
28日土曜日は、5月27日発表・6月12日発売の、
スズキ スペーシアカスタムを試乗してきました。
元となったスペーシア共々、実はあまり興味はなかったのですよね。
女性向け・主婦向けに特化したスペーシアを、単に目付きを悪くして黒系の色に変えただけで「男性向けだよ」と言われても…という気持ちがありまして。
そもそもミニバンやトールワゴン自体、興味の範疇外ですし。
しかし、プロフィールにも書いてある通り、予てから「人が乗れて、荷物が積めて、楽な姿勢で運転できて、何より冬でも走れる車があればなあ」と思うようになってきており、一時は買い替えを真剣に悩んだこともあります。
買い替え案は、15日の「
第2回 福島ABCCミーティング 2013」に参加したことで取り止めになりましたが、普段使いに便利なファーストカーの存在を、依然として夢想します。
そんな時に、一台しか持たないのであれば決して候補になり得なかった
軽トールワゴンが、もし二台体制するとしたら魅力的に映ります。
本命は、
本田技研工業 N BOX+・2トーンカラースタイル・G・ターボパッケージ・4WD(DBA-JF2前期型)に、キャンピングカー的な装備を満載することですが、
鈴菌感染者としてはこちらも気になる一台です。
それに、何だかんだで、新車はそれだけでわくわくしますからね。

今回お邪魔した、
スズキ自販新潟 スズキアリーナ小新です。
この辺りも随分開発が進みました。
以前は一面の田圃と、背の高い植え込みに囲まれた宅地が点在しているのみでした。それがいつの間にやら、郊外型大型店の建設ラッシュです。
この日はケーズデンキが完成間近であり、ジョーシンも鉄骨部分が建築中でした。


こちらが試乗車。
グレードは上位のTS、エンジンは直列3気筒DOHCターボ、駆動方式は4WD、外装色はクールカーキパールメタリック、タイヤサイズは165/55R15。
重量は950kg、燃料タンク容量は27L、JC08モード燃費は25.0km/L、最小回転半径は4.6m、最大トルクは95N・m/3000rpm、標準小売価格は\1,745,100(消費税5%込み\1,662,000)。
一律、型式はDBA-MK32S、変速機はインパネシフトCVT、ENE-CHARGE搭載、充電制御付きアイドリングストップ装置搭載、eco-cool搭載。
パレットSW(CBA-MK21S/DBA-MK21S)の後継車であることが、より分かりやすい外観です(実際、当初は二代目パレット&パレットSWとして開発が進められており、土壇場で名前が変わったという経緯があります)。
デザインもさることながら、渋い外装色が多用されていることで、精悍さを演出しています。かといって、スズキらしく決してやりすぎていないところが好印象。まして
次期タントカスタムの情報が出てきたばかりなだけに、余計このシンプルさに好感を持ちます。
夜になって灯火を点灯すれば、スケルトングリルも横一直線に光るそうです。乗っていると分からないし、この日は日中だったので点けられなかったのが残念w
ライムグリーンやエメラルドグリーンは最近ひっそりと設定されようになっており、元となったスペーシアにもフォレストアクアメタリックはあります。
しかしカーキとは、何とも渋くて男らしい色を設定してきました。
・スペーシアって何色が多いの?
(スズキアリーナ小新 スタッフブログ わたしのひとり言。、2013年10月4日)
長岡ナンバーなのですね。
ターボ搭載車では、燃費はクラストップだとか。
個人的には20km/Lを超えていれば充分優秀なほうであり、それ以上は気にならないのですが、メーカーとしてはそうはいかないですからね。
それに何より、こう燃料代が年々上がっていく昨今にあっては、少しでも燃費の良い車に意識が傾くのは、当然のことです。ましてそれが趣味車ではなく普段使い用であれば、尚の事。
殆どはメーカーオプションではありますが、軽のハンディキャップを補う、各種安全装置がふんだんに用意されています。
レーダーブレーキサポート、
誤発進抑制機能、
エマージェンシーストップシグナル、
ESP等…。
そこには、一昔前に染み付いた軽の「安かろう悪かろう」というネガティヴイメージは、最早ありません。そしてこれが、スペーシア&スペーシアカスタムに限らず、今の軽の常識です。
但し、競合他車にはある、後席用のサイドカーテンエアバッグが最初から設定すらないのは、マイナス要因。



内装も渋い。
黒地のファブリック、要所要所にはピアノブラックパネル、エアコン吹き出し口などにはシルバーリング。
スペーシアから色を変えただけで、うまく印象を変えています。仕上がりやイメージは、
ワゴンRスティングレー(DBA-MH34S)に近いでしょうか。
肘掛が、丁度肘の当たる部分が抉れており、前腕を預けると至って快適です。
その代わり、ピアノブラックなので、質感こそ高いものの手垢で汚れが目立ちそうです。
シートは流石に平坦であり、ホールド性とは皆無。
ですがスポーツカーではないのだし、ベンチシート的に使ったりすることを想定しているのだから、仕方ないですね。
それよりも、楽な姿勢で座れるので、体を壊しても病院まで楽に運転できそうです。

元々のスペーシア自体、家具のように収納に気を配った設計なので、こちらもそれに倣っています。
ダッシュボードは下半分が張り出しており、小物を置けるテーブル状になっています。グローブボックスの上にボックスティッシュを内蔵し、テーブル中央からテッシュを取り出せます。
更に上半分は小さく開き、下半分のグローブボックスは相当に大きく開き、インストゥルメントパネル下の足元の部分も大きく開きます。
写真では起こしたままでしたが、運転席と助手席の間にある肘掛にも、蓋付きの収納スペースがあります。
収納を増やそうとして無暗に窪みを多用するだけでなく、蓋を設けているのは、外観を損ねないので良いですね。こういうところに、細やかな気配りのできるスズキらしさを感じます。
しかし、天井といい助手席ダッシュボードといい、こんなにボックスティッシュを仕舞ってどうするんでしょうね?w

後席は中々に広いです。
ドアは天井が高いというのは今までもありましたが、心なしか左右への余裕も感じます。
Bピラーには垂直に、天井にも水平に、それぞれグリップが装備されているので、捕まればバランスを崩すこともないでしょう。
また頭上は高く、足元も低いので、子供やお年寄りにも乗り降りは楽ですね。
このTSには「
ワンアクションパワースライドドア」が装備されています。
アウタードアハンドルのスイッチを押すと、ドアが自動で開きます。閉めるときも、インナードアハンドルを閉める動作をすれば、こちらも自動で閉まります。
大きな荷物を持って手が離せないときは勿論ですが、雨で傘を開閉する合間でも、これなら便利です。
また、開放感のための大きなサイドウィンドウが仇になって眩しくなりがちですが、このTSでは「
ロールサンシェード」が装備されています。
上下引き出し式のロールカーテンであり、これなら眩しい西日から守ってくれます。
その代わり、収納はドアのドリンクホルダーくらいで、それ以外に殆どありません。
収納は前席、特に(お母さんの座る)助手席に集中しており、(子供の座る)後席は居住性重視っぽいです。

リアハッチはほぼ90°に開きます。
あまり高く上がりすぎないのは、元々のスペーシア自体が女性向けだからですかね。
身長175cmの僕には、頭がぶつかりそうですがw
荷室の広さは、まあまあこんなものかと。
それに、シートアレンジで以て荷物のサイズに対応するのは、今の軽トールワゴンの基本ですね。
それでは乗ってみます。
おやっ! ターボ付きだからというのもあるでしょうが、中々しっかり走る!
ちょっと色眼鏡で見ていたというのもありますが、正直目から鱗が落ちました。
勿論、しっかり走ると言っても、軽トールワゴンレベルでの話。
スポーツカー並みの出力など与えようものなら、重心が高く安定性の劣る車体を無理矢理振り回すことになるので、簡単に横転するであろうことは、想像に難くありません。
あくまでソフトに、滑らかに。
CMのキャッチコピーでは「エネチャージでグーン、ターボでダーン!」と、さも高出力によるスポーツ走行が味わえるかのように謳っていますが、実際には滑らかな加速感です。
平坦な都会のど真ん中を流すだけならNAでも良いでしょうが、起伏とカーブの激しい田舎の山道を快適に走るためには、ターボは必須です。
ただ、アイドリングストップとは、若干相性が悪かったのかも。
ブレーキペダルを一定の踏力で踏み続けると、完全に停まった際に車体が前のめりに揺れるわけですが、それを防いで快適に停まるため、僕は完全に停まる寸前に若干ブレーキを緩めます。
しかしこのスペーシアカスタムでそれをやると、一瞬作動しかけたアイドリングストップが、車体は完全に停まったにも関わらず再始動してしまいます。
ワゴンRスティングレーのときはならなかったのに。それとも、装置自体はマイナーチェンジしておらず、軽トールワゴンということで僕が意識的にやりすぎたからでしょうか。
ディーラーに戻ったら、「正面玄関に横付けして良いですよ」と言われたものの、規定の位置へバックで停めさせてもらいます。車庫入れの体験です。
この試乗車は「
スマートフォン連携ナビゲーション」を装備しており、シフトノブをRレンジに入れると、液晶モニタが自動的にバックカメラの画面に切り替わります。車体が大きくて目視しにくい車の場合、重宝します。

うおお、高い!Σ(゚Д゚|||)
同じディーラーに展示してあったスイフトスポーツ並みだ!
…いや、今の軽は皆こんなもんか。それだけふんだんに新技術を投入しており、しかしスペースに余裕がない分コストもかさむんでしょうね。
それに、往年の平成ABCトリオも、新車価格はこんなものでした(経験者)。

カタログとオプションカタログ、チラシをもらって帰ります。
その際、「エネチャージ試乗フェア」として、景品をもらえました。事前に情報を仕入れていなかったので、嬉しい誤算。
芳香剤や車内扇風機などありましたが、スポーツドリンクを入れて持ち運べる、これにします。
この種の車の宿命としてのデメリットは、やはり気になります。
車高が高いから、洗車はおろか、ルーフの除雪は難儀しそうです。
最低地上高も低いから、雪が積もって轍だらけになった道路は走れなさそうであり、そもそも道路まで出られませんし、帰宅後はシャシーにこびり付いた融雪剤を流水で濯ぎ落としにくい。
背が高く平面だから、常に風の吹いている川沿いや田圃の道路を走ると、横風をまともに受けて横転の危険に晒されます。
冬を考えると、やっぱりジムニーが最強なのは言うまでもありません。
軽トールワゴンとは、要は軽のミニバン。
キャラが自分のための車だとしたら、これは家族を始めとした他人のための車です。
僕が理想とする自動車像とは異なりますが、一台くらいはこんな風に楽に運転できる車・家族と共に過ごすための車があっても良いかな……そんな風に考えが変わりつつあります。
・プチバン購入動機 1位は「運転が楽な車が欲しかった」
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2013年7月5日)
・スズキ・スペーシア【開発者インタビュー】
(web CG、2013年3月28日)
・個性派ハイトワゴン「スズキ・スペーシア カスタム」発売
(同、2013年6月12日)
・「スズキ・スペーシア カスタム」を写真で紹介
(同、2013年6月13日)
・スズキ・スペーシア カスタムTS(FF/CVT)【短評】
(同、2013年7月4日)
・スズキ「スペーシアカスタム」は【6月】発表!【ターボ】でも驚異の燃費【26km/L】!
(Ethical & LifeHack、2013年5月31日)
・スズキ「スペーシアカスタム」の【カタログ画像】を公開!注目の【デザイン】も公開!
(同、同日)
・スズキ「スペーシアカスタム」カタログ公開②:【インテリア&実車】画像も!【6/12】発売!
(同、2013年6月12日)
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(同、2013年6月15日)
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(同、2013年6月13日)
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(同、2013年7月2日)
・スズキから、新型ハイトワゴン軽乗用車「スペーシア カスタム」発売!
(autoblog、2013年6月12日)
・スズキ 新型 スペーシアカスタム 試乗レポート/今井優杏 (1/3)
(オートック ワン、2013年6月24日)
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(Response.、2013年7月29日)
・スズキ スペーシアカスタム (松本英雄)【ニューモデル試乗】 : 2013/08/23
(カーセンサー.net、2013年8月23日)
・【WOT→100】 スズキ スペーシア ターボ 加速、CVT変速チェック
(YouTube、2013年3月15日)
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