一昨日は、昨年9月3日に発売された、
日産自動車 ノート・メダリスト(DBA-E12前期型)の試乗をしてきました。
基本となるノートは、車名こそノートですが、実質的には先代ノートとティーダを統合した新しい車種です。
世界戦略車ではあるものの、日本で現実的な5ナンバー枠とレギュラーガソリン駆動とし、価格を下げ、安易にハイト型にせず、一クラス上の上質感を目指し、何より奇をてらっていないのに内外装のデザインが良い。エンジンも、今流行りの「敢えて小排気量にして、その分過給器で補う」という発想の、エコ・スーパーチャージャーです。
第22回(2013年次)
RJCカー・オブ・ザ・イヤーで、
最優秀賞を受賞しました。
見るべき部分は多いし、個人的にも気になる一台ではありますが、近年の日産車の悪弊として、微妙な部分も目に付きます。
5人乗りを謳っておきながら、後席中央にヘッドレストがない(公式サイトやカタログの写真では、それを誤魔化すためなのか、殊更にリアセンターアームレストを倒しています)。価格対策なのか、今時の世界戦略車にしては、カーテンエアバッグを全車オプション設定していない。グレードによるオプションの落差が激しすぎる。コンパクトカーでありながら、14インチタイアでは最小回転半径は4.7m、オプションの15インチでは5.2m(因みに
本田技研工業 フィット(DBA-GE6~9、DAA-GP1/4)は前者は同じ、後者は4.9。
トヨタ自動車 ヴィッツ(DBA-DBA-KSP130/NSP130/NSP135/NCP131)は前者は4.5、後者は4.8と軽自動車並み)。
素性自体は良いものですが、開発を急ぎすぎたあまり、煮詰めが今一つ足りなかったのかなという気がします。

今回お邪魔した、
新潟日産自動車株式会社 村上店です。


こちらが試乗車。
ノートはもう一つ、通常グレードもありましたが、僕が試乗したのはメダリストのほう。
駆動方式はFF、変速機は一律CVT、外装色はダークメタルグレー。
直列3気筒DOHCミラーサイクルエンジン「HR12DDR」、ターボチャージャー搭載、無鉛レギュラーガソリン駆動、燃料タンク容量は41L、JC08モード燃費は24.0km/L、タイアサイズは185/70R14 88S、総重量1365kg。
車両本体価格は\1,634,000(消費税5%込み\1,715,700)、エコカー減税対象車(取得税と重量税が免税)、自動車税減税。
シンプルな中にうねりを利かせた、格好良いというより優美ですらあるデザインです。アウトサイドドアハンドルみたいな細部に至るまでも、単なる円柱ではなく一捻り加えられており、上質感を演出しています。
ドアのプレスラインは「
スカッシュライン」と名付けられ、ボールが壁や床に当たって跳ね返る軌跡をイメージしたのだとか。
現在の日産の共通意匠であるブーメラン型ランプを、前後に装備。しかし一捻り加えられており、フロントはブーメランの向きが左右逆、リアはバックウィンドウとラインが繋がっており外装のプレスラインとも連続した表面の凹凸。
無闇矢鱈と背を高くせず、むしろ低くしてあるのは、スポーティ5ドアハッチバックCセグメントが流行りの欧州市場を意識したのでしょうか。
トヨタ オーリスや
メルツェーデス=ベンツ Aクラスも、それを目指してコンセプトを一新したほどですし。
実車は思ってたより小さく低く、
トヨタ アクアを思わせます。プレーンなアクアに対し、上質で一捻り加えられたノート。


内装も、外装同様、うねりを利かせたデザインです。ひたすら丸っこいわけではなく、凹凸が激しいでもなく、奇をてらったわけでもなく、しかし従来あまりなかったデザインが不思議です。
色や質感も、インナードアハンドルはメッキ、センタークラスターはピアノブラック、その両端はシルバー加飾と、変化があって見所が多いです。
それだけに、シフトレバーやシフトゲージやセンターコンソールのデザインが普通っぽいのが、浮いています。
シートの座り心地や生地の感触も、中々。
車内空間も、ミニバンや軽トールワゴンのような驚くような広さではないものの、必要にして充分な広さです。
実用性も考えられているとはいうものの、収納スペースはセンターコンソールに集中しており、しかもそんなに入るほうではないですね。
運転席側にはステアリング真下に浅く横長の小物入れがある程度であり、むしろ助手席側のグローブボックスに集中しています。
デザイン優先という印象です。

後席も、中々。
流石にドアポケットは小さいですが、その分センターコンソールが後ろまで伸びており、縦に2個入れられるドリンクホルダーが内蔵されています。
センタートンネルが隆起しているし、軽トールワゴンほどではないものの、こちらもストレスを感じない程度の広さ。
ドアも最大約90度と結構開くので、乗り降りもしやすいです。
ドアポケットに左右各1つずつ、センターコンソールに縦2つ、センターアームレストに横2つと、後席はやたらとドリンクホルダーだらけですw
5人乗りを謳う割に、センターヘッドレストはないのが、何だかなあ…。5人乗って重くなってカタログ燃費より悪くなったというクレームが少しでも来ないよう、4人だけ乗せようと誘導しているのでしょうか。
前席SRSエアバッグが全車標準装備なのに対し、後席を守るSRSカーテンエアバッグは上級グレードのみ、しかもオプション。その分価格を抑えて買いやすくしようということなのでしょうけど。
「プレミアムなデザイン」「プレミアムなインテリア」「プレミアムな燃費」等々とやたらとプレミアムを連呼する割に、安全性は全然プレミアムじゃないのね(;- -)

荷室。
フィットやヴィッツほどではないでしょうが、こちらもまずまずの広さ。大きな荷物を積みたければ背もたれを倒せば良いですしね。
6:4可倒式リアシートや、(試乗車にはありませんでしたが)マルチラゲッジボードの様々に展開すれば更に収納スペースが現れたりと、今のコンパクトカーの定番です。
では乗ってみます。
おおっ、エンジンを始動させると、エコドライブインジケーターが全体的に青く発光しながら、針が一旦最大限振り切れるのね! 最近流行りだなあ。
地元では大荒れで、道路の雪も凄かったのですが、ここは全然雪がないので、心置きなく運転できます。天気も快晴であり、やっぱり新潟は違うなあ(´ω`)
まずは、国道を、流れに沿って流します。
駐車場から道路へ出るの際、しっかり加速して、難なく道路へ出てくれます。ターボチャージャーの恩恵でしょうか。
しかしその割に、車内は結構静かであり、挙動がふらつくこともありません。
信号毎に停まったり発車したりを繰り返しますが、ECOモードを作動していると、エコドライブインジケーターの青い発光域が、狭くなったり広くなったり。
ホンダは外周リングの色を青や緑に変えたり、スズキは文字盤の色が変わったりと、各社工夫しています。ノートの場合は青一色で統一し、しかしメーターパネルほぼ全体を発光させることで嫌でも視界に入るようにしています。
またそれが、他社のようにコントラストを強めたものではなく、グラデーションを利かせており、暗闇の中でぼんやり光っているようで綺麗です。
また、アイドリグストップ作動中でも、ちゃんとエアコンが作動してくれます。
ワゴンRで既に体験済みだったから新鮮味はありませんでしたが、こういうのは大事です。
ハイトワゴンと比べるのは酷なのは承知していますが、フロントグラスが傾斜しているだけあって、流石に視界は今一つです。
Aピラーも、三角窓を形作る縦のサブピラーも、どちらも太いので、実際に運転してみると意外に視界は狭く感じます。
安全の為には前者は太くせざるを得ないとしても、せめて後者はもう少し細くして欲しかった。
新しくできた高速道路に乗り入れます。
冬にも係わらず天気は快晴で、他に車はほとんどいなかったので、心置きなく高速走行を味わいます。ここではECOモードを切ります。
そんなにアクセルを踏み込んだ覚えはないものの、気付けばどんどんスピードが上がっていきます! 車内は静かで、風切り音もなく、挙動も安定しており、アクセル応答も良く、着座位置が低いので、スピードを出している感覚が全然なく、しかし安心感があります。
これもターボチャージャーの恩恵でしょうか。中々走ってくれます。
最後は、高速道路を一区間で降り、入り組んだ市街地の中を走ります。再度ECOモードを入れます。
普通に走っている分には、最小回転半径は、あまり気にならないですね。
でも、実際的な日常使用では、試乗コースよりも更に狭く入り組んだ田舎道で乗るでしょうからねえ…。それに、15インチにすると、より小回りが利かなくなるようですし。

お店に戻り、カタログをもらいます。
7日から27日まで「
ノッテコニッサン」フェア第2弾として、試乗してアンケートに回答すると特製膝掛けがもらえ、特製嵐QUOカードが抽選でもらえるとのことです。
デザインは良く、走りも良く、実用性もそこそこ。
日産らしく微妙な点も見受けられ、上級グレードしか評価対象にはなり得ませんが、中々良い車です。