20世紀に制作された2Lエンジンの名器...じゃなくて名機達。
投稿日 : 2017年10月30日
1
レシプロエンジンの究極系はDOHCヘッドを採用する事であり、これは現在でも不変である。
そして、国産の2リッタークラスには様々なエンジンが存在しているが、名機と呼ばれるエンジンは、その全てが20世紀に誕生している。
今回は、そんな名機と呼べる2リッター4気筒のハイパワーエンジンを紹介しようか。
日産•FJ20型
FJ20E型は、日産自動車により1981年10月、6代目スカイライン2000RS(DR30)に搭載されて登場したエンジンであーる。
1965年登場のセドリック•タクシーに搭載されていたH20型の鋳鉄製ブロックをベースにシリンダーの内径および行程を変更し、新開発のDOHC16バルブヘッドを載せたスポーツエンジンで、ダブルカムチェーン駆動とした事もあり、非常に耐久性に優れ、チューニングによっては750PS程度の出力に耐えるエンジン。
“PLASMA”(Powerful & economic Lightweight Accurate Silent Mighty Advanced)という名称が与えられていたが、整備重量を見る限り中々重たいエンジンなので、Light weightってのはどうかとw。
○FJ20Eエンジンデータ(1981)
直列4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,990cc
内径X行程▶89.0mm×80.0mm
圧縮比▶9.1
最高出力▶130ps/6,000rpm
最大トルク▶17.0kgm/4,800rpm
FJ20ET型は、1983年2月に登場したスカイライン2000ターボRSに搭載されて登場したターボ仕様のエンジンであーる。
○FJ20ETエンジンデータ(1983)
直列4気筒DOHC16バルブ•ターボ
排気量▶1,990cc
内径X行程▶89.0mm×80.0mm
圧縮比▶8.0
最高出力▶160ps/6,400rpm
最大トルク▶21.5kgm/4,800rpm
このFJ20ET型は最終的にインタークーラーが採用され、出力を大幅に向上させている。
○FJ20ETエンジンデータ(1984)
直列4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーターボ
排気量▶1,990cc
内径X行程▶89.0mm×80.0mm
圧縮比▶8.5
最高出力▶175ps/6,400rpm
最大トルク▶23.5kgm/4,400rpm
しかし搭載車種がDR30スカイライン以外ではS110シルビア / ガゼール、S12シルビア / ガゼールのみだった事と、製造コストが高かった為か、1986年2月にFJ20は生産終了となりました。
4年少々しか製造されなかったというのは、量産エンジンとしてはかなり短命でつ。
*出力表示はNET換算した上で、ちょい四捨五入してまつ。
2
トヨタ•3S-G型。
3S-GE型は、トヨタ自動車により1984年6月にマイナーチェンジを実施した2代目カムリと初代ビスタ(SV12)のスポーツグレードに搭載されて登場したエンジンであーる。
ベースは1982年7月に登場した同車が搭載していた直列4気筒SOHC 8バルブ EFI 1.995ccの2S-ELU型の鋳鉄製ブロックを基に、シリンダーの内径および行程を変更してヤマハ発動機製のDOHC16バルブヘッドを装着したモノで、高出力のスポーツ志向に振られたエンジン。
“LASRE”(Light-weight Advanced Super Response Engine)という名称が与えられていた。
○3S-GEエンジンデータ(1984)
直列4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶9.2
最高出力▶140ps/6,200rpm
最大トルク▶17.5kgm/4,800rpm
3S-GTE型は、1986年1月に登場したセリカGT-FOUR(ST165)に搭載されて登場したターボ仕様のエンジンであーる。
○3S-GTEエンジンデータ(1986)
直列4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーターボ
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶8.5
最高出力▶185ps/6,000rpm
最大トルク▶24.5kgm/4,000rpm
そんな3S-GE型、最終的には可変バルブタイミング機構であるVVT-i(Variable Valve Timing-intelligent system)が採用され、出力と燃費を大幅に向上させている。
尚、NAエンジンには新たに“Beams”(Breakthrough Engine with Advanced Mechanism System)という名称が与えられていた。
○3S-GEエンジンデータ(1998)
直列4気筒DOHC16バルブDUAL VVT-i
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶11.5
最高出力▶210ps/7,600rpm
最大トルク▶22.0kgm/6,400rpm
○3S-GTEエンジンデータ(2002)
直列4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーターボ
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶9.0
最高出力▶260ps/6,200rpm
最大トルク▶33.0kgm/4,400rpm
この3S-G型は、1980年代からトヨタの中型車のスポーツグレードに幅広く採用されていったのだが、2000年代の低排出ガス車認定制度に対応出来ず、2007年5月を以って生産を終了している。
3
三菱•4G63型。
4G63型は、三菱自動車工業により1987年10月、6代目ギャラン(E33A/E39ASNPF)に搭載されて登場したエンジンであーる。
このエンジンの源流となった1979年登場のG63B型エンジンに新開発のDOHC16バルブヘッドを載せたモノだが、基本設計が古く、鋳鉄製シリンダーブロックである為に軽量とは言いがたいが、非常に丈夫なエンジン。
通称、“CYCLONE ENGINE”と呼ばれていた。
○4G63エンジンデータ(1987)
直列4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,997cc
内径X行程▶85.0mm×88.0mm
圧縮比▶10.4
最高出力▶140ps/6,000rpm
最大トルク▶17.5kgm/5,000rpm
ターボ仕様は同年に登場したVR-4に搭載されて登場。
○4G63エンジンデータ(1987)
直列4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーターボ
排気量▶1,997cc
内径X行程▶85.0mm×88.0mm
圧縮比▶7.8
最高出力▶205ps/6,000rpm
最大トルク▶30.0kgm/3,000rpm
そんな4G63型エンジン、NA仕様の最高値は1989年10月に追加されたAMG仕様のモノとなってしまった。
○4G63エンジンデータ(1989)
直列4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,997cc
内径X行程▶85.0mm×88.0mm
圧縮比▶10.4
最高出力▶170ps/6,750rpm
最大トルク▶19.5kgm/5000rpm
ターボ仕様では、1996年7月登場のランサー•エボリューションⅣから、エンジンを左右反転して最高出力280psを達成し、2005年登場のランサー•エボリューションⅨでは可変バルブタイミング機構MIVEC(Mitsubishi Intelligent&Innovative Valve timing&lift Electronic Control system)が採用され、最大トルク41.5kgmをRSで達成している。
○4G63エンジンデータ(2005)
直列4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーターボMIVEC
排気量▶1,997cc
内径X行程▶85.0mm×88.0mm
圧縮比▶8.8
最高出力▶280ps/6,500rpm
最大トルク▶41.5kgm/3,000rpm
2007年9月、ランサーエボリューションIX MR、ランサーエボリューションワゴンMRを最後に国産エンジンとしては幕を閉じたが、中国や韓国の自動車メーカーに広くライセンスされている為、現在でも多くの中国車が4G63型エンジンを搭載している。
4
スバル•EJ20型
EJ20型は、富士重工業により1989年2月、初代レガシィ(BC5/BF5)に搭載されて登場したエンジンであーる。
新設計された水平対向4気筒エンジンはオールアルミ•ブロックとされ、4カム•16バルブとされたDOHCヘッド仕様が用意されていた。
通称、“BOXER ENGINE”と呼ばれている。
○EJ20エンジンデータ(1989)
水平対向4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,994cc
内径X行程▶92.0mm×75.0mm
圧縮比▶9.7
最高出力▶150ps/6,800rpm
最大トルク▶17.5kgm/5,200rpm
ターボ仕様は同年登場のRSが搭載して登場。
○EJ20エンジンデータ(1989)
水平対向4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーターボ
排気量▶1,994cc
内径X行程▶92.0mm×75.0mm
圧縮比▶8.5
最高出力▶220ps/6,400rpm
最大トルク▶27.5kgm/4,000rpm
1996年6月には“BOXER MASTER-4”に進化して280psを達成し、1998年6月には“BOXER PHASEⅡ”となってトルク増強と燃費向上が図られた。
また、1998年9月には吸気側に可変バルブタイミング機構AVCS(Active Valve Control System)を、2007年6月にはDUAL AVCSを採用している。
○EJ20エンジンデータ(2007)
水平対向4気筒DOHC16バルブ•AVCS
排気量▶1,994cc
内径X行程▶92.0mm×75.0mm
圧縮比▶9.7
最高出力▶190PS/7,100rpm
最大トルク▶20.0kgm/4,400rpm
○EJ20エンジンデータ(2017)
水平対向4気筒DOHC16バルブ•インタークーラーツインスクロールターボDUAL AVCS
排気量▶1,994cc
内径X行程▶92.0mm×75.0mm
圧縮比▶8.0
最高出力▶329ps/7,200rpm
最大トルク▶44.0kgm/3,200rpm~4,800rpm
WRX STI EJ20 Final Editionに搭載されたのを最後に、2019年12月を以って生産を終了し、30年という長い歴史に幕を閉じた。
5
日産•SR20型
SR20型エンジンは、日産自動車により1989年10月にマイナーチェンジを実施した、8代目ブルーバード(U12)に搭載されて登場したエンジンであーる。
新設計された直列4気筒エンジンはオールアルミ•ブロックとされ、Y字型ロッカーアームにHLA(Hydraulic Lash Adjuster)を組んだDOHC16バルブヘッド仕様のみが用意されていた。
チューニングした場合の耐久性の面では、アルミブロックである為にFJ20型に1歩譲り、650ps程度までと言われている。
こちらも、“PLASMA”(Powerful & economic Lightweight Accurate Silent Mighty Advanced)という名称が与えられている。
○SR20DEエンジンデータ(1989)
直列4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶9.5
最高出力▶140ps/6,000rpm
最大トルク▶18.2kgm/4,800rpm
SR20DET型は、同車のSSSに搭載されて登場したターボ仕様のエンジンであーる。
○SR20DETエンジンデータ(1989)
直列4気筒DOHC16バルブ
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶8.5
最高出力▶205ps/6,400rpm
最大トルク▶28.0kgm/4,000rpm
1997年9月には可変バルブタイミング&リフト機構であるNEO VVL(NEO Variable Valve Lift and timing)仕様のヘッドが採用され、2001年にはターボ仕様も登場した。
○SR20VEエンジンデータ(2001)
直列4気筒DOHC16バルブ•NEO VVL
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶11.0
最高出力▶204ps/7.200rpm
最大トルク▶21.0kgm/5.200rpm
○SR20VETエンジンデータ(2001)
直列4気筒DOHC16バルブインタークーラー•ターボ NEO VVL
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶9.0
最高出力▶280ps/6,400rpm
最大トルク▶31.5kgm/3.200rpm
このSR20型は、日産の90年代の中型セダン車を中心に幅広く搭載されていたが、2007年5月には新しいエンジンにバトンを渡し、生産を終了している。
6
ホンダF20C型
F20C型エンジンは、本田技研工業により1999年4月に発売したS2000に搭載されて登場したエンジンであーる。
F20型は1989年に登場した4代目アコードに搭載されて登場した型式だが、それとはボアもストロークも全く異なる新設計エンジンであり、S2000専用ユニットであった。
また、ホンダが他社に先駆けて搭載した可変バルブタイミング&リフト機構VTEC(Variable valve Timing and lift Electronic Control system)は熟成され、最も過激な仕様とされていた。
○F20Cエンジンデータ(1999)
直列4気筒DOHC16バルブ•VTEC
排気量▶1,997cc
内径X行程▶87.0mm×84.0mm
圧縮比▶11.7
最高出力▶250ps/8,300rpm
最大トルク▶22.2kgm/7,500rpm
NAエンジンでありながらリッター125psを達成したエンジンだったが、2005年に2.2リッターに拡大されて、2009年6月に生産を終了した。
7
ホンダK20型
K20A型は、本田技研工業により2000年10月に発表したストリームに搭載されて登場したエンジンであーる。
こちらはF20C型とは違ってFF用として開発。
従来のVTECにカム回転角の連続位相可変機構VTCシステムを採用したi-VTEC(intelligent-Variable valve Timing and lift Electronic Control system)となっており、後方排気とされているのが特徴だ。
○K20Aエンジンデータ(2000)
直列4気筒DOHC16バルブ•i-VTEC
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶9.8
最高出力▶158ps/6,500rpm
最大トルク▶19.4kgm/4,000rpm
2001年7月にはハイチューン仕様のR-specエンジンが登場している。
○K20A R-specエンジンデータ(2007)
直列4気筒DOHC16バルブ•i-VTEC
排気量▶1,998cc
内径X行程▶86.0mm×86.0mm
圧縮比▶11.5
最高出力▶225PS/8,000rpm
最大トルク▶21.9kgm/6,100rpm
2015年12月、ストロークを0.1mm短くし、吸気側と排気側に可変バルブタイミング機構VTC(Variable valve Timing Control system)と、VTECを排気側のみとしたターボ仕様が登場。
○K20C1 エンジンデータ(2015)
直列4気筒DOHC16バルブ•VTEC TUBO
排気量▶1,995cc
内径X行程▶86.0mm×85.9mm
圧縮比▶9.8
最高出力▶320PS/6,500rpm
最大トルク▶40.8kgm/2,500rpm~4,500rpm
このK20型は、20世紀最後の量産名機であり、21世紀のホンダ中型車用エンジンとして搭載車種を拡大して行きますた。
2020年現在も現役でつ。
8
このように、名機と呼ばれるエンジンは20世紀に開発•登場し、生産を終了したモノもあれば、現役でやってるモノもありまつ。
進化はしないながらも、ひっそりと生産され続けている三菱重工業製の4G63型、現在でも進化を続けながら生産されている富士重工業製のEJ20型と、本田技研工業製のK20A型...
名機と呼ばれるエンジンはチューナーが作るとは言ったモノだが、現在では制御機構が複雑になっていき、時代的にそういうのが生まれづらくなっているのが残念であーる。
20世紀のハイパワースポーツエンジン達よ、永遠なれ。
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