ゴルフと同じCセグメントにライバルとして登場したこのモデルに早く乗りたいと思っていました。
試乗車 V40 T4 価格269万円(税込)
ディーラーオプション ポータブルナビゲーション
●デザイン
フロントマスクはラインがごちゃごちゃしていて少し気に入らないけれども、全体のフォルムとしては相当かっこイイと思いました。この形だけでも買いだと思います。フロントピラーも寝ていたりとか、リア席の頭上も圧迫感があったり居住性には影響がないわけではないですが、「このデザインなら許せるかも」と思っちゃいました。

全長4370mm×全幅1785mm×全高1440mm、ホイールベース2645mm
車重1430kg、前軸重860kg、後ろ軸重570kg(車検証記載値)
ボルボにしては全幅が1800mmを切っているので日本でも使いやすいサイズです。
Cd値は0.31とフロントスクリーンが寝ているわりにはゴルフⅥとそんなに変わらないですね。

特にリアは実物を見ると、リアハッチのガラスがかなり傾斜していてかっこイイです。
●エンジン
1.6リッター直列4気筒DOHC直噴ターボで、スペックは132kW(180ps)/5700rpm、
240Nm(24.5kgm)/1600-5000rpm。アイドリングストップ機能あり。
V60試乗の時には低速トルクに不満がありましたが、車重が軽いこともあり、V40ではまったく不満を感じませんでした。みなさんご存知かもしれませんが、なんとディーラーではロムチューンにも対応していて、20psパワーアップできるとのこと。でも私はノーマルでも十分だと思いました。
●ミッション
ギアトロニックと呼ばれる、6速湿式ツインクラッチです。
Dレンジでは相変わらずVWのDSGと違って変速が滑らかです。マニュアルモードにすればすばやい変速をしてくれますが、パドルシフトがないのが残念です。
●ハンドリング
車速感応式電動パワーステアリングです。
意図的にクイック感を出そうとしているところがあるけれど、許容範囲です。
私がこだわるセンター付近の反応もきちんとあるのでいいです。
最小回転半径は5.2m。上級グレードのT4 SEだと5.7mになっちゃいます。
●足回り
フロントがストラット、リアがマルチリンク。
タイヤはミシュラン プライマシーHP、サイズは205/55R16 91W
乗り味に重厚感があってどっしりとしており、ハッチバックに乗っているという感覚がしませんでした。1.6リッターですが、GTIと車重が10kgしか違わないせいもあるでしょう。足回りは固めだけれどもいやな突き上げもないです。本国仕様はもっと固いそうです。いままでのボルボにはない足のセッティングで、ハンドリングも含めてとてもも気に入りました。
●ブレーキ
4輪ディスクブレーキとしか、カタログには書かれていません。
ブレーキエネルギー回生機構付です。このクルマに限らずV60でもそうでしたが、ボルボのブレーキは効きに不満があるわけではないですが、ペダルを踏んだときの剛性感が足りない気がします。
●静粛性
文句なしに静かです。エンジンを回してもガサツな音は一切しませんでした。
●シート
ボルボのシートのよさにはいつも感心します。フロントシートはクッション、背もたれ共に長さが適切で、ウレタンに厚みがあり、包まれる感じですごくいいです!長時間乗っても疲れなさそうです。
前にアテンザに乗ったときには「このシートいいかも」と思いましたが、このボルボのシートを味わってしまうと、アテンザのシートはホールドはいいけれども固いしウレタンが薄いと感じます。
リアシートもフロントシートほどのホールドはありませんが、長さ・クッションの厚みは同様にいい感じです。
車体値段が安くても生地のグレードが変わるだけで、骨格の部分には一切手抜きをしていなくて、他のボルボ車を乗ったときと感覚が変わらないところはすばらしいです。
●内装(インパネ)
最近のボルボ車に共通のスッキリしたデザインのインパネです。センターパネルはお得意の「フローティングセンタースタック」となっています。S60・V60ではセンターの吹き出し口は1つで、視覚的にバランスが悪いように感じましたが、V40では2つになって違和感がなくなったように感じます。
残念なことにベーシックグレードの「T4」では、ディスプレイがあるにも関わらずナビゲーション・パッケージがつけられず、別体でナビを取り付けなければならないという問題があります。

「フローティング・センタースタック」
センターパネルの後ろが空間になっていて、浮いているように見える。
メーターは液晶画面なのに全然安っぽさがないし、写真では表示されていませんが、車両のグラフィック表示がなかなか凝っていてきれいです。メーターは3種類に切り替えが出来ますが、試乗時は試し忘れました。
・「エコ」モード

・「エレガンス」モード

・「パフォーマンス」モード
●ラゲッジスペース
床が2重になっており、上の部分だけで335リッター、アンダートレイが16リッターで、合計では351リッターとゴルフⅥと遜色ない広さを確保しています。
ボードを写真のように立てると、ボードについているフックに買い物袋を引っ掛けられたり、荷物を仕切れたりしてなかなか便利です。
床下には応急用タイヤはなく、パンク修理キットが入っていました。
●安全装備
・歩行者保護用エアバッグ(メーカーオプション:6万円)
世界初ということで話題の装備ですが、もしインポーターが仕入れた車両になくて「欲しい」となった場合、メーカーオプションなので本国にオーダーしなければならず、納期に時間がかかるでしょう。
・シティ・セーフティ(標準装備)
いわゆるスバルでいうところの「ぶつからないクルマ」です。低速走行時、前方の車両または
障害物を検知して、衝突を回避または被害を軽減してくれる自動ブレーキ機能です。
・セーフティ・パッケージ(メーカーオプション:20万円)
このオプションはぜひとも付けたい装備です。
セーフティ・パッケージに含まれる装備
①ヒューマン・セーフティ
シティ・セーフティの機能に歩行者検知機能を追加したものです。
②全車速追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
前走車に追従するオートクルーズ機能で、私の大好きな装備です。このためだけにこの
オプションを付けたいようなものです。
③車間警告機能
④ドライバー・アラート・コントロール(DAC)
各種センサーによりドライバーが眠気を覚えたり、注意力が散漫になっているのを検知したとき
に、休憩を促す機能。
⑤レーン・キーピング・エイド(LKA)
車線内にとどまるようステアリングを微修正したり、完全に逸脱しそうなときはステアリングに
振動を与えて警告を発する機能。
⑥ブラインドスポット・インフォメーション・システム(BLIS)
リアバンパーに内蔵されたミリ波レーダーにより後方や側方を常に確認し、他の車両が視覚に
入っていたり急接近してきた場合に、警告で知らせる機能。
⑦レーン・チェンジ・マージ・エイド(LCMA)
70m後方の状況を確認し、急接近してくる車両を警告で知らせる機能。
⑧クロス・トラフィック・アラート(CTA)
クルマを後ろ向きに道路へださなければならない場合に、道路の左右から接近してくる
クルマを知らせる機能です。
⑨ロード・サイン・インフォメーション(RSI)
速度制限や追い越し禁止などの道路標識を識別して、メーター内に表示する機能です。
私は昔、50km/hから30km/hに速度制限が急に変わるところで取り締まりをやっていて
捕まった経験があるので、この機能はありがたいです。市販のレーダーを付けている人には
不要かもしれません。
⑩アクティブ・ハイビーム(AHB)
対向車の存在を検知し、ヘッドライトのロー/ハイを自動で切り替える機能。
●気になる装備
・パーク・アシスト・パイロット(縦列駐車支援システム)
(オプション:11.6025万円、パークアシスト・リア(11.3085万円)との同時装着必要)
文章でうまく説明するのは難しいのですが、センサーを使って車両の長さの1.2倍のスペース
を確認すると、ステアリング操作を自動で行ってくれて、ドライバーはブレーキ操作とギアの前進
・後進の選択だけを行えばよいというスグレモノ。
しかし、値段があまりに高いですよね。
・パノラマ・ガラスルーフ(メーカーオプション:18万円)
上級グレードの「T4 SE」にしか設定がないのが残念です。
なんと2013年モデル(4000台?)は既に完売したそうです。あとは受注生産でオーダーするか、2014年モデルが入荷する8、9月まで待たなければならないそうです。しかし、この充実した内容でこの価格はバーゲンプライスではないでしょうか。人気があるのも納得できます。
私の中ではボルボは快適だけども走りがつまらないクルマという思いがありました。V60のR-DESIGNはあともうちょっとというところまできていたけれども、まだ買いたいと思うところまではいかなかった。V40はついに走りが楽しいと思えて、私にとって初めて買いたいと思えるボルボ車となりました。
試乗は出来ませんでしたが、「T5」という5気筒ターボエンジンを搭載したモデルもありました。こちらの走りもぜひ味わってみたいと思いました。
それにしてもホントにV40はいいです。前に乗ったオーリスはこのクルマに比べたら何とも味のないクルマに思えてきました...