走りのセダン - Driving Pleasure -
(BUBBLE-B feat. Enjo-G、2012年)
セダンと言うと、おじさん車というイメージが一般的かと思われます。
確かに、或る程度の年齢を過ぎれば、ゆったり運転できて、人数や荷物がそこそこ乗れて、世間体としても無難な、セダンを求めるのが心情だと思います。
しかし、安定且つ余裕ある乗り心地を求められるが故に、大排気量であったり、馬力があったり、車体剛性が高かったり、
FRであったりと、スポーツカー的な方法論で造られているのもまた事実かと。
それ故昔から、様々なレースに出場したり、チューニングカーやドリフトカーの素材としても活躍してきました。
有名処では、
インプ(独立した
WRX含む)・
ランエボの二大巨頭ですね。
アテンザも、カペラからスポーティイメージを付加して成功しているのは、ご承知の通り。
最近では、尚の事スポーティイメージを持たせたセダンが復権してきたようです。
それは高速で走らせる機会の多い欧米市場からの要望という側面もあるでしょうが、ミニバンと軽と欧州車に市場を奪われてセダンの売り上げが低迷している昨今、市場を奪還するために若返りを図りたいという思惑もあるのではないでしょうか。
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セダンが日本で全く売れない アメリカで毎年40万台売り上げるセダン、日本では年間6000台しか売れず
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2014年9月8日)
トヨタ、マークX限定車”GRMN”を発表! 6速MT搭載 540万円
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2014年12月19日)
トヨタ、マークX"GRMN"を100台限定発売。同時に、マークX G'sに外板色を追加
(autoblog、同日)
サーキットでも走れる特別版の「マークX GRMN」 トヨタが100台限定で来年3月から受注
(乗り物速報、2014年12月20日)
今のトヨタは、攻めますねえ。
3.5リットルV型6気筒エンジンを搭載するマークXには、既に“
G's”なるスポーツコンヴァージョンモデルがありましたが、更なる本格派が投入されました。
現行型にマイナーチェンジされる以前から試作車両だけはあったものの、ようやく市販化の目途が立った模様です。
マークⅡ時代からスポーティイメージのあった高級セダンであり、だから他車種よりもこういったスポーツモデルは似合います。
G'sはあくまでもファインチューンでしたが、今回は本格的です。
カーボンパーツを多用して軽量化しつつも、かと言って無暗に多用するのではなく、市販品としてコストとの兼ね合いから置換する部位を厳選。
トランスミッションも、純正にはない6MTに、完全に変更。
通常グレードとG'sに追加設定された
黄色(アウェイクンイエロー)からして、或いは
BMW M3を仮想敵として開発したのでしょうか。
しかし個人的には、往年の、チェイサー・ツアラーVのイメージが重なります。
レクサスの営業企画部門トップが、V10エンジン搭載のスーパー・サルーン「GS F」を計画中!
(autoblog、2012年3月26日)
レクサス、新型高性能セダン「GS F」の画像と概要を公開
(同、2015年1月7日)
【北米国際自動車ショー2015】レクサス、"F"シリーズ最新モデル『GS F』をワールドプレミア
(同、2015年1月15日)
最高出力は500馬力超えに? 新型 レクサスGS Fのスパイショット
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2014年10月6日)
【画像】レクサスが新型車のティザー画像を公開!! GS Fが1月にもお披露目される!?
(同、2014年12月19日)
レクサス、2015年後半発売予定の「GS F」を世界初公開
(Car Watch、2015年1月14日)
レクサスブランドでも、トヨタは攻めます。
むしろ、「走りのセダン」を求めるのは、主に海外の富裕層に多いみたいですね。高級路線の車にこそ、特に多く見掛けます。
IS F亡き後、上位車種としての復活が着々と進められています。
先代のベースとなっていた
IS自体が、
アルテッツァの後継車種。片や新型のベースである
GSは、
アリスト後継。どちらも生まれながらの「走りのセダン」。
だからレクサスのスポーツグレード“F”を宛がわれるのに相応しい。
閑話休題。
1980年代に勃興した日本車メーカーによる世界戦略ブランドは、欧州車の猿真似ばかりで、苦戦続きでした。
そんな中にあってレクサスは、当初こそ冷ややかに見られていた向きもあったものの、「互いが譲り合う調和の心」「気配り」「おもてなし」「障子戸や襖の建付け」「茶室へ入る緊張感」などといった日本らしさによる車造りで、高い評価を得ることが出来ました。
並み居るライバルたちが「漆塗り」「七宝焼き」「金粉」「畳」などといった表層的な日本らしさに終始していただけに、心の在り様を表現したレクサスの方法論は斬新でした。と同時に、海外が求めていた真の日本車らしさとは、どんなものだったのかも判明しました。
その精神は今も受け継がれており、レクサスのスポーティモデルに宛がわれる“F”とは、即ち
富士スピードウェイを意味します。
普通なら“ニュルブルクリンク・パッケージ”だのといった名称にしそうなところですが、単なる一グレードの名称にさえも、日本らしさを打ち出しています。
それがレクサス。
GT-Rのセダン版「インフィニティ Q50 オールージュ」市販化計画は中止か
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年1月1日)
トヨタがこれだけ攻めているにも拘わらず、最大のライバルであった筈の日産は…。
インフィニティ Q50(日本名:
V37型スカイライン)自体は、「技術の日産」としての矜持を棄て、効率やコストを優先した結果、
ダイムラー製グローバルエンジンを搭載(ダウンサイジングターボとディーゼル)。
揚句の果てには、エンブレムの交換さえも面倒臭がり、インフィニティバッジを付けたまま日本販売。それを「世界で評価されているグローバル・カーだから」と言って正当化。
あからさますぎるやる気の無さに、二の句が継げません。
スカイラインとは、
プリンス自動車工業時代から続く由緒正しい車であり、日産を代表する一車種であり、「走りのセダン」の代名詞。
それが、機械として車としての完成度はともかく、もはや理念など感じられません。
ハイパフォーマンスモデルにしてもそう。
或る意味
スカイライン・GT-Rの再来とも言えるこの
Q50オールージュも、結局は市販化はお蔵入りですか。
売れなくとも刺激的でイメージリーダーとなりえる車を造ることよりも、いかにして楽に資金を回収するかといったことしか、今の日産は考えていないのでしょうね。
短期的にはそれで良くても、その先に待っているものは何でしょう……。
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効率化と収益化を極大化させ、自滅していくマクドナルド
(DARKNESS、2015年1月15日)
血族経営だの経営者一族だのというとネガティヴなイメージですが、
モリゾウさんや
おさむちゃんの場合は良い方向に作用しているようです。
片や日産は、外部から連れてきただけに、思い入れも何もなさそうです。
それ故大鉈を振るうことが出来たのは事実ですが、倒産の危機から立ち直った今となっては、副作用によって内側から蝕まれているようにしか見えません。
自身のセダン・ユーザーを裏切り続けたHonda 復権はあるか
(ニンジャ速報、2014年2月9日)
日産だけではありません。ホンダもです。
高級スポーティセダンというイメージだった
アコードは、今や
ハイブリッドとPHVのみになりました。車の持つイメージとしても、高級且つ先進的ではあっても、スポーティさは感じられません。
シビックも欧州専売車種となってしまいましたし、グレイスはセダンのスタンダードとして手堅く纏まっているものの、今のホンダには「走りのセダン」と呼べる車が見当たらない状態です。
頼むよホンダ!
Posted at 2015/01/14 23:01:27 | |
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