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2013年03月13日 イイね!

セダンなんて退屈だ

セダンなんて退屈だかつての国民車 トヨタ「カローラ」はなぜ落ちぶれたのか
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2013年1月13日)





「セダンなんて退屈だ、と誰が言った?」とは、新型となったマツダ アテンザ(DBA-GJ)のキャッチコピー。
それは即ち、セダンは退屈で魅力がなく売れないということを、逆説的に物語っています。


昔はセダンのヒエラルキーが高かったんですよね。
メーカーにとっての旗艦車種であり、ユーザーにとっての憧れであり、オーナーにとってのステイタス。
スポーツカーやボーイズレーサー(現在のホットハッチ)で夜な夜な峠を攻める若者や、スペシャルティカーでナンパに勤しむ若者も、結婚して家庭を持てば、自ずとセダンへ乗り換えた。
メーカーとしても、売れるから、グレード展開しやすかった。廉価グレードもあれば、スポーティグレードもあり、高級グレードもあり…。

それがいつしか、次第にミニバンに取って代わられ、今ではコンパクトカーや軽自動車やクロスオーバーSUVに取って代わられました。
僅かに生き残ったものも、世界戦略車としての側面も担うことになった以上、日本車でありながら日本で取り回しのしづらいサイズにまで肥大化してしまいました。それが益々「日本人のセダン離れ」を誘発する。

今見掛けるセダンというと、トヨタ自動車 クラウンや同社のレクサスブランドや日産自動車 シーマなどの高級車か、プリウスやインサイトなどのセダン派生のハイブリッドカーか、欧州車が殆どです。


カローラだけでなく、セダンそのものが凋落してきているんですよね。
最近の日産は、ラティオ(DBA-N17)シルフィ(DBA-TB17)など退屈なセダンを粗製濫造しており、これもセダン凋落の一因です。

セダンの主な市場は、今や欧米に移っているようです。アメリカン・ホンダ・モーター シヴィック同 シティなど、日本メーカーの海外専売車種には、日本には見られないセダンのラインナップが多いです。
国内で安定した需要が見込めるのは、法人関係と、定年退職したシニア世代と、VIPカーへ改造する素材くらいです。




カローラは良い車です。
車に趣味性や思想を求めないのなら、無難で、堅実で、安く、壊れにくく、質感も程良く、燃費も良好で、人も荷物も積め、極端な高級感がない代わりに貧乏臭さもない。
各社、世界戦略車としてモデルチェンジの度に肥大化していく中にあって、カローラだけは日本の道路事情や日本人に適した5ナンバーサイズを、現行に至るまで堅持しているのも好印象。
国民車として長い歴史を持つだけあります。

ただ、ビッグネームには、往々にして黒い面も付き物。
今はどうだか知りませんが、一時期のトヨタ社内では、カローラ担当は出世コースだったので、皆こぞってカローラの開発をやりたがったとか。
それこそが、カローラの凋落に繋がっていったんでしょうね。車に夢や情熱を抱く人ではなく、出世の道具としか見なさない人が上に立っていたのですから。何しろ開発部門の中には普通免許すら取得していない人さえいるといいます(いえ、社会人である以上、理想だけでは仕事になるどころか、むしろ足枷にしかならないのは無理からぬことですが)。
だからランクスだのスパシオだのルミオンだのとやたら派生車種ばかり増えていき、その割に印象に残るどころか短命に終わり、益々官僚主義的な組織を象徴する車としての印象が植え付けられてしまった。

他、カリーナカムリビスタアリオンなど、似たような車を次から次へと量産して、トヨタセダン同士で共食いになったのも、カローラにすればとんだとばっちりでした。




今、新型アテンザが売れているのは、欧州車みたいなデザインや質感や走りやプレミアム性があるからと言われています。
その割に、欧州車の単なる猿真似になっておらず、日本的な美意識で纏め上げられているのが、却って良いとも。

マツダ「アテンザ」:【欧州車User】取り込み【目標の7倍】受注! → 増産へ
 (Ethical & LifeHack、2013年1月26日)
「セダンなんて退屈だ、と誰がいった?」と新型アテンザがカタログで挑発してるそのワケは!?
 (clicccar、2013年1月31日)
【マツダ アテンザ 試乗】こだわりと割り切りが生んだ強い個性…井元康一郎
 (Response.、2013年1月31日)


マツダは「日本のBMW」だけあって、昔からそうですね。セダンだからといって退屈な車にはしない。
このアテンザも、低燃費やクリーンディーゼルやエコカー減税といったメリットがあるにも係わらず、敢えてそれらを売りにしていません。
その上、幾ら欧米で一定の需要があるからといって、日本向けにも6MTを設定するなんて、今時貴重です。

現時点で最後のロータリーエンジン搭載車であるRX-8(ABA-SE3P)も、エンジンの質感や乗り味はRX-7に比べて随分優しいと言われますが、セダンという特性に合わせてキャラクターを変えてきたのでしょうか。
サイドヴューも、観音開きリアドアにしたことで、一見してクーペにしか見えないという、中々面白いスタイリング。
FRで、6MTもあるのが、この車のキャラクターを雄弁に物語っています。



 走りのセダン - Driving Pleasure - / BUBBLE-B feat. Enjo-G
 (YouTube、2009年9月13日)


知名度も人気も高いセダンというと、スバル インプレッサや、三菱自動車工業 ランサーエボリューションでしょうか。WRCはじめ世界のレースで活躍し、有名です。
これらはセダンというより、セダンの形をしたスポーツカーと言ったほうが、より相応しいかも知れませんね。


当のカローラだって、アクシオ“GT”・TRDターボ(DBA-NZE141-AEMNK(G))は、アルテッツァ亡き後のライトウェイトスポーツセダンとして貴重です。それでもカローラベースだから、結局は「可もなく不可もなく」ですが、でもその分オーナーが自分好みに手を加えられる余地があります。
モデルチェンジした現行モデル(DBA-NZE161/160)は、カローラ本来の姿に立ち返った、良い意味で質素でシンプルなセダンです。

個人的な好みなら、トヨタセダンなら、レクサス IS F(DBA-USE20-FEZRH)、或いは5月16日発売予定の新型ISシリーズのFスポーツグレードが気になります。
こちらも今時貴重なFR。
レクサスは主な市場を欧米に据えていますが、その欧米は道路が日本に比べて長大なので、必然的に走行性能を高めざるを得ない。だから完全国内向けとは違う思想で造られるんですよね。
退屈ではないセダンが生まれる土壌です。


その海外では。

純粋なスポーツセダンとして、最近、シェヴォーレイ SSが発表されました。
デザインは格好良く、FRで、スポーティモデルらしい荒々しさがあります。変速機はパドルシフト付き6ATしかないのが残念ですが、今時のスポーツモデルらしいですね。
何より注目は、前後重量配分がほぼ50:50という、何とも理想的な数値!

これは凄い。デザインやスペックや質感だけではない、本気を感じます。

この度のジュネーヴショーで発表された、アストン=マーティン・ラゴンダ ラピード・Sも中々。
こちらはSSとは異なり、快活さよりは落ち着きや上質さが優先されています。




退屈ではないセダンというと、高級車や輸入車などの、一部でした。
それをアテンザが塗り替えていくのでしょうか。もう暫く見守る楽しみが出来ました。
Posted at 2013/03/13 13:30:13 | コメント(3) | トラックバック(4) | セダン | クルマ

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