旧車を守る!!自民党内に「自動車文化を考える議員連盟」設立!!!
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2016年6月4日)

クラシックカーイベントの前後に相応しく、こんな情報が出てきました。
自由民主党の有志達により、「自動車文化を考える議員連盟」が、立ち上げられました。
会長を務める
古屋圭司衆議院議員は、「モータースポーツ振興議員連盟」にも名を連ねる、どうやら車好きの国会議員のようです。
古屋議員だけでなく、メンバーも同じく、車好きが中心だそうです。
これが仲間内だけの同好会のノリかと思いきや、総務省、財務省、文化庁、経済産業省、国土交通省からも出席者があったそうです。
自動車雑誌の編集者や、自動車評論家も招いて、意見を募ったりも。
どうやら彼らは本気のようです。
そういえば古屋議員は、国家公安委員長を務めた2013年にも、「
実情に沿った道交法改正が必要ではないか」という旨の発言をしていました。
(その後具体的な動きは聞こえてきませんが)

日本には、「物を粗末に扱うな」「物を大切にして長く使おう」という、“もったいない精神”がありました。
それは国土が狭く資源が乏しく、外界とは海で隔絶されているので容易く交易できなかったという、歴史的事情があったために生まれた、昔の生きる知恵ですが。
だからこそ尚更、今乗っている車がまだ新しいうちに次々と新車に買い換えるのは、日本人の精神風土にはあまり馴染まないのかも知れません。
日本には本来、クラシックカーを愛でる文化が根付くべき土壌があると言えます。
(勿論、そうでない人も一定数いるのは、承知しています)
しかしその狭い国土の中に、世界に名立たる自動車企業が、9社もあります(光岡自動車も含めれば10社)。
一応、生産終了しても10年はパーツを作り続ける義務があるものの、しかし企業の本分としては新車の企画・製造・販売。
だから政府も新車購入を促すような政策にする。
そのせいで、車を使い捨てにするとも取れる扱いを、メーカーも政府も推し進めてきた。
新車登録から13年経った車には、自動車税が15%増える(軽自動車は20%)。
自動車重量税も、13年後・18年後と、段階的に増税。
鳴り物入りで始まったエコカー減税にも期限があり、初代プリウスは対象外になるという、本末転倒な事態も。
日産自動車に至っては、先人たちが血と汗と涙の末に築き上げてきた遺産に敬意を払うどころか、露骨に侮辱してまで新車購入を促す。
新車を売らなければ商売が成り立たず、そうなれば経営が傾き、従業員にまともな給料を払ってやることが出来ない。
それは分かりますが、現状は流石に歪です。
保険会社ですら、車両が持つプレミアム性とは裏腹に、一定年数を越えた車両には価値はないと見做しており、車両保険は異様なまでに安い。
だから万一事故や災害に巻き込まれた場合に、もらえる保険代は新車のそれ以下。
保険会社もまた新車至上主義であり、クラシックカーを冷たくあしらっています。

本田技研工業が、最近ビートやNSXやS2000のパーツを再生産したのは有名ですが、それも或る意味クラシックカーを尊重する文化とも言えますね。
文化だとか何だとか言っているのであれば、各社もう少しそんな動きがあっても良さそうなものですが…。
クラシックカーそのものを税制上で優遇せずとも、せめてレストアに必要な基幹部品だけでも、細々とでも作り続けて欲しいところ。
現にそのせいで、僕の友人の身にもかつて
廃車の危機が訪れたので、他人事とは思えないのです。
尤も理由は分かっており、つまりそんなことをしても大手企業にとっては旨味がないからなのですが。
現在は一部の好事家や専門店が、趣味と実益を兼ねて手作りでレストアパーツを作っているだけであり、そこへ大手企業がいつまでたっても参入してこない理由など明らかです。
だからこそ、ホンダがパーツを再生産したのは、ちょっとした事件であると言えます。

旧車、クラシックカー、ヒストリックカー、ヴィンテージカー…。
呼び名は様々ですが、それら古い車を持っている人というのは、痛むのを避けるために動態保存として一ヶ月に数度乗る程度というのが、往々にして一般的です。
これも一つの“もったいない精神”ですね。
確かに最新鋭のエコカーよりは、排ガスは汚く、燃費も悪いかも知れません。
しかし毎日乗るわけではないのだから、長い目で見れば差し引きゼロになるはずです。
クラシックカーオーナーはもう一台、環境に優しいエコカーを持っており、そちらを日常の足にしているのが実情です。

また近年では、町興しの一環としてクラシックカーイベントを催す自治体も、増えてきました。
クラシックカーは環境を壊す悪者ではありません。
観光客を呼び込んで地域に貢献してくれる、僕らの味方なのです。
であれば尚更、クラシックカーに対してもう少し優しく接しても良いはずです。

どこまでを「保護すべきクラシックカー」とするかで、意見は分かれることでしょう。
スカイライン・GT-R(BNR32)が、生産開始から25年過ぎた右ハンドル車ということで、アメリカで並行輸入車に必要な衝突実験の対象から外れ、昨年晴れてかの地への輸出が解禁されました。
それが一つの目安になるでしょうか。
・R32のスカイライン GT-Rをアメリカで乗ったらフェラーリよりも声をかけられるんだが
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年6月6日)
・発売から25年 日産R32GT-R、米国で輸入解禁となり高騰中!
(同、2015年8月8日)
少なくとも僕の愛車は、まだまだ珍車の領域であり、文化として守るべきクラシックカーにまでは至っていませんねw

この動きには、懐疑的な声も一部にはあります。
すなわち、貴重なクラシックカーを複数台所有している一部の富裕層(連盟所属の議員も含む)に向けた優遇措置であって、新車を買いたくとも買えないような貧乏人を助けるためのものではないのではないか、と。
それにしても、本来であればこういう活動は、左翼だのリベラルだのを標榜する野党側から出て来なければおかしいのですけどねぇ…。
なのに、民進党(旧:民主党)や、社会民主党(旧:日本社会党)や、日本共産党のやってきたことと言えば……。

今後どのような動きをしていくのか、注目に値します。
モータリゼーションがこれだけ普及した今日、そろそろ「徴税すべき資産」から「語り伝えるべき文化」に、自動車を取り巻く環境は成長してもおかしくない時代です。
その為にも、連盟所属の議員たちに、嘆願書を送ったり個人献金したり選挙で投票したりなどして、働きかけることが肝要です。