三菱、日産傘下へ
(サイ速、2016年5月12日)
日産自動車が三菱自動車に出資へ 資本業務提携
(ちゃんとめ!、同日)
三菱自不正発覚の引き金・日産、三菱自を買い叩き…三菱財閥没落の隙突く、事前に計画準備か
(Business Journal、2016年5月13日)
思った通りの展開になりました。
以前も書きましたが、当初から、日産の態度には不自然さしか感じられませんでした。
あからさまに軽を片手間で済まそうとしていたのが、
掌を返して主導権を握ろうとしたり…。
三菱と共同開発しておきながら、今頃になって燃費不正に気付いたり…。
自らも責任の一旦があることを棚に上げて、被害者面して損害賠償請求をちらつかせたり…。
三菱自工の株価は一瞬で急降下して、悲観した投資家たちによる空売りが相次ぎましたが、そんな中にも拘わらず日産だけはここぞとばかりに買い占めていたり…。

まるで予め見通して準備していたかのように、全ての動きがやたらにスピーディでした。
しかし今となっては、ばらばらになっていたジグソーパズルのピースがぴたっと合うように、全てが綺麗に符合します。
成程、全ては最初から仕組まれていたのですね。
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三菱自の不正、指摘した日産への疑惑広がる…早い段階で把握か
(サイ速、2016年5月9日)
三菱も三菱です。
三菱重工業は大型豪華客船やオーストラリア海軍潜水艦などの大口受注を相次いで逃し、三菱商事と三菱東京UFJ銀行は日銀によるマイナス金利政策により、どちらも今期は赤字の見通しが大きい。
今度ばかりは助けてやれる余力はなさそうであり、しかしだからと言って、せめて形だけでも助けを求めることをせず、なぜか
益子修CEOは強気な態度を崩さなかった。
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三菱自会長「軽自動車撤退しない」 支援要請考えず
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2016年5月11日)
そしていきなりの結果発表。
このような重大な内容であるからには、普通なら事前に緊急役員会議や緊急株主総会、三菱グループであれば「
三菱金曜会」が行われて協議されるものなのに、それら本来踏まえるべき段取りを全て省略して。
益子さん、あんた三菱を売っただろ……?
カルロス・ゴーンと結託して、それもたったの2373億円で。
自動車評論家たちも怪しいです。
フォルクスヴァーゲンには屁理屈で固められた強引な擁護を繰り返しておきながら、三菱にだけはかつてのリコール隠しを掘り起こして、ねちねちねちねちと陰湿な批判を繰り返す。
今回の買収劇に対しても、ゴーンの経営手腕の巧みさだとか、トヨタグループやフォルクスヴァーゲン・コンツェルンやジェネラル・モーターズに匹敵する企業規模になるとか、センセーショナルに報じるくらい。
日産の動きを懐疑的に論じた人は、ほとんどいない。
問題のあった車種が製造・販売されていた時期に社長だった、益子CEOの責任を追及する人は、誰もいない。
巷では、安堵や期待の声が多いように見受けられます。
「GTO-R来るか!?」
「これでランエボが復活する!」
「ディアマンテ! ディアマンテ!」
「パジェロ新型来るぞ!」
「三代目パジェロミニが今度こそ!」
「ミラージュエボリューションの市販化を!」
等々…。
・三菱自動車が日産傘下に
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2016年5月12日)
・三菱自動車が日産傘下に
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、同日)
ですが僕としては、彼らのように、無邪気に喜ぶ気にはなれません。
明るい希望を抱かせる要素が、一体どこにあるというのでしょう。

確かに、外資に買収されるよりはましでしょう。
ましてや、かつて三菱と提携していた、東風汽車(中国)や
ヒョンデ・モーター(韓国)になど。
三菱のブラック企業的な社風(少なくとも傍目からはそう見える)も、監査役が全く機能していない以上、よその“血”を無理矢理入れることでしか変えられないのかも知れません。
しかし、相手は日産というのが、どうしても引っ掛かります。

日産は、「ハイブリッドもPHEVも、EV(電気自動車)が台頭するまでの繋ぎの技術にすぎない」と言ってEVに力を入れていますが、日産の目論見とは裏腹に、肝煎りだったはずの
リーフはほとんど売れていない。
今ある技術やインフラのプラスアルファで対応できるものではなく、根本から異なるものなのだから、当然なのですが。
東日本大震災以降、原子力発電所が次々と廃炉に追いやられ、電気代は下がるどころか徐々に値上がりし、対してガソリン代は値下がりの一方。日本でもアメリカでも、
エコカーからガソリン車に乗り換えるユーザーが続出。
バッテリーの蓄電能力についても、
新技術を記者会見で披露するだけで、いつまで経っても市販車に反映しないから、リーフの航続距離が一向に伸びない。
最近になって、
スカイライン(V37)、
エクストレイル(T32)、
ムラーノ、
ノートなど、ハイブリッドにも力を入れてきているのは、明らかな方針転換。
そんな日産にすれば、EV以外のエコカー技術は、喉から手が出るほど欲しいでしょう。
そこで三菱のPHEVに目を付けたとしても、何ら不思議なことではありません。
もう一つ、三菱は日本市場を見捨てているのは周知の事実ですが、東南アジアなどの新興国では根強いブランド信仰の対象となっています。
かの地では、
パジェロスポーツや
トライトンなど、スリーダイヤを纏った大型のSUVやピックアップトラックが大人気だといいます。
片や日産は、「
ダットサン」ブランドを、新興国向けの安価な小型車ブランドとして復活させたものの、苦戦中。
そんな折に、既に支持を得ている三菱の販路があれば、そこへ食い込んでいける。
今回の騒動の発端となった軽自動車についても。
外国人役員にすれば軽の存在意義など逆立ちしたって分かりっこない上、そもそも日本市場など旨味がないと見做しているから、どの道重要視していない。
それよりも、小さなサイズに纏めるという小型化技術が欲しかった。
それさえあれば、新興国向け小型車や、世界戦略A~Bセグメント車、ダウンサイジングターボエンジン、レンジエクステンダー用発動機、等々の如何様にも応用できる。
繰り返しますが、
本当に日産はホワイトナイトだったのでしょうか?
インサイダー取引ぎりぎりの疑いは本当になかったのでしょうか?

日産は日本企業ではなく、フノー(フランス)とフランス政府が筆頭株主の、外資系企業。
だから日産の意思はフノーの意思であり、フノーの意思はフランス政府の意思でもある。
そのフノーは、第二次世界大戦以前の「フノー公団」を前身とする、フランス政府による半国営企業。
そして、経営危機に陥る直前の日産以上に、労働組合が強大な権力を誇っている。即ち社員も従業員も、誰も積極的に働かない。
よって、フノー車がそれほど売れなくとも、企業として何ら経営努力をせずとも、日産株を大量に持っているというだけで、フノーとフランス政府は一生遊んで暮らせる立場にある。
そのフランス政府は、最近何かと、日本を目の敵にしているかのような行動が目に付きます。
オーストラリア海軍の潜水艦受注を巡って、三菱重工業と対立したり…。
日本のアニメに世界一寛容だったのに、掌を返して『ドラえもん』などを放送禁止にしたり…。
アングレーム国際漫画祭では、自ら課したルールを破ってでも、捏造である従軍慰安婦を漫画化した韓国を大々的に取り上げて、日本の抗議を無視して追い出したり…。
最近も、東京オリンピック実行委員会がIOCに賄賂を渡したと暴いたり…。
・日本政府、オーストラリアに最新鋭「そうりゅう型潜水艦」の全技術を公開か オーストラリアのエンジニア数百人を訓練し技術移転することを発表
(保守速報、2015年10月6日)
・オーストラリア次期潜水艦 国防軍副司令官「仏提案採用の決め手は航続力」「ミサイル防衛で日本と協力」
(大艦巨砲主義!、2016年5月11日)
・「あんなの居たんじゃ子供成長しない!」 フランスでドラえもん放送禁止に
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2016年3月3日)
・東京五輪招致で仏検察捜査 日本の銀行口座から送金か
(大艦巨砲主義!、2016年5月13日)
・フランス検察、東京五輪招致で日本から2億円超が国際陸連前会長に振り込まれたと公表
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2016年5月13日)
今回の買収劇も、フランス政府が裏で一枚噛んでいたと見做すのは、穿ちすぎでしょうか?

更には、日産は、
フノー=サムソン・モーターズ(韓国)とも、間接的ながら協業関係。
三菱の技術が、日産を介して、フランスや韓国に漏れていく可能性だって、無いとは言い切れません。

ついでに、インフィニティの本拠地を香港に置き、中国カー・オブ・ザ・イヤーを何度も受賞するなど、日産が今最も力を入れている中国市場では、大気汚染にあえぐ中国政府の指導により、今後PHEVが主流になると見込まれている。
その中国においては、中国政府主導のもと、現地企業と合弁企業を立ち上げて技術を協業しないと、製造はおろか販売さえさせてもらえない。
そして、中国合弁企業を介して特許が根こそぎ盗まれたとか、工員たちのストライキに遭って夜逃げ同然で追い出され、結果として設備も人員もノウハウも全てを中国に奪われたとか、そもそも統率すべき中国政府自身が朝令暮改で以て外資にだけ不利な法律を後付けで作るとか…。
チャイナリスクは後を絶たず、中国を撤退する企業は後を絶たない。

三菱のPHEV技術は、フランスや韓国どころか、中国にも漏れていく可能性だって、決してゼロではないのです。
これを読んでくれている皆様は、覚えているでしょうか。
アメリカで起こった、在米韓国人たちによる、
プリウス集団訴訟事件を。
あれも、濡れ衣であったと科学的に証明されたにも拘わらず、トヨタを味方してくれる者は誰一人おらず、トヨタご自慢のハイブリッド技術はNASA(アメリカ航空宇宙局)によって丸裸にされました。
その直後、それまで日本製ハイブリッドを馬鹿にして「ハイブリッドなど所詮はガラパゴス技術。これからはダウンサイジングターボとクリーンディーゼルの時代だ」と鼻を高くしていた欧州車メーカーが、一斉に真似しだしました。
三菱PHEVがトヨタハイブリッドの二の舞にならないと、誰が保証してくれるのでしょう。

今後は親会社として、日産が三菱に対して全面的に主導権を握ることでしょう。
それこそゴーン流のドラスティックな革命で。
三菱グループが助けてくれなかった以上(正確には、自工が助けを求めなかった)、三菱自工本体にすれば現時点では悪い話ではないのでしょう。
しかしその結果、三菱系のサプライヤーたちは、恐らく斬り捨てられることでしょう。
倒産する会社や、路頭に迷う期間工が、増えそうな予感。
ゴーンの従来の経営方針からいって、たとえ三菱車でも、今後は日産系サプライヤーが部品製造を請け負うことになりそうな気がします。
そして日産は、韓国に多くのサプライヤーを抱えている。
冒頭で挙げた三菱グループ各社も、相変わらず三菱自工の株主ではあるものの、筆頭株主となった日産を前にしては、借りてきた猫のようにならざるを得ない。
だから仮にゴーンによって不本意な経営をさせられたとしても、これからは物申せる立場ではなくなる。
その一方でゴーンは、日産とフノーと三菱の、仮に三つのCEOを兼任するとなれば、年収は一体幾らになるのでしょう?
ついでに、フノーと日産に続き三菱さえも救った救世主によるサクセスストーリーとして、未来永劫称えられることでしょう。
反吐が出ます。
そして、ゴーンと握手するのが、なぜ相川哲郎COOを差し置いて益子なのでしょう?
謝らせるのは相川さんに任せて、その間自分は雲隠れしておいて、こんな時だけ出てきて満面の笑顔で握手ですか。
心なしか心底嬉しそうな笑顔をしているのも、事の重大さを分かっているのかと問い詰めたくなります。
燃費不正のあった車は、あんたが社長だった時期に造られた車でもあるんだぜ……?