こんばんは。
センチュリー、クラウンと地味目なクルマばかりしか紹介できませんでしたが、やはり最新の車も知りたくなり、乗って来ましたMIRAI!
試乗車 MIRAI 価格723.6万円(税込)
値段は高いですが、補助金が出ます(詳細は最後のまとめで)。
●外観デザイン
最初見たときは「なんだこのデザインは!?」と思いましたが、今はだいぶ見慣れてきました。それにしてもフロントバンパーサイドの三角の部分が大きすぎなのは個人的には好きになれません。
空気抵抗係数Cd値は公表されていないですが、おおよそ0.28くらいらしいです。
この大きさですが、乗車定員は4名です。

全長4890mm×全幅1815mm×全高1535mm、ホイールベース2780mm
車重1850kg、前軸重1090kg、後軸重760kg(車検証記載値、前後重量配分59:41)

サイドの姿もちょっとずんぐりしています。
●パワーユニット
650V交流同期モーターの最高出力は113kW(154ps)、最大トルク335Nm(34.2kgm)
ノーマルモードでは過不足ない走りで、街中であれば不満のない程度の加速力です。パワーモードにすると、十分スポーティーと言える程度の加速力はあります。ただテスラ・モデルSのような爆発的な加速力というほどではないと思います。発信の際は過激にならないよう電子制御により加速力を調節しているとのことです。私の経験では、モーター出力が100kWを超えていると体感的な力強さを感じるので、その予想くらいの加速力は見せてくれました。
今回の売りはECOモードが、パワーユニットとエアコンで別々に設定できるようになったことだそうです。
たとえばパワーは控えめ(ECOモード)でいいけれども、猛暑だからエアコンは強く効かせたい(通常モード)といった使い方ができるようになったそうです。
●燃料電池スタック・水素タンク・蓄電池
モーターを動かす電気を発生する燃料電池(FC)スタックですが、比較対象がないのでよくわかりません。
スペックは体積出力密度3.1kW/Lで、最高出力114kW(155ps)となっています。
体積出力密度とは効率のことを言っているのでしょうか?これが世界トップクラスだそうです。
水素と酸素を化学反応させると水が発生するので、当然燃料電池スタックから水を排水するわけですが、走行中は微量しか排出しないようにしているそうです。たとえば高級なホテルの玄関に乗りつけたときにおしっこを漏らすように排水していたらカッコ悪いですよね。ですので、排水してもいい場所でドライバーの操作で任意に排水できるよう、インパネに排水のボタンがついています。ちなみに排水すると下の写真のようになります。結構出るんですね。

水素タンクはリアシート下とトランクに合計2本搭載しており、合計で常圧で122.4リッター。航続距離は約650kmと優れています。水素は-253℃の液体水素を700気圧(70MPa)で貯蔵します。取扱いがちょっと怖いですが、充填は現状では水素ステーションの方にお任せだそうです。
蓄電池はリチウムイオンかと思ったら、なんと従来のニッケル水素のまんまなんですね。残念ですが、このあたりはコストを考えてのことなんでしょうか。
●ハンドリング
電動パワーステアリングです。あんまり路面の感触は伝えてこないですが、遊びもなくそこそこ剛性感があって、切ったら切った分だけ素直に曲がってくれるので、スポーティーにも走れます。ロールも少ないですね。
●足回り
フロントがストラット、リアがトーションビームとなっています。
タイヤはブリジストン・エコピアEP133、サイズは前後とも215/55R17 94W
この車格でリアが独立でないとは驚きですね。コストの問題なのか、スペースの問題なのかよくわかりませんが。でも乗り心地はリアサスのネガは感じられず車格相応といった感じです。車重もあるからなのかどっしりと落ち着いた乗り心地で、締まっています。クラウンよりこちらのほうが高級に感じますね。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクです。
回生が効くので、結構効きはいいです。ペダル配置はセンターから少しだけ右で、許容範囲といtったところです。
パーキングブレーキは足踏み式。さすがにここは車格を考えると電動にして欲しかったですね。
●静粛性
ここはMIRAIの真骨頂ともいうべきところです。
ほんとに静かで、横を他のクルマがすれ違っても全く聞こえません。
スペックは不明ですが、ガラスはレクサスと同使用のものを使っているとのこと。ドアのゴムパッキン等もより密着度の高いものが使われているそうです。
しかし、水素の流れる音やポンプの作動音といったものは聞こえてきます。これは、あえてこれらの音を聞かせる事によって燃料電池車に乗っているという感覚を味わってもらうためにわざとそうしているとのこと。このあたりは賛否が分かれそうですね。
●シート
フロントシートはシートの大きさも適度で、ホールドもそこそこあり、座り心地はいいですね。特に合成皮革の表皮はタッチが柔らかくていいです。

リアシートはシート自体の大きさ、座り心地はいいのですが、頭上空間が狭いのと、フロントシート下に燃料電池スタックがある関係で足が入れられないので、クルマの大きさのわりにゆったりと座ることができません。このあたりは初の市販燃料電池車ということで、買う方は我慢が必要なところかもしれません。
●内装(インパネ)
最初見たときは外観同様「すごい!」と思いましたが、もうすでに何回か見ているのでこちらもだいぶ見慣れて、未来感と質感をちょうどいいところでまとめているかなといった感じです。プリウスみたいに未来感がある造形だけれども安っぽいといった感じではありません。そこそこの質感はありますが、かといって高級に見えるというほどでもありません。
残念なのは中央吹き出し口下にあるモードの切替スイッチが横に細長くて押しずらいところでしょうか。

メーターはトヨタのハイブリドカーに乗りなれている人には特に新鮮味はないのでしょうか。
●安全・快適装備
現在考えられるおおよその装備は全て備えています。
・プリクラッシュセーフティ
・レーンデパーチャーアラート(車線逸脱警報)
・ブラインドスポットモニター
・レーダークルーズコントロール
・ロー/ハイ自動切り替えLEDヘッドライト
●トランク
残念ながら写真を撮る事はできませんでした。
ゴルフバッグ3個を入れる事ができるようです。
世界初の市販燃料電池車ということで、乗用車として違和感なく乗れるようよくここまでまとめ上げたなと思います。ただ、最新のクルマに乗っているという未来感は薄くて残念だと思いました。それは燃料電池としての仕組み以外の部分は既存のクルマと技術的になんら変わらない作りだからでしょう。BMWのi3みたいにカーボンボディを採用するとか、特別先進の技術を使っているところがないんですよね。モーター駆動なので電気自動車やハイブリッドカーと走りもそんなに変わらないんですし。トヨタはなるべくコストを下げるようにそういう道を選んだのでしょう。このMIRAIに対して補助金(クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金)が202万円も出ますし、購入時の取得税・重量税は100%減税で、500万円代で購入できるようにしたのはそごいことですよね。
生産については以前LFAを生産していた工場で日産3台というところで、年間生産が400台なので、発売から1年経ちましたがまだまだ街で見かけることは稀ですね。なんと納車については3年待ちだそうです。今から予約しても、納車の時には補助金が出なくなっているかもしれないとのことで、購入するには微妙な時期です。
あとはインフラの問題でしょうか。水素ステーション自体まだ少ないですし、茨城より北にはないそうで、残念ながら東北地方や北海道ではまだ購入できる状況にはありません。ただ電気自動車に比べれば充填時間は3分と短いので、インフラさえ整えば、こちらのほうが便利かもしれません。
なんだかまとまりのない文章になってしまいましたが、最終的に購買意欲が湧くクルマかというと、微妙なんですよね。買ってからから数年すると飽きるような気がします。デザインでは頑張って未来感を出そうとしているようですが、ハイブリッドカーのプリウスが出た時と同じだと思うんですよね。最初は物珍しさでみんな飛びつくと思うんですけど、ワクワクする魅力がなかったら飽きてしまう。トヨタは普及を目的にしているからそういう作りになってしまうんでしょうか。でも同じく普及を目指したBMWのi3は先進技術と走りの楽しさを見事に兼ね備えて魅力があり、長く所有しても飽きがこなさそうです。この違いはなんなのでしょうか。個人的には燃料電池と言う先進技術のクルマを売るなら、とことん先進的にして楽しい未来を想像させるようなワクワクするものにして、長く乗っても飽きないクルマにして欲しかったと思った次第です。