まとめ記事(コンテンツ)

2019/10/23

ネットワークオーディオ自作(3) Daphile

ブログに上げるタイミングを逃してしまいましたが、9月のソニックデザイン・リスニングキャンプ(LC)には今年もアンバサダーとして参加させていただきました。メーカーのイベントレポートはこちら

今年のLCには新世代ハイエンドDSPの搭載車が登場、それも一台や二台じゃないのがらしいというか。ショップによってBRAX推しやエタニ推し、あるいは静観組と分かれていて、オーナーさんだけでなく各ショップさんも情報交換に興味津々といった感じでした。終売となったデジコアの「次」に向けた動きがそろそろ始まるのでしょうか。

とはいえ、オールインワン設計のデジコアには後継機がないので、更新にはアンプも必要になるし、そうなるとケーブルや電源にもそれなりに投資せにゃならん。金額もさることながらスペースの犠牲も大きく、デジコアユーザーとして後発組の自分は今のところ静観です。コンパクトで安定動作、もちろん音質妥協無しのプロセッサーアンプはもう出ないのかねぇ。

そんなわけで今年のシステム更新、LC後サブウーファーを1基増設しステレオ構成にしました。オーテクのプレーヤー(こっちも出ないねぇ)とクラリオンの8インチナビの導入資金を投入してしまったので、ソースユニットは来年まで現状維持です。






以上、近況報告はさらっと流して、そのソースユニットの話題です。
前回紹介したlightMPD。APU、リニア電源、USBアイソレータとの組み合わせで奏でる音が気に入って、わが車の主力音源となっています。
今回はlightMPDの公式掲示板で紹介されていたDaphileを試してみました。


Daphileとは

Daphileは音楽専用のサーバー兼プレーヤーOSです。
どう発音するのが正解なんでしょうか。「ダファイル」?海外のYouTube動画には「ドア閉まります」のイントネーションで「ダァファイル」と読んでいる方がいました。
公式ページはこちら。日本語の情報は、非公式ですがwikiページがあります。

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公式ページより。どんなシステム構成で使うものか、この図がわかりやすいです。
Daphileの対応ハードはインテル互換CPUを搭載するPCで、インストールされたPCはDaphile専用機となります。
オーディオ出力はUSB-DACを接続し、コントロールはスマホ・タブレットや別のPCから行います。USB入力(PC接続用のBコネクタ)付きのアンプやスピーカーなど、USB Audio Class対応機器であればDAC以外も使用可能です。
キーボードもモニターも不要で、電源を入れるだけのいわゆる「ヘッドレス」で運用します。
ハードウェアの要求スペックは高くないため、使い古して余っているPCがあれば手軽に試すことができます。

DaphileのベースはLinuxとSqueezebox。ご存知の方はPCオーディオ暦長いでしょ?
Squeezeboxシリーズは今から20年近く前に発売された、現在のネットワークプレーヤーの走りと呼べるものです。
PCをサーバーにしたマルチルーム再生、ネットラジオ対応、プラグインによる機能拡張など、その先進性にほれ込んだ自分もファンでした。ハードウェアも魅力的で、
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Squeezebox Duet
カラーLCD搭載のWi-Fiリモコンは、今のスマホによるコントロールを先取りしたもの。
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Squeezebox Boom
アンプ・スピーカー一体型のお手軽ネットオーディオ。美しいVFDは輝度劣化が早くて・・・(遠い目)
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Transporter
本格的なオーディオシステムに組み込むためのフルサイズコンポーネント。VFDで踊るVUメーターに心躍りました(遠い目)

と4台(Boomは2台)のプレーヤーを購入し、家中に配置して楽しんでおりました。当時のSqueezeboxはこのような専用ハードによるプレーヤーと、PCにインストールするサーバーアプリ(SlimServer、後にSqueezeCenter、Squeezebox Server、Logitech Media Serverと改名)から構成されていました。
しかし開発元のslim devices社はLogitech社(Logicoolの方ね)に買収され、その後ハードウェアはSqueezebox Radioを最後にフェードアウト。何のための買収だったんだろう、と悔しい思いをしたものです。
いっぽうソフトウェアはオープンソースとして生き続けていました。プレーヤーをソフトウェアベースに改め、サーバー一体へと形を変え再び結実したというわけで、なんだか感慨深いものがあります。


ハードウェア


APU. 2D4(PC Engines)
SUV500MS/480G(キングストンテクノロジー)

lightMPDで使用しているシングルボードコンピュータの「APU」でも動くとのことで、今回こちらにインストールしてみました。というか、APUで動くなら車載の可能性あるかも、と興味が湧いたのです。
APUについては前回のブログをご覧ください。

APUは標準ではストレージがありませんが、mPCIeとmSATAのスロットがあるのでPC用のカードを使うことができます。起動ディスクおよび楽曲ファイル保存用として、mSATAのSSDカードを追加しました。写真左のスロットがそれです。
APUの起動デバイス優先順位が SDカード>USB>mSATA であることから、USBからブートするlightMPDとは簡単に切り替えて使用できます。


インストール

Daphileは無料で、アプリ内課金などもありません。
公式ページのDownloadsから、ISOイメージをダウンロード。
標準カーネル版とリアルタイムカーネル版があります。機能は変わらず、マニアな方は音質を比べてみるのも楽しいと思います。

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USBメモリーをFAT32形式でフォーマット※し、イメージ書き込みソフトのUSB writerなどを使って書き込みます。
これがインストールディスクになります。

※一度イメージ書き込みソフトで書き込みを行ったUSBメモリーは、OSでフォーマットしても本来の容量にならないことがあります。そのような場合は、I-O DATA ハードディスクフォーマッタなどのツールを使うと元の容量に戻せます。

APUと自宅のルーター(要DHCP)をLANケーブルで接続し、USBメモリーを挿入して電源ON。
PCにインストールする場合はここでモニターにIPアドレスが表示されるのですが、APUにはモニター出力がなく起動を確認できませんので、1分ほど待ちます。


APUに割り当てられたIPアドレスを調べます。
同じネットワークにスマホを接続し、アプリのFingを使うと簡単です。インストーラが正常に起動すると、リストにDaphileが現れます。

PCやスマホのWebブラウザでAPUのアドレス
http://192.168.xxx.yyy
に接続すると、Daphileの設定画面(WebUI)が表示されます。
(OSによっては、http://daphile または http://daphile. または http://daphile.local でも可)
以降、インストールから設定・再生まで、全てこのWebUIで操作します。

「Settings」タブの「System Firmware」「New Installation」でインストール先を選択し「Install」ボタンで開始します。既存のパーティションはここで消去されるので注意。
(2020/10追記)現在のバージョンでは、安全のため使用済みのパーティションは選択できないようになりました。インストール用の領域は予め開放しておく必要があります。APUでSSDのパーティション操作を行うには、USBから起動できるTinyCoreのcfdiskコマンドが簡単です。TinyCoreの使い方は次回のブログで紹介しています。

なお、ここでインストール先としてUSBメモリー自身を指定することもでき、その場合インストールUSBはDaphileのシステム領域(1GB)と残りが楽曲ファイル用のデータ領域としてパーティションが再構築されます。SSDに比べると起動が遅いとかオンラインアップデートができないなど制限がありますが、PCのHDDを変更したくない場合にはこの方法が使えます。


設定

インストールが終了したらUSBメモリーを抜いて再起動。
引き続きWebUIから設定します。


General(一般設定)
当初からマルチルーム再生を実現していたSqueezeboxと同様、サーバーとして別のDaphileを指定できます。今回はスタンドアロンのため内部(internal)サーバーを指定しています。
Roonのコアとも連携できるようですが、コアをWi-Fi経由で接続している自分の環境では指定できませんでした。


Audio Devices(オーディオデバイス)
音質的なこだわりを感じる設定項目です。


Power(電力管理)
クロックを落とすと音質に好影響があるとか。
「Prefetch・・・」にチェックを入れると、システムをRAMにキャッシュし高速化します。


楽曲ファイルの転送

Daphileはサーバー兼レンダラーなので、lightMPDのようにサーバーを別に立てる必要が無く単体でストレージ内蔵トランスポートとして使用可能です。
ライブラリ管理に関してはPC並みの自由度があります。


設定で内蔵ストレージの共有(share)をONにしておけば、ネットワーク上のPCなどから共有フォルダとしてアクセスできます。楽曲転送はこれを使うのが簡単です。
PCの共有フォルダやNASなどの音楽フォルダを登録してそこから再生することもできます。


WebUIに「File Manager」タブがあり、Daphile単体でUSBメモリーなどからコピーすることも可能です。画像はMinimServerで使っているSSD(exFAT形式)を接続した状態。問題なく認識しました。


光学ドライブがあればCDから直接リッピングすることもできます。曲名もオンラインデータベースから取得してくれますが日本語タイトルは不得意です。


再生


WebUIの「Audio Player」タブで再生します。
左半分がDLNAで言うところのナビゲーションツリー、右半分が再生中/プレイリスト画面です。配色こそ違えど、構成はSqueezeboxそのままで懐かしい。
アーティスト一覧などで日本語のソートがおかしいバグもSqueezebox当時のままで、そこは直してほしかった・・・
(2020/1追記)最新バージョンで日本語ソートの不具合が対策されました。これはうれしい!

プラグイン追加によりUPnP/DLNAに対応し、サーバーのみ、レンダラーのみ使うこともできます。なんでもDLNAサーバーとしてlightMPDと組み合わせると高音質になるとかで、lightMPDユーザーの間で流行っているようです。


スマホのブラウザだとこんな感じ。ここから横にスワイプすると・・・


再生中画面になります。PCの画面を2分割した感じ。なるほど、ちょっと目から鱗の実装です。

WebUI以外のコントロールアプリも使ってみました。



Android版のSqueezeboxアプリ「Orange Squeeze」です。スマホのプレーヤーアプリらしい画面になります。


シャットダウン


Daphileは楽曲ファイルを抱えてアクセスする以上、lightMPDのようにいつでも電源OFFできるわけではありません。WebUIにシャットダウン用ボタンがありワンアクションで実行できます。


車載する場合、WebUIでは文字やボタンなど表示オブジェクトが小さく操作が厳しいのでアプリを使いたくなります。しかしアプリからはシャットダウンができず、エンジンOFFの度にブラウザに切り替えるのはちと辛い。
Daphileにはサーバー一体というメリットがあるにしても、車載よりは本来のホーム用途、できればAPUのような低消費電力のハードで電源入れっ放しで使うのがしっくりくるかと。


音質について。面白いことに、同じハードウェアのUSB出力ながら、lightMPDとは違う音が出てきます。でもどちらも大変高音質です。
lightMPDはUSBメモリーからブート、USBメモリーを外せば内蔵SSDからDaphileが起動します。使い勝手と音質をしばらく比べてみたいと思います。


(2019/11/5追記)
mSATAのSSDにインストールした場合、PCに比べれば非力なAPUでも十分実用的なレスポンスで動作します。USBメモリーだとかなり遅くなったので、できるだけ高速なストレージにインストールすることをおススメします。
しかし、UpTone Audioのリニア電源との組み合わせでは、SSDカードを増設したAPUは電流不足で起動できませんでした。lightMPDではリニア電源による音質改善効果は顕著でこれを使わない選択はなく、先に挙げたシャットダウンの手間もあって車載は見送りとしました。


(2020/6/18追記)
ピュアなオーディオ用途からはちょっと離れますが、DaphileをBluetooth対応にしてみました。使ったのはこれ。

Bluetoothオーディオトランスミッター RK-BT100A(Radius)

BluetoothのないPCなどでワイヤレスヘッドホンやワイヤレススピーカーを使用するときに使うアダプターです。USBの端子がAタイプのRK-BT100AとCタイプのRK-BT100Cがあります。
オーディオコーデックはSBC/AptX/AptX LLの3種類に対応。Bluetoothのバージョンは5.0です。

世にあまたある「Bluetoothアダプター」と異なり、この製品は「USBオーディオデバイス」として振る舞うことが特徴。この小さな本体にプロトコルスタックやオーディオコーデックを内蔵しているわけです。
なお同様の製品としてCreativeにBT-W2がありましたが、本日その後継機BT-W3が発表になりました。(何というタイミング!)
オーディオ以外のワイヤレス機器とはつながらない代わりに、USBオーディオ出力に対応するものならほぼ何でもBluetooth対応にできます。ん?ラズパイオーディオとかRoon Bridgeにも使えそうだな...これはいいかも。
またPCやスマホで使う場合、USBオーディオ用の高音質なアプリを使えるメリットもあります。

USB-DACの代わりにトランスミッターをAPUのUSB端子に接続、Bluetoothヘッドホン(Sony MDR-10RBT)とペアリングして問題なく使用できました。トランスミッターは16bit/48kHz対応ですが、ハイレゾやDSDはDaphileが変換してくれます。
オーディオファイル向けとされているDaphileですが、オールインワン構成で使い勝手が良いので、Bluetoothで手軽に音楽を楽しむのもアリだと思います。




ネットワークオーディオ関係の記事をまとめてみました。よかったらこちらもご覧くださいませ。
ネットワークオーディオを楽しもう
関連情報URL : https://www.daphile.com/
Posted at 2019/10/23 22:44:59

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