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ふじぃのブログ一覧

2015年11月29日 イイね!

フォードは良きパパ

フォードは良きパパつい先程、NHKスペシャル『新・映像の世紀』を視聴しました。
今夜の放送は、「Chapter02 グレートファミリー 新たな支配者」です。

石油王ロックフェラー、化学王デュポント、金融王モルガン…。
いずれも、アメリカを陰から操ると言われる、ユダヤ系超巨大財閥。
個人的には、新聞王マードックや、鉄鋼王カーネギー、ロスチャイルド家についても言及があれば尚良かったのですが、話が広がりすぎるから仕方ないですね。


そんな中で、自動車王ヘンリー・フォード一世だけが、取って付けたような扱い。
にも拘わらず、実に印象的な役回りを与えられていました。

ジョン・ロックフェラーが今際の際、見舞いに来たヘンリーに
 「先に天国で待っている」
と告げると、帰ってきた言葉は
 「あなたが天国に行けるならね」


その富や権力や名声とは裏腹に、お金に執着するあまり高潔さとは無縁で、「泥棒男爵」と蔑まれながら孤独にこの世を去った、ロックフェラー。
それに対し、ヘンリーも同じくたった一代で財閥を築いた億万長者でありながら、一貫して労働者の立場に立っていました。
それは、16歳で高校を中退し、一介の機械工として現場叩き上げでここまできたという出自が、そうさせるのでしょうか。








フォード、マツダ株を全部売却へ。これはまさか...
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年11月17日)



冒頭の、ロックフェラーとヘンリーの会話を聞いて、このニュースを思い出しました。

排ガス不正問題で揺れているフォルクスヴァーゲンは今、他社を巻き込もうと必死です。
当然、SKYACTIV-Dを売り出しているマツダも、虎視眈々と付け狙われていることでしょう。
そんな時期に舞い込んできた、フォード・モーターがマツダ株を全株手放したというニュースです。


これは単に、リーマン・ショック以降段階的に手放していたマツダ株が、これでようやく全て捌けたというだけなのでしょう。
そのタイミングが、たまたま今だっただけで。

一部で囁かれているような、
 「やはりマツダもディーゼルエンジンで不正しているのではないか?」
 「フォードはそれを知っているから、急いで手放したのではないか?」
というものでは、恐らくないはず。




昔、マツダは多チャンネル化(マツダ、ユーノス、アンフィニ、オートザム、オートラマ)で勢い付いていました。
しかしバブル経済が崩壊したことで、多チャンネル事業は裏目に出ます。
そんなときに、手を差し伸べてくれたのが、フォードでした。

フォードは、1979年からこちら、マツダ(当時は東洋工業)の筆頭株主でした。
以来、親会社・子会社の関係であり、マツダはフォード・グループの傘下。フォード出身の社長が四代続けて就任するなど、その関係は敵対的なものではなく、至って良好。
オートラマ店は、マツダ系列におけるフォード販売網。



初代フェスティバは、名車です。
フォードバッジを付けていても、実質的にはマツダ主導での開発。
デザイン、大きさ、使い勝手、維持費、どれもが手堅く纏まっている。
舶来品という箔もある。
トップグレードでは本革シートや本革ドアトリムが標準装備であり、にも拘わらず108万円という破格の値段。

当時の欧州車的な雰囲気や、開放的なキャンバストップが、持ち味です。
小粒ながら良い意味で日本車離れしていました。

このDAプラットフォームや培ったノウハウは後に初代デミオに、B型エンジンは後に初代ロードスターに、それぞれ受け継がれて、更なる発展を遂げることになります。


株取引だけに着目すれば、マツダが経営難のときに株を安く買い、経営が上向きになってきたら高く売るという、正攻法です。
しかし実際には、経営が苦しいところを、助けてくれているのですよね。

フォードはマツダに対し、株主ないし親会社としての威光を振りかざして
 「時代遅れのロータリーエンジンなんかにしがみ付いてるから、会社が傾くんだ。今すぐ止めろ!」
と言うことだって出来たはずなのに、それをしなかった。
先日の東京モーターショーで、RX-VISIONが参考出品できたのは、ロータリーエンジンの火を絶やすまいとするマツダを、当時のフォードが暖かく見守ってくれたから。

「RX」復活か…マツダ、スポーツコンセプト 初公開へ
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年10月1日)
マツダの新型ロータリーエンジン「16X」、SKYACTIV技術で復活秒読みか!?
 (同、2015年10月19日)
マツダ、ロータリー搭載「RX-VISION」世界初公開!
 (同、2015年10月29日)
マツダがロータリーエンジン復活へ! マツダ役員「6合目くらいに来ていると思っている」
 (同、2015年11月22日)






マツダだけではありません。
ボルボ・カー・コーポレーション然り、ジャギュヮー・カーズ然り、ランドローヴァー然り、アストン=マーティン=ラゴンダ然り…。
フォードに拾われたメーカーは、皆その後、奇跡的なV字回復を遂げています。
そして、成長を見守った後は、笑顔で去ってゆく。
フォードは救いの神なのでしょうか…?

「自動車の生みの親」と称されるドイツのカール=フリードリヒ・ベンツと対比して、ヘンリー・フォード一世は「自動車の育ての親」と言われます。
そのヘンリー亡き後も、企業を挙げて、育ての親としての役目を果たそうとしているかのようです。
まるで、それこそが創業者の理念であり、又アメリカにモータリゼーションを根付かせた第一人者としての責任だとでも言わんばかりに。


企業はよく「才能」を求めますが、それは間違いなのですよね。
今の世の中に求められている人材は、実は「才能を育てる才能」なのですが、そこに気付いている企業は残念ながら少ない。
だからこそ、育てる才能が目立つフォードのような企業は、貴重なのです。

そしてそれだけに、三菱を体良く使い捨てたダイムラー=クライスラー(当時)や、スズキを陥れようとしたフォルクスヴァーゲンや、他人の弱みに付け込んで現在進行形で日産を食い物にしているフノーには、やりきれない思いが募るというもの。


今のフォードは「ワン・フォード」をスローガンにしており、当時とは社風は異なるでしょう。
グローバル企業としての合理化とグループ内の一体化を進めるに当たって、子会社の主体性を尊重するだけの余裕は、或いは今はないのかも分かりません。

実に良きパートナー、良き育ての親、良き父でした。
フォードもマツダも、単に良い車を造るだけではない、企業として人としての「善さ」を今後も期待します。




ヘンリー・フォード一世の名言集(一部抜粋)

──奉仕を軸にした事業は栄え、
  利益だけを追い求める事業は衰えるものです。

──整理整頓の出来ていない工場に、
  素晴らしい職人はいません。

──お金しか生み出さないビジネスほど、
  つまらないビジネスはありません。

──失敗を恐れた瞬間から、あなたの中のパワーが無くなってしまうのです。
  でも、失敗こそが、あなたを成功に導くチャンスなのですから、失敗を恐れることも、恥じる必要もないのです。
  むしろ恥じるべきは、失敗を恐れる心なのです。

──金で自由が買えると思うのは誤りです。
  この世で本当に頼りになるのは、知識と経験と能力だけです。

──見返りを期待しなくなったとき、倍の報酬がやってきます。
Posted at 2015/11/29 23:59:41 | コメント(1) | トラックバック(0) | 政治、経済(自動車関連) | ビジネス/学習
2015年10月03日 イイね!

EUぐるみだったVW排ガス不正

EUぐるみだったVW排ガス不正日本人は欧州を完全に誤解してる、とてつもなく好意的に誤解してる。
日本人と同じように誠実なんだと思ってる。
その誤解の解ける日が来るのが怖い。

  ──ドラガン・ストイコビッチ










車の排ガス試験で独仏英がロビー活動か?「抜け穴」要求文書が流出
(サイ速、2015年9月26日)

VWの排ガス不正は2005年頃からやっていた!?…米市場でGMやトヨタに勝てない焦りが発端か
(同、2015年9月30日)

トヨタ自動車、数年前からVWの排ガス性能に疑問を持ち欧州当局に取り締まりを要請
(同、2015年19月2日)





フォルクスヴァーゲン・コンツェルンの排ガス不正事件は、収まるどころか、尚も延焼中です。

アメリカだけでなく欧州でも、欧州だけでなく世界中でも、それこそ同じような不正を繰り返していた。
VW本体やアウディだけでなく、同じく傘下のシュコダ(チェコ)やセアト(スペイン)にも、同様の不正をさせていた。
クライスラーや三菱自動車工業へも、問題のクリーンディーゼルエンジンを供給していた。
それら問題の車種が、並行輸入などで相応の数も日本に入り込んでいたであろうことも、想像に難くありません。

独フォルクスワーゲン、世界で1100万台に同様の問題か 排ガス不正操作
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年9月22日)
フォルクスワーゲン「欧州向けも不正してたわ、メンゴメンゴ」
 (同、2015年9月24日)

独VWの排ガス不正、世界で1100万台規模 経営揺るがす事態に
 (痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2015年9月23日)

VW「ディーゼル不正問題」は【世界で1100万台】規模に...日本投入も影響必至?アウディ等にも・・・
 (Ethical & LifeHack、2015年9月24日)
VW「ディーゼル不正問題」で【日本市場での発売】も延期濃厚?傘下ブランドへも不正拡大中で・・・
 (同、2015年9月26日)

VW不正 日本国内に該当車、約230台が持ち込まれていること判明
 (乗り物速報、2015年9月26日)
VW排ガス不正、ナントEUが2年前に把握!欧州自動車業界全体がボロクソへwへ
 (同、2015年9月28日)

【レポート】ドイツ当局、国内にVWの排ガス不正車が280万台存在することを明かす
 (autoblog、2015年9月29日)


叩けば叩くほど、埃が出るわ出るわ…。
正直、まさかここまでとは思いもよりませんでした。


そこへ来て、更なる衝撃ニュースが舞い込んで来ました。
俄かには信じ難いことですが、このVW排ガス不正、何とEUぐるみだったとのこと。

ドイツの外交官が、意図的に抜け道を用意するよう、アメリカへロビー活動をしていたといいます。
ドイツだけではありません。イギリスも、フランスも、一緒になって。
それも10年も前から。

成程、皆ずっとグルだったのですね。
だからトヨタがEU当局に調査を訴えても、誰も動かなかったと。
辻褄が合います。


流石は、オリンピックでもF1でも、日本人が勝つとルールそのものを変えて自分たちだけが有利になるよう仕向ける連中です。
黄禍論の時代から、欧米人たちは何一つ変わっていやしない。
(余談ながら、都市伝説レベルだった黄禍論を最も広めたのも、ドイツ人……ドイツ帝国皇帝・ヴィルヘルム二世でした)


確かに、VWコンツェルンほどの世界的規模ともなれば、一社だけの問題ではなくなります。
多数の国々に多数の関連企業と多数の従業員を抱えており、VW一社が少し不調になるだけで、付帯する企業がばたばたと倒産しかねず、街には失業者が溢れかねません。
遠く海を隔てた一匹の蝶の羽ばたきが、巡り巡って台風を引き起こすように。

そもそもVWとは、アドルフ・ヒトラーが懇意にしていたフェルディナント・ポルシェ博士を招いて創設した、国策企業として始まったのです。

だからドイツ政府としては、VWを支援する必要があった。
そこまでは解ります。
問題は、VWに発破を掛けるのではなく、不正を黙認し、どころか不正を手助けしていたと。
これが、環境先進国の真の姿だったというわけです。


そういえばドイツ人たちは、ヒトラーに、第一次世界大戦の戦後賠償と不景気に苦しむ祖国を立て直してもらい、世界中の鼻つまみ者であったユダヤ人を隔離してもらい、VWやポルシェを一大企業にまで育て上げてもらい、アウトバーンを与えてもらい、ヒトラー肝煎りのテュープアインスを後生大事に愛用しておきながら、戦後はヒトラーの恩に報いるどころか全ての責任を押し付けて保身に走った。
そして現在に至るまで、ナチスに関するものはあらゆるものをタブーとし、自省も懺悔も再検証さえ禁じてしまった。

現在も、脱原発を唱えておきながら、その実原発を推進するフランスから電気を買っている。
シリア難民の受け入れを真っ先に表明しておきながら、「難民受け入れはEU全体の責任」と嘯いて、自分たちは真っ先に受け入れを拒絶。

一体これのどこが、「ドイツ人は真面目で固い」という評判になるのか。
むしろ合理主義ゆえに酷薄で冷血ではありませんか。




以前から、実は国ぐるみだったのではないかという疑惑がありましたね。

マルティン・ヴィンターコルンCEO(当時)は、アンゲラ=ドロテア・メルケル首相と、個人的に親交がある。
それを抜きにしても、VWコンツェルンほどの超巨大企業ともなれば、当然に、財界のみならず政界にも強大なパイプと影響力があるもの。
そんな間柄であれば、政府関係者たちは、VWの不正を予め知っていたはず。

この事件は、VW一社だけの問題ではありません。
もはやドイツという国全体、EUの根幹を揺るがす、一大スキャンダルにまでなりました。


アメリカではディーゼルに対して審査がとてつもなく厳しく、どのメーカーもクリアできない。
マツダのSKYACTIV-Dだけが、辛うじて合格するかしないか。しかし大事を取って、敢えて本格参入は見送った。
そんな中で、一社だけが飛び抜けた成績で合格したとあっては、絶対に何かあると思われて当然です。

そもそも、競合他社にすれば、個人名義でライバル車を買ってきて、密かに自社のところでビス一本に至るまで徹底的に分解して研究するのも、当然の話。
その過程で知られざるものに触れたとしても、何ら不思議なことではありません。

スズキ、フォルクスワーゲンとの提携解消へ
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年8月30日)
各自動車会社はワーゲンの不正に気づいていたよね?
 (同、2015年9月25日)
スズキ、VW全株ポルシェに売却で367億円の売却益
 (同、2015年9月27日)


おさむちゃんの「高い授業料だった」という一言には、色々なものが込められていそうです。


それよりも、同業他社よりは、VW関連会社からもたらされた内部告発なのかも知れません。

何しろヴィンターコルンは、顧客救済と信頼回復と会社再建に奔走するどころか、
 「知らない」
 「分からない」
 「関係ない」
 「一部の従業員が勝手にやったこと」
 「俺は悪くない」
を連呼し、しかしその日の内に、退職金5850万ユーロ(日本円にして約78億6000万円相当)をもらって一人だけ逃亡した、卑怯者です。

開発したボッシュのエンジニアたちにすれば、
 「こちらはVWの仕様書通りに造ったし、試験用という話だったし、市販車には使うなと再三念押ししていたのに、今更何て言い草だ!」
と激怒したとしても不思議ではありません。
経営者にすれば従業員は使い捨ての消耗品でしかないのでしょうが、やはり人間なのです。

独ボッシュのソフトに不正改変なし、VWが独断で書き換えか
 (乗り物速報、2015年10月9日)


VW本社内でもこの問題はとうに把握しており、役員会議の席で何度も何度も俎上に載せられましたが、その度に黙殺されたといいます。
経営トップたるヴィンターコルンが、尚更何も知らないはずがありません。




アメリカ当局への制裁金や、オーナーへの補償金だけでなく、株主たちへの賠償金も、VWは控えています。
もっとも、あくまで株価が下がったことが理由。
誰一人として燃費や環境や不正を心配してなどいません。
これが先進国の投資家たちの民度です。

米国、VW訴訟相次ぐ 投資家による集団訴訟も
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年9月27日)
独フォルクスワーゲン、全世界で1100万台リコール 改修費用は1台最大2万7000円
 (同、2015年9月29日)
【VW不正】アメリカで損害賠償の訴え相次ぐ、すでに30を超える訴訟 「車の価値が損なわれた」
 (乗り物速報、2015年9月24日)
フォルクスワーゲンのディーゼル車、米グリーン評価のリストから消える
 (autoblog、2015年9月29日)





同じくクリーンディーゼルエンジンを扱っているというだけで、他の欧州車メーカーも疑いの眼差しを向けられています。
メーカーやファンにすれば風評被害もよいところだと言いたい気持ちでしょうが、EUぐるみとあっては、むしろ今すぐ潔白を証明する必要があります。

VW排ガス不正で欧州自動車各社株も下落
 (サイ速、2015年9月23日)
BMW「X3」のディーゼル排ガスがEU制限以上との報道で株価急落
 (同、2015年9月25日)
トヨタ「不正制御は一切ない」 BMW供給エンジン「問題ない」
 (同、2015年10月3日)

【レポート】BMW「X3」にも排ガス不正の疑惑報道、同社は否定
 (autoblog、2015年9月28日)



ディーゼルに関わる産業も巻き添えを食らい、収益と株価が絶賛下落中です。

独フォルクスワーゲン問題でプラチナ相場が急落、「ディーゼル車離れ」を懸念
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年9月23日)


自動車とは、実用品や嗜好品というだけではありません。
その国の持つ工業力や技術力、生産力、経済力、頭脳の集大成です。

自動車とは、その国の国力を象徴する、バロメーター。
だからこそ、自動車産業が傾くと、関連業界に飛び火し、国そのものに危機が及び、僕ら国民生活にも斯様に影響が及ぶのです。




欧州の環境基準は、EURO6にして、ようやく日本の車検制度に等しいレベルにまでなりました。
ここ数ヶ月での日本市場へのクリーンディーゼル一斉投入が叶ったも、逆説的に日本の環境基準へも適合するようになったから。
それまでは日本車にとっては国際市場においては逆風でしたが、その間マツダは本当によくやってくれました。

マツダ「法令を順守し、違法なソフトや無効化機能は一切使っていません!」
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年9月29日)
マツダ「違法なソフトウェア、ディフィートデバイスは一切使用していない」
 (乗り物速報、2015年9月30日)
マツダ、VW不正問題の影響で問合わせ殺到!「ホントにキレイなディーゼル」と声明へ
 (サイ速、同日)



そういえば、EU当局に握り潰されていたとはいえ、告発の中の一つには、トヨタ発のものもありました。
VWの不正を暴いたカリフォルニア大学が使っていた装置も、日本の堀場製作所によるポータブル測定器でした。

世界揺るがしたVW排ガス不正、見抜いたのは堀場製の小型測定器 (2)
 (Bloomberg.co.jp、2015年10月2日)


世界標準からは出遅れている、ガラパゴスだとして、自動車評論家たちからは何かと扱き下ろされる日本車ですが、日本の「ものづくり」は相応のポテンシャルを秘めているのですね。


汚い手段で一位になったとしても、いつか何かの拍子で足元を掬われるのでしょう。
結局、人間とは、真面目で愚直が一番だという見本のような出来事です。
Posted at 2015/10/03 23:56:18 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治、経済(自動車関連) | クルマ
2015年09月29日 イイね!

VWで働くということ

VWで働くということフォルクスワーゲン会長「不正に関与したのは数人の従業員。組織ぐるみではない」
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2015年9月23日)

独フォルクスワーゲン社長が辞意
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年9月24日)

フォルクスワーゲンのマーティン・ヴィンターコルンCEOが排ガス不正のスキャンダルで引責辞任
(autoblog、2015年9月26日)
フォルクスワーゲン、ディーゼル排ガス不正問題で更に3人の幹部を処分
(同、2015年9月28日)





フォルクスヴァーゲン・コンツェルンの排ガス不正事件は尚も延焼中ですが、その最中、マルティン・ヴィンターコルンCEOが、声明を発表しました。

当初は引責辞任を否定していたものの、直後に結局辞任。
後任は、子会社ポルシェでCEO職を担っていた、マティアス・ミュラー氏。

フォルクスワーゲン、新CEOにポルシェCEOのマティアス・ミューラー氏を起用
 (autoblog、2015年9月28日)



不正が発覚してから、一週間と経っていませんよ。
明らかにこれは、沈みかかった泥船から逃げたのですね。
本来なら敢えてVWコンツェルンのCEOの座に就いたままで謝罪と賠償に徹するのが、あるべき責任の取り方だと思うのですが、それは日本人としての価値観なのでしょうか。

疑惑の渦中では不正を否定。
不正が発覚しても辞任を否定。
アメリカだけでなく世界中での不正が明るみになって、遂にはドイツ政府ぐるみが疑われ始めた途端に、引責辞任。

その時その時で態度をころころ変えて、会社の存続のためではなく、自分一人の保身に奔走。
分かりやすすぎます。




それよりも何よりも、疑惑を払拭するために放った台詞が、信じられません。
彼に言わせれば、これは一部のエンジニアが独断でやったことであり、そのせいでVWコンツェルン全体(フォルクスヴァーゲン、アウディ、ベントレー、ブガッティ、シュコダ、ランボルギーニ、セアト、ポルシェ)が危機に瀕したと。



んなわきゃねーだろ!!

世界を股に掛ける超巨大企業ともあろうものが、たった数人のエンジニアの勝手など、決して通るはずがないし、仮に通ったとしてもすぐに屋台骨が揺らぐわけがない。
そうならないように、それこそ何重にもチェック体制が敷かれているもの。
それが企業の常識です。

ましてや、関連企業やサプライヤーに対しては、ISO9000ISO14000などを取得させ、環境対策や品質や納期など、大変厳しいノルマとリストラを課しているのだから。
親会社それも大都市のホワイトカラーであれば、尚更自身は出来ているはず。

どう考えても、組織ぐるみでなければ不可能なことです。
だからこの事件は悪質だというのです。


仮にヴィンターコルンの発言が事実だったとするならば、それはそれで大問題です
たった数人のエンジニアの勝手を許す体質だというのだから。
しかもそれに対し、上司も管理職もCEOも販売店も、現場のディーラー整備士さえも、今まで誰一人として見抜けなかったと来れば。それも7年も。
随分と好い加減な企業風土です。

マニュアルもない、社内規則もない、チェック体制もない、監査役もいない、セキュリティもない、コンプライアンスもない、コーポレイト・ガヴァナンスもない、上意下達もない、信賞必罰もない。
当然、ヴィンターコルンの統率力もマネジメント能力もない。
監督不行き届き以外の何物でもなく、管理職としての資質を疑います。

そして肝心要のリーダーは、リーダーシップを振るって信頼回復と会社再建に努めることをせず、
 「知らない」
 「分からない」
 「関係ない」
 「そんな報告は受けていない」
 「一部の部下が勝手にやったこと」
と他人のせいにして、自分はさっさと逃げた。
5850万ユーロ(日本円にして約78億6000万円相当)もの退職金をもらって。
最後の最後まで、顧客やファンへ対する裏切りを、一言も謝らないまま。

VWコンツェルン、少なくともヴィンターコルン体制では、今までもこうやってきたのでしょう。
部下や現場や下請けといった、逆らいたくとも逆らえない弱い立場の者のせいにして、自分たちはなあなあでやり過ごしてきた。
こんな無法な企業体質と無能なリーダーの下で、よくもまあ世界一にまでなれたものです。





これと同じ風景は、以前も見た覚えがありませんか?
はい、日本マクドナルドが昨年起こした、廃棄鶏肉再利用事件を思い出させます。

サラ・L・カサノヴァCEOは、当初は一貫して疑惑を否定。
しかし疑惑が事実であることが明らかになって、ようやく重い腰を上げて記者会見したものの、出てきた言葉は
 「返金は考えていない」
 「これは現地の作業員が勝手にやったことであり、我々は悪くない。むしろ被害者だ」
 「自分も子を持つ母親であり、だからこそ食の安全を脅かすサプライヤーの勝手は許せない」
といったもの。
組織を率いるリーダーとしての謝罪の言葉は一言もなし。

【悲報】マクドナルドカサノバ社長「チキン問題のことは、忘れましょう!」 FC・幹部社員向け経営方針説明会で
 (暇人\(^o^)/速報、2015年3月8日)


あれで日本の顧客は、却って怒髪冠を衝いたものでした。
その結果、経常利益の減少と、従業員と客の双方から離れられた。
今や首の皮一枚で辛うじて繋がっているも同然であり、もはや青息吐息。


働くって、何なんでしょうね…。
上司の命令は、どんなに理不尽で非常識でも、従うしかない。自分一人の勝手で動いて良いわけがない。
組織の一員として働くというのは、そういうことだから。

逆らえば懲戒解雇。
たとえそれが正義感から来たものであったとしても、上司の言うことを聞かない従業員など、どこの会社も欲しくはない。
そして業界というものは、一介の人間が思うよりも、ずっと狭い。組織に反旗を翻した従業員の評判などあっという間に広まり、その人は業界に二度といられなくなる。
ましてや自主退職でも会社都合でもなく、懲戒解雇ともなれば。

かといって従えば、問題が発覚したときに、
 「うん、確かに、そういう命令を出したのは俺だ。でも従ったのはお前だろ? じゃあお前が悪いんじゃねえか」
と言って、責任者はその責任を一切取らない。

社 会 人 に な っ て 気 付 い た こ と
 (大艦巨砲主義!、2015年9月30日)


VWの従業員は、全員こんな思いをしながら働いているのでしょうか…。




豊田章男「VWの苦境につけ込む火事場泥棒のようなことは断じてやってはならぬ」
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2015年9月26日)



それにしても、モリゾウさんは、根っからのお坊ちゃま育ちなのですね。
普通なら、今こそ商機と捉えるものであり、現に各社この好機を逃すまいとアピールに余念がないのに。

【韓国メディア】アメリカでVWディーゼル車販売中断、韓国勢に追い風か! →【韓国車】『エンジンに欠陥』~アメリカで現代ソナタ47万台リコール
 (保守速報、2015年9月26日)
メルセデス・ベンツ、10月1日に日本でディーゼル車発売
 (乗り物速報、2015年9月29日)
テスラCEOイーロン・マスク氏、「VWのスキャンダルは化石燃料車の限界を示した」と発言
 (autoblog、2015年9月29日)


これが奥田体制だったら、何と言っていたことか。
トヨタは本当に変わりました。
やはりこの人も、今の時代・今のトヨタに、求められた人なのでしょう。


或いは社内できな臭い動きがあり、プリウス集団訴訟事件の矢面に立たせることで早々に失脚させようとした政治的意図も、古参役員たちの間ではあったといいます。
米下院公聴会ではたった一人で、陰湿で理不尽な言いがかりを寄って集って浴びせられ、四面楚歌。
それでもひたすら愚直なまでに誠実さを貫く姿には、心を打たれました。

その後のトヨタグループ総会において、
 「公聴会では一人だったが、心の中では一人ではなかった。皆さんや、まだ見ぬ世界中のトヨタファンがいてくれたから」
と言って、満場の拍手喝采を浴びながら、感極まって男泣き。
思わずこちらまで、こみ上げてくるものがありました。

アメリカ人 「政府と国民は必死にトヨタ車の悪いところ探したが何も見つからなかった」
 (乗り物速報、2015年9月26日)


確かに、お坊ちゃま育ちです。
しかし、真のリーダーです。

  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ( ´・ω・) < モリゾウさんの爪の垢を煎じたお茶ドゾー
 ( つ旦O   \_______________
 と_)_)


各方面では穿った見方が多いし、そう受け取られるのも仕方のないことですが、個人的にはこの一言で益々好感度が上がりました。
こういうリーダーの下で仕事をしたいものです。
Posted at 2015/09/29 13:17:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治、経済(自動車関連) | クルマ
2015年09月22日 イイね!

排ガス不正に手を染めたVW

排ガス不正に手を染めたVW独フォルクスワーゲンが米の排気ガス検査で不正行為 制裁金2兆1600億円
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2015年9月19日)

独VWと傘下Audiのディーゼル車が違法ソフトを使い排ガス規制クリアするインチキをやらかす
(サイ速、2015年9月20日)

フォルクスワーゲン、違法に排ガス規制クリア 制裁金最大2兆円超
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年9月20日)
独フォルクスワーゲンが-13%の下落 排ガス規制逃れで
(同、2015年9月21日)

独フォルクスワーゲン、排ガス規制の不正回避で謝罪 米国内で一部車の販売を停止、外部調査を委託
(乗り物速報、2015年9月22日)
ワイ「ドイツ車はクソ!」 ドイツ人「Japさ」
(同、同日)





フォルクスヴァーゲンと、その傘下のアウディの造っているディーゼルエンジンが、アメリカで不正を働いていたことが明らかになりました。
2009~2015年式の車種において、コンピュータソフトウェアが、排ガス検査のときだけ基準に合うよう調整するプログラムが組まれていたとのことです。

対象となる車種は48万2000台で、制裁金は1台当たり3万7500ドルと目されます。
総計すれば最大180億ドル、日本円にして約2兆1600億円にも上ります。


いやはや、やってくれましたね。
販売台数世界一位のVWグループであり、誰もが憧れるジャーマンブランドともあろうものが。
正々堂々とした商売で得た栄光ではなく、姑息で強かな手段で登り詰めていたなんて。

勿論、基準値や検査方法は国ごとに異なっており、一概には言えません。
しかしどうりで、各社クリーンディーゼルの清廉さをアピールしておきながら、大気汚染が一向に減らないわけです。
あまりにも効果がなさすぎて、欧州の一部の国会議員からは、一度は優遇したクリーンディーゼルを再び規制すべきだという談話も出る始末。


制裁金も天文学的です。
それ以上に、仮にオーナー諸氏からの返品と集団訴訟でも起ころうものなら、更なる額を支払わなければならなくなります。
株価の大幅な下落と、それによる株主たちによる突き上げも、当然予想されます。最悪こちらも集団訴訟も。
恐らく抵抗の末に、和解に落ち着くとは思いますが。





そもそもVWが販売台数世界一の立場になったのは、中国に主軸を置いた商売によるものです。

フォルクスワーゲン、世界販売台数トップに立つ
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年4月24日)


同じジャーマンブランドであるBMWディムラー・グループも、中国や韓国とサプライヤー契約を結んで、そこから部品を調達するようになりました。
どの道車検のたびにアッセンブリー交換だから、オーバースペックを誇る品質はいらない、それよりも安くてそこそこの品質であれば構わない、と。


それら二国が裏で何をしているのか知りつつ。
時にスパイウェアやバックドアを予め仕込んで個人情報を盗み、時にアップデートと称してクラッキングソフトを送り込んでデータを破壊し、時に原材料を無断で劣悪なものに替え、時に自社ブランドを誇るどころか日本製の振りをして…。

その結果、不具合とリコールの連発と、個人情報と社外秘データの流出。
僕ら日本人は、隣国として、彼らの民族性を嫌というほど間近で見てきたから、いつかこうなるであろうことは予測していました。
それだけに、ブランドに対する崇高なイメージも失墜した、正にその矢先でした。

【zakzak】不正に中国大失速まで…VW経営危機 メルケル首相の露骨な親中路線も裏目に
 (にゅーすアルー!( `八´)/、2015年10月1日)






そうでなくとも、中国で3年前に起きた反日暴動の際に、VWとアウディの中国法人は、
 「日本人を殺せ!」
 「皆の力で日本車を中国から追い出そう!」
 「尖閣諸島は中国の領土!」
 「今、日本車から乗り換えれば、利息の割引キャンペーン!」
などと、日本人へのヘイトスピーチを連発していました。

それに対するドイツ本社も、
 「我々は、これら暴力的な問題とは距離を置くべきと考える」
と言ったきり、沈黙。
泣いて馬謖を斬ったという話は、ついぞ聞こえてきませんでした。
しかもその発言は、どこの誰が書いているとも判らない、匿名による公式ツイッター。
名のある役員でなければ、テレビや新聞や雑誌やウェブニュースといった公式の場でもない。


今にして思えば、中国政府と口裏を合わせていたのかも知れません。
中国で商売を続けさせてもらう代わりに、この件には口を挟まないよう厳命されたとか…?

日本人として怒りの感情があることも勿論否定しませんが、そういった信賞必罰をはっきりさせない体質は、全てをなあなあで済ませて組織として機能不全に陥っているのだろうなと想像します。
そこも幻滅する理由です。





持ち上げて持ち上げて持ち上げて、散々持ち上げておきながら、奈落の底へ一気に叩き落す。
しかも、よりによって、フランクフルト・モーターショー2015の開催中に。

【ビデオ】フランクフルト前夜祭「フォルクスワーゲン・グループ・ナイト」の様子を一挙紹介
 (autoblog、2015年9月17日)


トヨタ自動車に対してもそうですが、アメリカはやり方がえげつないですな。
そのくせ、身内であるGMグループには甘いのだから。

もっとも、排ガス不正は昨年には既に疑惑が生じており(検査のときと実走試験でNOx排出値が異なる)、しかしVW側は口八丁手八丁で逃げ回っていたとか。
それが当局を激怒させて、結果的にこの度の洒落にならない厳罰になったであろうことは、想像に難くありません。


ゴルフ大好きな日本の自動車評論家も、特に国沢光宏なぞは、屁理屈にすらなっていない独自の理論で以て、早速無理のある擁護をしています。

VWがアメリカで行った排気ガス規制偽装の詳細
 (Yahoo!ニュース、2015年9月20日)
VWの罰金2兆円? KYBも6200万円の罰金(20日)
 (自動車評論家 国沢光宏、2015年9月21日)
VW不正問題に見るギョウカイの姿勢(21日)
 (同、2015年9月22日)
NOxを出すのはVWのディーゼルだけか?
 (同、2015年9月22日)






それにしても、予てから不仲だったとはいえ、スズキは離反して正解でした。
そういえば、VWとの不協和音も、エンジン共同開発においてVWから環境技術を提供してもらう話が一向に進まず、なのに契約にはなかった技術供与の依頼があったことが発端であり、それを断った途端にスズキ株を敵対的買収をされかかったのが決定打でした。
世界一になるだけあって、やり方が汚いですな。

スズキ、フォルクスワーゲンとの提携解消へ
 (ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年8月30日)


おさむちゃんの嗅覚は鋭い。
本当にこの人は「昔カタギの下町の中小企業のオヤジ」なんですね。
それはグローバリズムや新自由主義経済に違和感を抱いているからであって、故におさむちゃん亡き後は、グローバリズムの名において、敵に対して自社技術を大喜びで叩き売りして会社が傾きかねないという懸念も…。
それこそシャープのように。


VW日本法人の庄司茂・前CEOが、7月31日付けで電撃的な辞任をしたのも、何かありそうだと疑います。

【新聞ウォッチ】独ワーゲン“ゴキゲンななめ”、日本法人庄司社長“更迭”か
 (Response.、2015年8月3日)


記者会見もなければ、辞任に関するコメントさえも、何もありませんでしたからねえ。
後釜もおらず、スヴェン・シュタインCOOが暫定的にCEO職を兼任するという、付け焼刃的な人事。
絶対に何かあったはずだと推測する向きが多いのは、当然のことです。

「ゴキゲン♪ワーゲン」キャンペーンが、ドイツ本社の役員たちから不評だったという話もありますが、こうもタイミングが良すぎると、どうもそれだけではなかったのではと邪推してしまいます。
要は、庄司氏はVWのディーゼル事情の裏を知っており、適正なスペックが出るまでは日本導入に反対して、それが原因で報復として懲戒解雇されたとか…?




実直なだけでは偉くはなれない。
それなりに汚いことに手を染めてきたからこそ、今の栄達がある。
それはVWに限らず、どんな企業やどんな人でも、大なり小なりあるのかも知れません。

誰しも子供の時分には「素直であれ。正直であれ。謙虚であれ。誠実であれ」と教え込まれてきたと思います。
しかし現実はそうではない。
涼しい顔で汚いことをして、見かけだけを要領良くやり過ごして、他人を裏切りいいように利用し、他人のせいにし、負けず嫌いな者だけが、結局は勝つのですね。
「お天道様が見ている」というのは、所詮は負け犬の遠吠えでしかないのかも知れません。

(さりとて、清廉潔白でありさえすればそれで良いとも言いませんが)
(斯く言う僕だって、叩けば相応に埃の出る身であることは、承知しています)


しかしあまりやりすぎると、いつかこういう手痛いしっぺ返しが来るようです。
Posted at 2015/09/22 17:16:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | 政治、経済(自動車関連) | クルマ
2015年06月01日 イイね!

ランボルギーニのSUVはイタリア製

ランボルギーニのSUVはイタリア製ランボルギーニ、ついに「ウルス」の市販化を正式発表!
(autoblog、2015年5月29日)

ランボルギーニ、高級SUV「URUS」を2018年に市場導入へ
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、同日)



予てから鳴り物入りで発表されていた、ヌォーヴァ・アウトモービリ・フェルッチオ=ランボルギーニ ウルス
それが遂に市販化決定です。
各々のブランドイメージを鮮明にするためなのか、親会社のフォルクスヴァーゲンは中々ゴーサインを出しませんでしたが、ようやく計画が動き出したようです。

軍用試作車であるチーターと、それを元にした民生仕様であるLM002以来の、ランボルギーニ製SUVです。
レヴェントンから続く、カメムシを題材とした共通デザインランゲージが、先鋭的で素直に格好良いですね。
内装も、外装に引けをとらないくらいに未来的です。


今の時代は高級クロスオーバーSUVが人気であり、各社続々と参入しています。
あまりにも売れすぎるせいか、それまで縁のなかったメーカーでさえも。

とはいえそこは、堅実な(というか、堅実を通り越してなりふり構わない)VWコンツェルン。
ウルスのためだけに車台を新たに開発するはずもなく、フォルクスヴァーゲン トゥアレグポルシェ カイエンアウディ Q7ベントレー ベンタイガ(EXP 9 Fからファルコンに、更に名称変更)と共通の、MLBプラットフォーム
まさに、一粒で五度美味しいブランド商法です。これにはトヨタ自動車も真っ青。

VW、アウディ、ランボルギーニ、ベントレー←外観変えただけで中身は一緒
 (乗り物速報、2013年8月7日)






さて、僕が一番気になったのは、その生産地。
なんでもこのウルス、イタリア生産になるそうな。


伊政府が「ウルス」の市販化を促すためランボルギーニに1億ユーロの支援を準備
(autoblog、2015年5月8日)



かねがね言っている通り、自動車とは総合産業であり、その国の持つ技術力や資本力や工業力や頭脳や労働力といった国力の結晶です。
であればこそ、自動車を自国の工場で造らないというのは、歪なのです。

企業は利潤を追求する組織であるからには、少しでも人件費の安い国で、少しでも安い部品で組み立てて、少しでもぼったくりで売りたいもの。
それが悪いとは言いませんが、そうやって海外移転が進み過ぎたことと、物作りを放棄して金融に走った(すなわち、ブルーカラーを軽んじてホワイトカラーを偏重しすぎた)結果、今の欧州の経済状況は悲惨なことになっています。
自殺者と失業者が年々増加、安価な労働力を求めて移民を受け入れたことによる軋轢と犯罪件数上昇(その中には勿論産業スパイも含まれる)、デモに端を発する暴動と略奪と破壊と放火…。

【イギリス】キャメロン首相「移民は明確に就労できる証明がない場合、6カ月で社会保障サービスの提供を打ち切る」イギリスの新措置法で社会保障目当ての移民排除の流れに
 (保守速報、2013年12月9日)
移民の大量受け入れ、ドイツのメルケル首相「他国は同じ轍を踏むな」
 (同、2014年7月30日)
【サヨク悲報】サヨク「排外デモなんて欧米では考えられない(キリッ」 →ドイツ「反移民デモに過去最多の1万8000人が参加」(画像22枚)
 (同、2015年1月7日)
【画像】フランス大行進、参加者は370万人超 「パリ解放」超え史上最高に 40人超の各国首脳も参加
 (同、2015年1月12日)
【パリの新聞社襲撃事件】揺れる欧州、移民受け入れ反発、広がる反イスラム
 (同、2015年1月13日)


そんな現状は、楽観的で享楽的をお国柄とするイタリアも、例外ではありません。
もしウルスを造るなら1憶ユーロ(現在の為替レートで約134億4000万円相当)の融資をしてやるが、その代わりイタリア生産とし、工員として300人の雇用を確保せよとの、イタリア政府直々のお達しがあったとのこと。
長いこと頓挫していたウルスの生産が、これによってようやく実現しました。


前述の、MLBプラットフォームを共有する高級クロスオーバーSUVたちは、VWが有するスロバキア共和国のブラチスラヴァ工場で造られています。
人件費の安い国で、更に正社員ではなく期間工や派遣従業員を雇い、車台を縦横に使い回し。
正直、お世辞にも高級ブランドに相応しいとは言えませんね
日本向けのベンツやBMWやアウディとて、中国製・韓国製・南アフリカ製といいます。

恐らくウルスの場合、部品の製造はブラチスラヴァ工場で行われ、最終組み立てをイタリアで行うものと思われます。
現にベンタイガもそうやって作られ、辛うじて「英国の職人が一つ一つ手作りで…」という体裁を保っています。




イタリアだけではありません。
今、欧州では、製造業を再び自国に取り戻す動きが見え始めています。

以前も書きましたが、アストン=マーティン=ラゴンダは、中国サプライヤーが原料を勝手に変えたことに激怒して契約を打ち切り、英国生産に徐々に移していくとのこと。
トヨタ自動車も、豊田章男社長が株主総会で「人件費の安い国で造れば良いと勘違いしていた」と語り、国内生産を徐々に増やしていくそう。

国内雇用に貢献するためというのは綺麗事なのでしょうし、実際にはそのほうが企業的にメリットが大きい政策が取られ始めたからなのでしょう。
少しでも状況が変われば、ポリシーもなくあっさりと掌を返すであろうことは、目に見えています。
そもそも、国内生産と口では言っても、実際には移民や海外留学生を、正社員並みの仕事をアルバイトとして低賃金でこき使う現実があります。

しかし、その国で、その国の人が造ったからこそ、ブランドイメージとは有り難がられるものなのです。


契約社員が日本郵便を提訴 「正社員と同じ仕事なのに手当がつかないのは違法」 法改正受け
 (アルファルファモザイク、2014年5月9日)



その影響なのかは分かりませんが、その欧州は、日本にも同じ態度を取るよう突き付けてきました。

EU、「日本車」に海外調達部品の制限を要求
(サイ速、2015年5月28日)


確かに、今の日本車は中国や韓国や東南アジア諸国から部品を納入して、最終組み立てだけを日本で行っています。
純然たる日本製とは言い難いですね。
欧州圏の日本車マニアにすれば、「ジャパンブランドだから買ったのに、ボンネットを開けたらMADE IN CHINAの刻印ばっかじゃねーかふざけんな!ヽ(`Д´)ノ」というところでしょう。

EUとしての真の狙いは、日本車メーカーが欧州サプライヤーともっと多くの提携をすることで、欧州製造業の雇用を確保することではないかと思われます。
恐らく、本当の意味での純日本製を、求めているのではない。

そもそもその欧州とて人の事は言えず、純欧州製は少なくなって久しいですからね。
前述の高級車ブランドは言うに及ばず、アディダスやプーマもまた西南アジアやアフリカ製ですし。




折しも欧州では、新自由主義に対する見直しから、産業の国内回帰が叫ばれています。
特に、「先進国病」と不名誉な喩えを何かとされがちで、かつての植民地からの意趣返しに苛まれているイギリスは、サッチャリズムからの脱却を模索中です。
アストンの国内生産回帰も、その一環なのかも知れません。

社会コラム 本日のお題:先進国病という病魔
 (臥竜岡)
多文化共生でめちゃくちゃになったイギリスが政策転換する
 (DARKNESS DUA、2015年5月28日)



今、円安政策やアベノミクスが進められていますが、結果が出ているとはまだ言い難いです。
現状は、輸出を担う一部の大企業と、株の運用をやっている投資家が潤っているだけであり、一般大衆には生活物資の高騰や消費税などの増税が重くのしかかっています。
数字の上だけの好景気であって、実体経済は相も変わらぬスタグフレーション。
(だからと言って安倍政権に反対というわけではないので、念の為)

自動車とは、その国の経済のバロメーターです。
ウルスに見られるように、日本もまた、一刻も早く国内製造業に活気が戻ってきて欲しいものです。
Posted at 2015/06/01 17:37:16 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治、経済(自動車関連) | ビジネス/学習

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「「車種もドンピシャな東方Projectモチーフの隠れ痛車を捕獲!」特徴的な翼のデザインをスズキ・キャラのガルウイングで再現
https://option.tokyo/2021/07/03/104493/

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
何シテル?   07/03 23:51
ご覧頂き有難うございます。 色々な方と知り合い、交流や情報交換などできたらと思います。 ヲタクです。 昔はそれなりに「広く深く」だったのですが、最近は...
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