
久々に本の話。
今野敏先生の傑作小説、「東京ベイエリア分署」シリーズです。
え゙。
知らない?
なら言い換えましょう。「ハンチョウ」です。
佐々木蔵之介主演でドラマでやってましたね。アレです。
最近じゃ「安積班シリーズ」とも言われているようです。
渋谷に新設された神南(じんなん)警察署。その刑事課強行犯係を率いる安積警部補(ハンチョウ)とその部下の活躍を書いたのが、ドラマ及び小説「警視庁神南署(新・安積警部補シリーズ)」「神南署安積班」なわけですが。
元々は最初に書いた通り、「東京ベイエリア分署シリーズ」として始まったワケです。
お台場に新設された、警視庁臨海警察署。そのプレハブの安普請や、交機隊が間借りしパトカーの数が多いことから「ベイエリア分署」「湾岸分署」と通称される警察署。その刑事課強行犯係、係長・安積警部補とその部下、そして安積の同期・交機隊の速水警部補の活躍を書いたのがベイエリア分署シリーズです。
この小説、確か小学校だか中学の前後で読んだ記憶があります。
それまでは、西村京太郎先生の十津川警部シリーズの様なトリック・謎解きの作品しか読んだ事がなく、地道な捜査・証拠の積み重ねの、現実的捜査、つまり警察小説を読んだのは初めてであり、かなりのショックを受けました。
しかし!ただの現実的描写だけでなく、そこは小説。所々に入るアクションシーンが、これがまた逸品!銃撃戦、カーチェイス、格闘と様々。
ちなみに、今野先生は自身で棒術を指南される程、武道にも長けた人物らしく、作品内の特に格闘シーンの描写は実に細かいです。
そんなこんなで、いつかはドラマになってくんないかな~とか思ってました。近年は、今野先生の作品では、2時間枠で「樋口警部補シリーズ」や「隠蔽捜査シリーズ」がドラマ化されました。
駄菓子菓子。
先にやられてしまいましたね、湾岸署に。
そう、「踊る大捜査線」です。署の場所が江東区とそんな所まで一緒。パクったやろ!!(ベイエリア分署→80年代後半の作品。踊る→90年代半ばの作品)
いやま、「踊る~」はアレはアレで好きですよ?私のスカGのフロントウィンドウには、安全祈願の襷かけたわんがん君がぶら下がってます。
だからま、神南署になったんですな。
さてこれからドラマに対して文句書きます。やっぱり、原作読んでると色々言いたくなるワケです。
まず、主役の安積剛志。
ドラマ→看護士の娘と暮らしており、溺愛。所々調子に乗る傾向がある。佐々木の影響もあって、爽やかな父親的存在。己の正義に基づき、周囲を引っ張るいかにも頼れるリーダー。
原作→一人暮らしで、マンションに住んでいる。女子大生の娘とは時々連絡を取り合ったりしている。事件に淡々と取り組み、感情に動かされずに真実のみを突き詰める。しかし、己の正義・信念もしっかり持っている。部下の人間関係を重んじ、常に苦労している。
ね?主役の安積さん、全然違うでしょ?
ドラマじゃ、新品のスーツ。家に帰れば娘の涼子と楽しく食事。原作は、線が消えかかったよれよれのスーツ。もう誰も待ってはいないマンションに帰り、一人ゆったりと酒を飲む。
他にも。
部下に村雨と言う刑事がいます。巡査部長です。
ドラマ→仕事のできる、生真面目なイイ男。
原作→杓子定規の鬼軍曹的ベテラン刑事。
ドラマ見た時は、え~?って感じでしたよそりゃもう(笑)。
ちなみに、ドラマでは安積の最も信頼のおける片腕的存在ですが、原作では違います。係の中で、年齢、階級、実績はNo.2なのは間違いないですが、その性格がちょっと鼻につく、「仕事で信頼されてりゃ良い関係」です。
片腕的役割は、須田です。ドラマではお笑い芸人の塚地がやってましたね。
ちなみに私、ドラマや吹き替えでお笑い芸人がやるの、非常に不愉快です。
なぜなら、喜劇俳優ならともかく。俳優でない彼らを何故、旬だとか売れてるからとゆー理由で使うんでしょう。舞台に出たい!ドラマに出たい!吹き替えやりたい!と必死に勉強している、演劇の研究生達を退けて。お笑い芸人が。
お笑い芸人、彼らは彼らなりの苦労は解ります。
つまり、お門違いだと言いたいんです。
すいません話反れました。これでも昔、演劇かじった人間なんで。
まそれはそれとして、この塚地の須田はぴったりでした。
須田巡査部長というキャラクターは、刑事としては太りすぎの体。人と接するのが苦手な彼は、ドラマや小説からその接し方を参考にし、まるで演技をしているかの様。しかし、何事にも絶えず努力をしている。
この変が特にぴったりでした。
ちなみに、何故、安積の本来の片腕は須田なのかと言うと。以前、安積が巡査部長の頃にコンビを組んでおり、気心が知れてるからですな。
原作では上記の特徴の他に、特異な着眼点と感性、そしてツキを持ち、捜査の核心に迫ったり犯人を確保したりしています。
話が前後しますが、村雨の相棒(後輩)には桜井という若手の巡査がつきます。桜井については、大体原作通りですね。一番の若手で、やる気は人一倍。評価を気にしすぎ一人で独断専行、結果命を落としかけたことも。
大体同じなのは、後は速水警部補ですね。安積と同期ながら、彼は交通畑一直線。その年齢を感じさせない若さは安積も羨む所。腕っぷしもかなりの物。何かと安積を気にかけ、手助けをする。
ま、合ってます。
しかし。
全然活躍しない(涙)。
ま後で話ますけど。
さて、また別人の話。今度は須田の相棒、黒木巡査です。若手その②ですね。
ドラマ→須田と年も近いせいか、まさしく相棒といった感じ。お喋りで、やや漫才コンビ的な雰囲気。
原作→須田と年も近いせいか、まさしく相棒といった感じ。村雨とは違った神経質な性格で、几帳面。必要以上は話さない、基本的に寡黙。
もう一人。課長の金子警部。
ドラマ→常に安積達の独断専行に頭を悩ます中間管理職。怒鳴り型で、やや小心的か。お調子者の面も。
原作→大柄で柔道の猛者。現場第一主義で、現場にも出る。管理職は苦手であるが、上に媚びへつらうわけでなく、安積には「何かあれば俺に言え。露払いしてやる」と言う。
もう、ね。誰この人達?って感じでしたよ(笑)。
いやね、分かるんですよ。原作そのままにやったら、面白いか?原作知らない人が見ても面白いか?
答えは、Noですな。誰も、疲れきった中年男が一人でマンションに帰り寝酒ひっかける姿見たいですか(笑)。爽やかななのが娘と楽しく飯食ってる方が良いでしょう(笑)。
ありゃ~、長くなってしまいました。その②へ。
※写真は第一作「二重標的(ダブルターゲット) 東京ベイエリア分署」の表紙より。数年前に新しく印刷された本で、文章の細かい所に修正が入ってます。
表紙に惹かれて買ってしまいました(笑)。

Posted at 2011/06/28 20:51:56 | |
トラックバック(0) |
本 | 音楽/映画/テレビ