10/8(土) ボルボV60試乗と同じ日に、ルノーメガーヌRSに試乗しました。
私はルーテシアRSが大好きです。家族が運転することを考えなくても良かったら、買いたかったくらいです。メガーヌRSにもルーテシアRSと同様の味付けがなされているのか非常に興味があり、以前から乗ってみたいと思っていました。
ルノーメガーヌRS 標準車 385万円
あくまでも個人的な意見ですのであしからず。
●外観デザイン
先代メガーヌほど衝撃的ではないけれども、これも個性的で、個人的には好きなデザインです。
全長4320mm×全幅1850mm×全高1435mm
ホイールベース2640mm、車重1430kg
●エンジン
2リッターDOHCターボで、今はやりのダウンサイジングでもなければ、直噴でもない、旧来のエンジンです。
スペックは184kW(250ps)/5500rpm、340Nm(34.7kgm)/3000rpm。
RSモニターというもので、エンジン特性を5段階に切り替えることができる機能があります。試してみましたが、そんなに劇的に違うようには感じませんでした。これも自分で所有してじっくり試してみないとわからないかもしれません。
セールスマン氏の話では4000rpm以上でパワーが盛り上がってくるとのことでしたが、左ハンドルのマニュアル車に慣れるだけで精一杯で、試すことができなかったせいもあるかもしれません。
4000rpm以下の領域では、音も官能的ではないし、回り方もごく普通で格別スムーズなわけでもないので、町乗りではGTIのほうが刺激的だと思います。
それに比べてルーテシアRSは自然吸気エンジンなので、非常に音も回り方も非常に官能的で、好みの順位をつけるとすれば、ルーテシアRS>ゴルフGTI>メガーヌRSといったところです。
●ミッション
6速MTですが、左ハンドルのマニュアル車に乗るのは初めてだったので、フィーリングを感じるような余裕が無かったのですが、特別妙なひっかかり等もなく、ふにゃふにゃしたフィーリングもなくて、ルーテシアRSと同様のフィーリングだと思いました。
●ハンドリング
ちょっと街中を走っただけでも直進安定性が良いのが分かります。ルーテシアRSと同様の「ダブルアクスル フロント ストラットサスペンション」のおかげです。曲がるときにも切ったら切ったぶんだけ素直に曲がっていくクセのないもので、GTIよりパワステも軽く、FFを意識させない仕上がりです。先代はロワアームがスチール製でしたが、今度のモデルはアルミ製として軽量化されています。
この機構はルーテシアRSにも採用されていて、同様の仕上がりです。
ちょっと専門的な話になりますが、通常のストラットサスペンションはタイヤの回転軸(キングピン)がダンパーのてっぺんとロワアームとナックルの接続点(④)を結んだ線が回転軸となっていて、これを「仮想転舵軸」といいます。実際にはハンドルを切ると、この仮想転舵軸を中心にしてダンパー、ナックル、ハブ、ブレーキ、ホイール、タイヤが一体で回転します。当然これだけのものを回転させるのでそれなりの重さもあり、摩擦(フリクション)も大きく、タイヤの位置を決めるジオメトリーの設定にも制限があります。
これに対し、ダブルアクスルストラットサスペンションとは、仮想転舵軸とは別に実際にタイヤの回転軸となる軸(②)を設ける(ダブルアクスルとする)ことで、ストラットサスペンションのさまざまな弊害を解決しようというシステムなのです。
具体的には
・ハンドルが軽くなる。
・直進安定性がよくなる。
・FF車特有のトルクステアを減らせる。
といった効果があります。
●足回り
足回りはまさに「ルノーマジック」といえるものではないでしょうか。ステアリングを切ったときのショックの沈み方は絶妙です。言葉で表すのは難しいのですが、GTIと比べると直線では車体をフラットに保ち、カーブではロール量は多いですが、ロールするスピードがゆっくりで、沈んでゆく過程を感じとれるのです。このフィーリングはルーテシアRSと全く同じです。ルーテシアRSは「シャーシスポール」と呼ばれる町乗り重視の仕様で、メガーヌRSは「シャーシカップ」と呼ばれるより固い足回りですが、私にはあまり違いは感じられず、これでも十分乗り心地がよく、町乗りにも使えると思えました。
●ブレーキ
フロントはブレンボ製4ポッドモノブロックキャリパー、リアはTRW製1ポッドキャリパーです。
ディスクは前後ともブレンボ製、パッドはフェロード製とクルマのブランドもの好きにはたまらないものが標準でついています。
町乗り等での軽いタッチでの効きは、GTIのほうがよく効きます。
さすがに街中ではフルブレーキングを試すわけにもいかず、ブレンボ本来の性能はわかりませんが、とくにフィーリングに違和感はありませんでした。
●静粛性
特別静かでもなく、普通です。GTIのほうが静かかな。
●シート
レカロ社製バケットシートが標準です。バケットといえども見た目ほど窮屈さも感じませんし、ゴツゴツ感もありません。布地の肌触りもよく、レールの剛性もあり、乗り心地のよさはシートのおかげもあると思います。
ルノースポールは足回りの煮詰めをシートまで含めて行うので、他メーカーでは味わえない乗り味の一体感があります。
シートベルトが黄色でなかなかおしゃれですよ。
●内装(インパネ)
質感はドイツ車のような過剰な品質感はなく、どちらかという日本車に近い質感を感じます。デザインも含めて悪くはないけれど、ドイツ車のようないいもの感は感じなかったです。 さすがにルーテシアRSに比べたら車格が上なので良かったです。
しかし、フランス車で困るのはナビの取り付ける場所が考慮されていないことです。
でもこのようなちょっとしたことは、フランス車が気に入った人には関係にないことかもしれませんね。
ステアリングは円形で、10時10分の位置にあるコブも大きくないので、扱いやすいです。個人的にはGTIよりもこちらのほうが好みかな。
メーターはリングにメッキを施すなど、ルーテシアRSに比べ質感が上がっており、また文字盤も見やすくなっていて良いです。タコメーター文字盤もお決まりの黄色で、シフトアップインジケーターもついています。それにしてもルノーのメーターはなんで傾いているんでしょうか。どなたか知っている方がいらっしゃったら教えていただきたいです。
385万円という価格は、装備品を考えるとバーゲンプライスといえるのではないでしょうか。私もGTIを買う前は、実車を見ずに仕様だけで比べていたので、メガーズRSに比べGTIは割高だと思っていました。実際多くの方がそう思われているのではないでしょうか。パワースペックではGTI211ps対メガーズRS250psで負けていますし、GTIにはメガーヌRSのようなブランドものはついていませんから。しかし負け惜しみではなく、サーキットや峠をガンガンに走るのならともかく、街中で走っているときの満足感はGTIのほうがあると思いました。GTIを買って悔いなしです。
メガーヌRSで残念なのは、左ハンドルしかないことです。生粋のフランス車好きならペダルレイアウトにこだわって左ハンドルのほうがいいとおっしゃる方もいるかもしれませんが、個人的には右ハンドルを入れてほしいです。まさかイギリスで左ハンドル車を販売しているわけじゃないでしょうから、右ハンドル車は必ず作っていると思うので、それを日本仕様に改造すれば、もってこれるんじゃないでしょうか。
それから欲をいえばGTIと同様、ツインクラッチ仕様を用意してもらえると、AT限定免許の妻でも乗れるのでありがたいです。といってもフランス本国ではいまだに90%以上がマニュアル車なので、開発はしているそうですが、生産までには至らないようです。
最後にもう1つ残念な点は4ドアがないことです。やはり子供がいる家庭では、いくらクルマ好きのお父さんがかっこイイ2ドアクーペが欲しいといっても、現実的には難しいものがあると思います。
メガーヌRSもよいクルマであり、実際ディーラーマンの話では2011年モデルは売れてしまったとのことですから、それなりに人気もあるのでしょうが、私のような既婚者、子供持ちのお父さんにとっては、フォルクスワーゲンのマーケティングのほうが一枚上手といったところでしょうか。
いろいろ言ってしまいましたが、それにしてもルノースポールの仕上げには一貫性があり、それがいい方向の一貫性(ハンドリングと乗り心地の両立)なので、関心してしまいます。欧州のメーカーはルノーに限らずどこも、そのメーカーなりのデザインや、走りの一貫性があるところが個人的にはいいと思います。日本のどこぞメーカーなどは、どれに乗ってもボディ剛性はなく、乗り心地が悪い、ハンドリングはフニャフニャで直進安定性が悪いなど、悪い一貫性にあふれています。それに比べ、メガーヌRSはいい仕上がりなので、状況が許す人で走りが楽しいクルマを求めている人にはオススメです。
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試乗記 | クルマ
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2011/10/23 00:38:19