「ブラック企業」だけを声高に糾弾しても、多くの労働者は救われない
(増田にゃんねるβ、2013年3月15日)
うん、言わんとしていることはよ~~~~~く解ります。
それこそ身に染みているだけに。だからブラック企業とその事業主は、絶対に肯定できません。労働者の敵です。
でもそれは、やっぱり理想論ですよ。
それに、僕らが良い商品を安く買える世の中になったのは、まさにブラック企業がはびこっているからなんですよね。
従業員が薄給で酷使され、労働環境も人間関係も最悪で、社員数がいないから一人で5~6人分の仕事をしなければならず、しかし社長は無関心で「俺の会社だ」という自覚がなく、組織なのに統率する人が誰もいないから“烏合の衆”と堕しており、たまに社長が顔を出してきたと思ったらその場その場の感情と思い付きで現場を引っ掻き回し、心身を蝕み、錯乱し、不眠症になり、難聴になり、偏頭痛になり、胃壁に穴を開け、血尿を流し、みんな早くて半年・もって5年で辞めていく。
しかし社長にすれば、こんな世の中だから、従業員のなり手には一向に困らない。どころか、むしろ長くいられると昇給しなければならないから、自分からさっさと辞めてもらったほうが却って好都合。だから会社の状況を良くしよう、戦力として役に立ってもらおうという発想が、そもそもない。
ですがそんな会社がごまんとあるお陰で、商品単価は高騰せずにいるのです。物価が安いのは貧乏人にとって本当に助かります。
たとえば、マクドナルドが日本有数のホワイト企業になり、従業員の待遇も商品の質も改善された結果、当然の如く商品単価に反映されて、チーズバーガーが1個\3,000になったとします。翻って自分のほうは相変わらずだとして、あなたは毎日買いますか?という話です。
不況にも係わらず僕らが生きていけるのは、残念ながらブラック企業がこれだけはびこっているお陰です。
でもそれも、人件費の安さを突き詰めていけば、事業所の新興国への移転や、海外からの出稼ぎ移民を受け入れるという発想に行き着く。
そうなれば、日本人とは比べ物にならないくらい安く働かせられることが可能となり、事業主にとっての夢が叶う。既に移民を受け入れている国々がどんな末路を辿ったかなど、どうでも良い。
そういえば数年前、一時期マスゴミ挙げて1000万人移民受け入れキャンペーンが推されていましたが、それを推進ないし肯定していたのは事業主ばかりでしたね。
・移民、1000万人受け入れ提言…自民議連案 「多民族共生国家」を目指す
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2008年6月8日)
・経団連、「日本への移民受け入れ・定住」提言。人口減対策で…一方で労働条件の悪化や治安の悪化懸念も
(同、2008年10月13日)
・「日本は、移民1000万人で外国人のパワーをもらうしかない!家庭で移民を考えよう!」…スーパーモーニング
(同、2010年2月28日)
・イギリス「助けて!ロンドンから白人の流出がとまらないの!」
(2ちゃん的韓国ニュース、2013年3月23日)
・中国人「故郷の人は皆日本に来たがる。仕事には困らないし生活保護も貰える。黄金の国と言われてる」
(保守速報、同日)
・【国際】移民を拒否し続ければ日本は滅びる-シンガポール元首相
(ピカピカニュース2ch、2013年3月24日)
・休みは月に2,3日 月400時間の長時間労働 “月給わずか1万円” バングラデシュ女性が繊維会社を提訴…京都
(同、2013年4月4日)
資本家と労働者の溝は、深まることはあっても埋まることは、未来永劫ないでしょう。
日本人の精神風土や日本企業の社風は相変わらずなのに、
新自由主義の流入が、ここまで事態を悪化させました。
日本的な良い面を武器にするどころか全否定して、しかしそれに替わるものを時間を掛けて定着させなかったまま、アメリカ式の悪しき側面だけを強制的に取り入れた。その歪みです。
最近ようやくデフレスパイラルの問題が取り沙汰されてきましたが、それとて、小泉改革当初に一部でその可能性を指摘する声があったにも係わらず、耳を傾ける人は誰もいませんでした。
・世界でダントツ最下位! 日本企業の社員の「仕事に対するやる気」は31% なぜこんなに低いのか? 韓国は40%でブービー賞
(ピカピカニュース2ch、2013年1月17日)
・国内産業の構造変化が顕著に ! 製造業の就業者数が減少 !
(clicccar、2013年2月2日)
・時代の流れか…消えていく「アットホームな会社」
(ピカピカニュース2ch、2013年2月7日)
・劣化列島…不足する技術系職員、「人材全く足りない」
(同、2013年2月9日)
・【悲報】大手企業100社「安倍総理が何と言おうと給料は上げない」
(暇人\(^o^)/速報、2013年2月14日)
・アベノミクスは良いが、それだけでは景気回復感が庶民には実感がわかない理由
(宇田川敬介のC級ニュース解説と宇田川的ぼやき、2013年2月23日)
・日本のサラリーマンが「世界で一番もろくて壊れやすい」理由
(暇人\(^o^)/速報、2013年3月11日)
・アベノミクスは順調だが戻らない消費者
(宇田川敬介のC級ニュース解説と宇田川的ぼやき、2013年3月15日)
・【正論速報】麻生太郎副総理「連合が民主党の選挙支援をやって、給料交渉はおれたちがやるのはおかしい、応援する相手が違うんじゃないか」
(アルファルファモザイク、2013年3月19日)
・【安倍政権】 「解雇を原則自由に」 産業競争力会議(議長・安倍首相) 欧州の例などを調査して具体化を検討
(ピカピカニュース2ch、同日)
・雇用流動化は避けられないという現実から逃げてはみんなが不幸になるだけ
(大西 宏のマーケティング・エッセンス、2013年3月26日)
新自由主義で苦しんでいるのは、欧米も同じ。
日本とは違う形で、歪みがあちこちに生まれてきているようです。こちらもまた、アメリカ的欧州的な良い面を伸ばすどころか相殺し、しかし体質は旧態然としたままなので、そのギャップで苦しんでいる模様。
こちらでも、結局はゴールドマン・サックスの一人勝ち。豪快な力押しに任せ、自助努力を怠った自業自得という側面もあるとはいえ、痛ましい。
・【レポート】GMが経営破綻がらみの訴訟で約800億円の損失か?
(autoblog、2013年1月9日)
・フランス政府が雇用維持で「ルノー」に日産車の生産を要請 !?
(clicccar、2013年1月22日)
・仏自動車工場で従業員らが抗議デモ ! 労使の対立が鮮明に !
(同、2013年2月1日)
・デトロイト市破産寸前 州知事が非常事態宣言
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2013年3月2日)
・キプロス議会、銀行預金課税法案を否決 大破局キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
(政経ch、2013年3月20日)
かと言って、新自由主義とは一線を画し、高福祉社会を目指したはずのスウェーデンやノルウェーやオランダでも、原因は違えど結局は財政悪化や不景気や移民受け入れや暴動などで、国内はずたずた。
・
社会主義、共産主義って大失敗しかしてないのに活動家は何で運動を続けてるの?
(保守速報、2013年3月26日)
欧米は今、そんな新自由主義への反省から、代替案を模索している最中です。
アメリカは製造業を自国へ呼び戻し、たとえ外資であってもアメリカ人を雇用しアメリカ政府へ税金を払ってくれるなら、喜んで受け入れるように。
そこに、海外における日本車メーカー躍進の切っ掛けの一つがあります。
そんな新自由主義からの脱却を目指す欧米の地で、外貨獲得に功を奏した日本車メーカー。
財政的にも体力的にも余裕が生まれたのか、それまでの方針を転換して、ホワイト企業になりつつあるニュースが聞こえてきます。
豊田自工会会長「努力した人が報われる社会を」…衆院選を終えて
(Resnponse.、2012年12月17日)
トヨタ、64歳までの生活下支えする新退職金制度を検討…定年後も月21万程度の収入目指す
(ピカピカニュース2ch、2012年12月24日)
社内婚活パーティを実施し、毎回4割のカップルを成立させる『トヨタ自動車労組』
(同、2013年3月13日)
これはこれは…一体どういう風の吹き回しでしょうね?
あのトヨタがですよ。官僚主義の代名詞みたいな企業で、労組は企業側と癒着したスパイ組織と成り下がり、サプライヤー苛めで有名な、あのトヨタが。
海外で売り上げが好調で余裕が生まれただけでは、普通こうはならないでしょう。大抵は内部留保として“貯金”して、設備投資や待遇改善には反映させないものですから。現に、「安倍総理が何と言おうと、どんなに景気が良くなろうと、従業員の給料なんか絶対に上げない!」と名言している企業が、100社以上もあります。
それに勿論、これは愛知県に一社ある本社の、それもごく一部の例でしょう。日本中に散らばる大小様々なサプライヤーにとっては、雲の上の話でしかありません。
それを承知した上で尚、大政奉還以後のトヨタは変わったと、つくづく実感します。
他メーカーではなくトヨタがやるからこそ意味があるのです。自工会や経団連で強固な発言力を持つ、「世界のトヨタ」が率先してやるからこそ、他メーカーも追随しようという気に初めてなる、追随せざるを得ない空気になる。業界を底上げするのは、末端の従業員ではなく、トップの仕事です。
・
トヨタ豊田社長「私は“しんがり”役」…米公聴会を振り返る
(Response.、2012年12月6日)
本田技研工業に至っては、社員の離職率が業界一低いとも言われます。それだけ社員を大切に扱っているからなのでしょう。
僕としても、闇雲に日本型企業に戻れとは言いません。それは今の時代退化ですから。
それでも尚、日本的な良さや持ち味を活かした上で世界に打って出るのなら、理想的です。本来日本らしさというのは、日本においては風土病であるとしても、こと海外においては強みになるはずですから。
最近はアベノミクスへの期待感から、トヨタだけでなく、ホワイト的になってきた企業が増えてきました。
・ブラック企業はいいからホワイト企業の話をするべき 「未来工業」 「メガネ21」 「ケーズデンキ」
(ピカピカニュース2ch、2013年2月17日)
・【アベノミクス】安倍政権の賃上げ要求に対してローソンに続きワークマンも社員の年収を3%引き上げ・・・みんなでこういう企業を応援しようずwwwww
(ハムスター速報 2ろぐ、2013年2月20日)
・JINSがパート・アルバイトを含めた従業員(役員を除く)1500人に追加賞与!安倍政権の賃上げ要請に対応したとのこと、みんなJINSでメガネを買おう!!!
(同、2013年3月1日)
勿論これは業界最大手だからこそできること。どこの企業でもできるわけではありませんし、誰でも入社できるわけでもありませんが、少なくとも心の支えにはなりますね。
僕ら労働者としても、それに甘えることなく、ひたすら頑張るだけです。
Honda - 「負けるもんか(プロダクト)」篇 (2012年4月)
ブログ一覧 |
政治、経済(自動車関連) | ビジネス/学習
Posted at
2013/03/19 13:16:00