
今年のゴールデンウィーク。久々に数日休みが取れた。
と、言うよりも、公休と振替休日が重なる数日間が休みとなっていただけだ。つまりこの後は、まとまった休みが少ないわけだ。仕事柄とはいえ、因果なものだ。
夕食を終えた。相変わらず彼女とは時間が合わず、用意された物を一人で食べる食卓だ。食後、求めたわけでもなくコーヒーが出てくる。彼女はコーヒーにこだわりがあるようだが、俺はまったくで、強いて好みと言えば、薄いアメリカンだ。彼女は、自分の分のカップを手に、俺の正面に座った。味がどうだったかなんて、もう聞かれない。新婚はとっくの昔に終わっている。その代わりに、
「今年のゴールデンウィーク中は?」
と聞かれた。社交辞令の様なものだ。毎年仕事なのだから。俺はコーヒーを啜りながら、ゴールデンウィークにまとまった休みがあることと、せっかくだから何処かに出掛けないかと、伝えた。
「へ~、珍しいね。じゃあ、どこ行こうか?」
そう言う彼女の顔は、少し嬉しそうにしている気がした。
さて困った。出掛けようと言ったのは、社交辞令みたいなものだったのだが……。
高速を使おうと下道だろうと、どこもかしこも渋滞だ。しかし幸いトラブルに遭うこともなく、車は進む。少しエアコンを効かせた車内。オーディオからは、控えめな音量で、少々古い歌が流れている。
「この歌、カラオケ行ったらよく歌ってくれたよね」
彼女は言った。彼女が今日着ている服は、見たことがなかった。きっと、知らない間に買っていたのだろう。一緒になる前は、デート三昧で色々な場所に行き、ショッピングや遊びを楽しんだものだったな。最近は、愛車に乗るのもさすらいで俺一人きりだった。昨日は、洗車場の列に並び車を磨きあげた。彼女は、流れる曲に合わせて鼻歌を歌っていた。
砂浜と海。爽やかな潮風。それらを照らす日差しにオレンジ色が混ざりだした。俺の斜め前を歩く彼女。昔は手を繋いで歩いたものだ。しかしここ暫く、お互いにそのような感情や行動はなかった。俺も彼女も、特に話をするわけでもなく、歩いた。
歩いていた彼女が、ふと止まった。風に、ショートカットの髪が僅かに揺れる。俺の方に振り返ると、微笑んで言った。
「ありがとね」

そして、俺の腕に絡み付いてきた。彼女の柔らかな肌と体温を感じ、控えめな香水が鼻をくすぐった。俺は照れ隠しに笑うしかなかった。昔はよく格好つけたが、その度に足を躓かせたり何かしらヘマをやったものだ。
出掛けて良かった。そう思った。
ぬうう。
そういえば、数年前?に「R35」とか言うアルバムが出てましたな。持ってませんけど。収録曲を見てみたら、なんであの曲があってあの曲は入ってないのかな~。とか思ったり。
Posted at 2016/05/04 11:25:27 | |
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