警部補「…そういえば、今何時だ」
権兵衛「…煙草の煙が咽び泣く午前零時半」
警部補「さっきの売人のガラを持ってかれてから1時間も経ってたか」
権兵衛「警部補さんお得意のド派手カーチェイスにマグナムのサービスして、挙句の果てにワッパかけようとしたら管轄外と来たもんだ」
ガチャ ザッ
警部補「分署17から分署。気がついたら随分とサービス残業していた。直帰する」
権兵衛「うちの係は働きすぎだ」
警部補「だからお前は横に乗ってるだけだろう」
権兵衛「…(腕時計を見る)」
権兵衛「この時間ならまだ開いてる。レモンに飲みに行こう」
警部補「…お笑いだな。ニヒルでハードボイルドで売ってる俺が、実は一滴も飲めないとはな」
権兵衛「下戸とかじゃなくて、病気なんだから仕方ないさ。俺が全部持ってやる。行こう、レモンハートへ」
警部補「お前さりげなくレモンレモンと言ってるが…、分かってんだろ?」
権兵衛「ああもちろん。お前が「例の女」との一件以来、一度も顔を見せてない店だ」
警部補「…いいさ、行ってやるよ。久々だ」
ヴァン!!
権兵衛「あ」
警部補「どうした?」
権兵衛「やっぱ、自分の分くらいは出してくんない?」
警部補「行くぞー」
マスター「いらっしゃ……おや!」
警部補「久しぶりだな」
権兵衛「どもぅー」
マスター「お久しぶりです警部補さん。確か…四年ぶりですね」
警部補「そうだな…」
マスター「権兵衛さんは毎度どうも」
警部補「毎度?」
権兵衛「だって、こんな良い店だからな」
マスター「でも、ほとんどツケですけどね」
権兵衛「まぁ~すたぁ~」
………
……
…
警部補「…おっと、もう一時半か」
権兵衛「今夜はここで寝ちまおう!!」
マスター「それは困りますよ」
警部補「マスター、勘定だ。家に帰るより、署の仮眠室の方が早い」
権兵衛「休んだ気がしねぇーえなぁー」
マスター「警部補さん、以前の様に、いつでもどうぞ。ノンアルコールのカクテルを注文されるお客様は少ないので」
警部補「ヘンッ。皮肉かい?」
権兵衛「うぃー」
マスター「とんでもない!お気をつけて。お休みなさい」
権兵衛「なぁ、警部補」

警部補「なんだ」
権兵衛「一言も言わないが、マスターも心配してんだ。今のお前には女がいるんだ。それに、女だって結構気にしてるんだぞ?アタシは一体何なんだろって」
警部補「…」
権兵衛「もう忘れろよ」
警部補「…無理だ」
権兵衛「…」
警部補「だが、もう平気だ。一応な」
権兵衛「早く布団に潜りてぇ」
警部補「その前に、駐車場代出せ」
先日、権兵衛連れて毎度ひっさびさにレモンハートへ。行く度にバーテンの顔が変わってたんですが、この二年くらいは同じ顔で。しかし、私は一年に一度か二度しか行かないから、私がノンアルコールを頼むと毎度毎度同じ会話(笑)。おい俺が覚えててなんでアンタは俺を覚えん!!
ブログ一覧 |
「17th PCT」 | その他
Posted at
2012/11/16 22:40:14