前々回の日記の続きです。
新潟東方祭10の後は、2月4日に日本導入された、
アルファ=ロメオ・アウトモビレ ジュリエッタの試乗に行きました。
折角新潟まで行くんだからと、当初からのもう一つの目的でした。
実はアルファ自体はあまり興味はなかったのですが、近年痛車でアルファが増えているような気がしているのと、手頃な値段・手頃なサイズ・気軽に楽しめるスポーツセダンという事で気になっていたのと、
デュアルクラッチシステム・
アルファTCTを体験してみたかったというのが理由です。
スポーツセダン・5ドアハッチバック・FF・AT・
Cセグメント・1.5L前後の排気量。
日本車でいうと、
トヨタ自動車 ブレイド(DBA-AZE156H)、
マツダ アクセラ・スポーツ15S/C(DBA-BL5FW)、
三菱自動車工業 ギャランフォルティス・スポーツバック(DBA-CX6A-LTXX)、
スバル インプレッサ・スポーツ1.6i/1.6i-L(DBA-GP2)辺りがイメージとして近いでしょうか。
アルファロメオ新潟には試乗車が2台ありますが、今回僕が試乗したのは、標準jグレードの「スプリント」です。
外装色は289アルファレッド、内装色はレッド、右ハンドル、変速機はアルファTCT、型式はABA-94014。
まずは外観。
欧州車だけあって、美しいですね。
日本車・ドイツ車なら機能優先、アメ車ならデザイン優先といった感じですが、欧州車は質感優先でしょうか。ましてイタリアやフランスは芸術の都なだけに、そんなお国柄が車のデザインにも表れています。
只、本国仕様では迷うくらい色数が豊富なのに、日本仕様では選択肢が少ないのが残念。
逆三角形の盾形フロントグリルからプレスラインが発し、Aピラー根元まで一直線に繋がる、いわゆる「
Vライン」。
日本車はモデルチェンジの度にフェイスリフトしてばかりですが、外車はフロントマスクを共通アイコンとしており、世代交代しようと違う車種だろうと、一見しただけでどこのメーカーなのか誰にでも判りやすいです。BMWならキドニーグリルと丸型四灯ヘッドランプ、アウディならシングルフレームグリルとフォグランプベゼルの水平スリット、ダァヂなら四分割グリルと角型ヘッドランプ、キャディラックならエッグプレートグリル、ジープなら縦7本スリット、そしてこのアルファ、等々…。
ブランドイメージとはそんな積み重ねから始まるものですが、近年では日本車でもマツダやレクサスがそれを実践するようになりました。
歴代スカイラインGT-R(車名が「GT-R」のみになった
DBA-R35型含む)も、丸型四灯テールランプがハコスカからの伝統となっていますね。三菱にも「ジェットファイターグリル」がありますが、
ランサーエボリューションⅩ始め一部にしか施されていませんし、外車のように果たして未来永劫継承するのか。
リアドアハンドルをCピラーに埋め込んだことでリアドアの存在を意識させず、一見して3ドアハッチバッククーペに見えます。第一印象は「大柄の
Mi.To」です。
又それにより、側面を前から後ろへ流れるプレスラインが際立ち、光の当たり加減によって様々に表情を変えます。演出がさり気無い割に効果は絶大です。
個性的且つ優美なデザインなんだけど、かと言って灰汁が強いという訳でもなく、しかし機能性も考えられている。
内外装の艶の加減やプレスラインの一本一本に至るまで、高級感があります。
続いて各部のチェック。
前席に乗り込みますが……サイドシルがぶ厚い! 地上からシートまでが遠い! 大股を開いてサイドシルを跨ぎ、「乗り込む」というより「跳び移る」感覚でないと、まともに乗り込めません。
シートもかなり大きく、肩や頭の然るべきフィッティング部位まで届きません。サイドシルと併せて、日本人には大きいです。
シート位置を調整しても、ボンネットの先端も見えづらい。まあそんな事を言ったら、AZ-1&キャラも同じなので、これは慣れの問題でしょうか。
着座位置は中々に低く、スポーティです。
ステアリングは大きすぎず小さすぎず、インナードアハンドルの肘掛も丁度良い高さと位置にある。ストレス無く快適です。
インパネも中々に個性的且つ格好良いデザインで、デザインだけでなく質感も上質。
メーターも、クロノグラフみたいなデザインであり、ゼロ指針が全て真下を向くのもスポーティ。
大事な機能性も、見た目に反してスイッチ類は意外にスタンダードな配置をされており、ドアポケットもあり、実用性も考えられています。どんなにデザインが良くとも、使い勝手が悪ければストレスになりますからね。
普通ならセンターコンソールが盛り上がって小物入れの蓋を兼ねた肘掛となっているところですが、ジュリエッタの場合運転席シート側面に可倒式の肘掛が直接付いており、まるで応接室の椅子みたいです。その分低いセンターコンソールには、縦に並んだカップホルダーが二つ。
リアドアは、緩やかにカーブを描く後端のデザインが美しいですね。
後席は、流石にヘッドクリアランスはあまりありませんが、それでも大人二人が乗っても充分な広さです。
エアコン吹き出し口がセンターコンソール後端にあるんですね。
リアハッチは、アルファのエンブレムを押すと電子制御でロックが解除され、後は手で開けます。
ハッチ自体は軽く女性でも開けられそうであり、中も充分な広さがあります。加倒式リアシートを倒せば更に多く積めます。
家族で乗れる実用車でもあります。
では発進。
っと、いきなりブレーキが利きすぎる!
「遊び」がないせいで、殆どペダルに足を乗せただけで止まります。急停車の原因となり、微調整が難しい。
そうでなくたって、自分以外の車、新車、それも外車なので、緊張します。
まずは普通に国道を流します。
中々の乗り心地。低中速の加速も良く、車体の揺れもなく、ロードノイズもなく、エンジンは静か。ノーズ先端の見切りが良くないですが、まあまあ慣れれば問題ないでしょうか。
デュアルクラッチという事で、普通のATにありがちな変速の際に発する振動も感じられないのが良いですね。
相変わらずブレーキはさほど踏んでもいないのに利きすぎるし、ウインカーレバーとワイパーレバーが日本車とは逆なので何度も間違えます。
次は緩やかなカーブのある直線道路を、高速で飛ばします。
アルファ・ロメオD.N.A.を
D(ダイナミック)モードに切り替え。
走り始めは力がなくもっさりしています……が、一旦中高速に入ってしまえば、凄まじい加速です! 体がシートに押し付けられ、ぐんぐん他の車を追い越し、それこそ一瞬で100km/hまで到達します! 街乗りとは打って変わり、エンジン音も腹に響くような重低音に! これは凄い。
キャラクターの豹変っぷりが楽しいです。
でありながら、カーブでは車体がふらつく事もなく終始安定しており、ステアリングを小刻みに回してみてもFFにもかかわらず安定しており、エンジンが必死そうな唸り声を上げている様子もなく、風切り音もなく静かで、恐怖感があるどころかむしろ安心してアクセルを踏めます。
スポーツカー最高!
最後は住宅密集地。道幅は狭く、十字路・丁字路・一時停止・自転車・歩行者だらけの路地を縫うように進みます。
国際基準では小さい部類であるCセグメントでも、日本においては3ナンバー。まして僕は大体いつも軽しか乗らず、3ナンバーなんてこんな時にしか乗る機会はありません。
にもかかわらず、思いの外小回りが利き、3ナンバーの車格を殆ど意識せずに取り回しできます。ノーズの見切りの悪さや利きすぎるブレーキにも、少しは慣れてきたでしょうか。
先ほどDモードを体験したばかりなだけに、
N(ノーマル)モードにおけるキャラクターの違いも鮮明に。エンジンは静かになり、低中速中心のトルク、パワーステアリングなのでステアリングを回す感触は軽く、相変わらず安定した足回り。
日常使用ではこちらのほうが主でしょうから、ストレスなく至って快適です。
新潟は都会であり、道路にヴァリエーションがあるお陰で、色々な状況での試乗ができました。只でさえ一度きりの試乗なのに、普通に街中を流しただけでは何も判りませんからね。
同乗した販売員のKK氏がそういうセッティングをしてくれたお陰です。
大満足です。
ジュリエッタには、最上級グレードとして、「クワドリフォリオ・ヴェルデ」もあります。
1368ccである他二つのグレードに対しあちらは1742ccであり(どちらも直4DOHC)、変速機も6MTのみという硬派仕様です。専用18インチアルミホイールは扇風機の羽の形をしており、フロントバンパースポイラーから入ってきた空気を強制的に排出し、そうやって発生させた気流でブレーキを冷やしつつ、シャシの気圧を下げてダウンフォースに一役買う仕組みです。
レクサス IS Fのオプションホイールと同じですね。
でも日本で普通に乗る分には、標準グレードであるこの「スプリント」で充分だと感じました。
ジュリエッタはまだ小さい方ですが、あまり大サイズ・大排気量・大馬力でも逆に取り回ししづらいし、スペックの無駄遣いだし、何より税金が高い。
それよりも日本では2リットル以内の排気量でターボを付けた方が現実的であり、最近の日本向け欧州車ではそれが普及しています(ベンツとかBMWとかアウディとか)。
実用性も兼ね備えた大人のスポーツセダンであり、特に他人とは違うものに価値を見出す人にとって、魅力的な車です。