各取り付け部の寸法測定を行い、クランクプーリーに取り付ける「サブクランクプーリー」と「ベルト2本掛け可能なオルタプーリー」を設計し、知り合いに旋盤加工してもらいました。
完成したサブクランクプーリー
素材はSUS303です。
重さは約1.5kg
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こちらはオルタプーリー。2本のVベルトが掛けられるように2つのV溝が切ってあります。
素材は同じくSUS303
重さは約780g
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まずはサブクランクプーリーを取り付けるため、ラジエターのファンシュラウドを外してクーリングファンを外します。4本のM6ボルト(対辺10㎜)で止まっています。
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ファンとラジエターの間のクリアランスが狭く普通のソケットレンチでは入りずらいので、このような板ラチェットがあるとボルトを回す作業が早いです。
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ファンが外れたらアルミのスペーサーも外します。クランクプーリーにガッチリと固着していて手では外れなかったのでバールで外しました。
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クランクプーリーとクーリングファンの間のスペーサです。今回これの代わりにサブクランクプーリーを取り付けるという計画です。
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クランクプーリーが現れました。
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クランクプーリーの表面です。
ココに2本目のベルトを掛けるサブクランクプーリーを元々スペーサーの固定で使っていた4本のボルトで固定します。
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クランクプーリーは錆びていたので錆を落として塗装しておきました。
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サブクランクプーリーを仮止め(圧入)したところ。
直径はクランクプーリーと同一にしてあります。
クランクシャフトに1.5kgの重りが追加されるのでエンジンのレスポンスが悪くならないか心配。
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サブクランクプーリーにクーリングファンをボルト4本で取り付けて、ファンシュラウドを取り付ければクランク側は完成。
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次にオルタネーターのプーリー交換。一旦オルタをエンジンから外し、付いていたプーリーをインパクトで外します。
対辺24mm。
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外したプーリー(右)と今回取り付けるもの(左)。ダブル掛けなのでだいぶ厚さが違います。
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分厚いプーリーですが設計通りうまく固定できました。
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2本目のベルトが手前に出てファンシュラウドに干渉するのでカットします。ホワイトペンでだいたいのところに線を書いて半田こてで溶かしながら切りました。
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まあまあうまく切れました。
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ベルトは事前の計算通り33.5インチと26.5インチを使います。
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思惑通りオルタの1箇所のテンション調整で2本とも張りがバッチリ!
良かった〜
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反対側からの写真。
プーリーの前後位置も2本とも一直線になっています。
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この対策により、オルタが大電流を発電して回転が重たくなってもベルトの滑りは全く発生しなくなりました。
滑りが発生しないということはオルタの回転抵抗が直接エンジンに掛かってしまうということになりますが、低速トルクのある2ストの特性でカバーされているためか多少の回転落ちはありますが普通に走ることが出来ています。
また、心配していた回転部分にウエイトが追加されたことによるエンジンのレスポンス悪化については、嬉しいことに体感できるような違いはありませんでした。
次はエアコン使用時のアイドルアップなどについて書きます。
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