【特別企画】橋本洋平の2013年型軽自動車の魅力を探る
(Car Watch、2013年3月28日)
TPP参加に際し、ビッグ3から出されている条件の一つとして、軽自動車規格の撤廃があります。
それに対する反発は思いの外強いのか、日本国内でも、軽の利点を改めて見直す論調が湧き出てくるようになってきました。
その中でも、上記は特に上手く纏められていると感じたので、紹介します。
国際化の昨今、各社は
世界戦略車(グローバル・カー)を中心に開発し、国内でもそれを旗艦車種として中核に据える。そんな動きが定着しています。
しかし日本の交通事情は特殊。道幅は細く、信号が短距離に点在し、駐車場は狭い。だから幾ら世界で通用する車といっても、狭い日本で乗り回すには非現実的です。
軽は、そんな「日本車でありながら、日本の国土に合わない」世界戦略車の不得手を補う、
国内専売車(ドメスティック・カー)です。
日本の特殊な道路事情に適応し、特化している。だからたとえ海外には輸出できなくとも、日本で乗り回すのに便利にできている。
勿論、税金が安い・維持費が掛からない・燃費が良いのも理由であることは、言うまでもありません。バブル経済期ならいざ知らず、今はこれだけ不景気なのだから、維持費の安い車が売れるのは当然のこと。
それでも尚、ただ安いだけでは、普通に考えてこれだけ売れるはずがありません。安さや速さを売りにしている日本マクドナルドの凋落ぶりを見れば、安さだけで恒久的に利益を出せるわけではないのは、一目瞭然です。
・サイゼリヤ「激安セールで集めた客は常連にならない 」
(暇人\(^o^)/速報、2013年3月13日)
・マクドナルド一人負けの理由~敵は外ではなく内だというのが相場 店の外に二宮金次郎像
(ピカピカニュース2ch、2013年3月16日)
少し前まで、携帯電話が、国内向けに特化しすぎたあまり海外ではとても売れない代物となり、また海外メーカーが中々参入しにくいとして、日本市場の特殊性が槍玉に挙げられていました。
その際、外界から隔絶されて動植物が独自の進化を遂げたガラパゴス諸島になぞらえて、ガラパゴス携帯即ち「ガラ携」「ガラケー」と、よく揶揄されたものでした。
それはそっくりそのまま軽にも当て嵌まり、「ガラ軽」という蔑称もあるようです。
でも車の場合、世界戦略車と国内専売車とで綺麗に役割分担できているのが、家電と違うところですね。
だからむしろ、ひたすら「ガラ軽」としての道を窮めて欲しいです。日本国内だけで売る、日本人だけを相手にした商売なのだから、それこそが正しい。
日本人の気質としても、技術や設計に行き詰ったとしても、限られた枠組みの中で何とかしようと考えるものだと思います。技術者としても腕の見せ所ですしね。
「だったら枠組みそのものを拡大すれば良いじゃないか」とはならないのが、海外とは決定的に異なる部分。
でなければ、軽はいつまで経っても「安かろう悪かろう」の代名詞であり、今日ここまで進化することはなかったはずです。
・ムーヴ・N ONE・up!人気のスモールカーを徹底比較 -新たな魅力が満載の小型車たち!-
(オートック ワン、2013年2月3日)
・軽自動車売れすぎワロタ みんな軽しか買わない
(ピカピカニュース2ch、2013年2月11日)
・【大阪オートメッセ2013】軽トラが熱い!驚きのカスタマイズ車両が集結!
(autoblog、2013年2月12日)
・さすがに、N-BOXは売れすぎな気がしてきた・・・・
(ピカピカニュース2ch、2013年3月7日)
・走りのよい軽自動車「N-ONE」「N BOX」の雪上パフォーマンスに驚く 鷹栖プルービンググラウンドで開催された「ホンダ雪上試乗会」(前編)
(Car Watch、2013年3月13日)
・意外と少ない?「街乗りにおすすめ!小回りの利く軽自動車ベスト5!」
(clicccar、2013年3月28日)
国土が広くアウトバーンなどというものまである海外では、A~Bセグメントが、日本でいうところの軽に相当する認識なのでしょうか。
それでも日本に輸入されれば3ナンバー登録となる辺り、日本がいかに特殊かが、逆説的に証明されています。
アメ車もアメ車で、或る意味ガラパゴス・カーですよね。
ビッグブロックを内蔵した、マッスルカーやフルサイズピックアップトラックが全盛の国なのだから。
アメリカ人にすれば、
シェヴォーレイ ソニックや
クライスラー イプシロンや
フォード・モーター フィエスタが、或いは軽に相当する扱いなのかも知れず、彼らなりに最大限譲歩しているつもりなのかも知れません。
しかし日本メーカー各社はアメリカに対し、軽規格や5ナンバー規格をごり押しするどころか、むしろアメリカの国土事情や国民性を尊重した、アメリカ人に喜んでもらえるような車造りをしてきた筈です。そういう発想自体が、そもそも日本人的ですね。
だから日本メーカーは、今日海外において一定の地位を築いているのです。だから日本人らしさ・日本企業らしさというのは、本来強みになるのです。
・元MS社長「社内英語公用語化は無意味。企業のいいなりになって英語を学ぶ必要ない」 楽天「ぐぬぬ」
(アルファルファモザイク、2013年1月20日)
・楽天、海外事業が不振 255億円の特別損失が発生
(同、2013年2月13日)
日本車叩き・軽叩きをしている人々は、日本に来て軽がある生活を経験したことがないし、するつもりもないし、現地工場があるお陰で自分たちの雇用が守られているという事実に気が付いておらず、感情だけで物を言う人々です。
想像ですが、ビッグ3上層部は、恐らく本気で軽規格を廃止しろとは思っていないのではないでしょうか。
その代わり、敢えて喧嘩腰の態度を示し続けることによって、日本から何らかの譲歩を引き出させるのが真の目的ではないかと。アメリカはいつでもそうやってきたし、近年では中国・韓国・北朝鮮もそう。
その上実利だけでなく、相手を萎縮させることで精神的にも優位に立てる。ビッグ3にとっては良いことずくめ。
完全にヤクザの「ゆすり」「たかり」そのもの。
更に突き詰めれば、自動車云々がそもそも目晦ましであって、ビッグ3の陰に隠れているゴールドマン・サックスにすれば、日本の医療や福祉や年金や為替が一番の獲物だと。
こちらは目に見える暴力よりも、知能で追い詰めてくるだけに、余計始末に負えない。
自動車評論家たちの間では「
up!は100点、日本の軽は0点!」と斬り捨てる向きも相変わらず多いですが、軽の良さがこれを機に見直されているのは良い傾向です。
とはいえ、失いそうになって初めて気付く、外圧がなければ自助作用が働かないというのは、僕ら日本人の恥ずべき点ですね。
・トヨタ社長「 軽自動車は様々な規制の中で、日本の道に合わせて一生懸命作っている国民車 」
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2013年3月22日)
・【TPP】「アメリカ車が日本で売れないのは燃費が悪く、社会が望む商品ではないから当然だ」 ノーベル経済学賞のスティグリッツ教授
(同、2013年3月24日)
・自工会豊田会長が米の軽自動車「非関税障壁」指摘に言及 !
(clicccar、2013年3月26日)
・輸入車市場に新潮流 ? 小型車導入に力を入れ始めた米国勢 !
(同、2013年3月30日)
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軽自動車 | クルマ
Posted at
2013/03/29 11:59:41