【速報!!】フォードが日本から撤退!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(ねたAtoZ、2016年1月25日)
【悲報】フォードが日本から撤退・・・
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2016年1月26日)
米フォード、日本とインドネシア事業から今年撤退へ=内部文書
(乗り物速報、同日)
「日本市場は閉鎖的」 米自動車大手フォードが日本から撤退へ
(保守速報、同日)
「日本市場は閉鎖的」 米フォードが日本から撤退へ
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、同日)
フォード「日本市場は閉鎖的」…日本から撤退へ
(サイ速、2016年1月27日)

何とも衝撃的なニュースが舞い込んできました。
フォード・モーターが、今年一杯で日本とインドネシアから撤退するとのことです。
フォードといえば、アメリカを代表する自動車メーカーの一つであり、ビッグ3を成す企業の一つです(もう一つはジェネラル・モーターズ、もう一つはフィアット=クライスラー・オートモービルズ・US)。
歴史を遡れば、自動車黎明期からずっと車造りを続けてきた、由緒正しい企業です。
現在世界中の製造業で一般的となっているベルトコンベアー式の流れ作業や、品質管理工程、マーケティング・リサーチ、アフターサービスを確立させました。
しかも、“自動車育ての親”自動車王
ヘンリー・フォード一世が1903年に創業した、いわば純血種でもある。
日本へは、日露戦争後の1905年に導入。
現在の
正規日本法人は、1974年に設立。
他のアメ車メーカーは日本市場において苦戦する中で、フォードは中々に巧く立ち回っていました。
ですがそれも、今年一杯の撤退が決まったことで、116年もの歴史に幕を下ろすことになります。

フォードは、
CAFE(アメリカ企業別平均燃費)や
EURO6(欧州排ガス規制)など世界中の燃費規制と環境技術へ対応するために、ダウンサイジングターボエンジン「エコブースト」を開発。
それを一車種だけでなく、様々な車種に水平展開。今やフォードの看板商品です。
排気量が少なくなったことで、日本でも税制面で維持しやすくなったはずです。

マッスルカーを代表する一台である
マスタングにも、現行の6thジェネレイションではエコブーストを搭載。
更には、イギリス、オーストラリア、そして日本に輸出するために、半世紀に渡る歴史上初めて右ハンドル仕様を設定。
ガラパゴスなマッスルカーから、グローバルなスポーツカーになりました。
イクスプロウラーも、現行の4thジェネレイションでは、大幅に刷新。
モノコックフレームを用い、前輪駆動プラットフォームを用い、例によってエコブーストを搭載。
そして現代におけるトレンドである、路面状況に応じて設定を変更できる電子制御式サスペンションと、多段式ATをも装備。
作業効率と量産性が向上し、街乗りも快適になり低燃費に。
他にも、
イコスポートという、小型SUVもあります。
南米や中国や新興国へ売り込むための車であり、何より世界的な小型クロスオーバーSUVへの人気の高まりを受けて世界戦略車になった、出世魚です。
実情は、どちらかというと欧州対策であり、日本市場はおまけでしかなかったのは明らかです。
ですがそれが功を奏し、日本でも無理のない車に仕上がっていました。
全体的にも、
「アメ車は大らかで豪快だけど、その分大味で雑、燃費が悪い、壊れやすい、整備性も劣悪」
という長年に渡る固定観念を打破してくれる、質感の高さが窺えました。


その一方では、昔ながらのビッグブロック(大排気量、自然吸気、V型8気筒エンジンの、アメリカにおける通称)も揃えてエコブーストと共存させたり、本国では相も変らぬフルサイズピックアップトラックを発売したりと、定番を押さえた商品展開がありました。

それでも尚、日本市場における輸入車のシェアを独占することは叶わず、この度の撤退の決定。
現行後期型イクスプロウラーを、2015年10月31日に日本導入したばかりだというのに…。
マスタングの右ハンドル仕様も、今年上期の日本導入を控えていましたが、これも白紙撤回でしょうか…?
駆け込み需要で買ったとしても、正規輸入の強みとしての手厚いアフタサービスはこれからは受けられなくなり、それでもどうしても欲しい人は並行輸入で買うしかなくなります。
仲介業者を介するために今まで以上に割高になり、修理・交換用のパーツに至っては…。
今以上に希少でマニアックで高額になり、より一層ハードルが高くなります。
従業員にしても、自身の転職活動をしなければならず、仕事どころでは正直ないでしょう。
アラン=ロジャー・ムラーリーCEOは、撤退する理由として、「日本市場は閉鎖的」と、捨て台詞とも取れる言葉を使っています。
もし本気で言っているとしたら、ヘンリー・フォード一世が、草葉の陰から泣いているはずです。
ビッグ3、特にGMとクライスラーの傲慢な経営姿勢は、つとに有名です。
1980年代、アメリカでは日本車にシェアを奪われて、激しい日本車追放キャンペーンが打たれていました。
シェアを奪い返す車造りをせず、政治とポピュリズムに訴えかけて。
毎日のように日本車メーカーは出て行けとデモ行進を行い、日本車を破壊するデモンストレーションを行い、揚句はレーガン大統領を焚き付けて
プラザ合意。
ビッグ3に好意的な経済学者が、著作で軽く弱点を指摘して対策を提案したことを根に持ち、私立探偵に私生活を調べ上げさせて裁判に持ち込もうとしたことも。
それらを以てしても、日本車の快進撃を食い止めることはできませんでした。
国家権力に働きかけても、税や保険で優遇されても、アメリカ人によるアメ車離れは止まるどころか加速する一方で、にも拘わらず日本車よりも優れた車を一向に造ろうとしない。
目先の小さなプライドに固執したせいで、何度も何度も日本車に苦汁を舐めさせられ、にも拘らず一向に経験から学ばない。
・アメリカ人「日本車最高」 米消費者の自動車信頼度 日本車が1~9位席巻
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2011年10月26日)
・アメリカで日本車が爆売れ
(同、2013年8月8日)
そこへリーマン・ショックやアメリカ同時多発テロや世界金融危機などの逆境が続いたことで、ビッグ3は経営悪化の一途を辿り、とうとう破産。
その際も、自力では経営再建できず、結局は連邦政府による公的資金投入と政府主導で以て助けてもらった。
GMに至っては一時は国営企業にまでなった。

ソースが不明なので真偽のほどは図りかねますが、
日米貿易摩擦で日本とアメリカの経済界が険悪だった頃、
リド=アンソニー・アイアコッカがアメ車を売り込むために来日した際の逸話があります。
記者会見が終わり、ふと気が緩んだアイアコッカがぽつりと
「こんなに良い車なのに、どうして日本では売れないのかなぁ」
と冗談交じりに呟いたとき、それを聞いた記者が
「それは単に日本の顧客が欲しがるような商品ではないからでは?」
と返事をされて、一瞬で激高したとか。
些か話が長引きましたが、ビッグ3とはそういう企業。
アメリカの基幹産業であり、多くの労働者に仕事と給料を与えてあげている、だから国ぐるみで保護されて当たり前……そんな根拠のない特権意識が骨の髄まで染み付いている。
そんな中で、唯一フォードだけは常識があると、ずっと思っていました。
日本人としても、
マツダが苦しい時期に助けてくれたという恩義もあります。
だからこそ、まるで後足で砂を掛けるかのようなムラーリーCEOの言葉には、その分裏切られた感が強いし、日本の車好きたちが猛反発している気持ちもよく分かります。
「ワン・フォード」をスローガンとして掲げる、今のフォード。
そこには、「苦しい今こそ、全従業員の心を一つに」という綺麗な意味合いだけが込められているわけではありません。
仕向け地ごとのニーズを汲むのはコストが嵩むとして、一つのラインナップを一つの仕様のまま、一つの拠点で設計開発し、世界共通で売るという意味での「ワン」でもあります。
即ち、「お客様が求める車造り」ではなく、「自分たちが売りたい車を売る。客のニーズなんて知ったことではない」ということ。
だから選べるボディカラーが極端に少ないし、グレードも単一。


・
「そりゃ離れるよ 若者は…」 日本の自動車税はアメリカの49倍 高すぎると話題に
(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2015年3月20日)
確かに、日本は、他国に比べて特殊かも知れません。
国土は狭く山ばかりで、道路は細く、駐車場は狭く、高温多湿で、市街地は信号や歩道や丁字路による短距離間のストップ・アンド・ゴーが頻発。
自動車に課せられる税金も、諸外国とは比べ物にならないほど割高であり、自ずと保有台数は限られる。
それがために家族で使えるミニバンや、低燃費に特化したハイブリッドカー、小型で税制の安い軽自動車が発達する。
そうでなくとも、世界中から絶大な信頼を得ている企業の、日本はお膝元。
トヨタは言うに及ばず、スバル、マツダ、ホンダ、日産、三菱、スズキ…。
錚々たる顔触ればかり、これでもかとひしめき合っています。
海外の車好きからはいかに羨ましがられているか。
或いは海外勢にすれば難しい戦いかも分かりません。
それでも、他国とは異なり、日本は輸入車に対する関税などないに等しいから、幾らでも挽回できるはず。
現に、ベンツ、アウディ、BMW、ボルボ、フォルクスヴァーゲンは、どこに行っても見掛けないときはありません。

まして日本人は、世界的に見ても、舶来ブランドが大好きな民族性。
・コカ=コーラ・カンパニー
・ペプシコ
・ドクターペッパー・スナップル・グループ
・スターバックス・コーポレーション
・タリイズ・カフィー・コーポレーション
・P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)
・フィリップ=モリス・インターナショナル・インク
・アップル・インコーポレイテッド
・HPインク(旧:ヒューレット=パッカード・カンパニー)
・アマゾン・ドット・コム
・グーグル・インク
・フェイスブック・インク
・リヴァイ・ストラウス(通称:リーバイス)
・ラングラー
・H.D.リー・マーカンタイル・カンパニー
・コンヴァース
・ナイキ・インク
・DCシューズ
・ニュー=バランス・アスレティック・シュー
・ゴールドマン・サックス
・カースコウ・ホールセール・コーポレーション
・トイザらス
・ボーイング
・ハーレイ=デイヴィッドスン・モーター・カンパニー
等々…。
中には日本限定モデルまで作って購買意欲を煽る企業も。
斯くの如く、アウェーとしてのハンディキャップを物ともしないアメリカ企業は、幾らでもあります。
日本ほど開かれた市場はありません。

要は、フォードは、売り方を誤ったとしか思えないのですよね。
CMを放送したり、新聞折り込み広告を刷ったり、テレビ番組とタイアップしたり、試乗会を頻繁に行うなどして、長らく染み付いたアメ車のネガティヴイメージを払拭する努力をしなかった。
日本で売られていたラインナップは欧州法人主導で開発した欧州向けが中心であり、その分欧州車的な雰囲気があったのだから、それを利用したプロモーションをすれば良かった。
「日本市場の閉鎖性」とやらに切り込むのではなく、既にシェアを占めている欧州車需要に食い込むことを目指せば良かったのです。
リンカーンブランドであれば、重厚で伝統を重んじるジャーマンブランドとは違う意味での高級感をアピールするなど(現にキャディラックは、先進性とモダニズムを主張している)、やり方はあったはずです。
ベンツに至っては、ミニバンを発売したり、
アニメーションでPVを作ったり、『スーパーマリオブラザーズ』とコラボレーションしたり、最近もPerfumeをCMに起用したり、遂にはTポイントサービスに加入したりなど、とにかく話題を作ろう、売ろう、新規顧客を開拓しようという意気込みを感じます。
フォードは一度でもそんなことをしたときがあったでしょうか?
黙って座って待っていれば、客のほうからやってきてくれるとでも思っていたのでしょうか?

正直、ヤナセやマツダ・オートラマ店で売っていた時代のほうが、余程存在感がありました。
GMやクライスラーよりもディーラー数は多く、車自体の質も良いだけに、実に勿体無いことをしました。
TPPによって日本車市場はどうなることかと不安でしたが、それを目前にして思いもよらない出だしになりそうです。