家電業界の落ち込みは「キーワード主義」と「行き過ぎたコンプライアンス主義」の問題
(ピカピカニュース2ch、2012年11月23日)
昨夜、NHKの『情報LIVE ただイマ!』を、何気なくだらだら視聴していました。
特集は、「
進化するスーパー家電」です。
そしたら、瀧本哲史コメンテーター(京都大学客員准教授)の言葉に、思わず反応してしまいました。曰く、「最近の家電は、モデルチェンジの度に機能を次々と付け足している。しかもモデルチェンジのスパンが、日本の場合は短い」。
番組中でも言われていたのは、「最近家電が売れないと言われているが、そんな中でもなぜか売れているのは、機能を絞ったシンプルなもの」とのことです。
どんなに最新機能を豊富に取り揃えても、実際に使う機会はほとんどなく、むしろ分かりにくいばかりか値段も高くなったとして敬遠される傾向にある。メーカーは善かれと思ってしたことであったとしても、消費者は案外そこまで求めてはいない。
昭和の時代に回帰しているのですね。
実際僕もそれは常々感じていました。
1980年代のラジカセが徐々に大型化していき多機能化していき、WカセットとCDは当たり前としてハイテクの塊になり、もはや片手で持ち運べないほど大きく重くなり、どころか価格自体がそのせいで高額になり、素人が普通に使う分にはもて余す機能ばかりで、逆に不便になっていった。
その結果、よりシンプルでより小さなiPodと専用スピーカーに取って代わられ、ラジカセは今や完全に廃れてしまった。
一例としてラジカセを挙げましたが、これはあらゆる家電で起こっている現象かと。
なのにメーカー上層部は、それが根本から理解できておらず、未だに頓珍漢な商品を造りたがる。
・パナソニック、除菌&美肌効果ある「ナノイー」搭載テレビ発売へ
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2012年6月1日)
・シャープ、テレビに「目覚まし時計」機能を搭載! 本体にベル音内蔵
(同、2012年7月10日)
・シャープ、スマホに話しかけて操作できるBDレコーダー開発…5万5000~8万5000円
(同、2012年10月30日)
・プラズマクラスター付き複合機にざわつく人たち
(togetterまとめ)
そしてそのせいで業績を悪化させた自らの責任を棚に上げ、
技術者や営業マンを膿呼ばわりして大量に解雇。無能な経営陣に振り回された挙句裏切られた現場の人々は、特に優秀な人は中韓メーカーにヘッドハンティングされ、益々日本メーカーは脅かされるという悪循環。
日本の家電業界が落ちぶれてきている理由の一つには、それもあるでしょうね。人を大切にしないから、因果応報。
こんな現象、家電だけの問題ではありませんね。
はい、自動車も同様です。
大型化や高額化や多機能化や豪華装備というのは、前モデルからのパワーアップというのが最も分かりやすいですからね。最近ではそれらに加えて、低燃費化というのも。
ましてや今の日本車は、世界戦略車としての役割も担う以上、この流れは誰にも止められないでしょう。
その結果、日本車でありながら日本の道路で乗り回すのに不便になっていき、運転にストレスを与えてしまい、車離れを助長させる要因の一つとなっていく。
最近軽自動車が売れている理由の一つは、きっと、単に維持費や燃費が安いからというだけではないはずです。
僕自身、
スズキ キャラ(E-PG6SS)を手放せない理由の一つが、正にそれです。
図らずも
オートザム AZ-1(E-PG6SA)以上の希少車になってしまったから勿体無くなったというのも勿論ありますが、機能や操作性が物凄くシンプルなので、却って扱いやすいというのもあるのです(だからといって、通勤を始めとした日常使用には全く不向きですが。ましてこんな雪国で)。
その点、欧州車メーカーは、本当に上手くやっていると思います。
安全性や乗り味を維持したまま、主流だったC~DセグメントからBセグメントにダウンサイジング。でありながら、機能は必要最少限に絞り、よって値段も相応にお値打ち価格。
最近では
フォルクスヴァーゲン up!が注目されていますが、
日本での使い勝手はともかく、ああいう車造りは本来日本メーカーが最も得意とするところだったはずなのですよね。
その意味では、
本田技研工業 N-ONE(DBA-JG1/2)は、まさにそんな、最近の欧州製Bセグメント的な発想で造られた車に思えます。
そんな中で、
トヨタ自動車 カローラなぞは、僕らにすれば興味の対象外ではありますが、あのコンセプトには注目すべき点が多いように思います。
「リタイア後のシニア世代」とターゲットを明確に絞り、機能はシンプルで、分かりやすい豪華さは一切追求しておらず、日本で取り回ししやすく維持費もかからない5ナンバーでレギュラーガソリン駆動。
トヨタ自動車 86(ハチロク)(DBA-ZN6-A2)&
スバル BRZ(DBA-ZC6)だって、機能を絞り、純粋に走ることだけに特化し、しかし決してスペック上の速さや馬力を追求していない。かといって、分かりやすい欧州製高級GTカーの表面的な模倣になっていない。
86に至っては、日本的な美意識を記号化し、全体に散りばめています。
家電業界を他山の石とし、日本車メーカーはもっと学ぶべきではないかと思います。
日本の道路・日本の駐車場・日本人の生活様式・日本人の精神構造に適した色々な意味でシンプルな車が、主婦向けに特化したコンパクトカーや軽トールワゴンだけになるのは、男としてはちょっと物足りないですからね。
Posted at 2012/12/15 13:12:06 | |
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