ダウンサイジングエンジンやツインクラッチのミッションと、ゴルフとバッティングする要素を持っているので、試乗してみたいと思っていました。
試乗車 メルセデスベンツBクラス B180 BlueEFFICIENCY Sports 348万円(税込)
試乗車オプション ナイトパッケージ 15万円
コンフォートパッケージ 20万円
COMANDシステムナビゲーションフルセット 17.64万円
試乗車価格 400.64万円(税込)
●外観デザイン
私が試乗したクルマは写真のマウンテングレーというカラーで、ナイトパッケージの18インチホイールとの組み合わせでなかなかカッコよく見えました。
全長4365mm×全幅1785mm×全高1540mm、ホイールベース2700mm
車重1450kg
日本の機械式パーキングに入るように車高を落として、最低地上高が105mmしかないことが話題になっていますが、試乗中特にネガは感じませんでした。
この背の高いボディにしてCd=0.26はすごいですね。ゴルフⅥは0.312ですから、高速走行では燃費に効きそうです。
●エンジン
1.6リッター直列4気筒DOHC直噴ターボ、今流行のいわゆるダウンサイジングエンジンです。
スペックは90kW(122ps)/5000rpm、200Nm(20.4kgm)/1250-4000rpm
過不足なく走りますが、面白みはありません。スイッチでECOモードとスポーツモードを切り替えられますが、エンジンを4000rpmまで回すと非常にうるさいし、回転フィールもがさつです。スペック的にはVWの1.4のシングルチャージャーと変わらないですが、パワー感といい、回転フィールといい、音といい、「VWのほうがいいんじゃない?」と思ってしまいました。
アイドリングストップ機能がありますが、特に違和感はなく、発進・停止はスムーズでした。
●ミッション
7G-DCT、いわゆるツインクラッチミッションです。DIRECT SELECTと呼ばれるステアリング右横のレバーでシフトを選択するもので、センターコンソールにシフトレバーがありません。変速はパドルシフトによりマニュアル操作も可能ですが、アップ・ダウンともに変速は遅いです。BMWのトルコン8ATのほうがよほど変速は早いしダイレクト感があります。 もちろんVWのDSGに及ぶべくもありません。
●ハンドリング
電動パワーステアリングです。このパワーステアリングはトヨタ系列のジェイテクト製です。
微小な領域でちょっとだけEPSらしい違和感がありますが、その後は切ったぶんだけ素直に曲がっていってくれるクセのないものです。レスポンスも俊敏というほどではないですが、悪くありません。18インチだったからかもしれません。直進安定性もよかったです。
●足回り
フロントがストラット、リアがマルチリンクです。
タイヤはグッドイヤーEAGLE F1ランフラット、サイズは前後とも225/40R18 92WでGTIと同じサイズです。
メルセデスベンツらしくランフラットタイヤにもかかわらず乗り心地がよかったです。ボディの剛性も高く感じられ、国産車では味わえない安定感と安心感を味わえました。後ろに乗っていた息子が寝てしまったくらいです。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクです。
GTIのようなカックンブレーキでもなく、踏みはじめからじんわり効いている感じがしました。車高が高いクルマの中では車重も軽いほうなので、ゴルフトゥーランやプジョー3008のようにクルマの重さを感じるようなこともありませんでした。
パーキングブレーキはこのクラスではめずらしい電動式で、発進時アクセルを踏めば自動で解除されますが、操作は手動で行ってほしいとのことでした。だったら、操作スイッチはステアリングの右奥ではなく、センターコンソールについていてほしいと思いました。
●静粛性
非常に静かです。エンジンの項でも書きましたが4000rpmまで回すとうるさいです。
●シート
布地はセンターにファブリック、サイドに人工皮革を用いた黒基調で、白い縫いのステッチコントラストとなって、高級感を醸し出しています。
座り心地はフロントはクッションは厚みがありますが、ホールド感はあまりないです。背もたれは適度にホールドしますが、フィット感がGTIとは違います。VWは腰のあたりを支える感じですが、Bクラスは肩甲骨あたりの支えが強くて、自分の体はフォルクスワーゲンのほうがしっくりくると思いました。
リアシートは写真がスポーツのものがなかったので、標準グレードのものです。試すことはできなかったのですが、ゴルフよりは空間が広く、快適そうです。 試乗に付き合っていた7歳の次男坊が試乗中ぐっすりと眠っておりました。オプションのコンフォートパッケージを付けると、リアシートのスライド機能が追加されます。
●内装(インパネ)
見た目の高級感はさすがだなと思いました。写真はオプションのナイトパッケージをつけたもので、インパネのパネルがブラックアシュウッド(ディーラーマンいわく本木目だそうです)になります。 センターのディスプレイは標準で、ナビはオプション。
また、アンビエント照明によってもたらされる「いやし」がなんともいえずよかったです。(下の写真はアンビエント照明を点灯した状態)
メーターは白文字で、特にクセもなく見やすいです。マルチインフォメーションディスプレイは日本語表示してました。なんでゴルフは日本で売れてるのに、日本語表示しないんでしょうかね。
●ラゲッジスペース
容量は486リッターと十分な大きさで、オプションのコンフォートパッケージを選ぶことにより、荷室の床面の高さを2段階に切り替えられる機能がプラスされます。上げればリアシートを倒したときにフラットにすることもできるし、リアシートを起こした状態では逆に下げて容量を稼ぐことが出来ます。
↑ 床面を上げた状態
↑ 床面を下げた状態 (シートバックの下に補強バーが出っ張ります)
●安全装備
ベンツの売りといえば、ボルボと並んで安全装備の充実です。
まずは標準装備の紹介から。
・CPA(衝突警告システム)
時速30km以上で走行中に前車に近づきすぎると、警告灯が点灯。
2.6秒以内に衝突の危険があると判断された場合、警告灯+警告音でお知らせ。
さらに、ブレーキアシスト機能を最大限に働かせ、ブレーキペダル操作を補助します。
・アテンション・アシスト
80km/h以上で走行中、ドライバーの疲労を検知すると、音とディスプレイで警告。
・トルクベクトリングブレーキ
コーナリング中にESPがアンダーステア傾向を感知すると、内側後輪にブレーキをかけ、
適切な回転モーメントを発生させて、緊急時の回避能力と運動性の向上にも役立つ。
オプションのセーフティー・パッケージを選ぶと、
・PRE-SAFE
急ハンドルや急ブレーキ操作を検知すると、以下の機能が働きます。
◎電動シートベルトテンショナーの作動(前席)
◎サイドウィンドウ自動クローズ
◎着座ポジションの自動調整(メモリー付フルパワーシート車の助手席のみ)
・ディストロニック・プラス
前車追従機能付オートクルーズです。スバルはカメラを用いていますが、こちらはレーダー。
残念ながら衝突回避のための自動ブレーキ機能はありません。
プジョー3008同様機能はとても考えられていて、実用上は便利なクルマだとは思いますが、エンジンやミッションがいまいちそそられないですね。GTIを売ってまで欲しくなるようなクルマではありませんでした。しかし、このリアシートの広さは魅力的です。ゴルフよりはもちろん広いですが、3008と比べても体感的にはこちらのほうが広い感じがします。ご家族のいらっしゃる方には一度見てみることをオススメします。
それにしてもこの機能にしてベースグードの299万円というj価格はフォルクスワーゲンにとっても脅威ですね。プジョー3008と比べてもかなりお買い得ではないでしょうか。ただし、気に入ったオプションをつけるとけっこうな値段になりますが。こういった挑戦的な価格のクルマが出てくると、新しいゴルフⅦがどのくらいの価格設定で出てくるのか非常に楽しみです。