
今年は巳年なので、今年最初の話題はこれ。
もっとも大蛇といっても、
光岡自動車 大蛇(オロチ)ではなく。
初試乗 SRTバイパーGTS
(AUTOCAR JAPAN、2012年12月11日)
【ビデオ】「異質のスーパーカーだ!」 新型SRT「バイパーGTS」に試乗
(autoblog、2013年1月1日)
【試乗記】「米国でナンバー1のスポーツカーだ!」 新型SRT「バイパー」(ビデオ付)
(同、2013年1月5日)
この度モデルチェンジをし、3rdジェネレイションとなった、
SRT ヴァイパー。
その全容が、徐々に公表されてきましたね。
現在のアメリカンマッスルカーを象徴する一台が、こうして復活したことには、意義があります。
昨年晩夏頃にYouTubeでPVを初めて見たときは、期待しつつも衝撃を受けました。
その見た目は、ほとんど欧州製スーパーカー。
いえ、サイドヴューを見れば確かにヴァイパーではありますが、正面から見ると何となく
フェラーリ 599GTBフィオラーノを思わせます。
2013 SRT Viper
(YouTube、2012年4月9日)
Dodge SRT Viper GTS
(同、2012年9月11日)
更に知っていけば、変わったのは見た目だけではありません。
L字状に並べられ、欧州市場を意識した、LEDデイタイムランニングライト。流れるような、しかし複雑に入り組んだ、微妙な曲面で構成されたフォルム。一見重厚ながら、最新のオーディオを備え、タッチパネル式マルチ・インフォメーション・ディスプレイを装備し、両座席の間のコンソールボックスにはiPadがぴったり収まる内装。電子制御を多用し、最新の鉄鋼加工技術を駆使し、軽量さと頑強さを両立した、ひたすら無駄のない構造。
中身までもが生まれ変わっています。上質で格式高く高級感があり、益々欧州製スーパーカーのよう。
その内に、マイナーチェンジで、7DCTとパドルシフトが装備されたりとか、モーターアシストで前輪を駆動する4WDになったりして。
いえ、1stジェネレイションからして既にランボルギーニの血が混じっていましたが、それでも洗練とは程遠いものでした。
大事なのはあくまで、長大なフロントフードに収まる、7.9リットル・V型10気筒OHV・自然吸気NAエンジン(1stジェネレイションのエンジンスペック)。直線における最高速度だけを追求し、それ以外を余計な要素として削ぎ落とした。
当時はそういった古典的な車造りも含めてが、スーパーカーらしさではありましたが。
何しろ当のランボルギーニでさえ、最新技術を導入して完成度を飛躍的に上げてきたのは、2003年の
ガヤルド以降とつい最近のことですし。
ヴァイパーは、その古典的な造りゆえに、いきなり完成度を上げてきた欧州製スーパーカーに太刀打ちできなくなってきて、それゆえに生産終了した。
しかし生まれ変わったヴァイパーは、見た目も中身も欧州製スーパーカー風になり、それらに負けないだけの総合的な完成度を持つに至った。まるで、明治新政府軍に対抗するために、散々否定していたはずの海外式の装備や兵法で戦うことに方針転換した、旧江戸幕府軍のように。
かといって、マッスルカーらしいマッチョテイストは失ってはいない模様。
大排気量に物を言わせ、暴力的な加速、荒々しい乗り心地、野獣の咆哮のように轟く図太いエンジンサウンドなど。
一時は存続が危ぶまれたマッスルカーは、電子制御を多用したり、
気筒休止機構を取り入れたり、燃費を気にしたり、
ラダーフレームへの拘りを捨てたり、タッチパネル式オーディオを装備したりなど、時代を取り入れることで復活を遂げました。
以来各メーカーのイメージリーダーとして、生産数も販売台数も決して芳しくはないものの、アメ車の象徴として返り咲いています。
欧州製スーパーカー風になったこのヴァイパーですが、マッスルカーの象徴でありながらも、実際に欧州と縁の深い車でもあります。
前述しましたが、そもそもの1stジェネレイションからしてが、ランボルギーニと共同開発。
そして現在、クライスラーグループはフィアット傘下であり、同じフィアット傘下のアルファから「
TZ3ストラダーレ」として、2ndジェネレイションのコンプリートカーが9台生産されました。
(余談ながら、クライスラーグループとフィアットグループは、他にもOEM提携を結んでいますね。
アルファ=ロメオ・アウトモビレ ジュリエッタが
ダァヂ ダートとなったり、
ランチア・アウトモビレ イプシロンが
クライスラー イプシロンとなったり)
マッスルカーでありながら、スーパーカー的でもあります。
よく「日本の軽自動車はガラパゴスだ」と言われますが、それはアメ車とて同じ。
このヴァイパーに至っては、完全な北米専売車両と割り切っています。サイドマフラーは構造変更ができず、日本の道路では適合外。
だからこそ、こんな馬鹿馬鹿しいまでのマッチョな車が成り立つんですね。
Macho Man
(Village People、1978年)
Macho Man
(Mister Black)
日本人の感覚からすれば、果てしなく異次元の存在です。
でもそれが、逆に面白いです。
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マッスルカー | クルマ
Posted at
2013/01/02 21:02:27