試乗記を書かれている方がたくさんいらっしゃったので、自分も早く乗りに行きたいと思っていました。
試乗車 ゴルフⅦ GTI (FF、6速DSG) 価格369万円(税込)
試乗車オプション DCCパッケージ 21万円
試乗車価格 390万円(税込)
●外観デザイン
先代よりもシャープになった感じですよね。車高も低くなってますし。ボンネットの中央が盛り上がっていて、サイドが落ちているので、そう見えるのだと個人的には思っています。先代は逆ですからね。見比べると先代はボテッとした感じに見えますが、単体で見ると先代も十分カッコよく、自分には見えます。Cd値は先代の0.312から0.27に劇的に向上しています。高速での燃費に効いてくるでしょうね。

全長4250mm×全幅1800mm×全高1450mm、ホイールベース2635mm
車重1390kg、前軸重870kg、後軸重520kg(車検証記載値)、重量配分F62.6:R37.4
重量配分は先代が65:35でしたから、だいぶ改善されています。ホイールベースも60mm伸びているので、体感的にもフロントヘビー感は感じられませんでした。
ドアノブ下のキャラクターラインが、リアドアで一旦途切れて、テールランプからリアのハッチまで走っていて、これもシャープさを醸し出している要因だと思います。リアハッチのGTIバッジの下あたりにもラインが入っていて、少し煩雑に見えます。先代のほうが余計なラインが少なく、すっきりしていてよかったですね。テールランプの形は新型のほうがカッコいいかも。
●エンジン
直列4気筒DOHC直噴インタークーラー付ターボです。
MQBプラットフォームになって、前方吸気、後方排気に変更になっています。それによって、排気管がキャビン側に出っ張るので、ホイールベースが長くなっても室内がそれほど広くなってなっていない感じがします。
スペックは162kW(220ps)/4500-6200rpm、350Nm(35.7kgm)/1500-4400rpm。
先代比でパワーは7kW(10ps)、トルクは70Nm(7.1kgm)増えています。
特にトルクは発生回転数が先代の1700-5200rpmからより低回転寄りになっていて、発進加速がスムーズになったとディーラーマンは言っていましたが、体感的には正直わかりませんでした。
今回からアイドリングストップが付きましたが、止まるときは違和感がありませんが、発進するときにもたつくような感じです。スムーズさに関しては国産メーカーのほうが進んでいる気がします。
燃費関係ではブレーキエネルギー回生システムも付きました。
JC08モードで15.9km/ℓとは先代の10・15モードの13.0km/ℓより相当よくなっていますね。ここはうらやましいと思います。
音は結構ビートが聞いて、回転の粗さを感じますね。先代のスムーズな中にも低音が効いた音とは違いますね。意識的にスポーティーに作った感じがして、あまり好きにはなれませんでした。
●ミッション
6速湿式DSGです。これは明らかに進化しています。変速ショックが感じられませんでした。ⅥGTIでも十分満足なのですが、ダウンシフト時にほんのわずかだけ、クラッチを離してつなげるまでにタイムラグがあり、空走感があったのですが、Ⅶではまったくそれすらも感じられなくなっていました。
●ハンドリング
電動パワーステアリングです。革巻きでチルト&テレスコピック調整付です。ステアリングスイッチも復活しています。デザインはちょっと安っぽくなったように感じます。ハンドリングの感触はノーマルのゴルフⅦとまったく変わりません。ちょっと先代に比べてセンター付近の遊びが多く、路面のフィーリングもつかみにくいので、好きではありません。
●足回り
フロントがストラット、リアが4リンク(マルチリンク)です。
タイヤはダンロップSP SPORT MAXX GT、サイズは225/40R18 92Yと、サイズは先代と同じです。
DCC付で足回りの固さを変更できたのですが、コンフォートモードは異常に乗り心地よく感じました。タイヤ銘柄の違いもあるのでしょうか。スポーツモードではもちろん固くなりますが、ⅥGTIのように街乗りで乗るにはちょっときついかなと思うことは皆無です。クルマが軽い感じなので、段差などで伝わる衝撃も軽い感じで、腹に響くようなことがありません。そのかわり、スポーツモデルに乗っているという感覚は薄くなったように感じます。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクです。私のGTIと違って、カックンブレーキではありません。違和感なく踏力に応じて効きます。
ブレーキエネルギー回生システムが付いたことによる違和感もありませんでした。
パーキングブレーキは電動式です。
●静粛性
ポロに比べるとやはり静かですね。先代との違いは判らなかったですが、ロードノイズはよく抑えられています。ただし、エンジン音は勇ましいです。
●シート
操作は手動で、リフター付。先代はちょっとタイトすぎてゆったりと乗れないシートでしたが、今回は背もたれのホールドも少しゆるくなって(それでも普通のクルマよりも全然いいですよ)、長距離走行には楽になったと思います。ただし、作りが華奢になったというか、安っぽくなったと言ったらいいのでしょうか、先代のゴツイいかにもドイツ車的な感じはなくなりましたね。

リアシートはそんなに座り心地は変わりません。姿勢よく座ることができるいいシートです。ルーフが低くなった分、頭上空間は先代より少し狭くなっています。
●内装(インパネ)
ノーマル同様インパネのセンターがドライバー寄りになって囲まれ感が増したのと、デザインのおかげか高級になったように感じます。化粧パネルはカーボン調になってますね。電動ブレーキになってセンターコンソールがすっきりして、エンジンスタートがプッシュ式になったのもトピックスです。
相変わらずナビの問題は解消されていないようですね。
細かいことですが、カップホルダーのスライドカバーの開く方向が先代とは逆になり、使いやすくなっています。

メーターはセンターのマルチファンクションインジケーターが大きくなった代わりに、スピードメーター・タコメーターは小ぶりになりましたね。
●ラゲッジスペース
容量は380リッターと先代の350リッターよりだいぶ増えていますが、見た目はそんなに変わらないように感じます。2重底になっており、写真のように床面を下げて広げることもできます。
●安全装備
ノーマルゴルフⅦと同じ以下安全装備が標準となっています。
ゴルフⅦの時の文章を引用します。
・シティエマージェンシーブレーキ
これはup!に装備されたものと機能は同じです。30km/h未満で走行中、バンパーに組み込まれたレーダーで衝突の危険を感知すると自動でブレーキをかけ、衝突を回避または被害の軽減をはかるものです。私は景色を見るのが好きで、よくよそ見をしてぶつかりそうになるので、この機能は欲しいです。
・プリクラッシュブレーキシステム”Front Assist Plus”
全車速域でバンパーに組み込まれたレーダーで前方車両との距離を感知して、衝突の危険が予測される場合に、ブレーキ圧を高め、ドライバーに警告音・警告灯により注意喚起をします。それでもドライバーが回避行動をとらない場合は、自動で減速し、被害軽減をはかります。
注意しないといけないのは、この機能は設定で"ON"状態にしていないと働かないことです。
・アダプティブクルーズコントロール”ACC”
私の大好きな前車追従機能付オートクルーズです。通常のオートクルーズでも、アクセル踏まないだけで長距離走行時の疲労はかなり軽減されますから、追従機能が付いたらほんとにラクですよね。フロントバンパーに組み込まれたレーダーを使い、前車との車間距離を設定した一定距離に保ちながら追従走行を行えますし、前にクルマがいない場合には設定した速度でオートクルーズしてくれます。ゴルフのACCは前車が完全停止するところまで追従するのがいいですね。
・レーンキープアシストシステム”Lane Assist”
フロントガラス上部に設置されたカメラによって、走行中の車線をモニタリング。車線逸脱を検知すると、ステアリングに振動を与えてドライバーに注意を促すとともに、自動でステアリング補正を行う機能。この機能は65km/h以上でないと働きません。
・マルチコリジョンブレーキシステム
エアバッグ用センサーで衝突を検知すると自動でブレーキをかけ、10km/h以下になるまで減速させ、2次被害を軽減するシステムです。
・プロアクティブ・オキュパント・プロテクション
事故の可能性を急制動やオーバーステア/アンダーステアの挙動で検知すると、シートベルトのテンションを高め、サイドウィンドウを閉めて、万一衝突した場合にエアバッグの効果が最大限発揮あれるようにするための機能です。ベンツのも同様の機能がありますね。
・ドライバー疲労検知システム”Fatigue Detection System”
通常とはちがうステアリングの動きを感知すると、警告音とマルチファンクションインジケーターの表示で、ドライバーに休憩を促す機能です。
●快適装備
・電動パノラマスライディングルーフ 12.6万円
残念ながらこれ単独では買えません。レザーシートとのセットオプションで38.85万円となって
しまいます。単体で買えるようにしてほしいですよね。自分はチェックのシートがお気に入りな
ので。
性能への期待半分、買い換えたくなったらどうしようという不安な気持ち半分で行ってきましたが、心配は杞憂に終わりました。私はけっこう新しいもの好きなのですが、新型を見て買い換えたいと思わなかったのはめずらしいことです。確かに安全装備の充実や燃費の向上など、魅力的な部分はありますが、ポロブルーGTの試乗記にも書いたとおり、それが自分にとっての魅力になっているかというと、残念ながら買い換えたくなるほどの魅力ではなかったということです。私にとっては走りの気持ちよさ、楽しさが一番。安全装備や燃費は二の次だと改めて気づかされました。具体的にはノーマルモデルを乗ったときに感じたことと同じですが、ステアリングのセンター付近の遊びが大きく、路面の感触が伝わりにくいのがどうにも気に入らなかったことです。パワステのメーカーや作りを変えたのでしょうか。足回りのスポーティー感のなさもそうです。そして、エンジンが数値ほどパワフルになった感じがしなかったことです。唯一DSGの進化は魅力的ですが。
クルマとしては本当によく出来ているとは思いますが、私のようにⅥGTI並みのスポーティーさを求める方には、残念ながらおすすめできないクルマとなってしまったと思います。このスポーティー度も基準が人それぞれなので表現が難しいですよね。私はよく友人のホンダS2000を運転させてもらったことがありますが、あのクルマから比べたらゴルフⅥGTIですらただの乗用車に思えてしまうくらいスパルタンですが、万人におすすめできるクルマではないし、私自身もそこまでのスポーティーさは求めていません。そういう考えでいくと、逆に人によっては新型でも十分スポーティーと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。