最初は残念な話だ。
地獄の入口が開く音のようだと嫁は言う。
イグニッションをONにすると聞こえる、EDFCのゼロ点出し作動音のことだ。
自分はそこまでとは思わない。でもあの音がすると、うちの犬もやっぱり威嚇モード全開でほえるのだから認めるしかない。
※起動10回に1回だけ原点調整する設定には変更済
とくにスカイラインの場合、リアのEDFCモーターがほぼキャビン内にあるので音はダイレクトに響いてくる。
EDFCは製品の作りもしっかりしている。取説も完璧で、動作自体は万全だ。
ただあのステップモータの作動音だけは、やっぱりちょっとあれだと思う。
長いこと作っているのだし、そろそろ何とかしなくてはいけない時期ではないだろうか。
マグネティックライドと張り合えとは言わないけど、超音波モータくらいは採用してせめてトヨタのAVSに勝てないものか。
だってこんなに乗り心地がいいのだから、快適性を求めてTEINにしようという人だっているはずだ。この乗り心地にあの音では釣り合わない。犬だってそう思ってる。
それに自動車業界は電動化につき進んでいて、この先、クルマはもっともっと静かになる。
何とかするなら今ではないか。
が。
それを脇においてもEDFCは、FLEX Zを使うのなら一緒に使いたい製品であることは揺るがない。やっぱりこの便利さは正義だ。
一番便利だと思うのがマニュアルモードのプリセット機能。
好みの前後減衰力の組み合わせをP0からP9までのメモリに記憶させることができる。
うちのクルマでいうと、P0はファーストドライバーである嫁に合わせたセッティングでF10/R9。
想定は街乗りで、乗り心地を優先しつつ、路上で不測の状況が起きてもとっさに回避できる程度の運動性を残したセット。
P1、P2、P3と数字が上がるほどに想定速度とステージレベルが上がり、より元気に走るための設定値が入っている。ダイヤルを右にひねってポンと押しこむだけでクルマは締まった挙動になっていく。
よっこらしょとフードを開けたり、後ろの席にまわって、「いま何段目だったっけ?」と時々わからなくなりながら、クリックノブを指でコリコリ回していた昨日の自分に、もう絶対戻れはしないだろう。
実際、EDFCがなかったら、よし高速に乗ったから減衰上げよう!と思っても無理なわけで、減衰力は変えたいときになかなか変えられないのが現実だと思う。もっと安心して走れるクルマなのに高速道路をフワフワなセットで乗っていたり、本当は乗り心地のいいクルマなのにずっと峠セットでゴツゴツを我慢しているとしたら惜しい話だと、いまになって思う。
クルマのいいところをほしいときに引き出してくれる道具。そう考えると、この機能だけでも定価6万6千円の価値は十分にあると思ってしまう。
オートモードの方は、車速感応機能をまだ実際使っていないのでG感応だけの感想になるが、自分なりの結論を先に言うと、使うと確かによくなる場面もあるけど、絶大なメリットが得られるものではないと感じている。
まず前後G感応は正直、使わない方がすっきりすると思った。
ブレーキの効き始めがよくなる感覚は確かにあるが、少し戸惑うのがブレーキの放し際。
ブレーキを残しながらコーナーに入ったら、クルマの姿勢と相談しながらブレーキを緩めていくことになる。そこで減衰力がひとりでに弱まってノーズが思ったより早く浮いてきたり、逆に浮かせたリアが勝手にスーッと沈んでいくのはうれしくない。それならいっそ加減速に対しては、何もしてもらわなくていいかな、と思ってしまう。
一方、左右G感応はなかなかいい。セッティングが合うと出来のいいアンチロールバーが入っているみたいだ。
ただしS字の切り返しのようなところでは、少し反応が遅れることもある。2つめに入ったあとで減衰力が立ち上がってきても、クルマはもうロールしていたりする。スカイラインのDASはもともと切り返しの操舵力変化に少しクセがあるので、なおさらそこが目立ってしまう気がする。
反応スピードは速くしてほしいところだが、それでもGの出方を受けての制御にはどうしても限界があるのではと思う。
完璧を求めず、ちょっとだけ助けてくれる、くらいのやんわりした効かせ方がいいのかもしれない。そのさじ加減をユーザーが調節できるのはEDFCの強みであり、楽しめる部分だと思った。
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