まとめ記事(コンテンツ)

2006/09/05

第1回 バランスについての考察

立ち止まった時によみがえる「何事にもバランスは大事である」と言う言葉。

 私の考える「バランス」とは、ある時は車の前後重量配分であったり、ある時は財布の中身の使い道であったり、又ある時は残業と健康だったりもする。私たちはつい「究極のバランス」を求めて迷路に迷い込む。それはバランスのとれた状態に近づくほど感度は落ち、変化率は小さくなり、ついには「そこ」を見落として行き過ぎてしまう。「あれ?、一体いつ頂点を越えたのだろう?」と。

 車の前後重量バランスは、50:50が理想だと言う人もいる。しかしその中の分布密度がもっと大事だと言ううんちくもある。いずれももっともらしい。私がモノの形を考える時、最初に考えるのはパッケージである。それはなぜかと言えば、理想のバランスを求めるからだ。
 
 私はある時までは「バランスを取る」ということは、均衡が取れた状態を正解とするように考えていた。そのポイントに設定することが正しいと。しかし私がぶつかる大半の問題は常にそれが変化する。車の重量バランスも、加速やブレーキング、コーナリングで前後左右にその中心点は動き回る。財布の中身も厚くなったり、すぐに薄くなったりしてバランスとは一体なんだ、と考える。最新の工作機械に「重心駆動」という概念がある。大昔の当たり前思想だが、様々な電子制御がそれを補って(ごまかして)来た。しかし「振動」という力の振れはいかんともしがたく、結局ものを揺らさずに軽く動かすには重心を「押す」ということだ。

 ところが本当の重心位置というものはピンポイントである。また外乱によって動かぬはずの重心も揺れるのである。これを自動制御的に常に中心置くようにフィードバックをかける事は、とても疲れることである。チェックのタイミングは細かく、行過ぎた時には逆の変化を与えねばならない。(続く)
Posted at 2006/09/05 00:53:53

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