またまた前回の日記の続きです。
本田技研工業 N-ONEと
HOTEI×MINIコラボカーを見学したら、更に車を走らせます。
今度は、
9月25日に発表・10月5日に発売された、
スバル XV(DBA-GP7)を試乗してきました。
クロスオーバーSUVはあまり好みではなかったのですが、これは
初めて見たときから気になっていました。
このXVは中々に好評らしく、一ヶ月間の目標販売台数である1000台に対し、
4倍以上の4277台が売れたそうです。

今回お邪魔した、
新潟スバル自動車株式会社 本社・黒崎店です。
Honda Cars 新潟 新潟店にいたときは肌を刺すような冷たい強風だったのが、
ミニ新潟では雨交じりになり、遂には豪雨です。強風との相乗効果で尚寒く冷たい。
ナンテコッタイ


試乗車は、グレードは2.0i-L EyeSight、外装色は専用のタンジェリンオレンジ・パール、メーカーオプションであるルーフレール装着、
EyeSight(ver.2)搭載。
全車、エンジンは
フォレスターと共用の水平対抗4気筒DOHC「
FB20」、自然吸気NA、排気量1995cc、レギュラーガソリン駆動、駆動方式はAWD、乾燥重量1665kg、変速機はパドルシフト付きCVT「
リニアトロニック」、燃費は15.8km/L、アイドリングストップ機能搭載。
インプレッサから派生した(
WRX STIもそうですね)、5ドアハッチバックとクロスオーバーSUVの中間とも言えるサイズ。
フロントマスクも、スバル共通アイコンで構成されています。
ホークアイヘッドランプ、スプレッドウィング、ヘキサゴングリル…。後方も、リアウィンドウやナンバープレート周辺がヘキサゴングリル風に、テールランプもホークアイヘッドランプ風に、それぞれ造形されて統一感があります。
直接的にはインプの名前こそ冠していないものの、型式が共通なので実質的にインプファミリーの一員であり、
インプレッサ・スポーツ(DBA-GP2/3/6/7)の車体をそのままに最低地上高だけを上げたようなスタイリングが特徴です。言うなれば、インプを素材にしたバギーでしょうか。ホイールアーチ上端の弧だけが黒くなっている辺り、目の錯覚を誘い更に腰高に見えるよう、明らかに意図されています。
よってそれなりに高さがあるはずなのに、車高は低くボディも薄く見え、スタイリッシュで中々格好良いです。
橙色がプロダクトイメージカラーというのも、快活で個性的です。実際、
デザインは、高級感よりカジュアル感を重視したとのことです。
17インチアルミホイールのデザインも他に類を見ないものであり、停車中と走行中では全く違う印象を与えるのだとか。これでオプションではなく純正というのが、また良いですね。
スポーツカーを思わせる薄い車体、高めの最低地上高、バギーのようなクロスオーバーSUVのような独特のスタイリング、装飾としてのルーフレール、ボディ下端やホイールアーチに沿ったツートーンカラー…。
インプレッサ・グラベルEX(エックス)や、
バハを思わせます。


内装は黒を基調とし、中々にシンプルでスポーティ。
だだっ広い感じもなく、適度な狭さが心地良い。
クロスオーバーSUVなので、低いのに慣れきった僕は気構えをして乗り込みましたが、意外にすんなり乗り込めます。
そして特に何もせずとも、ドライビングポジションがぴたりと合います。ステアリングホイールやシフトレバーやドアアームレストが適度な場所にあり、適度な大きさ。
シートは若干大きいものの、適度なウレタンの硬さと適度なホールド感。
腰や膝や肘が直角に近くなることもなく、座った角度は若干斜めになり、スポーツカーみたいです。
豪華という意味の快適ではなく、ストレスなく運転できそうという意味での快適です。

メーターは青味がかった大きなニ眼式。大きく、シンプルで、見やすいです。
ステアリング付け根の右下にはエンジンプッシュボタンがありますが、これは赤く塗っても良かったかも。
インストゥルメントパネルはなだらかに傾斜していますが、
ホンダ NSXや
日産自動車 フェアレディZ(GF-Z32)や
マツダ アクセラ(DBA-FL系)のようにダッシュボードの高さをほとんど保つせいで壁となっているものでも、
スズキ スイフトのように急な絶壁になるものでもありません。自然な傾斜で、且つ流れるようなラインで、広さを感じさせます。
写っていませんが、シフトレバー後方とセンターコンソールボックスとの間には前後に長いシャッターがあり、閉じると小物置きに、開けると縦に2個並んだカップホルダーが現れます。
銀色に光るアルミペダルも雰囲気抜群。
それでは出発。
エンジンを始動すると、計器類が全て発光しつつ、二つのメーターの針が最大まで上がります! その上で通常の状態になる。演出が良いですね!
雨の中、強風に煽られての試乗は初めてです。
にも係わらず、終始なぜだか不思議と怖い思いはせずに運転できました。程好いサイズと乗り味だからでしょうかね?
フロントウィンドウはかなり傾斜しているものの、着座位置自体が高いからか、結構見晴らしは良いです。サイドウィンドウの前部分には三角窓もあり、また三角窓を形作るピラーが細いので、見た目のグラスエリアに反し視認性はかなり良いです。
車高は高く、また強風に煽られているはずなのに、国道8号線“新新バイパス”を80km/hで巡航しても車体がふらつく感覚は皆無でした。風切り音や雨音やロードノイズは伝わってくるものの、それが不快になるほどでもありません。腰高な見た目に反し、ボクサーエンジンは低重心にも一役買っているとのことでどっしりしており、また四輪がしっかり地面を掴んでいる感覚があります。
アクセルは、トルクがあるのか、踏んだだけしっかり力を込めて加速してくれます。ブレーキも、「ペダルに軽く足を乗せただけで急制動」ということもなく、微妙な力加減にちゃんと応えてくれます。
快適は快適だけど、高級セダン的な快適さではなく、スポーツカー的な快適さです。
バイパスを降り、住宅街の中を、一時停止と発進を繰り返しながら低中速で抜けていきます。
雨ということで歩行者はいませんでしたが、視認性の良さはここで活かされます。
大柄な3ナンバー車ですが、しっかりと小回りが利きます。
アイドリングストップ機能搭載につき、赤信号などで停まるとエンジンが止まり、ブレーキから足を離すと瞬時に再始動します。今の時代、スポーツカーといえどもエコは大事です。
途中、雨合羽を着て自転車を運転する人がいましたが、流石にEyeSightは試しませんでしたw
ディーラーに戻ります。
あんまり雨風が凄いので、元の場所ではなく、やや奥まった場所に雨風を避けるためバックで停めました。
でも実際、新潟は都会であり道路にヴァリエーションが豊富なので、高速も低中速も街中も、こうして車庫入れまで体験できるのが素晴らしいですね。
サイドミラーでの後方視認には何の不都合もなかったですが、より万全を期すなら、オプションのバックカメラがあれば尚良いでしょうね。
雨でゆっくり観察できなかったので、細部をじっくり見るのは展示車で。
グレードは同じで、外装色のみクリスタルブラック・シリカ。

後席も、中々に広いです。
外から見るだけならそれなりっぽいですが、実際に座ってみると、頭上も脚の周りも意外に余裕があります。
写真は、センターアームレストを倒しています。先頭側には横に2個入れられるカップホルダーが内蔵されています。
センターアームレスト自体完全には倒れず途中で止まり、前腕が快適な曲がり具合となるであろう角度で止まり、またそれがドアアームレストと平行のラインとなります。左右の肘掛がお揃いの傾斜となるのは、快適で良いですね。

先代インプからホイールベースを伸ばしたことで後席の居住性を良くしたとのことですが、それだけでなく、リアドア自体が大きく開きます。
なので乗り降りが非常に楽です。ドアを開け、腰をずらしつつ片足をすっと車外に出せば、そのまま着地します。人間の自然な動きを阻害しない造りに、感動すら覚えました。
面白くて何度も乗り降りしてしまいましたw

リアハッチは大きく開きます。
元々傾斜の付いたデザインということもあり、ハッチの動きに合わせてこちらも体の位置を動かす必要はありません。
後席背面を倒すと、可動部で段差が生じるものの、荷室とほとんど水平になります。

XVは、
今年度のグッドデザイン賞を受賞しました(
受賞番号12GA10664)。
素直に格好良いですからね。それに個性的で、印象深く、かと言って灰汁が強く他人を寄せ付けないということもなく、見た目に反して運転はストレスなく快適で、「この車を買えば生活様式まで変わりそう」と思わせる何かがあります。

頂いたコーヒーを飲みながら、カタログと、展示車と、外の試乗車を眺める。
何とも優雅な一時w
過去日記でも書きましたが、クロスオーバーSUVにはちょっと色眼鏡がありました。
元より本格派のクロスカントリーカーやピックアップが好みだったことに加え、運転の荒い若年女性ドライバーに迷惑を被ったことも何度かあるせいです。
しかしこれは中々魅力的な車です。
XVはインプ系列だからというのもあるでしょうが、スバルは走行性能に一定の拘りのあるメーカーの一つというブランドイメージを、このクロスオーバーSUVでも体現しています。また、過激なスポーツ走行などせずとも、ストレスのない快適な運転は、それだけで楽しいです。
個人的には、
日産 X-TRAILや
トヨタ自動車 FJクルーザーみたいに、シートは防水生地にして、床や計器類を防水処理して欲しかったですね。
それこそ、水で濡れたままの水着や釣竿や、泥や雪が付いたままの自転車やスキー道具やスノーボード道具を、放り投げるようにして積み込んで、車を中心とした遊びの幅が広がるように。
それと、これも事ある毎に言っていますが、6MTを設けたスポーティグレードが欲しいですね。ましてスバルは、走りに拘りを持つ一方で割り切りが早く、真っ先にMTを切り捨てる印象が、
レガシィ(DBA-BM)で植え付けられてしまいましたので。
或いはMTが欲しかったら、インプファミリーのスポーツグレードであるWRX STIにしろということでしょうか。
水平対抗エンジンの短所である燃費の悪さも、レギュラーガソリンを使用したりアイドリングストップを搭載して克服していますが、敢えてもう一声。
欧州製高級車を中心に普及しているクリーンディーゼルエンジンを開発し、根本から変えて欲しい。
見て格好良い、走って楽しい、実用性もある、中々良い車です。