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警部補のブログ一覧

2014年05月16日 イイね!

「17th PCT」番外編「孤独のRUNAWAY」

「17th PCT」番外編「孤独のRUNAWAY」ブログを更新するネタがなく、仕方なく(?)始めた趣味全開のこのシリーズも、一度長文化すると中々作るのが大変で(誰も望んでないのに。しかもこれはみんカラ(笑))。月一回は放送(笑)してたのも徐々に怪しく…。
今回は繋ぎの、改めて人物紹介。


警部補
・17分署刑事課強行犯係の係長、階級は警部補。男性。24時間サングラスの、警視庁一番のハードボイルドのあぶない刑事で、彼が歩けばたちまち飛び交う銃弾・吹っ飛ぶパトカー・辺り一帯火の海と言われる(「ROCK MY LOVE」「GET WILD」等)。一方、顔に似合わずロマンチストな所もある(「MOONLIGHT SHADOW」等)。拳銃はリボルバーを愛し、覆面車は公私兼用のR34スカイライン等、日産が多い。



・17分署刑事課強行犯係、階級は巡査部長。女性。警部補の公私でのパートナー。クールビューティーだが、警部補からの突拍子もない行動に狼狽・赤面したりと可愛らしかったり、自身が拉致監禁され(「Addicted」)危機一髪で警部補に助けられた時は思わず涙を流した。覆面車は公私で70系スープラを使い、首都高でド派手なカーチェイス(「Speed Of Night」)を繰り広げたこともある。


ゆうたろう
・17分署刑事課強行犯係、階級は巡査部長。男性。警部補とは腐れ縁の長い付き合いで、息もぴったり(「ROCK MY LOVE」)。ひょうきんで軽口を叩き(「BAD BOYS」)周囲を和ませることが多いが、警部補並みにハードボイルド決める時は決める。警部補と女の関係をなんやかんや心配している。覆面車は三菱系が多い。


だらしな権兵衛
・17分署刑事課強行犯係、階級は巡査部長。男性。ゆうたろうと同じ位警部補とは長い付き合い。どこか飄々としているが、犯罪者には容赦がなく、覆面車のドアを犯人にぶつけたり(「Heartbeat Of Life」)、射殺も躊躇わない(「THE STRANGER」)。覆面車は三菱系が多い。


er34
・17分署刑事課強行犯係、階級は巡査。男性。係の中で一番の若手。貧乏くじを引くことが多く、犯人追跡の際に一人だけ走らされたり(「Heartbeat Of Life」)、犯罪組織から報復として自分の車をパンクさせられた上に命を狙われ(「THE STRANGER」)窮地に立たされたことも。しかし徐々に経験を積み、一人前に向かっている。覆面車はホンダ系が多い。


シノダ
・17分署刑事課強行犯係、階級は巡査長。女性。係の中では一番の新参。とある元アイドルに似てると評判。近所のお姉さん風だが、ナイフを持った犯人と格闘(「AN EVENSONG」)したり、銃撃戦(「THE STRANGER」)を繰り広げたり警察官らしい険しい一面も見せる。




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Posted at 2014/05/16 20:06:22 | コメント(4) | トラックバック(0) | 「17th PCT」 | その他
2014年03月31日 イイね!

「17th PCT」第X話「コーヒールンバ」

「17th PCT」第X話「コーヒールンバ」都内の午後。空には黄色の飛行船が一隻だけ、ゆっくりと進んでいた。しかし地上、一般道と高速は共に渋滞である。その一般道の渋滞の中に、紺色のスカイラインがいた。警視庁17分署の覆面車であり、ハンドルを握るのは刑事課強行犯係の係長である警部補、助手席に座っているのは警部補の部下の女である。
「動かんな」
警部補がぽつりと言った。
「そうね」
女もぽつりと返した。この二人は、今朝は本部(警視庁)に呼び出されていた。17分署刑事課、特に強行犯係の普段からの「派手な活躍」、それに付け加え警部補と女の同棲関係について、刑事部長直々にお小言を頂戴したのだった。今はそのお小言が終わり、分署へ向かってる途中だった。
「…今度は総務部長かしら」
女が窓の外を見ながら言った。
「なんで」
警部補が返した。女は顔を警部補にしっかり向けて言った。
「弾撃ち放題、半私用車のガソリン入れ放題、他もろもろ費用山程」
「そお言うお前はどうなんだよ」
「同じくね…」
「金だったら特車隊の方が使ってるだろ」
「でも、なんで同棲のこと知ってたのかしら、部長」
「さあね」
前の車が動きだし、警部補もノロノロと車を動かした。



車はようやく法定速度で走れる流れになった。警部補が言った。
「腹減ったな」
女が腕時計を見た。
「お昼はとっくに過ぎてるしね」
「ちょっと、いつもの所に寄ってくか」
警部補が言った。丁度今走ってる道沿いに、時々行く喫茶店があった。夫婦の経営で、店主の愛想は悪いが味は良い。
「…ね」
女が言った。
「なんだ」
「……なんでもない」
「…うん」
警部補は女をちらと見た。警部補は、女が言い出しかけて止めたその内容は、刑事部長におまけの様に指摘された、同棲のことかもしれないと思っていた。この問題については、お互い度々考えたことだ。しかし、本部の部長にも意見されるとは、いよいよ問題である。籍を入れるなんて、紙一枚で済む話ではあるのだが。

スカイラインが店の前に着いた。丁度対向側だ。車の切れ目を見て、店の駐車場に入った。女が言った。
「食べてく?」
警部補がシートベルトを外しながら言った。
「いや、買ってくる。分署でやることもあるしな。いつものでいいな」
「お願い」
警部補は少し早足で店に入った。店内は、いつも通りに適当な賑わいだった。警部補はカウンター席に行った。
「いらっしゃい」
中年の女性定員が声をかけてきた。店主の女房で、オカミさんなどと呼ばれている。少しふっくらしてるが、昔、セーラー服を着て機関銃を撃つ映画に主演した何とかと言った女優に似てる。店主に比べ、人当たりが良く遥かに愛想が良い。警部補は言った。
「いつもの。相方もいるから二人分。持って帰るから」
「はい」
いつものとは、警部補はコーヒーにホットドッグ、女はサンドイッチだ。警部補は、カウンターにもたれ掛かった。店内を少し見た。客はサラリーマン、カップル、近所のご老体、老若男女だ。やや小さめにJAZZがかかっている。警部補は、なにか違和感を感じた。そういえば、いつも愛想が良いオカミにも違和感を感じた。笑っていなかった。店主を見た。いつも通り、仏頂面で仕事をしている。夫婦喧嘩でもしたのだろうか。しかしこの二人が喧嘩したのを見たことがなく聞いたこともない。
「はい、お待たせ」
オカミが紙袋をカウンターに置いた。警部補は財布から札を出した。
「釣は取っておいて」
「あら、ありがとう」
オカミは答え、初めて笑った。しかし、それもどこかぎこちない。やはり喧嘩でもしたのだろうか。警部補は店を出た。警部補は、何気なく紙袋からコーヒーが入った紙コップを取りだし、一口飲んだ。そして即座に吹き出した。尋常じゃない甘さだ。激甘という奴である。思わず店を見返した。すると、どういうことか、店のドアに「閉店」と看板がかけられた。警部補は、もう一度コップを見た。そして車で待つ女を見た。女は怪訝な顔で警部補を見ていた。

警部補は、またコップを見た。




「ヒャッハーッ!!」
店内の暗がりから男が奇声を発しながら一人、また一人と、全部で四人出てきた。しかも、彼らの手には拳銃やショットガンらしき物が握られている。男の一人が、オカミに銃を突きつけた。
「おいババア!変な真似しなかったろうな!?」
「み、見てたでしょう?何もしてないわ!」
オカミが震える声で返した。今度は、ショットガンを持つ男が言った。
「よーしデカは行っちまった!!お前ら、金目の物ありったけ出せ!!」
その声に、客たちが震えながら財布やらなにやらを差し出す。店主が唸った。
「お前ら、こんな貧乏人からせしめられると思ってんのかっ」
店主に、オカミに凄んだ拳銃男が答えた。どうやらリーダーらしい。
「だからありったけ出せって言ってんだよ!」
男がそう言いながら、手近にいた客を引き寄せた。OL風の若い女だった。中々の美人だった。
「ゲハハハッ」
拳銃男が下品に笑った。その男の視線の先に、黒いスーツとサングラスをかけた男が入った。左手には紙コップを持っている。警部補だった。
「てっ、てめえ!!」
拳銃男は喚くと、若い女の首を掴み、そのこめかみに銃口を押し付けた。女が潰れた悲鳴をあげる。拳銃男は動揺していた。拳銃男の声に気がついた仲間達も、警部補の姿を認め、同じく動揺した。警部補が言った。
「俺は長いこと、この店でコーヒーを買っている。いつもミルクだけの薄いコーヒーを買っている」
拳銃男はあっと言う間に冷や汗まみれになった。警部補は続けた。
「だが今日はどういう訳か、砂糖たっぷりの激甘だ。だから文句を言いに来た」
警部補は一呼吸置き、そして言った。
「……さて、坊や達。銃を置くんだ。俺は警察だ。俺たちからは逃げられんぞ」
そう言われた拳銃男は、顔をひきつらせ、ぎこちない笑顔を浮かべて言い返した。
「は……ははは!て、てめえ寝ぼけてんのか?他に誰がいるってんだよ?オッサン!!」
拳銃男は、若い女につきつけている銃を警部補に向けた。警部補は、言った。
「他に誰がいるかって?それは…俺と、スミス&ウェッソンだ」
警部補は手に持ったカップを拳銃男の足元に投げた。一瞬、拳銃男の視線と銃口がずれる。警部補はその一瞬のチャンスに、ショルダーホルスターからリボルバーを抜き撃ちした。3.5インチの銃身から叩き出された44マグナム弾は、正確に拳銃男を撃ち抜いた。ショットガン男が銃口を警部補に向ける。警部補はそれよりも早くショットガン男を撃つ。ショットガン男は撃たれた衝撃で引き金を引いた。警部補の横にあった壁掛けの棚が粉々になった。ショットガン男は店の窓ごと、外に吹っ飛んだ。残った男の一人が銃をめくら撃ちした。慌てて身を隠す客たち。警部補は冷静に狙いを定め、引き金を引いた。

残った二人も、机やら椅子を巻き添えに床に倒れた。しかし、一人はまだ立ち上がる元気があった様で、近くに伏せていた大学生風の女性を人質にしようとした。女性は悲鳴を上げた。その時だった。その男の後頭部に強い衝撃が走り、男は今度こそ床に倒れた。女性はまた悲鳴を上げた。殴った主が、ふんっと鼻を鳴らした。殴ったのは、女だった。愛用のシグのグリップで思い切り殴ったのだ。
「あ~あ」
警部補が気の抜けた声を出した。
「何よ?」
女が言った。警部補が銃を仕舞いながら言った。
「まだ決め台詞言ってないのに」
「どうせまた昔の刑事モノの台詞でしょ。それより!」
「なんだ?」
「こーゆーことするから上に怒られるのよ!!」
「正当な職務執行だよ。しかし、手負いの犯人のドタマ気絶する程殴るのはどうなんだよ?」
「こっ!こ、これは、これこそ、正当な職務執行よ。人質取ろうとしてたし」
「似たようなモンでないかねえ」
「アタシは今日はバカスカ撃ってないわよっ」
店の外から、サイレンの音が聞こえてきた。事前に呼んでおいた応援だった。




「あ~あ、結局こんな時間だ」
現場検証が終わり、時刻はすっかり夕方だった。警部補と女にとっての今日は、刑事部長にお小言を言われ、その後は鬱憤晴らしの様な銃撃戦で終わりそうだった。警部補と女は、スカイラインの中で熱い缶コーヒーと、その一方すっかり冷めたホットドッグとサンドイッチ、それとドーナツをかじっていた。缶コーヒーとドーナツはオカミからの差し入れを受けた。喫茶店が缶コーヒーを出すなどもってのほかだが、銃撃戦でキッチンやら商売道具が蜂の巣となっていた。ドーナツは喫茶店で出している物で、作り置きの無事な物だった。オカミは「この差し入れは主人が用意した」と言って二人に渡した。無愛想の店主の、精一杯のお礼ということなのだろう。また、オカミは別れ際に警部補に「あんな甘いコーヒー作ってごめんなさい」と言った。警部補は「たまにはあれ位甘いのも悪くない」と答えた。



女が、ドーナツをかじりながら言った。
「ね」
警部補は口の中のドーナツを飲み込んで答えた。
「なんだ」
「…アタシたち、やっぱり今のままが、一番なのかしら?」
「え?」
「…ごめんなさい、変なこと言って」
「何だ急に…」
「ウフフ…」
女は笑った。警部補はコーヒーを啜った。そして言った。
「さて、署に行って書類書きするか」
「あーもー面倒っ」
「仕方ないさ。それもお仕事だ」
警部補はスカイラインのエンジンをかけた。





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Posted at 2014/03/31 00:04:28 | コメント(2) | トラックバック(0) | 「17th PCT」 | その他
2014年02月25日 イイね!

「17th PCT」番外編「EMERGENCY」

「17th PCT」番外編「EMERGENCY」 ?「みんな~、こんにちは~!」

幼稚園児達「こんにちは~~」
?「は~い、みんな元気いいわね~。今日は、お姉さんと一緒に緊急車両について勉強しましょうね~」
幼稚園児達「は~~い!!!!」


?「ところでみんなは、緊急車両って知ってるかな?」

「しらな~い」
「わかんな~い」

「は~いはいはい!!」

?「はい!今手をあげたボクは、知ってるかな?」

園児「おばさんとしいくつ~?」



?2「おいボウズ、ちょっとこっちこい」
園児「?」




んぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


?「他には、誰か知ってるかな?」

?「緊急車両っていうのは、サイレンと赤いライト、パトランプって言ったらわかるかな?それがくっついている自動車のことを言うのよ」

「パトカー!」
「きゅーきゅーしゃ!」
「しょーぼーしゃー!!」


?「そうだね~、みんな良く知ってるわね!でも、緊急車両って今の三台だけじゃないの!じゃあ、今から写真を見せるから、それが何の緊急車両か分かる子いたら答えてね~」

?「まず、最初はこれ」


「パトカー!!」
「ぱとかー!!」

?「みんなは、パトカー好きかな?」

「だいすき~!!」
「ぼく、しょうらいはパトカーにのるんだ!!」


「ケッ、だいっきらいだ~!サツ!マッポ!!いつもウチのパパがいってるぜ!!」


?2「ボウズ、お前もちょっとこい」
園児「んだよ~!?」




みぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁごめんなしゃいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


?「良い子のみんなは、お家に帰ったらお母さんやお父さんに、「口は災いの元」って言葉、聞いてみてね」
園児達「は~い!!」


?「じゃあ、次はこれ」


「パトカー…?」
「ふくめんパトカー!!」
「ぼくしってるぼくしってる!!あのね、けいじさんがのるやつ!!」

?「残念!よく似てるけど、これは違う車なの」

園児達「え~~?」

?「これは「ホスピスカー」って名前で、町のお医者さんが、病気の人の所に急いで行くときに使う車なの」

「サイレンなるの?」

?「もちろん、緊急車両だから鳴るわよ(でも、フラットビームに点滅灯、な~んか趣味の車みたい…)」



?「次のこれは、分かるかな~?」


「これもパトカーだ!」
「あたしこれしってる!こーつーかんりたいっていうんだよ!」

?「あら、大正解!これは高速道路の安全を守る「交通管理隊」の緊急車両ね。お巡りさんではないけれど、とっても大変なお仕事の一つね。あなた、女の子なにのよく知ってるわね?」

女児「あたしのおとーさんが、こーつーかんりたいでおしごとしてるの!!」

?「あら~、それは大変ね!お父さんのこと大事にしてあげてね!!」

女児「しょうらいはあたしもこーつーかんりたいになるの!」

?「そう!がんばってね!(…募集に性別はなかったハズだけど、今のところ女性隊員はいなかったわね…。…でも)」

男児「おとうさんかっこいいね~」
女児「えっへん!!えへへ~」

?「(将来は、まだまだわからないわね)」

?「じゃあ、次はこれ」



「白バイ~!!」
「赤バイ~!!」

?「あ、赤バイって(笑)。う~ん残念、どっちも違うの。さっきの女の子、あなたは分かるかな?」

女児「しってるしってる!これもね、こーつーかんりたいなの!」

園児達「へ~~~」

?「その通り!黄バイと言って、東京の首都高にだけあるバイクなの。警察の白バイと違って、一回り小さなバイクだけれど、渋滞する首都高ではぴったりね」



?「みんな、緊急車両はたくさんあるの、分かったかな?」

園児達「は~い!!」

?「でもまだまだ緊急車両には種類があって、電気屋さんや水道屋さん、ガス屋さん、電話の会社や電車の会社とかも、緊急車両を持ってるの」

?「そして、緊急車両がパトライトを光らせてサイレンを鳴らして走っていることは、とっても大変なことが起きて、そのことに急いで行かないといけない時なの!」

?「だから、みんなが将来自動車を運転する様になったら、自動車の学校で教えてくれるハズだけど、覚えておいてほしいことがあるの」

園児達「な~に~?」

?「自分で自動車を運転している時、緊急車両のサイレンが聞こえたら、周りをよく見て、道を譲ること!それは道路交通法っていう決まりごとで決まってるの。それともう一つ、自動車の中でラジオや音楽を聴くときは、音の大きさは適当に!でないと、緊急車両が近づいてきたのが分からなくて、その緊急車両に怒られたり、もしかしたらぶつかっちゃうかもしれない!!」

園児達「は~い!!」











先生「すいません、先ほどは園児が失礼なことを…」
?「いえ、子供の言うことですから…」



女「あのバカガキ二人は?」
警部補「シめといた」
女「はぁ…。まったく。急に「制服着てくれ」なんて何事かと思ったら」
警部補「まあ勘弁してくれ。交通課に貸しを作れた。しかしお前、うまいもんじゃないか」
女「もう二度とやんないわよ!!」




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Posted at 2014/02/25 21:33:54 | コメント(2) | トラックバック(0) | 「17th PCT」 | その他
2014年01月28日 イイね!

「17th PCT」第X話「Speed Of Night」

「17th PCT」第X話「Speed Of Night」夜の首都高。前の車を避ける。するとすぐに別の車が現れる。避ける。アクセルから足を離す。足りずにギアをさげエンジンブレーキを使いまたはブレーキを踏む。スピードメーターとタコメーターが下がる。犯人の車が少し遠ざかる。私はアクセルを踏み込んだ。逃走車が首都高に入った時点で、高速隊に任せるべきだったのだろう。しかし私は引き下がらない。目の前で仲間がやられたのだ。この時間の首都高にしては珍しく空いている。なんとしても捕まえてやる。

ことの始まりは、自ら隊の無線を傍受したことだった。内容は、
「不審な外車に職質したところ、運転手は応答しない」
だった。たまたま近くにいた私とシノダは応援に向かうことにした。車は久々に走らせていた私のスープラだ。その現場に到着すると、既に応援の自ら隊や17分署のクラウンのパトカーがいた。無線から、機捜も応援に来るという。不審車は、大排気量の白い外国製のセダン。車高をかなり下げ、全ての窓がスモークガラスになっているが、微かに中が覗ける。乗っているのは中年の男の様だ。ナンバーを照会したところ、実在しないナンバーと判明。車内の男はこちらの呼び掛けに一切応じない。といって、窓ガラスを割るのは最終手段だ。さてどうするかと皆で考えていたその時、男に呼び掛けていた自ら隊の一人が、
「あれ?お前○○じゃないか?」
と言った。
「知り合いなんですか?」
私はその自ら隊員に聞くと、どうも前科持ちらしい。道交法・窃盗・暴行・薬物、犯罪のデパートだ。その時だった。突然外車が発進、数人の警官を撥ね飛ばした。更に外車の行く手を遮るようにしていたパトカーに体当たり、破壊し逃走した。私とシノダは、直ぐ様スープラに飛び乗り、追跡を開始した。

外車は破損し片目のライトになりながらも、かなりのスピードで一般道を逃げる。私たちは、サイレンを4秒周期でやかましく鳴らしながら追う。外車は所々で他の車やガードレール等にぶつかるがお構い無しに逃げる。自ら隊や分署のクラウンは、交通量やそのボディーの大きさもあり中々距離を縮められない。しかし私のスープラなら、今の車に比べればあまり大きくない。車の間をぎりぎりすり抜ける。助手席のシノダは、マイクの喚呼や無線で忙しい。er34君なら顔をひきつらせてるかもしれない。外車は首都高に入った。チャンスだ。高速に入れば逃げ道は料金所のみ。そこで検問をかければ御用だ。もっとも検問が間に合えばの話だが。首都高の出口は、数が多い。私はそのまま外車を追って首都高に入った。


私のスープラは警部補のスカイラインより型が古い。目の前の外車は最新型で、パワーもある。けれどもこの車の排気量やパワーもまだまだ衰えてはいない。首都高はカーブが多い。そしてこちらは伊達に訓練していない。徐々に差が縮まる。高速隊や首都高の交通管理隊が対応しているのか、一般車両も減ってきた。頭抑えや高速から下ろしているのだろう。
「止まりなさい!」
シノダがマイクで怒鳴る。しかし止まる気配は相変わらずない。あったとすればこんな所には逃げないだろうが。高速隊のパトカーが追い付いた。RX-8だ。私は高速隊を先に行かせ、挟み撃ちにしようとした。高速隊が外車に並んだ瞬間、外車は高速隊に体当たりした。
「あっ!!」
シノダが声をあげる。外壁にぶち当たる高速隊。私はギリギリでハンドルを切り、なんとかそれを避けた。奥歯を噛み締める。これ以上の跳梁は絶対に許さない。


他の車がまったくいなくなった。そして向かった先は、レインボーブリッジ。私のスープラは特別な改造は施していない。スピードの上限は、外車の方が上だ。なんとしても前に出て押さえたかった。私は勝負に出た。アクセルを底まで踏み込む。外車と並んだ。外車がまた体当たりをしてきた。
「んにゃろお!!」
ギリギリで避ける。タコメーターがレッドゾーン寸前まで回る。スピードメーターが振り切れそうになる。私はマイクを持つシノダの腕ごと引き寄せ怒鳴った。
「いい加減止まれぇ!!」
その時、私の思いが神様にでも通じたのか、外車のタイヤがバーストした。途端、ハンドルを取られた外車は右に左に暴れた。私は思わずむち打ちになる様な勢いでブレーキを踏み、凄まじいスキール音を立ててスープラを止めた。コントロールを失った外車は路肩側に衝突、宙を舞った。私とシノダはスープラから飛び出した。外車はそのまま東京湾へダイブした。立ち止まり、それを見ていた私とシノダは、サイレンを消すのも忘れ呆然としていた。気がついたら、鼓動はかなり早く全身汗だくだった。



当分は車の運転はしたくない。



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Posted at 2014/01/28 23:09:03 | コメント(4) | トラックバック(0) | 「17th PCT」 | その他
2013年12月04日 イイね!

「17th PCT」第X話「OPERATIVE BLUES」

「17th PCT」第X話「OPERATIVE BLUES」香水と石鹸、そして「独特」の匂いが入り交じり、薄暗い部屋の中に充満している。俺はワイシャツの上から自分の腹をさすった。最近出てきている。歳のせいもあるが、運動不足が祟っているらしい。
「もう行く?」
ベッドに寝そべったまま、リエコが声をかけてきた。いつのまにか起きていたらしい。
「まあな」
俺は素っ気なく答えた。乱れた、派手な色のショートカット。まだ少し濡れている肌と少し厚い唇。若い女にはこの色気は出せない。それをまともに見たら、またベッドに潜り込みたくなる。ちなみにリエコは、この女の本名ではない。本名は知っているが、俺にとってリエコはリエコだ。俺はコートを羽織り、言った。
「遅くなったが、ツケの分も入ってる。机の上だ」
リエコが俺の台詞に、ちらりと机を見る。机上には金が入った封筒がある。
「あら、ありがと。無理しなくていいのに」
「ただでさえ格安にしてもらってるから、気が咎める」
「ただでも良いって、いつも言ってるでしょ?探偵さん」
リエコはそう言って微笑んだ。俺は背中とピースサインで挨拶し、部屋を出た。




すっかり夜は冷え込む季節だ。気分は冷凍庫の中だ。ネオンを過ぎ、俺は駐車場に停めたスカイラインに乗り込み、エンジンをかけエアコンをつける。しかしエアコンは直ぐには暖まらない。こいつもそろそろ年代物だ。途中で買ってきた、熱い缶コーヒーをすする。目を瞑る。このまま眠れそうな気がする。明日もどうせ開店休業だろう。「事務所」に戻ってもどうせ一人だ。




数年前、俺は警察を辞めた。いや、辞めさせられたというのが正しいのだろう。俺をやたらと妬む奴がいたが、奴の罠にはまってしまい、見事に汚職警官のレッテルを貼られてしまった。あることないことをでっちあげられた。今回ばかりはお手上げだった。俺は警察を去った。自棄になり、顔見知りの「女たち」に入り浸った。過去に挙げた女たちだ。リエコもその一人だ。支えになってくれた女は、そんな俺に愛想を尽かした。女は今は17分署にいない。17分署にいるのは、ゆうたろうだけだ。34は巡査部長になり異動、権兵衛も異動したらしい。そして俺は今、探偵をやっている。それくらいしか、元警官、それも刑事なんてものは潰しがきかない。1日2万円と必要経費。銃が必要になれば、割り増しを貰う。どこかで見たような、冴えない探偵だ。



翌朝、電話の音で目を覚ました。ベッドに行くのが面倒で、応接用のソファーで眠っていたのだ。時計を見る。日が顔を出したばかりだ。うんざりした。俺は電話にでない。留守番電話に切り替わる。すると、懐かしい声が聞こえてきた。ゆうたろうだった。奴の声を聞いたのは久しぶりだ。何か事件らしいが、俺に何の用なのだろう。俺はゆうたろうの携帯電話にかけた。奴はすぐに出た。
「殺しだ。リエコがやられたぞ」
奴の声に、俺は言葉を失った。




スカイラインを飛ばし、現場に着いた。規制が張られている。野次馬整理の警官を見たが、知らない顔だった。俺はその警官に近づくと、探偵バッジを見せ名前を名乗り、ゆうたろうに呼ばれたと告げた。警官はおもしろくなさそうな顔をして、俺を中に入れた。赤灯がいくつも重なり、カメラのストロボがあちらこちらで光る。久々の光景だ。しかしどの人間も知らない顔ばかりだ。移り変わりが激しい様だ。ゆうたろうの後ろ姿が見えた。俺から声をかけた。
「久しぶりだな」
ゆうたろうが俺の方に振り向いた。
「すまんな、呼び出して」
苦虫を噛み潰した様な顔で言った。昇進し警部補になり、やることが増えたのだろう。
「いや、いいさ。どうせ呼び出されてたろう」
俺はそう答えながら、ゆうたろうの足元、うつ伏せになっているリエコを見た。リエコは血の海に寝ていた。首がおかしな方向に曲がっている。昨夜の服装のままだった。死体を見るのは久々だったが、それがこうも惨く、しかも、まさか数時間前まで一緒だった人間とは思わなかった。
「新聞の配達が見つけた。腹部や喉をメッタ刺し、更に首まで折られた様だ」
「そうか…」
「鑑識さんが、おおまかな死亡推定時刻を出した。深夜の○時だ。お前何してた」
ゆうたろうが率直に聞いてくる。
「その頃なら事務所で寝てた。証人はいない。ついでに言っておくが、リエコとは数時間前まで一緒だった」
「ほお。……ま、形式的な質問だ。お前がやったとはこれっぽっちも思っちゃいない。気を悪くするな」
「ああ、よく分かってる」
ゆうたろうは他には何も聞かず、また連絡すると言い、俺を帰した。



事務所に戻り、デスクのひじ掛け椅子に座った。考えた。リエコは、俺が警察にいた頃から情報屋としても付き合いがあった。リエコが仕入れる情報は他の付き合いの女たちに比べ、常に確実であり、助けられた。軽口を叩きあってはいたが、それなりに好意を持ってくれていた。俺も実は満更でもなかった。まあその影響で、女巡査部長様に愛想を尽かされたのだが。

思考を戻した。捜査は始まったばかりだが、妙に嫌な予感がした。可能性は否定できない。そう、俺が原因で殺された可能性だ。



翌朝。また電話で起こされた。今回はしっかりベッドで布団を被っていた。ゆうたろうだった。俺は電話に唸った。
「二日続けて、こんな朝早く起こしやがって。俺に恨みでもあるのか」
『まあそう言うな。……真面目に聞け』
「なんだ」
『サカガミが出所したぞ。今朝だ』
サカガミ。俺はその単語を聞いた瞬間に完全に目が覚めた。サカガミは数年前に俺が逮捕した犯罪者だった。表向きは稼ぎまくっている清い実業家だが、裏でもかなりの悪さで稼いでいた。ある事件をきっかけに俺が手錠をかけたが、裁判ではやり手の弁護団を用意し、ところ構わず金をばら蒔いた。しかし検察が意地を見せ、短くはあるが実刑を与えた。ちなみに逮捕のきっかけになった情報を提供したのは、リエコだった。間違いない。リエコを殺したのは、サカガミだ。いや、サカガミ本人ではないだろうが、奴の差し金だろう。俺は電話を切ると、コートを引ったくった。探偵バッジで出来ることなど僅かだが、動かずにはいられない。俺のせいで、一人の女が死んだのだ。偽りの愛情の中に、僅かながら本物も感じとっていた、一人の女。そして殺したのは、極悪人だ。



警察という身分がない以上、中々話を聞き出すには苦労する。しかし、少しでも後ろめたい連中相手には「元警官」の肩書きも脅しとしてある程度使える。低音を響かせ、或いはなだめ、財布から少ない札を握らせ、情報をかき集めた。必ず、俺の手で決着をつけてやる。



数日経ったある夕方、人気のない埠頭。目立たない場所にスカイラインを停めると、助手席に小男が乗り込んできた。情報を売る人間は、絶えず周りを見る。神や月以上に見ている。今回も運良く、サカガミを見ていた情報屋がいた。この小男だ。一世を風靡したサカガミを久々に見かけ、何かあるかと後をつけ、廃屋である男と会っているのを目撃した。ご丁寧に写真まで撮ってあった。俺は大枚はたいてその写真と情報を買った。



夜。信号で止まる。青になり、スカイラインのアクセルを踏み込む。くたびれた直列6気筒が唸りタコメーターが回る。そしてまた信号で止まる。青になりアクセルを踏み込む。まるでシグナルグランプリだ。特権の緊急走行はもうできないが、信号無視をするわけにもいかない。



東京湾が見渡せる超高級ホテル。ここにサカガミは泊まっていた。最上階を借りきっているらしい。相変わらず羽振りが良い。俺はホテルのエレベーターに乗る前に、ゆうたろうに電話をかけた。自分の手で決着をつけるつもりでいた。しかし、まだどこかに警察官の心が残っていたらしい。それに保険だ。俺がやられないとも限らない。電話の向こうでゆうたろうが何か言っているが、俺は電話切った。



受付を低音で黙らせ、エレベーターでサカガミが借りきった最上階に向かう。扉が開くと、待ってましたとボディーガードらしき人相の悪いのが二人構えていた。俺は瞬く間にそのボディーガードを眠らせる。絨毯のベッドは、俺の事務所のベッドより寝心地が良さそうだ。また二人出てきた。今度はスタンガンを持っている。俺はすかさず、腰のホルスターの特殊警棒を居合い抜きの要領でまず一人、続いてもう一人を倒した。正直もうボディーガードは勘弁して欲しかった。やはり運動不足である。それに多人数を相手に立ち回れるのはドラマや小説の中だけである。実際、もし四人同時にでてこられたら勝算は低かったろう。やや息を上がらせながら、俺はサカガミがいる部屋に近づく。俺はショルダーホルスターから38口径、S&Wのチーフスの2インチを抜く。銃の許可証は取ってあるが、44マグナムは返上した。しがない探偵には、金がかかりすぎる銃だ。ボディーガードは四人だけだった。ドアの前でチーフスを確認する。シリンダーを開ける。38スペシャル弾が5発。予備の弾は、デスクの引き出しからスナックを取る様に適当に握った分がポケットに入っている。俺はシリンダーを親指で回転させると、それが止まるか止まらないかの所で、手首を振りシリンダーを元に戻した。俺は一つ短く息を吐くと、足でドアを盛大にノックした。部屋は明るかった。サカガミはガウン姿で、窓の外を眺めていた。俺はチーフスを腰だめに、声をかけた。
「久しぶりだな、サカガミ」
奴は振り向いた。手にはシャンパングラスを持っている。相変わらず外見だけは爽やかで優男だ。だが、こいつの本性はよく知っている。
「…お久しぶりですね。再会を祝福して、乾杯でもしますか?」
「あいにく悪党とは酒は飲まん。だが、鉛弾なら奢ってやらんこともない」
「ははは。それはおっかないですね」
「単刀直入に聞こう。リエコをやったのは、お前だな」
「リエコ……?ああ、あなたのお気に入りの淫売、おっと失礼。コールガールでしたね。あなたもあんな汚い女に、好き者ですね」
サカガミは笑った。俺はチーフスを構え、言った。
「黙れ外道。逮捕されろとは言わん。死ね」
その時、視界の端で何かが動いた。やはり、最近は切った張ったがご無沙汰だったせいか感覚が鈍っている。そちらに振り向いた時には、二回、刃渡りたっぷりのナイフで腹を刺された。写真で見た、サカガミと会っていた男だ。こいつは殺し屋だ。三回目が来た時、俺は殺し屋にチーフスの弾を三発くれてやった。殺し屋が踊る様に倒れる。ナイフが腹から抜ける。俺も倒れた。また視界の端で何かが動いた。サカガミだ。逃げようとしている。
「サカガミっ」
俺は血を吐きながら掠れた声を出し、チーフスを向けた。しかし目がぼやけて照準が合わない。その時、懐かしい声が聞こえた。
「動くな!」
それは、女の声の様だった。続いて、幾人かの争う声。ゆうたろうの声も聞こえる。俺は誰かに抱かれた。
「警部補!しっかりして!」
ぼやけた視界に、一緒だけはっきり見えた。「女」だ。ゆうたろうが余計な気をきかせたらしい。
「救急車!救急車呼んで!早く呼んでぇ!!」
女が叫ぶ。俺はやたら眠い体に言うことを聞かせようとするが、上手くいかない。なんとか、女の肩辺りを掴んだ。声が出ない。まずい、寝るにはまだ早い。俺はなんとか声を出した。
「ありがとう。すまなかった」
何に対しての感謝なのか、何に対しての謝罪なのか、俺自身分からなかった。








暗い。生暖かい。ここは天国か地獄か。

どちらでもないらしい。寝息が聞こえる。俺は身を起こした。ソファーの上だ。しかし事務所ではない。そして寝息と生暖かさは、俺に寄り添う様に寝ていた女だ。よくこんな場所に寝れた物だ。テレビが点いている。机の上には、古い探偵映画のDVDのパッケージ。思い出した。懐かしさに買ってしまったDVDだが、見る機会がなく、明日は非番だからと二人で見ていたのだった。しかしどうも途中から眠ってしまったらしい。そんなつまらない映画ではなかったと思ったが。

ところで今心に決めたことがある。情報屋との付き合いは程々にしよう。



To next time
Posted at 2013/12/04 21:30:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | 「17th PCT」 | その他

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「本人じゃないカバー版とはいえ、この時期に広末涼子の曲をリクエストするリスナーもそれを選ぶ某ラジオ番組もすげーなー。と25年前のスカイラインスーパーサウンドシステムで聞きながら。」
何シテル?   04/18 17:27
警部補です。 ある時は、墨東署の警部補。 またある時は、ベイエリア分署の警部補。 またまたある時は、17分署の警部補。 しかし、その実体は! ...
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