こんにちは。
ルボランカーズミート2018に行った際、勢いで試乗を申し込んでみました。
テスラに乗ると誰もが衝撃を受けると思います。
すでにモデルSには試乗しており、試乗記をアップしていませんでしたが、いつかこの衝撃をお伝えしたいと思っていました。
文章が長くなってしまいましたが、ぜひおつきあいいただければと思います。
試乗車 モデルX 100D 価格:1241万円(税込)
グレードは3種で全車AWDです。
バッテリーの容量でグレード分けされていて、グレード名の「100D」の100は100kWhを表しています。
テスラ自慢の運転支援を味わうならば、エンハンストオートパイロットのオプションを選択する必要があります。(616,000円)
●デザイン
特徴的なのはリアドアの「ファルコンウィング」です。5人乗り、6人乗りまたは7人乗りとありますが、乗り降りは非常にしやすいです。ドアを開くときに左右への張り出しが心配ですが、すごいのはL字のまま開くののではなく、センサーで障害物を感知すると、ドアをV字に折りたたみながら障害物をよけて開閉することです。障害物に当たりそうなときは自動で停止します。
ちょっとずんぐりむっくりしたデザインではありますが、テスラを経営するイーロン・マスクはロケット事業を手掛けていることでも有名でご存知の方も多いと思いますが、そのロケット事業の「スペースX」社の技術を用いて空力を徹底的に磨き、この大きなSUVでありながらCd=0.25を達成しています。

サイズは全長5037mm×全幅2070mm×全高1684mm(全高は概算値)
車重は2440kg、前軸重1230kg、後軸重1210kgで前後重量配分は50.4:49.6と非常に優れています。
軽くはありませんが、ボディのほとんどにアルミを使っています。
リアスポイラーは固定式になっています。

フロントにはパノラミックウィンドシールドが装備されていて非常に開放感があります。
フロントだけでなくリアの頭上もガラスになっていてどこの席にいても開放感があります。

ちゃんとサンバイザーもありました。照明付きのバニティニラーも装備されています。普段は横のドア側に収納されています。暑さや開放感が気になる人はサンバイザーより後ろのティンテッドの部分(ガラスがブルーになっているところ)を覆い隠すパネルがあるとのことです。

暑さについて店の人は、空調も強力で日差しが強いアメリカで売られているクルマなので、問題ありませんと話していましたが、試乗しているときは頭上からの日差しが結構暑かったです。それでもこの開放感は魅力的だと思いました。
●パワーユニット
75Dと100Dのグレードにはフロントとリアに各1個、出力193kW(262ps)、330Nm(33.6kgm)、電圧320Vのモーターがついています。ハイパフォーマンスバージョンのP100Dにはリア375kW(510ps)、660Nm(67.3kgm)のモーターが装備され、0-100km/h加速3.1秒と、この世のものとは思えない加速をします。私はモデルSでハイパフォーマンスバージョンのP95Dに乗りましたがまるでジェットコースターのようで、ほんとに死ぬかと思うくらい怖かったです。私はハイパフォーマンスバージョンを体感していたため、通常のグレードでは恐怖を感じるとこまではいきませんでしたが、それでもこの100Dでは0-100km/h加速4.9秒ですから十分速いです。
よく電気自動車はエンジン車のように排気音がしないからつまらないとか言われたりしますが、この加速を味わうとそんなこと関係なしに思わずニンマリしてしまいます。
●バッテリー
100Dには100kWhのリチウムイオンバッテリーがフロア下に装備されています。
バッテリーには8年、距離無制限の補償が付けられています。
バッテリーは能力を発揮するために水冷式となっていて、冬には電気ヒーターを使って温水を流して自動でバッテリーがよい状態を保つよう制御しています。
充電器の接続口はリア左サイドにあります。

充電に関して、詳しく聞くのを忘れてしまいました。
家庭用の200V充電器は本体は無料で、工事費のみ15万円程度かかるそうです。
日本のCHAdeMOにも対応しています。
テスラでは空になってから充電するのではなく、こまめに充電することを推奨しています。
●ハンドリング
電動パワーステアリングで、設定でノーマルとスポーツの2段階があり、スポーツにすると多少鋭くなります。AWDであることは全く意識することはありませんでした。
デザインのところで紹介したとおり、重量配分が非常に優れていて、しかもフロントとリアのオーバーハングには重量物がほとんどないため、これだけの車重であるにもかかわらずハンドリングは軽快です。直進安定性も問題ありません。
●足回り
足回りは4輪ダブルウィッシュボーンで、全グレードにエアバネを装備して、5段階に車高を変更できます。走行中でも変更可能です。
タイヤはミシュランのLATITUDE Sport 3で、サイズは前255/45R20 105Y、後275/45R20 110Yです。
オプションで22インチも選択可能です。
乗り心地は非常にいいです。車体をフラットに保ちます。タイヤが大きいわりにタイヤの重さで足がバタバタする感じがまったくありません。SUVとしてはよくできた足です。
●ブレーキ
フロントはベンチレーテッドディスクに4ポッドキャリパー、リアにも4ポッドキャリパーでディスクはソリッドです。
効きは自然で、特に問題はありませんでした。重量配分がいいせいか、前につんのめるような感じもありません。
パーキングブレーキは電気式でオートホールド機能があり、信号待ちでペダルから足を離してもホールドしてくれるので楽です。
ペダル配置はステアリングセンターより右寄りにあり、足がねじれることもなく踏みやすかったです。
以前モデルSを試乗したときに、店の人が「どこにも書いてませんがブレンボを採用している」とおっしゃっていました。
●静粛性
フロント席では非常に静かに感じられました。
リア席は結構内装材がミシミシと音がしたり、リアタイヤからのロードノイズが聞こえてきて、フロント席ほど静かではありませんでした。
●シート
フロントシートは背もたれのサイドが少し張り出した形状でホールド性をよくしています。
座り心地はソフトですが底付き感もなく、長時間乗っても疲れなそうでした。

こちらのリアシートはオプションの6人乗り仕様です。写真ではわかりづらいですが、1本足で支えているおそらく世界初のシートではないでしょうか。なかなかお洒落なデザインで、3列目に座ったときシートレールが邪魔にならなくて足入れ性がよいです。
フロントシートに比べるとクッションのももが当たるあたりの張り出しがあってちょっと圧迫される感じがあるのと、背もたれが平板で体が落ち着かない感じがあります。

フロント・リアともに表皮に合成皮革を使用していて見た目すべりそうなんですが、足回りがよいせいか身体がふられることはありませんでした。
現在は動物保護の観点から、ステアリングを除いて本革は使っていないとのことでした。
●内装(インパネ)
非常にすっきりしていてボタンがほとんど見当たりません。インパネにはバックスキンを貼っていて、ダブルステッチの縫い目を入れていたりと多少見た目の質感を上げていますが、ベントレーなどイギリスの高級車のような厚化粧とは対極にあるようなシンプルさです。
オーディオや空調、車高の調整などのクルマの設定変更といったものはすべてセンターの17インチタッチスクリーンで操作します。

ナビの地図はGoogleマップを使い、ルート検索はテスラのシステムで行っています。
なお通信に関してはNTTdocomoのSIMが内蔵されていて、通信料はテスラが負担していて、ネット検索などもすべて無料で利用できます。

こちらが設定画面です。変に表示が凝っておらず、画面上のボタンも操作がしやすいです。

ディスプレイの操作で、すべてのドアの開閉が行えます。

ドアの開閉は、この可愛らしいクルマ型をしたかわいらしいキーでも行えます。
このクルマはパソコンやスマホのようにアップデートができる様になっており、中古車を買ってもアップデートをすれば最新の仕様にすることができるという、今までのクルマにはない特徴をもっています。アップデート時にメーターのデザインが変わったりもします。
ヘッドアップディスプレイの設定はありませんでしした。

また便利な機能として、クルマから離れていてもエアコンをつけておけるという機能があります。
たとえば食料品を買ってクルマの中に置いてから食事や別の用事を済ませに行ったりする、といった使い方ができてなかなか便利だと思います。他社の電気自動車も調べてみましたが、そもそも考え方がテスラとは異なります。テスラの場合は「クルマを離れている間の室内温度を一定に保つ」というものですが、他社の場合は「出発時に室内が快適な温度になっているようにする」という考え方で、最長でも三菱アウトランダーPHEVの30分、他のメーカーでは10分しかエアコンを効かせることができず、テスラのようにバッテリー残量が20%になるまで連続運転できるようにはなっていません。機能がないよりはましですが、テスラほどメリットを享受できるメーカーはありませんでした。
●安全装備
下の図はセンサー及びカメラの搭載位置を示しています。
モデルXは運転支援のために8台のカメラ、12個の超音波センサー、1台のミリ波レーダーを搭載しています。

①リアカメラ
②フロントバンパー・リアバンパー内に12個の超音波センサー
③左右ドアピラーに各1台のカメラ
④フロントガラスに3台のカメラ
⑤左右フロントフェンダーに各1台のカメラ
⑥フロントバンパー内にミリ波レーダー1台
これらを制御し運転支援を行うソフトがオプション(616,000円)となっており、このソフトはあとから購入してインストールすることができます。(あとから装着する場合は740,000円)
このオプションによって実現する運転支援走行は、感動ものです!
他のどのクルマよりも自動運転に近い動きを実現しています。
法的には手放し運転は違法とのことですが、白線や防音壁などがきちんと認識できて前走車がある場合には、手放しで運転できるほど制御がすばらしい。またウィンカーを出せば自動で車線変更を行い、移動する車線にクルマがある場合には、きちんとクルマをよけて車線変更を行います。
また、縦列駐車や通常の車庫入れもタッチパネルのボタン操作1つで簡単行えます。
センサーの数も多くコストもかかっていますが、それを利用し運転支援するソフトの技術も卓越しているのでしょう。
いままでのプリクラッシュブレーキやアダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポットモニターといった個々の技術の積み重ねではなく、全ての安全技術の融合といったほうがよいのでしょうか。
まるでクルマが生きているような不思議な感覚を味わえます。
●ラゲッジスペース
バックドアは電動開閉式で、リモコンでも操作できます。
容量は3列目の後ろで351リッター、その他の場合は記載がないので不明ですが、写真の5人乗り仕様では結構広いラゲッジスペースがあります。

開口高さに床の高さも合わせていますので、シートの後ろの床下に深さ10cm程度の結構な収納スペースがあります。

開口部近くの床下には、少し見ずらいですがかなり深い収納スペースがあります。
電気自動車では当然のことながらマフラーがないので、その分このような大きな収納スペースをつくることができます。

AWDにもかかわらずフロントにもラゲッジスペースがあり187リッターの容量を確保しています。
●販売方法
まずインターネットで試乗を申込み、試乗を行います。試乗後、後日メールにて見積が送られてきます。この見積りは購入しなければならないわけではありません。購入を希望しない場合はそのままほっておけばよいですし、購入したければメールを返信するだけで契約になります。
下取り車がある場合もインターネットから申込を行い査定をしてもらうのですが、他の買い取り業者と比較してもらって構わないとのことです。
試乗時お店の方はクルマの魅力について徹底的に説明してくれます。かといって購入を強引にすすめてくるようなこともありません。何よりもお店の人が楽しそうに働いてることが印象的した。
今までのディーラーでは試乗に行くと、商品であるクルマの説明をろくにせずに強引に見積作成や査定、購入をすすめられて辟易することがあります。ノルマがあるからこういう売り方になるのでしょうが、テスラのようにまず商品の魅力についてきちんと説明してから「いかがですか?」とすすめるのがすじではないでしょうか。これこそ私が求める販売方法だと思いました。
いままで私の中では、現在のようなパワーユニットが多彩な時代には、趣味性は少し置いて、経済性や使い勝手を考えればPHEVがよいのではないかと思っていました。近所の買い物では電気自動車として使い、こまめに充電してガソリン代を節約し、遠出するときにはガソリンを給油してハイブリッドとして走れるのが良いのではないかと。しかし維持費を考えると、エンジンやトランスミッションを搭載している限りはオイルやバッテリーや冷却水の交換をしなければなりませんし、場合によっては部品の整備も必要になってきます。ところが電気自動車はそういtったものが必要なく、ブレーキパッドですらエネルギー回生システムの減速効果であまり減るということがありません。しいて言えばワイパーゴムとかタイヤの交換くらいでしょうか。そしてテスラのように大容量バッテリーを搭載していれば長距離にも不安はありません。税金の面でも優遇されており、購入時の諸経費もだいぶ想像するよりも安いです。ネックは大容量バッテリー搭載によって車重が2tを超えるため重量税がかかってきますが、それも通常のガソリン車よりも優遇されています。
上記のようなことを総合して、もし最先端のクルマに乗りたいとお考えの方がいらっしゃったら、ハイブリッドカーやPHEVではなく迷わずテスラの電気自動車をオススメしたいと思うほど、そのくらい気に入りました。
それにしてもまったくのゼロからスタートした自動車会社がよくここまでのクルマが作れますよね。
エンジニアリング会社に頼っているとはいえ、ほんとにすごいと思います。テスラだけでなく、もしかしたらこのような新興メーカーが今後現れるかもしれないということですよね。既存のメーカーにはほんとに脅威だと思います。
さて私のブログでテスラの魅力がうまく伝わっていたらよいのですが、いかがでしたでしょうか。
お断りしておきますが、私は決してテスラのまわし者ではありません。
純粋にクルマ好きとして、テスラが気に入ったのです。
買う買わないは別にして、ぜひ試乗体験していただきたいです。衝撃を受けること請け合いです!