
昨日は、9月19日に発売された、
スズキ ワゴンRスティングレーの試乗をしてきました。
本田技研工業 N ONEへの意識が傾くにつれ、軽自動車におけるベンチマークであるワゴンRは現在どんな風なのか、是非体験したかったからです。
それに、僕はキャラを買わなかったら、或いはワゴンRが愛車になっていた可能性も、なきにしも非ずなのですよね。
以前から僕と付き合いのある方はご存知ですが、愛車購入に際して父から出された条件は、「スズキ製」「軽」「AT」「4WD」だったのですよね。そこで父はセルボモードやアルトや出たばかりのワゴンRを買って欲しかったらしく、カタログをどっさり持ってきたのを、今でも覚えています。
ところが僕はそんな父の期待をよそに、キャラが良いと即答。父も父で「ガルウイング? ミドシップ? 二人乗り? プラスチック製の外装? スーパーカーじゃあるまいし、そんな車がどこの世界にあるもんか」と取り合わず、しかし一応知り合いの営業マンに聴いてみたら実在した、たった一台だけ。それも試乗用なのに誰一人として興味を示さず、一台も売れなかったという。それもあって父も「一台も売れないなんて当たり前だ。まあこんな車、どうせすぐに飽きるだろう」と思ったのだそうです。
それが今では……

今回お世話になった、
スズキ新潟販売(株) スズキアリーナ村上です。

試乗車は、グレードは自然吸気NAのX、エンジンは直列3気筒DOHCのR06A型、駆動方式はFF、外装色はブルーイッシュブラックパール3、燃料タンク容量は27L、タイアサイズは155/65R14 75S、燃費は28.9km/L。
一律、変速機はインパネシフトCVT、型式はDBA-MH34S、ENE-CHARGE搭載、充電制御付きアイドリングストップ装置搭載、eco-cool搭載。
眼力が強まった、更に悪そうな顔になりました。
新型クラウンといい、やたら目付きが悪いのが最近の流行りなんですかね?w
でもその分、近年ファンシーグッズ的な扱いをされてきた軽が、僕ら男が乗っても違和感のない姿に戻って来たという感慨も、同時に沸いてきます。
ただ、先代と比べてヘッドライト形状が若干強調された以外に変化がなく、全然モデルチェンジしたように見えないのが、残念。
新型のワゴンRシリーズには、CMでも頻繁に銘打っている、「ENE-CHARGE」を全てに搭載しています。
それにより当モデルで28.9km/L、過給器付きのTグレードでも26.8km/Lです。
今の軽は燃費競争、それもコンマ何km/Lの世界ですからねえ(;・・) メーカーとしては分かりやすいセールスポイントですが、個人的には20km/Lを越えていれば充分優秀であり、それ以上細かい数値は気にならないですね。


内装。
これはまた、外装以上に男らしい…!
黒一色で纏められ、しかし同じ黒でも場所によって材質や艶や質感が変えられており、シルバー加飾が要所要所を引き締めている。インパネ計器はオレンジ発光、メーター類はアイスブルー発光で、黒一色の中に変化を与える。中々に落ち着いた、大人の装いです。こちらは確かに先代から大幅に変わりました。
でありながら、左右エアコン吹き出し口の下にはプッシュスライド式ドリンクホルダーが内蔵されていたり、欲しい場所の欲しい位置に小物入れとして使える抉れがあったりと、スズキらしい細やかな気配りが嬉しいです。
ドアも、流石に普通車とは比べるべくもありませんが、軽とは思えない重厚さがあります(まあもっとも、コンパクトカーでもドアの質感が薄っぺらい車もありますしね)。

驚いたのは、後席の広さです。
前席も広かったけど、それ以上に広い! 足元は広大、前席シートバックからも離れており、天井もかなり高い。
子供なら自由に遊べそうだし、体が不自由になりかかったお年寄りでも安心して乗り込めそうです。

荷室。
後席を後退させることで車内空間を確保しているだけに、流石にそのままでは狭いです。
背もたれを倒せば、可動部で段差が生じるものの、ほとんどフルフラットに。後席はそのままに、前席のヘッドレストを外して背もたれを倒すことも。そうすれば、寝転がって車内から花火を見たりもできますねw
では早速乗ってみます。
ENE-CHARGEの体験ということで、上位記録者には名前を掲載して表彰し、粗品を進呈しているそうですw
本当は、過給器付きのTに乗りたかったのですが……おやっ、しっかり加速してくれる!
国道では、アクセルを緩めて慣性だけで流しますが、エコドライブアシスト照明として、メーター発光がアイズブルーからグリーンに。
山の中の上り坂でも、自然吸気NAしかも軽にも係わらず、必死そうな唸り声を上げることなく、順調に加速してくれます。こんなにトルクがあるなら、過給器付きでなくとも構わないですね。
市街地や、ディーラーに戻っての車庫入れでは、いわずもがな。軽としての取り回しやすさの本領発揮です。
あんまり良すぎて、正直書くことがないぞ。
ただ、言い方を変えれば、あまりにも優等生すぎるということでしょうか。そしてその分、シティコミューターとしては優秀ですが、車として楽しいかどうかは別問題。
悪いと思った点は、オプションが極端に少なく、サイドカーテンエアバッグもなく、そういうところで単価を下げているのが察せられてしまうことでしょうか。
燃料タンクも小さくされ、そうやって軽量化を図ることで低燃費の一助としているのは明らかであり、手放しで賞賛はしにくいですね。
結果的に買いやすい値段となり、燃費も更に良くなり、それ自体は良いことなのでしょうが。
僕は燃費についての考えは前述の通りであり、燃費走行よりも日常使用における乗り味のほうが気になっていました。田舎では決して平坦な道ばかりではありませんし、国道でも流れに合わせようとすれば、燃費運転なんてできませんからね。
ですがそれでも、80ポイントを記録。燃費を一切気にせず結構アクセルを踏んだつもりだったのですが、それでも中々ですね。
ついでに、ワゴンRスティングレーの隣にあった、
MRワゴンにも試乗してみました。
ワゴンRシリーズはもはや上位車種であり、よりスタンダードな軽はどんなものか、突発的に気になりだしました。


試乗車は、グレードは自然吸気NAのG、エンジンはワゴンRと同型のR06A型、駆動方式はFF、外装色はパールホワイト、タッチパネルオーディオ装着車、燃料タンク容量は30L、タイアサイズは145/80R13 75S、燃費は23.2km/L。
一律、変速機はインパネシフトCVT、型式はDBA-MF33S、エコグレード「ECO-L」「ECO-X」にはアイドリングストップ装置搭載。
歴代モデルよりも角張り、目付きも若干悪くなり、ワゴンR同様男が乗っても格好が付くものになりました。
ワゴンRではフロントウィンドウが寝かされていましたが、こちらは「箱」感が強調されています。
往年の、東欧の軽・
フィアット 126にも似ています。


外装以上に、個性が際立つ内装です。
初めて見たときの衝撃が、実車を目の当たりにして蘇ります。タブレット型端末がそのまま付いたような、硬質で冷たく近未来的なインパネ。白物家電とそのカタログ写真のような、独特の抱擁感と清潔感のある内装。
シートも、生地がざっくりとしており、高級感よりもカジュアル感を演出しています。
小物入れが窪みとして造形されて各所にあり、痒いところに手が届く細やかな気配りは、スズキスタンダードです。
只やはり、ステアリンググリップは細くて握りづらく、メーターは速度計だけで、シフトノブは高くてオーディオ操作や小物の出し入れの邪魔となり、ドアは薄っぺらいのが、軽の弱点そのままです。
Gは下位グレードなのですが、これは上位グレードも同様です。

後席も、特に不満はなし。
流石にワゴンRスティングレーほどではないにせよ、軽なのに中々の広さ。

荷室についてはワゴンRスティングレーと同様。
背もたれを倒しても、こちらは斜面になり、平らにはなりません。
では試乗してみます。
…う~ん、やっぱり主婦車だなあ。
Gは下位グレードであり、過給器付きの最上位グレード「T」ならまた違ったのかも知れませんが…とにかく走りがもっさりしてる。
同じ自然吸気NA・同じR06Aエンジンにも係わらず、ワゴンRスティングレーはすいすい上った坂道でも、MRワゴンはアクセルを踏み込まないと中々走ってくれない。
しかも遮音材が入っていないのか、ドアを開け閉めした手応えが軽薄というのみならず、とにかくエンジン音がうるさい。
まして
最近N ONEを、つい今しがたワゴンRスティングレーを試乗しただけに、余計際立ちます。
市街地でシティコミューターとして乗る分には良いのでしょうし、実際街中では中々に快適でしたが、車を必要とするのは都心よりも地方ですからねえ。そして地方では、平坦で舗装された道路ばかりでは決してないことを考えれば…。
タッチパネルオーディオは、敢えて運転中に操作してみましたが、中々に使えます。
当初は懐疑的であり、「物理キーじゃないから、押し間違えたりしたらどうすんの」と思っていましたが、アイコンは大きいので確実な操作が可能であり、運転中でも押し間違えてしまうことはないでしょう。
これでメーターも、デジタルメーターにしてイメージを統一し、回転計もあればなあ…。

帰りは、両車のカタログを頂きました。
ワゴンRスティングレーでは、燃費記録80ポイントを出し合格点だったので、特製クオカードと発電ミニカーを頂きました。
発電ミニカーは、スティングレーではなく普通のワゴンRを模ったものです。
幾つか惜しい点は散見されたものの、軽そのもののレベルを底上げし、未だに軽のベンチマークと評されるだけあります。